たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

暴走ムギちゃんと、暴走できないりっちゃん。「けいおん!!」第17話

けいおん!!」17話見たよー。

いやー、最高でしたね。

まさかつかさのネタがここで使われるとはね!
(説明しよう!「らき☆すた」で柊つかさは、後輩の田村ひよりがマンガのネタに詰まっていたとき「このネタ使っていいよー」と言って「みかんを食べると手が黄色くなる」というネタを持ってきた上に、「いつか使ってネー」と無言の圧力をかけていたのだ! さすがつかさ!)
こんな大舞台で自分のネタが使われるとは、つかさ様も満足でしょう。
ありがとうつかさ!
ありがとう平沢唯
この二人って似てるようで正反対よね。
 
さて今回は原作にあった(単行本4巻収録だと思う)回をうまーく味付けして膨らませた回でした。
原作は最初から追ってましたが、アニメ一期始まってからの原作との競い合いというか「どうだこれできるか」「おうもっとこっちはこういくぜ!」的なネタの捻りあいがすごかったんですが、その捻りあいから産まれた原作の名作回をもう一回転させてアニメになっているんだから、そりゃ面白くないわけがない。
原作とアニメの幸せな関係だと思います。

今回はまだ3巻に収録されていない原作ネタにブーストかけたもの。多分次回も。
 

ではネタバレ有りなので収納。

ペロペロ(^ω^)
 
 
 
 

●近くにあって気づかない物●

今回ちょっと変化球で、「とても分かりやすいテーマ」が一本と、「隠しテーマ」があった回じゃないかな?と見ています。
 
とりあえず「分かりやすいテーマ」の方からいきます。原作にもあったやつですね。
それはいつもそばにあって、気づかなかった幸せ。
ではその「幸せ」とは何かというと、具体的なのは二つ。
一つは部室でした。

すぐそばにあるのに入れない。
この構図好きなんです。5人5様の思いがありつつも、全員が「今までいられた場所にいられない」ということを、言葉に出来ないモヤモヤで悶絶し、何も言えないんですよ。
確かに軽音部はすごい恵まれすぎているくらいでした。こんなにいい立地条件の部屋を数人で使える上に、お菓子や雑貨の持ち込みは黙認。チート級の幸せっぷりですよ軽音部は!
そこが楽しいんですけどね、アニメとして。そのへんは夢見ようよ。
 
今回の予告「その部室なんだけど、しばらく使えないの」のさわ子の台詞にゾクッとしたのは自分だけじゃないはず。

全員のびっくりした顔の中でも、とりわけ驚いている律の顔が印象的です。後でまた書きますが、このあとしばらくハの字眉毛で呆然としてるのが律なんですよね。
で、大きな視線の揺らぎになるのは唯。
律や梓や澪とちがって、唯は特に動揺せずいつも通りのテンション。だからこそ見えてくる物があるんです。
部室が使えなくなってからのそれぞれのテンションをまとめると。

・唯:割と平常心で見つめるような目で見ている。
・律:かなり動揺していて、おちゃらけて誤魔化している。
・澪:スランプに部室の危機が重なってにっちもさっちもいかない。
・梓:大丈夫かなと言う不安に襲われている。トンちゃん。
・ムギ:めっちゃ楽しんでる。

ムギが今回異質。
それは後で書くとして、見て分かるように不安を全員が抱きつつも、割と一歩引いた位置で今回の状態を見ているのが唯なのは面白いですね。
たとえば今回、二回ほど外部の人に注意されるシーン(別のクラスの子、スタジオの店員)があるんです。
澪が礼儀正しくて謝れるのはいつもどおり立派としても、唯がちゃんとふざけてではなく「ごめんなさい」と言えるようになった。これは「マラソン大会!」の時から引き継いだ成長じゃないかなーと。焦らない、ふざけて「ごめんなさい!」と言わない。モンキーな状態から、きちんと礼儀を覚えた。澪や梓からしたら当たり前でも、唯にとっては大きなことです。

このシーンも興味深い。澪が曲を作れずにいるのを冷静に見抜いているのが唯、というのはなかなか珍しい。「ふわふわ時間」の時の歌詞の「ねーよ!」っぷりにも「いいー……」と聞き惚れていた唯ですが、今回は見ての通り妙に冷静なんです。
 
なるほど。
唯は視野が広がって、「当たり前のことがそうではなくなった」時の感覚を、そしてすぐ目の前にある「当たり前」を見つめ直す力が付いているのかもしれない。
いわば「澪が歌詞を書くのが当たり前」だという思いから脱却した、という意味でもそうですよね。

