たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「COMIC LO」11月号が、とっても「け○おん!」な件。

今月の「LO」ですが、とても「けい○ん!」なネタが二つあったのでご紹介しておきます。
 
一つめはこれ。

唯さんのようななにかはいりましたー!(not唯)
たぶん「へらさわゆい」とかそういう。多分。
これはクジラックス先生の「学祭ぬけて」という作品。
クジラックス先生自体度々今までも様々なネットネタや漫画・アニメネタを盛りこんでパロディにしている作家さんなので、こういうカットがあっても全然おかしくないんですが、それよりもこのシーンとこの絵のすれ違いっぷりが面白い。
だらしなくて自称「キモ」かった彼らが、なんとか「女の子と仲良くなるんだ!」と決意しているシーンなんですが、ルックスをよくしたのはよしとしても女の子と仲良くなるために「けいお○!」の模写をするのはあんまり関係ない気がします。
まあそこで笑い飛ばすのもこの作品としてはありなんですが、……あ、この話は後でしましょう。長くなりそう。
 
もう一点クジラックス先生の次のコマなんですが。

えっ!?
ひょっとして……あのネタ?!
いやいや、発売と締切りのタイミングを考えるとそれはないか……放送されて一週間で印刷していることになるし……。いやでもあまりにもドンピシャ過ぎて、仮にネタじゃないとしたら予言ではないだろうか。
実はよくよく見ると彼女の着けている髪留めはフレッシュプリキュアのマークだったりするのもミソです。
彼女がネコミミつけているのも「○いおん!」ネタですね。
 
二つめはこれ。

ギー○! ギ○太(のようななにか)じゃないか!
これはEB110SS先生の「六弦と六十万と私」という作品。
まあギブソンレスポールを見るだけで「けいおん○」を思い出すのは反射みたいなものなんで一概には言えないのですが、「このギターを手に入れるためにお金が必要」というネタ自体がほぼ確信犯的だと思います。「憧れの人と同じギター」というセリフがなにやら意味深。
ちなみに書かれている文字は

CIBSON
Lespawl 1958
\600,000

某唯さんの持っていたギブソンレスポールは25万でしたが、最近のモデルだとそのくらい(20万前後)。
なんで1958年かというと、ここから塗装がサンバーストカラー(唯が使っている色)になるから。58年モデル=最も古いサンバーストモデルで、色が一番くすんでいるため「かっこいい」という理由もあって高いです。
また57年からピックアップがハムバッカー(コイルを二つ並べたもの)になっているため、58年モデルは大きな転換点。
詳しくはわからないのですが、58年モデルは特に音がいいと評判で、ヴィンテージものだととんでもなくえらい高い額もつくそうです。状態によっては本物のヴィンテージは一千万するとか。
多分元ネタこれじゃないかなあ。
Gibson (ギブソン) Custom Shop Historic Collection 1959 Les Paul Standard VOS Hard Rock Maple Ice Tea SN/9 0805
1959年ものの再現版ですが。
まあもしかしたら! 「あこがれの人」というのがレッド・ツェッペリンジミー・ペイジで、だから58年モデルのレスポールに憧れているというのも面白いんですが! そんなJSもいいですな。
 

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さてはて、ちょっとクジラックス先生の作品について書きたいと思います。
この作品自体は「3人の大学生が一人の少女とえっちをする」という、割と設定だけ聞くと「こらこら」な感じの、痛い話になりがちな設定なんですが、クジラックス先生ってこのへんの機微がものすごい丁寧。
とにかく徹底して「弱き者」に手を差し伸べる作家さんなんですよね。
だからエロいなあと思いつつ泣きそうになります。
例えば上の「女の子と仲良くなるんだ!」といって唯さんの絵を描くのって、とんちんかんじゃないですか。それちゃうよって。
でもいいんですよこれなんですよ。
ぼくらはオタクだ、見た目はきれいにしたけど、あと頑張るのは、これしかないんだって。
本当に好きなものに打ち込むしかないんだって。
この滑稽とも言える弱さを大学生の3人が持っていることで、物語の方向性が鬼畜に全く向かいません。
 
また、この少女がすごい重たいんですよ。

ここだけ見ると「ちょっとオタク的なことに興味のあるかわいい女の子」。
この子がえっちなことをされると考えるとドキワクしてしまいますが、ここからがクジラックス先生流、他にないクジラックス先生の描き方なんです。
彼女ものすごく強がって、こうやって饒舌で「ヒキますよねー」なんて大学生男子に言えちゃうんです。ちょっと垢抜けて、ませている感じするじゃないですか。
違うんだよ!

同級生の女の子が来たとき、彼女はガタガタと震え上がります。
学祭に来て、知らないお兄さん達とはワイワイ仲良くやっていたのに、クラスメイトの女の子が怖いんです。
ここについての説明はありませんが……いらないですよね。そうなんです、そういう子なんです。
 
嫌われていて、格好をつけて女の子と仲良くなろうとしてもオタクとして頑張るしか出来ない!と必死になる大学生3人。
同級生が怖くて、一人ぼっちで落ち込んでいた少女。

傷の舐め合い、かもしれません。都合がいいかもしれません。
でもいいんじゃないかな、エロ漫画だもん。
それよりもエロ漫画という媒体で、徹底的に、心弱き者を描くクジラックス先生の姿勢に恐れ入る。
だってね、泣くんだよ男たち。

「天使に出会ったんだ」
「……」
「大げさじゃない!本当にうれしかったんだ!女の子と……こんなに仲良くなれたの……初めてで……もっともっと仲良くなりたいと思った……。……そして僕たちは男子なので、こんなことをしたくなってしまうのですけど……」

この言い訳がましさまでひっくるめて、男たちがもう情けなくて必死で、だから愛しいんだなあ。
えっちなことをしながら「俺達、本当に出会えてよかった……!」と少女を慈しむ姿は非常に不思議な感覚であふれています。都合のいい少女像にも見えるんですが、少女がまた孤独で、人のぬくもりを求めていることがフックになっています。傷の舐め合いでいいじゃないかと。
二次元の世界の中でくらい、ね。
便所飯を、笑うな。「がんばれ便所飯くん」

いないんだ…一緒に食べる友達が…
高校入ったら…今度こそうまくやろうって思ってたんだけど…
気づいたら…トイレで食べてた…
(「がんばれ便所飯くん」より)

弱いから「がんばれ!」というのはもっともだけど、越えられない壁もある。癒して欲しい、助けて欲しい!と必死に手を伸ばす。
クジラックス先生の作品は「解答」ではないですが、弱さを知っている人に対しての大きなエールになる作品だと思います。