たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

裏方や隣のクラスにもある、青春。「けいおん!!」第19話

けいおん!!」21話まで見たけど今日は19話の感想ですよー。

いやー、最高でしたね。

ムギまじ天使な!!!!
なんだろうもうこのかわいい生き物は……!
けいおん!!」の髪の毛描写は、すごいもっさりしたボリュームがあるのに、きちんと一本一本の描写も丁寧にされているので、キラキラ感が凄まじい。髪の毛については21話でまた書くとしても……このムギのかわいさは凶器レベルですよね。
あと、誰かはやくムギに焼きそば食べさせてあげて!!

そしてりっちゃんは寝袋がにあいまくるのだった。
こんな無防備な寝顔見たらキスしちゃうわまじで・・・・・・澪が。
 

20話のライブ回は今思い出すだけでもじわじわくるんですが、19話の「ロミオとジュリエット」も本当によかった。
特に、メインのロ澪とジュ律エットも素晴らしいけど、それ以外の子たちがさらにいい!
 

ではネタバレ有りなので収納。

ペロペロ(^ω^)
 
 

●すごいうまいわけじゃないのよ。●

唯達のクラスの出し物(というか3年生は全クラス演劇みたいですね)の「ロミオとジュリエット」、魅せ方が非常にうまく、とても丁寧に描かれているんですが、面白いのは完璧ですごい劇にあえてしていないところだと思います。
ようは、「演劇部の劇」じゃないんですよ。「素人の、一生懸命がんばった劇」なんです。
このへんは作画だけじゃなくて、声優さんの演技のうまさでもありますね。




外人4コマ。これ前もやりましたねそうですねはい。
でもそうなんです、こうなんです。木から顔が出ている時点でこの劇は「素人の一生懸命」なんです。
澪はロミオ役を、律はジュリエット役をそれはもう精一杯やっているんですが、ここで声優さんの演技力が光るのは澪は「律が演じるであろう男役」を、律は「澪が演じるであろう女役」を想定しているのを演技しているということです。
分かりづらいですね。
一言でいうとなんかぎこちないんですよ。
役に入りきっているんだけど、遠回りしている。乗り移るほどではない。
劇中劇のおおげささをうまーく表現しています。

このシーンの会話は必聴です。
うまいんですよ? それはもう、律と澪とは思えないくらいうまいんですよ。
でも演劇アニメの、たとえば「青い花」や「ひとひら」のような強烈さや「完璧な演劇部の演技」の迫力とはあえてベクトルがずらされています。
 
ある意味その証拠にあたるこのシーン。いいシーンですよね。
彼女らは演劇部ではない。命をかけてやっているわけでもない。とはいえ青春の時間はかけているから一生懸命。
でもやっぱりほころびが出る。そのほころびこそが……愛しいんだなー。
うまく行かないからこそ、学園祭はいいんだよ。

とりあえずお約束的なシーンでの「キャー!」は自分も叫んでました。キャー!
律澪は正義!正義!
うちのサイトは律澪応援サイトです!(思い出したかのように
 

●素晴らしき側面●

じゃあこの劇だめな劇かというとそんなことはありません。
人の本気が詰まっているものって、心を動かす力があるんです。
それが、高校生の力です。

うっとりするくらい美しい律のジュリエット。
これ誰の視線かというと。

梓の視線なんです。
覚えていますでしょうか。梓が、律がジュリエットになったと聞いて「プッ」と笑っていたのを。
ある意味あれは空気を読んでいたので非常に反応としては正しいのですが(笑ってもらえないと息苦しいしねえ。中野ォ!)、彼女からみて律の演技はこんなにも輝いていたのです。
実際に客観的に見て上手いかどうかは別問題。まあ上手いんですが、そういう絶対的な点数はいいんです。律がこんなにも眩しく梓の目に映ったのはなぜか、が大事です。
まずそもそも、こういう律を梓はあまり見ていないというのが挙げられます。
実際は見てはいるんですよね、演奏の最中に。だからこその、再確認なんです。律先輩ならこのくらいやるんだろうな、というのは薄々感じていたのを、改めて思い知らされた。そんな驚き。
そしてもう一つ。自分の知っている「軽音部」の律じゃない律がいるという、ほのかな不安
何故一生懸命やっているのに不安かって話ですが、たとえば親友に、自分の知らない友人がいたときなんとなーく複雑な気持ちになることって、あるじゃないですか。……ありませんでした?
梓の感じている先輩たちへの不安って、少なからずそう言うのあるとおもうのです。唯視点だとクラスの他の子と一致団結してがんばっているいいシーンなんですが、梓視点だと「なんだか蚊帳の外にいるようなむずがゆさ」を感じても仕方ない。ああ、自分の知らない先輩たちの世界があるんだな、というもどかしさはやはりあるんです。
実を言うとそれは「唯達から見た梓」にもあるんですけどね。

