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恋をしろ、オーバードライブのスイッチを入れろ!「ハレルヤオーバードライブ!」は全力疾走中!

「けいおん!」の次は「重音!?」 ヘヴィメタルで『ハレルヤオーバードライブ!』(エキサイトレビュー) - エキサイトニュース
 

 
エキサイトニュース書かせていただきました。
ほんともうね……「ハレルヤオーバードライブ!」好きでしょうがないんですよ。
こんなに読み終わった後、血がざわめくなんて最高の体験。最高に脳みそオーバードライブしてくれる作品です。
リンク先では作品そのものの紹介を描いていますが、今回はちょっとベースのタンポポにスポットを当てながら「音楽を演る喜び」について書いてみたいと思います。
 

●君は知っているか、音を合わせるあの快感を。●

ちっちゃくてすげードラム叩くハルさんにベタぼれだった自分なんですが、2〜3巻のタンポポプッシュっぷりにはほんと、ころっと参りそうです。かわいいってのもあるんですが、それよりこの子、音楽の楽しさそのものを体現しているような子なんですよね。
そんなん惚れてまうやろ。
 
一人での演奏もとてもいいものですが、人と音合わせるって最高に面白いんですよ。
上手い下手とか関係ない。「演りたいかどうか」。
自分の音と、相手の音が、混じり合って曲になる快感は何者にも代えがたいものがあります。演奏経験者なら絶対納得してくれるはず。絶対。
あるいは演奏経験なくてもいい。拍手、コーラス、掛け声。ひとつの「音楽」をつくるためにみんなが一体となる感覚は「最高」なんてもんじゃない、「至福」ですよ。


もうこのコマ見ただけで涙がぶわーって。ぶわーって。
はじめてタンポポが音合わせしたシーンです。
そうなのよ、怖いの。おっかないの!
もう手なんてブルブル震えてミス連発するし、脚はガタガタ震えるし、失敗したらどうしようとか、走っちゃったらどうしようとか、不安も横切っていわば崖っぷち状態ですよ。
でもね、でもね、でもね!
やりたいんだよ!
 
タンポポのパートはベース。
ベースは一人で演奏していても面白い楽器ではありますが、真価は数人でバンドを組んだ時に発揮される楽器です。
ドラムと一緒に曲そのもののリズムづくりをする役割であり、かつギターと一緒にメロディラインを押さえる基盤でもある。ベースがいなければ成り立たないと言ってもいい。

家で例えりゃドラムが「土台」、ギターが「装飾」。ベースは全部をつなぐ「柱」なんだ。

作中に出てくるセリフですが、まさにその通り。ただの低音じゃないのよ。弦の少ないギターじゃないのよ。
 
だからこそ、誰かと演奏したいんですよ。誰かと音を重ねてシンクロしたいんですよ。
自分はベース経験はちょびっとしかないんですが、演奏しているときに自分が形を保っているんだというのを実感するあの感覚は、非常に貴重な体験でした。ベースやりたいって人が今多いそうですが、それ「けいおん!」のせいだけじゃないよ、すげー分かるよ、楽しいもんベース。たしかにギターより目立たないけど、タンポポの叫びのとおりですよ。
やりたかったぜ!! バンド!!

これは一年生時のタンポポなので、まだ演奏は下手くそです。勢いとテンションだけで全然うまくはありません。
でも見てよ、この顔!
演奏しているとき、こんな顔できたら最高でしょう。
こんな顔、できるんだよ、音楽ってさ。
 
タンポポのやりたいのはパンク。「メタルりかちゃん」(作中のバンド)のやっているのはヘヴィメタル
言ってみれば全然正反対のベクトルなんです。むしろ仲が悪いことすらもあります。音楽性の違いってやつです。
でもタンポポ、このバンドに入るんですよね。

パンキッシュガール、ツンデレ入りました。
一巻の時不思議だったんですよ、なんでパンク少女がメタルやってるの?って。
なるほど、音楽性の違いは今もあるんでしょう、でもそれを超越する何か……そう、「演奏したい」が上回ったからタンポポはこのバンドにいる。
十分じゃないか。それ以上の理由なんていらないじゃないか。
いいぞ、もっと演れ!
ああもう、かわいいなあ!!!
 

●そもそも音楽ってなによ?●


「ハレルヤ」はコマ割り上手いんですよねえ……。物語と魅せ方が巧み。
まあこのへんの話はまた別の機会として、このページをちょっと見てください。
かっこ悪くて音もイマイチなギター。ただし初めて買った思い出の詰まったギター。
かっこ良くて音もバッチリなギター。ただし触ったことは一度もない。
さあ、どっちを選ぶ??
 