唯「いつも行ってると、ありがたみが分かんないもんだよね」
これもいいシーンですね。普段通っていた道も、視点をかえればこんなに違う。
唯は、本当に大きくなったなあ……こんな言葉を唯から言えるようになったんですね。
いや、元々唯はアンテナの高い子ですから気づいてはいるんでしょうけれども、言葉として伝えられるようになったのは進歩だと思います。 
 
そして二つ目の「すぐそばにいて気づかなかった幸せ」は、憂の存在でした。
 
唯のものすげー歌詞を見ても素直に受け止めて褒めてくれる憂ちゃんは、超絶姉甘やかしッ子すぎですが、これが「幸せ」だと気づけることが大切。
今回は「憂が風邪をひいた」という、まあそんな大事件ではないことではありましたが、それでも唯にとっては大事件。そりゃまあ唯が風邪引いたら憂が全部看病から何から何までやってくれるのでいいんですが(よくはないか)、憂が風邪ひいて初めてその存在の大きさを知る、というのは納得。
唯が普段から気づいていないわけじゃない。
改めて確認できたんだ。

これとかほんといい表情ですよね。
なぜ憂がお姉ちゃんを好きなのか。なぜ唯は憂を頼るのかがつまっているワンシーンだと思います。
 
この二つから産まれたのが、唯の作ったストレートな言葉、ストレートな歌詞です。

キミがいないと 何もできないよ
キミのごはんが 食べたいよ
もしキミが帰ってきたら とびっきりの笑顔で抱きつくよ
キミがいないと 謝れないよ
キミの声が 聞きたいよ

原作にもあった「U&I」の歌詞。
これはほんと、キますね。捻りも何も無いドストレートな、唯から憂へのメッセージなんですが、だからこそ響きます。
面白いのは「謝れないよ」の部分でしょうか。何も謝ることないのになあと思いつつも、今回二回も謝ってるよ唯!
そうか、「ありがとう!」は言える子だったけど、「ごめんなさい」を言えるようになった唯は、この伏線だったのか。
 
唯のあらゆる成長と感動と青春が詰まりすぎていて、眩しくて仕方ない。
中には「青臭くて恥ずかしい」と感じる人もいると思うし、その通り青臭いと思います。
思いますが、唯はそういう子なんだから、それでいいじゃん。
 

●暴走ムギさん●

さて、先ほどの唯の成長が表テーマだとしたら、裏テーマはムギと律です。
まずは今回暴走度に磨きのかかったムギから見てみましょう。
 
部室が立ち入り禁止になってからの出来事です。

一見唯がいたずらしているのをムギが楽しんでいるように見えますが、逆です。
唯が「なかどうなってるんだろう」と言った後にムギが「見てみる?見てみる!?」と煽っているんですよね。おおよそ今までのムギからしてみたらびっくりな展開。
ムギも一応「やっちゃだめなこと」というのは分かっているはず。となるとこれはいたずらをしたいんじゃなくて単に「ワクワクしたい」だけです。
そもそも今回の「部室ない騒動」で、部室がないこと自体は困ってはいるんですよムギも。だけどこの特殊な状況を終始ニコニコ楽しそうにしているムギは5人の中でも特別に異質です。

この体育館で練習することになったときのムギのアップは印象的ですよね。
けいおんファイト−、おー!
唯と律は「盛り上げよう!」なんですが、ムギは「よーし、楽しんじゃおう!」なんですよね。
 
今回の充実眉毛の頻度の高さと言ったらないです。

唯がトンチンカンなごはんの歌を書いてきたときも、なんでこんなにキラキラしてるのこの子!
かわいいじゃん!
本当に唯の歌詞が「いい」と思っているかどうかは分かりません。そういやーちょっとこの子センスずれてる子ですしね。ゲル状。
とはいえムギお嬢様の暴走はとどまる所を知りません。
ムギが歌詞を発表する段階になってからの、彼女の入り込みようがすごい。

「ケンイチさん、あなたが、あなたが、犯人だったんですね!
それは歌詞じゃない。
だがまじで聞きたいのでキャラソンの二曲目に入れて下さいポニキャさん。

自信満々で「唯ちゃんまかせて!」というムギもかわいい。
 
ん?
ここまできてちょっと気づきました。
ムギだからこその素の部分もありますが、これ突っ込み待ちなんじゃね?
ムギの眉毛で見る「けいおん!!」第14話の新しい人間関係
14話では「律に突っ込まれたい」という思い一心で空振りしていた彼女。「叩いて欲しい」「突っ込まれるような関係になりたい」と全員の前で告白しました。
今回、いたって自然にムギは全員に突っ込まれています。
これって……。
 
今回最高にニヤニヤしたムギさんはここ。

分かりづらいですね。
唯との会話のシーンなんですよ。

唯「ムギちゃんがお茶なんか入れるからだよー」
ムギ「一番おかわりしたの唯ちゃんですぅー」

この 会話は 何事だ!?
 