冒頭のこのシーン、ほんと面白すぎて思わず膝叩いちゃったよ。
けいおん!」シリーズで、キャラの視点、神の視点(箱庭を見守る第三者視点)以外の、完全なモブから見た視線が描かれるのってこれが初めてじゃないでしょうか。

見てたコンビニ店員。
ああ、ぼくらだ。
青春している、精一杯に学園祭やっている少女たちを見て目を細めているぼくらの視線はこんなんだよ。
さきほどの律ほど輝いているわけじゃないですが、この梓と純ちゃん、眩しいでしょう?
これこそが、青春パワーです。素人の一生懸命はほんと、時にはめちゃくちゃな球なんだけど、ストライクゾーンに突き刺さるんです。
 

●それぞれの青春●

ここで、ちょっと視線をおもいっきりずらして、名もない他のクラスの子達を見てみます。
  
もー、細かいですね。
ヴァンパイア喫茶はまあコンセプトが分かりやすいので、キャラのデザインもしやすいと思いますが、そこに遊びに来ている他校の生徒の描写がほんとうまい。日常と非日常、桜高と他校の対比です。
あらためて「ああ、桜高って女子高だなー」と感じさせられます。今更当たり前なんですが、女の子たちが知恵振り絞って最大限までがんばった結果なんですよね。
ドーナッツ屋も凄い細かいんですよ。モブとか単にドーナッツ売ってればいいじゃないですか。違うのね。頭にドーナッツつけてるの。
こだわり半端じゃ無さすぎだよ……。
 
二年生は喫茶店系らしいですね。
梓のクラスの峠の茶屋も、衣装を考えると相当凝っていると思います(多分さわ子作)。
が、これやっぱり高校レベル止まり、だよねえ。いい、そこがいい。

話題になっていた2−2の「マンモスの肉」。どういう仕組みで何を売っているんだ!?
予想としては、ハンバーグ的なものかと思ってるのですが。
衣装もエロっちくなりそうなところをうまーく抑えて、「このくらいならできるんじゃね」というラインを貫いてくれました。見事。
 
確かに軽音部メンツは劇でもヒロイン級、軽音部演奏では主役という「目立つ」キャラですが、そうじゃなうて「目立たないところ」でも青春が続いていることを思い出させられます。

個人的に好きなカット。
ほんっとどうでもいいカットなんですが、もう手前のハートついた棒のチープさがたまらんのですよ。
これをね、高校生の女の子たちがね、学園祭のために一個ずつ貼っていることを考えると……たまらんでしょう?
ジュースとか美術展のはりぼても、裏を見たらこんななんですよ。
もう泣けてならない。しかも学校祭終わったら全部剥がして燃やすわけですよ。
大人になってもライブとか演劇とかコミケとかに参加している人なら「一瞬のために全力を費やす楽しさ」はまだつづいていると思いますが、高校時代の「その一瞬」のための全力投球は、ちょっと違いますよね。明日を顧みない。大人になると「このあと体力温存しておかないと」とかと言いたくなりますが、そういうのがない。「そもそもこのハートいらないじゃん」とか言われたらそれまでなんだけど、そうじゃないんだよ!いるんだよ!気持ち的に!
 

