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卒業は終わりじゃないよ、はじまりだよ「けいおん!!」第24話 その1

けいおん!!最終回24話見たよー。
いやー、最高でしたね。

地味子な!(砂原よしみ)
斜めぱっつんは錯覚かと思いましたが、本当に前髪斜めぱっつんなんだなー。
これは斬新。これは流行る。
 
さて、卒業式です。
泣かせ回になるかと思いきや、徹底して泣かせない姿勢。これは敬意を払いたい。
とはいえ、一回目見たとき「あれ、思ったよりなにもないもんだね、やっぱこんなもんかー」と納得して心地良く終われるんですが、二回目以降見るとやばい。
いろんなことに気づくたびにどんどんヤバくなります。じわじわと、パンチが内部から効いてくる回でした。
今回はちょっと細かくテーマ分けします。
まずは卒業生4人。次に梓。そしてさわ子。和ちゃん。一番気になっていたあの子。
 

 

ではネタバレ有りなので収納。

ペロペロ(^ω^)
 
 
 

●あえて平常運行●

登校のシーンから始まるんですが、ここ何気ないシーンですがすごいですよね。

どう見ても卒業式の日の格好じゃない。
これを「あ、これ二期の1話だよ」と言っても分からないですよ。
ムギが相当な重量のキーボードを抱えているのはもう恒例として、全くもって卒業式でも平城運行な4人。
どんだけ卒業に興味ないんだ!と言いたくなるところですが実は正反対。
卒業式だからこそ、いつもどおりであろうとしているんですよね。
そして、特に「卒業式だから」を意識しているのは、唯でした。
ここのシーンでは、朝ギー太を触っていたから遅刻した、という理由を言っていましたが、その理由はあとで分かることになります。
彼女達が「いつもどおり」を保っているのは、色々な事を気にいているからです。
色々なことって何か。
そりゃもう、言うまでもなく一番はこれしかありません。
梓の事に決まってます。
 
じゃあ梓のこと以外はどうかというと、やはり彼女たちなりに感慨はあるんですよね。
 
 
卒業生として花をつけられているシーン。
清々しい晴れやかな顔です。ですが、この表情、ものすごく絶妙です。
花をつけてくれる二年生のみんなありがとう。
だから笑顔。でもそれだけじゃない。
ああ、そうか、私たち卒業するんだなあ。
 
卒業の実感ってその瞬間にはあんまりないんですよね。
加えて、終わってからもまた友人達と頻繁にあってたりすると、あれ、なんか変わったっけ?みたいに感じることすらあります。
一人が泣いちゃうとスイッチ入って連鎖的につられ泣きすることもありますが、それを皆がこらえると逆に「ああ、卒業なのか」と不思議な感慨だけで流れていきます。
 
桜高は割と誰かが泣いたら一気に伝染するタイプの学校だと思うんですが(特に唯のクラスは)もう徹底して泣かないんですよね。
それがある意味、一回目に見ると不自然にすら見えるんですが、よーく見ると全員が押さえて押さえて押さえ込んでいるのが分かります。
たとえば、唯の隣の姫子。かなり唯と絡みの多かった目立つ子でした。

ものすごい思いふけってるんですよね。
今までも割と一人で思いふけることの多い子でしたが、今回の表情は格別な深みがありました。
泣くとか泣かないとかじゃない。やっぱり「卒業」は意識してるんですよね。
もう明日からこの教室での日常はないんだな、と。
 
もう一人クラスメイトで気になっていたのはこの子。

全体図。みんな泣いていません。静かすぎて不自然にすら見えます。
しかしアップにしてみると。

春子。
もう破裂寸前なんですよ。
それをぎりぎりで堰き止めてる。この子は割とクラスでもバンバンものを言う子でしたし、感情を存分まで高めて話せる元気のいい子でしたが、その子が今必死にこらえてる。
私が泣いたら、みんな崩れるから。そうしたら折角のサプライズプレゼントが台無しになるから。
 

●泣かない。笑うよ。●

「卒業式で泣かない」という演出は結構特殊だったと思います。
泣いたほうが「らしい」ですし、実際卒業式で泣き崩れる子は多いです。
でも泣かない。なぜ?どうして?
視聴者を泣かせないためかなと思いました。
泣くのは20話でいいんです。
だって卒業式は「終わり」じゃないんですよ。この徹底した考え方が後半に生きてきます。
涙で伝えるのはひとりだけでいい。他の子はがんばれ、今は泣かなくていい。それより今この卒業の瞬間を、一瞬足りとも逃すな。
 
