たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「木造迷宮」のヤイさんを無理やり押し倒せる日本男児なんていない。それがヤイさんなんだ!

木造迷宮」の帯にはいつもこんな言葉が書かれています。
「萌え」
4巻だと「女中さんは日本の萌え文化です☆」とか書かれております。三巻は「メイド萌えの新ジャンルだワン♪」
 
「萌え」って言葉推し過ぎだよ! 逆に今使わないよ!
なんて思ってたんですが、逆に考えてみました。
ヤイさんこそが「萌え」という語に眠る色々な思いの権化なのではないか。
ポイントは「見た目」「距離感」の二点です。
日本人が持っている「ワビサビ萌え」の世界を体現しようとしているのではなかろうか!のう。
 

●裸足へのときめきと性欲●

一つ先に言っておきます。
ヒロインのヤイさんに性欲を抱かないのか?と言われたら、そりゃあもう噴き出すほどに抱きますよ。
だーってさー
木造迷宮 4 (リュウコミックス)
見てくださいよこの表紙のヤイさんの裸足!
すごく細くて、柔らかそうで、骨付きは女性らしくて……しかし間違いなく働く人のしっかりと地面を踏みしめる力強く、生きる色気にあふれる裸足。
本当にね……このマンガは裸足が好きな人は読んでおかないと一生損をするレベルの裸足フェチマンガでもあります。
作者のアサミ・マート先生も間違いなく裸足へのこだわりはあると思います。
日本女性の裸足の美しさを「木造迷宮」に見る!

一巻より。歩くことを知るよい裸足。
とにかく裸足裸足裸足。
他の人が靴とか靴下履いていてもヤイさんだけは裸足。
なんて素晴らしいこだわりなんだろう……。
 
これに対して性欲を抱くかというと、当然抱くんですよね。

これは「リュウH」という、コミックリュウが突然血迷ってだしたエッチ度200%アップの「ちょっとエッチなコミックリュウ」小冊子に掲載された番外編から。ちなみに描いていたメンツはいけ先生、ナヲコ先生、天蓬元帥先生、アサミ・マート先生、なるほど納得。ありがたいことに4巻に収録されています。
で、この「ちょっとえっち」でどこを描いたかというと、アサミ・マート先生徹底的に裸足責めなんですよ。
とことんまで裸足のエロスを追求。露出度は激低いのになんだろうこのエロティシズム!
 
このヤイさんに対して「エロい!」と感じるのは間違ってないと思います。だってそう描かれているんだもの。
これ以外のシーンを見ても、ヤイさんは「かわいい存在」「女性らしさの象徴」として描かれているのは1巻の時点からすぐ見て取れると思います。
それにしてもこんなくてくてのヤイさんと二人きりの生活とか、正直思わず襲いかかってしまいたくなりませんか? ルパンダイブしたくなるじゃないですか。
でも、できないのです。
 
例えばこんなシーンもあります。

女学生コスプレをするヤイさん!
というかとある理由でたまたま学校にいくことになった、全然学生じゃない年齢のヤイさん。
にしてもこの天然な照れっぷり+裸足。なにこれ、天使!?
もーかわいくてかわいくて、そのまま押し倒したいくらいなんです。この彼女に「やーかわいいねー」なんて言ってられないですよ。

実際、大興奮するダンナさん。
決して女性に興味がないわけじゃないのよね。
でもわかる、わかるよ。傍から見ていたら「ヤイさん押し倒してペロペロ(^ω^)したい!」とか思いますが、自分がダンナさんだったら絶対できないもん。
ここがいわゆる「女性」を体現した見た目の萌え。
 

●神聖にして不可侵な女性像●

ヤイさんは本当に無防備です。
多分大の大人がねじ伏せたらあっというまに押し倒せるでしょうし、そうじゃなくてもふとももくらいなら割とちらちら見えます。
3巻の行水のシーンなんて簡単に覗けそうでしたしね。
しかも簡単にだませそうです、おそろしいほどに。
ところがこの「木造迷宮」という作品のキモの一つに、ヤイさんが絶対的に不可侵な少女として描かれているという部分があります。
詳しい年齢は描かれていませんが、最低限中学生以上の様子。しかし「少女」として語られる年齢は超えているようです。
 
しかし誰よりも少女なのがヤイさん。
ダンナさんが純粋でいい人だから、というのももちろんあるのですが、そうではなくてもヤイさんの周りに集まる男たちは皆、一様にヤイさんを絶対軸のようにして回り始めます。ここがこの作品の面白いところ。
たとえば学校にたまたま行くシーン。

周囲の子は自分より間違いなく年下なのに、ヤイさんの方が幼く見えるというのがいいですな!
純朴さ、素直さ、学校経験ゼロであることのギャップなどがそう見せている面白いシーンです。
とはいえ仕事をこなす力や、人生の経験値では上のヤイさん。

彼女がこのようにせっせと働けば。

男たちはこの有様!
わかる、わかるよ!
ヤイさんだとなぜか、ね! 不思議と、ね!
 
ヤイさんは殆どの人から見て「かわいい子」です。
このへんは多少主観的なものも入っていると思います。みんなが「かわいい」と思っているから、かわいく描かれている部分です。
特に学校編での幼さは、普段のヤイさんより遥かに子供っぽく描かれています。年齢不肖ではありますが中学生よりオトナにはとても見えない。
その「かわいさ」を、男女とも全ての人が「守りたい!」と感じる設定になっているんですよね。
 
ヤイさん自身一生懸命で必死に生きているので、人の心をひきつける魅力がある、というのも間違いありません。
それに加えて、かわいくて、色っぽくて、性欲もかきたてるけれども、絶対触れてはいけない壁も持っている聖女のような存在になっています。
この聖女性こそが、ヤイさんというキャラクターの味だと考えると、性欲も抱くしときめきもあるけど、真剣に好きになってしまう「萌え」の思いって、ヤイさんに対して他のキャラが抱く感情と似ている気がするのです。
みんなに愛されて、時にドキドキしちゃうけどては出してはならない。なんか初恋みたいですね。

雇い主雇われ人以上、恋人未満。
まーダンナさんがヘタレじゃなくても、告白はしないだろうなーと感じさせるのは木造の迷宮の魔術でしょうか。
少なくとも自分なら出来んなあー。ほんとすぐ側で、ちょっと頑張れば今にでも恋仲になりそうなのにならないんですよね。かといってそれがもどかしいかというとそうでもない不思議な関係です。
 
もっとも。

こうやってはしゃぐかわいらしいヤイさんに対して。

できるだけのことをしてあげたい、なんて思っちゃうのは読者の思いの反映。
ダンナさんに思い入れができるかどうかはともかくとしても、この距離感が心地いいというのは本作にはあります。
ぶっちゃけ、ダンナさんとヤイさんがこのまま年をとっておじいちゃんとおばあちゃんになっても幸せなんじゃないの?とすら思えてしまう。
実際幸せだと思う。
なるほど、そこにときめく感情が「萌え」なんだな!
 

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「ヤイさんに萌える」じゃなくて「ヤイさんから萌えを考える」になりましたが、性欲を否定せず、慈しみたいという思いは、まるで草木の芽生えのように萌え出るものだとも思います。自然生まれる感情です。
いいじゃないか。
 

 
別館も最高に面白いです。同人誌で描かれていたシリーズで、ヤイさんと正反対の性格の女中の百目さんがステキにかっこいい。こっちも惚れます。
でもヤイさん派かなー。
 
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