たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「俺妹」の京介の独占欲を愛情と取るかどうかの話

超よもやまな話です。メモかわりに。
ネタバレは避けつつです。
 


俺妹マンガ三巻と原作7巻を読んだわけですが。
(マンガ三巻は夏コミ初体験のあたり)
結局この作品のキモになるのは京介の独占欲なんだよなあとしみじみ感じつつある今日この頃。
 
独占欲というと響き悪いんですよね。なんて言えばいいんだろう。
別に彼はハーレムを望んでいるわけじゃあないわけですよ。
桐乃への彼の感情は、極めてストレートな「兄から見たら妹ってムカつくけどやっぱり妹なんだよコンチクショー」でしょう。まあこのへんは境界線を引けないので、桐乃の感情と京介の感情を言葉で説明できないのが今作のでかい部分ですよね。
うまいなあーと思うのは、やっぱり桐乃は「ムカつくキャラ」として描かれてい続けていること。作者自ら桐乃はすきじゃないと言うほどの割り切りっぷり。でもそのくらいじゃないとあの鬼気迫る桐乃の描写は出てこないですわな。
京介は桐乃についてたしかにムカついているけれども、めちゃめちゃ好きでいないと寂しいと感じているのは読んで分かるとおり。
妹バカだねえほんとに。
伏見つかさ先生は、このあたりで「京介そのもの」なんだなーと。
 
で、もう一つは麻奈実。最近超放置されてますが、放置されていることを麻奈実怒っているし、京介が気づかないものとして描かれているので本当に視界に入らない。麻奈実派としてもう落ち着かんわけですが!
アニメでもマンガでも描かれましたが、京介が麻奈実といて安心できる、というのは本当なんですよね。しかも性的な意味で好奇心いだいているのもまた本当なんですよね(AVの趣味が!)
しかし彼は、麻奈実に言い寄る人がいたらいやだといいます。
大人から見たら「キープするのか!」となりますが、最近ちょっと違うのかな?と感じ始めてきました。
そもそも高校生の彼が麻奈実に感じている物って、恋愛じゃないんだなあと。性欲はあるけど。
 

                                                                                                                                          • -

 
結局桐乃と麻奈実についての「いてくれないと寂しい」というのは、子供のそれと同じなんだなあと。
どうしても桐乃への態度が非常に寛容でかっこいいため、すごく男前なキャラに見えますが、一番子供のように純粋なキャラなんじゃないかと思い始めました。
桐乃がそばにいてくれないと寂しい。これはもう妹だからそのまんま。寂しいんですよ。
麻奈実に離れられたら寂しい。これも常に一緒にいた幼なじみがいなくなる変化が怖い。寂しいんですよ。
 
彼が桐乃と麻奈実への「恋愛」を拒絶するのも(まあ桐乃は妹ですが)、今の状態からの変化を恐れているからなのかな?と。
特に麻奈実に対してはキープとかいう意識ないんでしょうね。実質キープになっちゃってるし、扱いもあんまりなんですが、子どもが友達に邪険にされたり、友達に新しい友だちができたらすごく不安になるのと同じ。麻奈実とは永遠にこのままの距離感だと思い込んでいて、変化を恐れているんだと思います。だから恋人にもならない、かといって離れるのもいやがる。
それが「幼い」といえばそうなんですが、考えてみりゃ高校生です、そらまだ幼いですわ。
 

                                                                                                                                          • -

 
そこにカウンターで入ってくるのがあやせと黒猫。
コミケ会場での、桐乃が黒猫をいじめていたときの黒猫への行動(結構えぐいシーンなのでアニメではカットされていた)、あれがいわば彼にとっての「変化」の最初だったのかもしれません。
誰にでも比較的親切なの「お兄さん」役回りをになっているので、ちょっとヒーローっぽくも見えますが、その実そうでもないのは上に書いたとおり。
 
彼は桐乃や黒猫を間違いなく救ってはいるよ、いるともさ。
彼女たちを守りたいと心のそこから思って。
だけど、視点をひっくり返してみたら「自分がそうありたいから」だったとも考えられます。
桐乃はいつもそばにいる妹でいて欲しい。
麻奈実もいつも横にいる幼なじみであって欲しい。
黒猫は自分のテリトリーに入ってきて震えている子犬のような存在だから助けてあげたい。
あやせは自分のことをひどく言うけれども、そこまでワンセットでの関係が築けているのを分かっている。
この今の状態がもう、彼にとってものすごくいい環境だとしたら。
実はこの「俺妹」という物語は、桐乃を守る兄の話ではなく、兄が自分を認め、変化したくないと願う枠が揺れ動く作品なのだとしたら。
 
だとしたら、彼の独占欲に近い感情も肯定的な「愛情」なのではないかと感じられます。
どうしても「恋愛」視点でとらわれてしまうので、特に麻奈実への行動なんかはどうよとか正直感じますが、自分を出さないで生きてきた京介がワガママを言えたのかもしれません。
まあ、なんだ、ちょっとでいいからフォローは入れてくれよ・・・!
 

                                                                                                                                          • -

 
原作も3巻くらいまでは「京介△」な話だなーと思ってたんですが、最近の不穏というか変態的ですらある彼の崩れっぷりと、楽しそうにイキイキしている様を見ていると、なるほど桐乃の成長物語であると同時にやっぱり、京介が自分を開いていく話なのかなとも。
マイラブリーエンジェルあやせたん、とか言ってる京介は正直アレですが、素直に「大切なものを大切と言える」という段階にさしかかったばっかりなのかもしれません。
ある意味、相手を優先して押さえ込んでいた自分ではなく、自分の気持ちの表明。
 
と、なると。
今は「自分の気持ち」と「相手の気持ち」の折衷点をさがしている段階。
8巻以降大きくそのへん動くことは確実でしょうから、楽しみです。
ここがちぐはぐだからこそ、面白いんですよねえ。
ギャルゲー的な設定に見えて、実はその前段階の、気持ちの解放を描いた作品なのかなあ、とか考えていました。
家族や世界が大好きで自分と一体化している子供が、色々な刺激によって少しずつ人間同士の距離感を理解して「自分の一部」として好いている段階から、「他人」として好きになっていく、そんな話。
 

                                                                                                                                          • -

 
まあここまで書いたのは、ぶっちゃけ麻奈実が不憫でならないからなんですがー。自分を納得させるためだったり。
自分の友人には麻奈実好きがめちゃくちゃ多いんですが、それは「結構大人になって年いってる人多くね?」って話を友人としていて納得、たしかに比較的。
年取るほどに幼なじみが恋しくなるんかなー?