●みんなの成長●

 
左は赤ジャージなので、二年生ですね。
学園祭の最中はすべてが非日常。だけどその一瞬一瞬にたくさんの人間がかかわっていて、全員が「今しかない瞬間」を味わっている。それがきちんと描かれているってのはものすごいことですよ。
けいおん!!」は比較的、オープンな作品だと思います。軽音部のなかのワイワイガヤガヤで終わらないんですよね。特に二期になってからの群像劇っぷりが半端じゃない。唯達も成長していますが、他のモブたちも成長しているんです。
そりゃ唯達よりは厳密には描かれていませんが、モブの変化を入れるというのは非常に優しい視点だと思います。だって、入れなくても描けるのにわざわざ入れるんですよ。あらゆるキャラへの愛情であると同時に、周囲の人間の変化によって唯達が成長しているのも描いているんですよね。
 
少し、モブ……いや、もうモブじゃないよなあ、クラスメイト達やその他の子との交流の様子を見てみます。
 
原画回されたら泣きそうになるレベルのシーン。感動と別の意味で。
これ全員がもそもそ動いてます。
アニメーションが好きな人は見ていて結構グッと来るシーンだと思います。よくぞ動かしてくれた。そうだよね、全員が澪や律みたいに、劇のために情熱を燃やしているんだものね。各キャラの配置が彼女たちの人間関係になっているのも注目したいポイント。

唯を気にかけている(というか唯がくっついてまわっている)キャラの一人が、真ん中で色を塗っている姫子。この回でさらに、彼女がいかに唯に気を配っているか描かれました。彼女は裏方なのもいいですねえ。表には出ないバックアップ型。

クラスの中心軸になっているのは和ちゃん。
生徒会長で学級委員長で澪ファンクラブ会長(?)という役回りなのに淡々とこなしている上に、唯をちゃんとフォローして回れる気配りっぷり。パーフェクトすぎる。
パーフェクトすぎるんですが、実は和ちゃんにはスポットライトが当たりません。
20話感想の時のコメント欄にもあったんですが、スポットライトの当たる唯のような子達を傍から応援するサポーターとしての青春もまた、重要なんですよね。とても大事な、そしてかけがえのない思い出。スポットを浴びるだけが青春じゃないのを、和や姫子をはじめ、今回のクラスメイトが表していたと思います。



いい顔してるよなあもう。
円陣組むなんて、大人になったらなかなかしませんが、円陣を組んだこの瞬間は彼女たちに取って一生モノであること間違い無し。

円の中心にいるのはいわゆる、目立つ部署の子(役者と裏方)で、そのまわりにいるのが大道具・小道具・演出。だからムギは円陣に入っていません。
どの立場がいいじゃない。全部いい。
だからこそのこの俯瞰のカット。たまらないですね。
 
個人的に今回クラスメイトでぐんと株が上がったのがしずかちゃんです。

この子。名前がはっきりと呼ばれていたレアな子です。ちっちゃくてかわいい。かわいい。
今まで軽音部チームとはほとんど接触のなかった子ですが、今回トラブルがあったせいで、一気に距離が縮まる、その流れがもうーーー見事。
物語的に「ジュリエットのお墓がない」というのはそれほど重要な部分じゃないんですが(なくても成立する)、しずか達と、オカルト研と、軽音部が仲良くなる、という輪の広がりを考えると、絶対欠かせないシーンです。

とてもパニックになった後に一段落して、仲が良くなるシーン。
唯はこういう時にどんどん近づいていける子なのも大きいですね。
(しかししずかが木Hをやっているのもちょっと見たかった)

ムギともこうして、距離が縮まりました。メガネの子とも距離一気に縮まりましたね。
学園祭の中の、出来れば無い方がいいトラブルでしたが、なかったらしずか達とのつながりも生まれなかったんだなあと思うと感慨深いものがあります。
10年後とかに「あの時さー」とジュリエットのお墓がなかった話なんか、しちゃうんでしょうな。
 

●オカルト研にはいろう!●

さて、ぼくの中で大フィーバー中なのがオカルト研の子たちです。

展示をやっても全然繁盛しない!
これでこそオカけん!

どんなに急いでいても譲れないところの説明はきっちりしてしまう!
これでこそオカけん!!

女子高だけどジオラマでキャトルミューテーションの再現をしちゃう!
これこそオカけん!!!
 
