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一迅社が出した「少女百景」2冊、ここが素敵!

さて、一迅社から連続でなかなか「グッ!」とくるが少女画集が2冊刊行されました。
これがまたかなりいい出来なんじゃないかと思うんですよ。というのもいわゆる「萌えでネタを売る」のではなくて「こういうシチュエーションの少女は美しい」というカメラ目線なんです。どちらの画集も。
 
というわけで、いいところ、惜しいところを含めてがばーっと自分なりにレビューしてみます。
 

●鉄道少女百景●

鉄道少女百景
鉄道少女百景
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一迅社
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一冊目は「鉄道少女百景」
鉄道と少女のある風景、をテーマにした作品集です。
 
・ここがポイント!!・
1、北から南まで網羅されている
さすがに全路線は無理ですが、北は宗谷本線(北海道)、南はゆいレール(沖縄)まで網羅されている。これは本当に素晴らしい。全国を網羅したことで、日本の四季を味わえる色彩がつまった画集になっています。ゆいレールとかよくチョイスしたなあ。
北海道民としては函館本線はもちろん、日高本線宗谷本線が載っている事に感涙です。そいそう、宗谷本線って何も無いのがいいんだよね。あの広大な大地を走る感覚最高。日高本線の馬と少女と電車の図も素晴らしいです。夏の北海道がこの二つで、冬の北海道が函館本線の駅に佇む少女、という構成も非常にいい。
 
2、抑えめの色彩が日本的
けばけばしくないんですよ。ちょっとわかりづらいんですが。
表紙の少女の絵を見ると特によくわかりますよね。生活色なんです。少女たちもアニメのキャラクター的ではなくて、限りなく生身の人間の色に近づけて描かれているように統一されています。
あと絵師さんたちのテクニックだと思うんですが、個々が自分のカラー統一を意識的にしているのがいいですね。ページごとに日本の色彩の違いが顕著に出ているので、それだけでも旅行気分。
また多くのイラストで自然光(陽の光、照り返しなど)が意識されていて、春夏秋冬をうまく表現しています。
今はpixivとかでも、映画やアニメ漫画でもそうですが、「日本を以下に描くか」がひとつのテーマになっていると思うのですが、まさにその先端を突っ切った感じの画集になっています。
 
3、ツボをおさえた路線チョイス
個人的にトワイライトエクスプレスカシオペアが載っていたのがうれしくて。
しかもものすごく色彩の使い方がうまいんだもの。乗りたくなるじゃん!乗りたくなっちゃうじゃん!
というのも、このへんの電車、いい席ほとんど乗れないんですよ倍率激しくて。スイートのプレミアっぷりは異常なほど。ああ、鉄道好きには憧れの客車ですよ。それを写真じゃないことによって、あえて絵にすることによって、「こんなに憧れの空間が体験できる!」というのを魅せてくれるんです。これはいい。
その他にも志村貴子先生作「青い花」で出てきた江ノ島電鉄、通称江ノ電鎌倉高校前駅の夕日や、津軽鉄道のだるまストーブ列車(これ今もあるのかな?)、茅葺きが有名な会津鉄道湯野上温泉駅など、鉄道ファンじゃなくてもニヤニヤできる特徴的で趣きのある駅や鉄道がどしどし出てくるので非常に楽しくて仕方ない。日本を縦断したくなること間違い無し。
 
とそんなわけで、個人的には薄さと1800円の値段にびびりつつ買いましたが、大満足の一冊になりました。見開きイラストなので本の世界にに没頭できるのもいい。A4サイズなのでブワーッと旅の雰囲気が広がります。
本開いて読んでいるだけで旅行した気分になれるんですよね。しかも「旅行」という「想像」の世界を旅できる。写真集でいいじゃん、とならないのはここがミソです。
 
あえて無理やりに個人的な願いをあげるとすれば、もっと鉄道色濃い目にしてもいいかな?という点くらいです。
日本と少女を描いた作品集としてはもう満点だと思うんですよ。
だけど、「鉄道少女百景」というくらいなら、鉄道と少女をイコールでつなぐくらい鉄道プッシュでもいいかな、と個人的には感じました。もちろんそういうイラストもありますが、そうではないものもないわけじゃないので。このへんも意図的なのかもしれませんが。
少女の絵は小さくなってしまうかもしれませんが、逆に鉄道押しにすることによって引き立つ少女像もあると思うのです。そのへん是非次回があるならさらに路線の幅を広げながら、少女と鉄道の魅力を前面に押し出して欲しいです。乗っている絵・待っている絵・遠くに眺めている絵のバランスはとても絶妙だと思います。
あと、今回の絵に関してはほとんど文句がない出来の作品集なんですが、「撮影されている光景」、つまりカメラのファインダーを意識した絵が見たいです!
ちなみに個人的には帝国少年さんの津軽鉄道のだるまストーブ列車絵がたまらなく好き。北海道でも帯広の方かな?にこういう鉄道があって、乗ったときにみんなでスルメ焼いて食べたのを思い出し、今すぐにでも鉄道に飛び乗りたくなりました。
 