 
原作では澪がちょっとだけ泣いていましたが、耐えてます。すげーこらえてます。
こういう時の澪は強い!
いや、強くなった。
今1年生の時の澪見たらびっくりするよ! 感情が不安定で。まあ「子供っぽかった」。そこがキュートでもあったんですが。
この子は本当に3年生になって変わった。すごく大きく強く、素晴らしい女性になった。「大人」とは言い切れ無いけど、今回澪を泣かせなかったのは英断だったと思います。
でも表情見たら分かりますよね。泣きそうだけど私は泣かない。強い決意のようなものを感じます。
唯とムギは今この瞬間も、いつもどおりに大切にしようと心に刻んでいます。だから笑顔。律は色々な思いが交錯しつつも、みんなを見渡し、さわ子を見つめて、よかったなあと振り返っているような表情です。
そういや、さわ子とりっちゃんはちょっと特別な関係でしたもんね。さわ子、りっちゃんにだけは暴力、というかじゃれつき、ふるえるんですよね。律のめちゃくちゃさは、さわ子の心の支えでもあったんだと思います。
 
しかし、彼女たちだって、感傷や複雑な思いがなかったわけじゃありません。
今回セリフでは全く、一切、それは語られません。
すべて表情で語られます。
たとえばここ。

唯の「卒業式……なんだねえ……」というセリフを聞きながら、ひとりひとりの顔を見ていると、こっちが泣けてきます。でも彼女たちは泣かない。
「卒業だから悲しい」とそんな単純なものじゃないのを彼女たちは理解しているんですよね。
あとでも書きますが、4人は同じ学校にいくことを選択したから別れがないわけじゃないんです。この4人はとじた友人関係を持っているわけじゃなくて、みんなと仲がいい。今回の伝言ゲームを見ても、それは明らかです。特に澪なんて、軽音部の子と和ちゃん以外に話しかけることすらできなかったのに、ほんとクラスの子との仲の深まり方尋常じゃないですよ。ロミオが効いたのかしら。
律の友達だけど、澪の友達じゃない、澪の友達だけど、律の友達じゃない。そんな多様な人間関係の中で生きているのは今までを見直すとわかると思います。クローズドな世界じゃなくて、群像劇の上にあるメインキャラの切り取り、それが「けいおん!!」なんだと思うのです。
だからこそ、確かに軽音部の仲間は特別だけど、それ以外の子達との一旦の区切りは、やっぱり覚悟の上なんでしょう。
唯の「卒業式……なんだねえ……」は「わかってないのを気づいた」んではなくて、かみしめているんだと思います。

だから笑顔!
彼女たちがあるものを隠しているギャグみたいなシーンなんですが、彼女たちが笑顔であふれているのはさわ子を喜ばせるためだ、と考えるとなかなかじわじわ来るものがあります。
 
彼女たちは卒業を「受け取る」側じゃない。
卒業することによって「与える」側になっている。
だから笑顔なんだ。
彼女たちの心を語るには、この唯の表情で十分でしょう。

卒業という現実を目の当たりにした少女の気持ちは、これなんです。
言葉で表現して「悲しい」「淋しい」「嬉しい」「驚いている」とそんな単語で説明できるもんじゃないんですよね。
かと言って彼女たちの気持ちを数多くの言葉で語っても仕方ないですし、じゃあ泣いたらいいのかというとそれも違う。
あらゆる気持ちがつまったこの表情が、彼女たちの気持ちそのものです。
 
この表情を見て、泣きそうになる人もいると思いますし、共感できない人もいると思います。
それでいいと思います。唯は、こうだったんです。
そして唯の中の「自分の卒業式」はこれでおしまい。なんせまだまだやることは山積みだし、卒業してからだってやりたいことは沢山ある。
それよりなにより、大切な、大切な後輩の梓がいる。
止まってなんていられるものか!
 
その2に続く。
 
私の涙は、大切な宝物「けいおん!!」第24話 その2
大切な幼なじみとの、一つの別れ「けいおん!!」第24話 その3
軽音部がみんなにくれたもの「けいおん!!」第24話 その4