そうなんすよ。
ムギは「突っ込む・突っ込まれる」の関係を気づいたらクリアしてるんですよ!
今回のムギの暴走は、異常です。おかしいです。極端です。
しかしムギには確信があったんですね。必ず誰かが突っ込んでくれると。
そして私も突っ込んでいいんだと。
だからこそ、ちょっとおおげさなことを奔放にしてしまえる。
 

やっと部室に戻ってきたところで「お茶入れよっか」というムギ。それに対して「その前に一曲やろう!」とらしくないことを言っちゃう唯。
ほら、突っ込まれたよ!ちゃんと突っ込んでもらってるよ!
 
ムギ。よかったじゃん!
唯に突っ込める・突っ込まれるくらいになれたんじゃん!
もうニヤニヤですよ。

実は今回の歌詞コンペも言い出したのはムギ。
ムギの積極性が、どんどん物語を大きく動かし始めているんです。
 

●空回りりっちゃん●

逆に、今回はりっちゃんの空回りっぷりが気になる回でもありました。というかここしばらくずっとですね。
一番でかいのはここでしょう。
 
めちゃくちゃではありつつもそれぞれが歌詞を作って持ち寄ってきていたのに、律は歌詞すら作っていません。
なぜだ?
これ理由幾つか考えられると思うんです。

1、歌詞とか作る柄じゃなくて、恥ずかしくて仕方ないので照れ隠し。
2、自分が歌詞を作ってしまうより、他の人を立てたかった。
3、澪のスランプが見るに堪えなくて道化になった。

などなど。
律のギャグにしてはキレが全くないあたり、ちょっと変です。動揺しているようにすら見えます。
 
個人的には1かなーと思うんですよね。
実は一番乙女チックでセンチメンタルなのは律。それが行き過ぎて、女の子らしさを出すのを極端に恥ずかしがるのが律。一期13話の、カチューシャを外した時の「おかしーし」が心に響きます。
おそらくこのへんが次回……おっと、それはまた後ほど。
歌詞は思いをストレートにむき出しにするもの。それが律にはどうにも出来ない。
 
ちょっとしたときにすぐおちゃらけて冗談を言ってお茶を濁すのが律。
これ極度の照れ屋の裏返しに見えてならないんですよね。
 
今回の部室ない騒動、ムギは楽しんでいましたが、律はおちゃらけながら相当ビビっていた気がします。
スタジオ借りるのも部費から出していますし、何かにつけてテンションを上げようと大きな声をあげます。
逆境に弱いんですよ。りっちゃんは。
今回は冗談を言って濁している律ですが、本当に問題があるときのストッパーになっているのも興味深い。澪が普段言うところを、澪がスランプなのでその分律が抑えにまわってるんですよね。
 
唯の素直な心が産んだ歌詞に対して、澪が居場所を取られたかのように泣くシーン。まあこれはすっごいわかる。澪のアイデンティティですし、一番やりたかったことですもの。
それに対してすぐに「二曲作ろうな!二曲と言わず三曲でも四曲でも!」とフォローに入れるりっちゃん。
冗談として描かれるシーンですが、これこそが今の律の立ち位置だと思うんですよ。
みんなが少しでも楽しめるようにしておきたい、自分はそのフォローにまわりたい。
 
以前は「律はこのままだとパンクするんじゃないか?」と不安だったんですが、律は案外「人のために何かするのが好き」な子なのかもしれません。
だから、あえて自分が目立つ場所には立たない。あるいは立ったとしても道化になって人を立てる。
歌詞を書かなかったのもそんな理由なのかもしれません。
 
しかーし。
律だって女の子だ! 律だって高校三年生の軽音部部長だ! すごいよ! 部長だよ!
彼女にスポットが当たる日だって来るし、彼女が輝く日があったっていいんだよ!
「おかしーし」? なにをいう! 「おかしくねーし!」
それが今回目立たないような位置にまわっていた律の、次回への引きなんじゃないかと思うんです。

これな……。
原作既読派にはもう、何の話か……わかりますよね……(ニヤニヤニヤニヤニヤ
律と澪に、スポットが当たる番だ!
 