なーんつーかもうさ。
自分見てるみたいで。
オタク的な妙なこだわりとズレがツボすぎてたまらんです。
 
ある意味学校内では「ズレ」ている唯達軽音部ですが、オカルト研のズレにはかなわなかったようです。
考えてみたら「唯よりとんちんかんな子」っていなかったわけで、そういう意味でこのオカルト研の子たちはそれを超越した位置に存在する貴重な存在です。
太眉メガネに、ハマーンメガネ。見た目のインパクトも抜群。
そして部員二人! 軽音部より存続がやばそうです。
 
絶対に接触しないはずだったオカ研と軽音部が接触したのも面白いですね。
以前ちょっと覗いてびくびくしていたことありましたが、その頃はまさか仲良しになるなんて思いもしませんでした。


この構図がいいんだなー。
ここで「ライブ見に来てね」と言うんですが、それが20話でちゃんと拾われているんですよね。

これが20話。
今は「けいおん!!」20話見るたびに意味もなく涙腺刺激されるんですが、わざわざ展示お休みの札をさげてまでして、放課後ティータイムのライブを見に来た二人が描かれていて、もー泣くよ。
彼女たちの歯車が噛み合ったんだよここで!
 

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余談コーナー。
 
その1。


人間関係の輪を確認していくとおそろしいほど広がっているのがこの19話。多分今までで全話通してもトップレベルで入り乱れていると思います。
特にバックアップに回っている和ちゃんと、ムギや律が仲良くなっているのは珍しいポイントですよね。今まであまりなかったシーンです。
和ちゃんは澪・唯とは仲がいいいですが、その他の子のことも気づかえる本当にいい子。もちろんムギや律が和ちゃんを思いやっているからこそ、でもありますが、和ちゃんの存在なくして軽音部なしってくらいのカギですよね。
 
その2。

どこまで本気か分からないロミオとジュリエット。多分ムギの真面目な脚本(作曲した曲を考えるとあんまり遊びは作らないタイプだと思う)に、唯や律がいろんなものくっつけておかしなことになったような気がしますが・・・実際はどうなんだか。こう言うのを見ると、「けいおん!」がギャグマンガだったのを思い出します。

歴代主人公変顔コンテストにでられるレベル。
この子アニメ雑誌の人気投票一位なんだぜ!
 
その3。

軽音部周辺の人間関係の変化が面白い回なんですが、それだけじゃなくて他の子同士でも人間関係の構築がされているのを描いているのがすごい。まさに群像劇な19話。
これは大道具だった姫子と、クラスのムードメーカー中島信代(右から二番目)達チームが邂逅したシーン。
クラスが一体になっていく感覚って、いいよね。
 
その4。

なんだかわけわからんシーンですが、ここじわっときました。
寂しがっている梓のところに、律が「ただいまー」って言って自然にはいってくるんですよ。
いいよね! ただいま、いい言葉!
 
梓視点なので、すっかりいい意味で「先輩」な顔をしている彼女たち。
見ているとなんだか、親が子供の成長を見ているようでじわじわ来ます。
大きくなったなあ、と。
 
その5。
 
ウインクの出来ない二人がかわいすぎる。
顔の筋肉がひきつってプルプルしているんですよね。とても律と唯らしいですな。
抱き締めたくなる衝動にかられますが、このダメウインクは澪と梓だけのものだから!ですから!
 
その6。

「どうしてみんなそんなにギリギリまでやるんでしょうね」という梓の感想と、普段は合理主義的なのに「徹夜の準備って、楽しいし」と言っちゃう和ちゃん。このギャップがねえ。二年生と三年生のギャップだよねえ。
フルに楽しもうとするナチュラルなテンションの高さが、和ちゃんにもある、というのがじわっと来ます。

そして、バトンを受け取った梓。
残りの話での(特に番外編での)梓の動きはじっくり見ておこうと思います。
 
その7。
 
劇が終わった後の、唯の学級の描写が素晴らしい。
これから来る唯達の卒業、「けいおん!!」の終わり、その二つは確かに寂しいけれど、この教室のようにきれいに輝いているよ、と。
この光景が彼女たちにとって忘れられないように、ぼくらにとっても「けいおん!!」は忘れられないアニメになっていると、思うんだなあ。
それって貴重な体験だと思うほんとに。日本で、このアニメを日本語でリアルタイムで楽しめることに感謝。
 

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