まあ、正しい演奏者なら音のよいギターを選びますよね。
弘法筆を選ばず、は天才になってからの話。筆は選ばないといけません。特にギターはちょっとしたことで音が変わるのでそのへん非常にデリケート。なんでもいいから鳴ればいい、では人前で聞かせる演奏できません。
ただ、このハルさんの表情、小雨の顔、コマ割りから、もう何を言いたいかはわかりますよね。
 
音楽にとって大事なのはもちろん、技術です。
「下手でもいい」というのも事実です。やらないよりやった方がいい。踏み出さないより踏み出そう。
しかし誰かに聞かせる時、ある程度の技術は必要です。お客さんが時間を取って聴きに来てくれているんですから、楽しませなければエンターディナーとしては失格。
だから練習をします。だから必死に頑張ります。
けれども、技術と上手さだけにこだわっていると、どこかで行き詰まる瞬間が来てしまいます。
 
なぜハルさんはこんなことを言ったのか?
小雨は何にこだわっているのか?
それがこの作品のテーマになります。
音楽って何? バンドって何故楽しいの?
 

小雨はハルさんにこう言いました。
音楽が好き、という人はもちろん純粋に好きなのもあるでしょう。
しかしそうではなくても人を揺さぶる曲というのは存在します。
聞いた音楽が、その時の気持ちを思い出させる。
聞いた音楽が、自分の感情を代弁してくれる。
聞いた音楽が、苦しみから救ってくれる。感情を高ぶらせてくれる。
それが、この作品にある音楽。
 

●一緒にやる苦しみ●

「メタルりかちゃん」はウルテクバンドです。バリバリのヘヴィメタルです。
音の津波そのものが痛快なバンドです。この音圧の描き方は漫画を見て確かめてください、ビリビリきます。
しかしドラムのハルさんは、ラブラブアタックで迫る小雨をバンドに入れないんです。突っぱねるんです。
なぜならそれは小雨の音を聞きたいから。一緒に演じるのもいいけど、別々になることで見えるものがある。

小雨バンドはNirvanaなんかをやる、メタルから離れたバンド。そこで生まれる音を、本作は雨として描いています。
小雨は決してまだうまくありません。プロも目指していません。しかし「恋」というオーバードライブがかかることで、雨を生み出すんです。
 
音楽において、感情は欠かせない物……いや、最重要要素かもしれません。ジャンルにもよりますけどね。
少なくとも、小雨にとって音楽は「ハルさんへの恋」の表現です。いいね、若いね、青いね。でもいいよ、すごくいい。
ハルさんも薄々自分の中に芽生えてきている感情には気づいていて、困惑しはじめています。

ハルさん……結婚してください。
いやでもタンポポもかわいいし……わあああ。
またね、ハルさんしゃべりかたいいんですよ。「ボクは器がでかいからいーの!!」「ほんとかよー」「もーボクの方がお姉さんなんだから」「バカー!!すねてなんかねーよー!!」
このちょっと背伸びしている感がいいですね! くっそうかわいいなあかわいいなあ。
 
さて、ハルさんと小雨の間の複雑な感情、とても安心してみていられます。なぜなら二人のバンドが別だからです。
成就しても大丈夫だね、と見ていられるんです。(ハルさんは一点ひっかかってる部分あるけど、ね。)
しかし、二人ほどそうではない人間がいます。タンポポと麗です。

バンド内恋愛は、本当に色々なものをボロボロにします。
かつて自分がいたバンドでも、他のパート二人が付き合ってガタガタになりました。よくある話です。……ってわりきれないよ!思い出したくもない!
タンポポはある人が好きです。しかし分かっているから、言えないのです。
言えないから、ただ今はその人の役に立ちたくて必死に音楽を頑張ります。
 
麗はそういう意味で茨の道に踏み込んでしまいました。
大好きな小雨と一緒にいたい。少しでも近づきたい。だからバンドを組んで役に立ちたい。そう思ってベースを握りました。
しかしここで自らの恋を打ち明けたら、感情を顕にしたら、音はめちゃくちゃになってしまう。
それは単に脚を引っ張るだけの行為。
じゃあ麗の選択は間違いだったのか? そんなことはありません。
ただ、苦しみは味わうでしょう。けれども道がひらけないことはない。
どんな形になるかわからないけれども。
「恋愛ってめんどくせーな」by タンポポ
そうだろうね。めんどくさいよ。この漫画だって、誰かの恋が実れば誰かの恋が実らない。みんなハッピーとはいかない。
だけど、恋が音楽にオーバードライブかけるのなら。
その音、もっと魅せてくれよと願う。
 

 
でかい音を打ち鳴らす、あの女の子が大好きだから!「ハレルヤオーバードライブ」
「ハレルヤオーバードライブ」のツンデレベーシスト、たんぽぽさんが可愛すぎて大変だ。
 
本当に音楽が好きなんだなあというのが、楽器を持った少年少女が好きなんだなあというのがビリビリ伝わるいい漫画です。
この漫画好きすぎてTAMA Rhythmic FIreを自分も買って使い始めたミーハーなぼくなのですが、このスティック……重いのな……。ハルさんパねえっす。
ちなみに使っているベースは、初代が7万から5万くらいに値下げされていたアリアプロ2、今は8万くらいのフェンダージャズベースです。音はフェンダージャズベースの方が安定していて、アリアプロ2の方は管理状態が悪かったせいもあってネックがそっちゃって音歪んでいるのですが、それでも捨てられない、売れない。なんだかんだで最初にお金溜めて買った楽器って手放せないんですよねえ。