たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

【任侠姫レイラ支援】プロレスマンガの難しさと、だからこそ生まれる面白さ!

なあ、ぼく、
「任侠姫レイラ」最高に好きなんだ!!!
まあ今更ではあるんですが。
 
チャンピオンの新連載群の格闘・戦闘マンガは本当にはずれなし。
ハンザスカイ」は佐渡川先生節がきっちり出されつつ、少年漫画の王道と空手と、どえらい強いヒロインを巡る血のたぎるアクションマンガになっています。
なんせ「溜め」がうまい。ぎりぎりまで「だめだ、もうだめだ、もう本当にダメだ」と思わせてからの大逆転! 燃えるだろバカッ!最高!
ハンザスカイ 1 (少年チャンピオン・コミックス) ハンザスカイ 2 (少年チャンピオン・コミックス)

ケルベロス」はフクイタクミ先生のドSっぷりがいかんなく発揮され、読者に「苦しんでる女の子にドキドキしちゃう」性癖を植えつけかねないナイス作品。だけど物語の展開は実に計算されていて、成長する少年と、慕っていくワンコ的な構造もうまい。続きが気になって仕方なかったり、次はどの女の子が酷い目に合うのか考えてドキドキします。
ケルベロス 1 (少年チャンピオン・コミックス) ケルベロス 2 (少年チャンピオン・コミックス)
 
そして、期待のホープ任侠姫レイラ!
もう早く単行本情報が欲しいんですが!欲しいんだよ!
 
どんな漫画か簡単にまとめると、すげー強い(この意味は後述!)ヒロインレイラを中心とした様々な地方プロレスを描いた物語です。
ここからが本論なんですが、プロレスマンガって難しいと思うんです。
そんな中、回を重ねるごとに一本芯が通って面白さを増して行く「任侠姫レイラ」はすげえよって話なんですよ。
 

●プロレスの難しさ●

プロレスマンガは数多くありますが、娯楽マンガとして見せる場合、「それがプロレスファン向けなのか」「マンガファン向けなのか」で大きく変わります。
プロレスファン向けなら、やはりプロレスのリアリティを追求してほしいでしょう。リングの上にある熱さを再現して欲しいでしょう。
プロレスラーがなぜプロレスラーとして生きているかを描いて欲しいでしょう。
しかしそれって、一歩間違えると地味なんですよね。
理由は何点かあって。

・プロレスにはブック(台本)がある
・プロレスは「技を受ける」もので、そちらの気持ちがマンガだと見えづらい
・ステージはリングでなければいけない

などです。
格闘技漫画の殴り合って勝ち、の一瞬の緊迫感を求めると「あれ?」となっちゃうんですよね。
今時は少ないと思いますが、それでも「プロレスって八百長でしょ?」という人も0じゃないわけです。
それをいちいち読者に説明して回るのは意味が無い。否定してもしかたない。
大切なのは「プロレスの世界は最高に面白い場所として存在している」というのを問答無用で伝えること。
じゃあどう描く!?
 

●プロレスは本気なんだよマジなんだよ!!●

プロレスに興味がないマンガファンを惹きつける方法としては、一つはトンデモな展開づくりをすること。
キン肉マン方式。これは間違いなく面白い。というかすでにプロレスじゃないけど。
キン肉マンはやりすぎとしても、プロレスラーの独特な激しいテンションとアクションを魅せる、たとえば「アグネス仮面」のような作品もものすごい面白いと思います。
そして、プロレスラーの持つ魂を軸に描くという手法。
ようは戦っている人たちの精神状態が、「格闘家」ではなくて「プロレスラー」でなければいけないんですよ。
この記事がめちゃくちゃ面白いので是非見てください。
今週の一番「任侠姫レイラ」エンターテインメントとは何か?…とか語ったりしてみる。 - 今何処(今の話の何処が面白いのかというと…)
プロレスには台本があります。八百長? ああそうとも八百長だとも。
だがな、言っておこう。
全身全霊、命をかけて本気でやる八百長だからな!
それでも八百長っていうんなら言えばいい、俳優に「あなたの行動は演技ですね」って言うのと同じだよ。
プロレスラーは、魂をかけて台本の上で客を最高に楽しませる戦いを、体をはってやっているんだよ!
 
なんでこんなに口うるさく書くかというと、今、レイラはヒールにまわっているからなんです。
ヒール、つまり悪役。
アウェーな地方プロレス巡業で、周囲の観客は当然地元プロレスのファン。
まさに、四面楚歌ですよ。観客は悪役であるレイラにブーイングをするために見に来ているんですよ。
すっげー辛いですよ。
恐ろしいですよ!
ヒロインのレイラはいままで勝ってかっこよくキメて魅せてくれるのが素晴らしかったのですが、10話ちょっとにしてもうはやヒール役をいかに演じるかというテーマに差し掛かっているんです。
 
今週の、幼いレイラと父の会話の回想シーンが泣けてなりません。

「お父さん、ほら、このレスラーさん凄い血が出てる……痛くないの!?」
「ああ、痛いだろうなぁ……でも……本当は泣きたいくらい全身が痛くても……! お客のいるリングでなら、躰張れる……何度でも立ち上がれる……」

これが、プロレスラーの魂だ。
レイラのヒールとしての地方巡業戦、台本あるんです。演じているんですプロレスラーとして。プロの、レスラーとして。
そして、痛いんです。痛いんです。スゲー痛いんです!
だが、どうだ。
ハプニング負けするのか? 痛いからギブアップか?
違う。
立ち上がるんだ!!!!
悪役、レイラとしてな!
 
「任侠姫レイラ」は本気です。真剣です。
台本がある上で、いやだからこそ、本気なんです。
プロレスラーは技をかける華麗さも面白さの一つですが、技をかけられる側もすごいのをしっかり目に焼き付けたい。
ここをきっちり描いて、プロレスとはお互いの技を全身で受け合うことなんだと描いている「任侠姫レイラ」、漫画好きのハートに、プロレスが好きじゃなくても伝わってくるものがある作品だと思うんです。
加えてわりとトンデモ寸前のキャラのギミック(アメリカンプロレス風のノリですね)を取り入れたり、ルチャドールの技を入れ込んだりと、見た目の派手さもきっちり魅せてくれる。
そして「リングの上で!」というのも大切にすることを描くことで、強烈なプロレスラー達の心の熱さが浮かび上がるんだ。
 
そうなんだよ。
この作品は「本気で戦い立ち上がるプロレスラー」を描いた、漫画という名前の、読者に仕掛けられているプロレスなんだよ!
 
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プロレス嫌いでもいい、むしろ「プロレスなんて台本あるし」と思っている人にこそ読んでもらいたい、魂を燃やす作品です。すげー熱いよ。読もうチャンピオン!