●デジカメ少女百景●

デジカメ少女百景
デジカメ少女百景
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一迅社
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2冊目は「デジカメ少女百景」
一時期流行った「萌えるヘッドフォン読本」のデジカメ版だと思うといいかと思います。デジカメを持った少女はこんなにもかわいい!という画集です。
 
・ここがポイント!!・
1、デジカメの種類が豊富な上に使える
「萌えるデジカメ読本」でもいいんじゃないかと思うくらいのデジカメレビューは本当に使えます。長所短所も書かれているので、自分のようにデジカメに詳しくない人でも満足のいく分かりやすい内容になっているので、その点は○だと思いますが、これだけでデジカメ選びに使えるかというとちょっと分からないです。
ただ、値段、重さ、こういうところでの撮影が得意、というのがはっきりわかるので、その点はかなり参考になるのではないかと。
ケータイのカメラレベルの話から、30万を超える一級品まで幅広いのもよいです。
 
2、イラストレーター陣が異常
表紙のたかみち先生パワーがすごいのかどこに行っても売り切れ状態の本誌、表紙だけじゃなく中身のラインナップも半端じゃないです。
個人的に関谷あさみ先生と東山翔先生と加茂先生がいてびびった。ちょっと、それみんな表紙レベルの人達ですから!
なんかもうこれだけ集めたことだけでも価値ある気がします。
 
3、「カメラを持った女の子はかわいい」
特に表紙のたかみち先生の絵を見ると分かるんですが、カメラを持っている女の子の意識って別のところにあるんですよね。
ようは対読者じゃないんですよ。被写体に対して自分の意識が向いている。それをはたから眺めるのが至高の快楽なのは「ヘッドフォン娘」も同じ(あちらは耳を閉ざしているのでこっちの世界にいない)。
このへんをおさえた絵が多いのはよいなあと思います。理屈じゃない「カメラ持ってる女の子ってかわいいよね」というのはがっちりおさえられていますので、深くこだわず、「無機物+女の子萌え」な人は問答無用で買っていいんじゃないかと。
 
とにかく文章量もハンパなく多いので、デジカメ好きな人なら2000円弱は安いかもしれません。かなり良く出来てます。
 
こちらも惜しい、もうちょっとこうしてほしい!という点を挙げてみます。
まずはアニメ絵とリアル絵の混合比率。鉄道少女〜が「限りなくリアル絵に近いアニメ絵」で統一されていたのに対して、こちらはものすごいデフォルメのきいたアニメ調の絵と、たかみち先生のような体温すら感じるような少女の絵がごった煮になってます。これはちょっと惜しい。決して悪いわけじゃなく作家さんの個性なので一枚一枚は楽しめるんですが、全体をパラパラ見るとちょっとびっくりします。買う際にアニメ絵苦手な人はちょっと注意したほうがいいかもしれません。配分バランスや並べ方を変えると雰囲気も変わるかなーと思いました。
あとはカメラの使い方や持ち方が惜しい。リアリティにこだわりすぎるのが必ずしもいい絵とは限らないと思っているのですが、デジカメ解説が詳しいだけに、デジカメ好きの人が「?」と思ってしまう可能性があるのはちょっともったいないかな?と。
絵は絵として、この手の画集の場合は、上の「鉄道少女百景」と違って「物を魅せる」本なので、そろそろ写真も合わせて載せて欲しいなあと思うのはわがままかもですが、「買う参考にしたい」自分としては希望したいところです。
買う参考にできた上で、無機物+女の子が楽しめるなんて最高じゃん。ということだよ!
 

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色々書いてみましたが、どちらも「お金の分の価値は満足できました!」という結論。「惜しい」の点はほんと、気に入ったから「こうしたらもっとうれしい!」というわがままです。
一迅社頑張ってるなー。ちょっとでかい大砲が二発飛んできたのでニヤニヤしてしまいました。
今後とも色々なのや第二弾たのしみにしてまっせ!