                                                                                                                                            • -

 
余談コーナー。
 
余談その1。




外人4コマの代わりに使えると思いました。
 
余談その2。

しとしとぴっちゃんしとぴっちゃん。
わざわざ風車作ってつけちゃうのが唯流。
 
余談その3。

ちょっとおおおおお、モブかわいすぎだろおおお!
名前はいちごちゃん。この世界にしてはずいぶんアニメチックで逆に珍しい。
割とあったかい子が多かったモブの中で、この子はクールで感情を表に出さないタイプなのがずしーんとハートに来ましたね。
どこまでモブで心つかむんだ京アニ
にしてもBD特典の瀧エリちゃんの趣味と、姫子の意外さには驚いた。
あれはあれだね。うん、乃梨子と仲良くなるフラグですね。マリみての。
あとみうらじゅんとかね。
 
余談その4。

今回あまり目立たなかった澪ですが、スポーツに夢中になっている様はかわいかったですねえ。
これもまた意外な趣味というか……。普段クールに見えて、熱血なものに弱いようです。
 
余談その5。

「ごはんはすごいよなんでもあうよ!」
唯のセンスのめちゃくちゃさは原作通り。
ふと気づきました。先週これ伏線あったんですね。
律の家でごはん食べていたときのシーン。
あずにゃん、りっちゃんと二人きりになったらどんな顔するだろう。「けいおん!!」第16話 その1

「ごはんはすごいもんね!」

細かいよ! 丁寧に準備してるなあ。
 
余談その6。

ついに出てきた平沢親。多分お父さん。
ちなみに原作ではもう両親とも出てます。
今月分に出ているのでチェック。
 

 
〜関連記事〜
「けいおん!」第二話の、楽器初心者のためのささやかな思いやり。2話感想
「けいおん!」の律のリアクションがノンケな件について。5話感想
律の表情が、「けいおん!」そのものの表れみたいなものかもね。6話感想
女の子カップリングに対する反応を、むぎの表情から見てみよう! 7話感想
「けいおん!」の閉じた内輪の世界から、開かれた新しい世界へ。8話感想
「中野あずにゃんの憂鬱」と、ゆるさを維持する努力。 9話感想
そしてあずにゃんは、また一歩みんなの安堵の場に心開いて。10話感想
私たちはいつも、綱渡り〜律と澪の方程式は答えなんてないから〜11話感想
軽音部、それぞれにとっての大切な成長。〜今いる場所が、最高に好きだから!〜12話感想
「じゃあ、私たちはこれが一枚目だね。」 〜けいおん!番外編「ライブハウス!」〜 14話感想
「けいおん!!」OPがつむぎだす、今までと未来。 OP感想
「けいおん!!」第一話は、ムギの眉毛が人間関係を物語っています。
オープンな空間、私たちの楽しい空間、そして見えない不安。「けいおん!!」第二話
どうして律が拗ねたのかを、澪と梓は知っていると思うんだ。「けいおん!!」第三話
修学旅行で澪が手に入れた、大切な宝物。「けいおん!!」第四話
純ちゃんマジAKY(あえて・空気・読まない)かわいい。「けいおん!!」第五話 その1
まだまだ続く、中野梓の憂鬱「けいおん!!」第五話 その2
なんでも楽しめる少女、唯にみんな惹かれてく。「けいおん!!」第六話
今の楽しい時間のこと、大人になったら忘れちゃうのかな。「けいおん!!」第七話
今まで通ってきた道、これから通る道「けいおん!!」第八話 その1
梓とさわ子の見た、三年生の肖像「けいおん!!」第八話 その2
ひとりでやってみよう! ふたりでやってみよう!「けいおん!!」第九話
大人になったら大人になれるのかな。「けいおん!!」第10話
異議あり!ムギあり!「けいおん!!」第11話
「けいおん!!」12話に出ていた夏フェスに、さあ行こう!
夏フェスで最高の思い出をつくろう!「けいおん!!」第12話 その1
律の、失いたくない夏の思い出「けいおん!!」第12話 その2
梓の、夢から覚めた夢。「けいおん!!」第13話 その1
今ここにある、梓とぼくらのしあわせ「けいおん!!」第13話 その2
ムギの眉毛で見る「けいおん!!」第14話の新しい人間関係
みんなと一緒に入られる、こんな当たり前の日々が。「けいおん!!」第15話
あずにゃん、りっちゃんと二人きりになったらどんな顔するだろう。「けいおん!!」第16話 その1
純ちゃんという、もう一つの視線「けいおん!!」第16話 その2
「けいおん!!」17話で放課後ティータイムが入った、貸しスタジオを使ってみよう!
暴走ムギちゃんと、暴走できないりっちゃん。「けいおん!!」第17話
 

とうとう4巻出ますね。ここから続くかどうかが分からないのがドキドキです。
とりあえず表紙はムギで、ムギで!
 

キャラソン第二弾が楽しみでなりません。「ギー太に首ったけ」を超えるロックが出てくるのか!?
あ、ごはんの歌でもいいです。
 


けいおん!放課後ライブ!!
セガ (2010-09-30)
売り上げランキング: 15
学園祭で「U&I」と「ハニースウィートティータイム」が披露されるかどうかが楽しみ!
にしても。放送中にBDがでるこのシステムは非常にありがたいので、どんどんやってください。
 

※本感想は、本放送放送地域在住の友人が録画したものを送ってもらった上でキャプチャ・引用しております。