たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

女の子になったら、のドキドキを詰め込んで!TS漫画「めぐみるく」がワクワクわーい!

めぐ(はーとまーく)みるく (1) (角川コミックス・エース 118-15)
良質TSものゲット!
あ、念のため説明すると、「TSもの」というのは「トランスセクシャル」もの、性転換ものです。
 
で、TSモノって色々なバリエーションがあるんですが、完全に体が変化する性転換型(らんまとか)や、入れ替わり型(僕と彼女の×××とか)、憑依型等々……細かく見ていくときりがないほど。
で、自分が好きなのはやっぱり「えー!女の子になっちゃったよー!」という、心は男・体は女、というタイプ。
なぜかってらんまだよ、らんまのせいだよ! らんまだいすき。
で、この「めぐみるく」はまさにそれなんですよ、「えー!女の子になっちゃったよー!」型。
(今回「で」を多用します、そんな気分なので)
TS物を描く作家さんって、もう本当にTSが好きで好きで好きで、欲望の丈を詰め込んで描いている作家さんが多いのですが、この作家さんもまさにそのタイプです。
いやあ、明確に「女の子になった男の子を描きたい」という熱風は感じた!
 

●「俺は男だ!」と言って欲しい。●

肉体変化型TSもの(「体が女の子になっちゃった」物)のよさってこのへんだと思うんですよ。

・体が女の子になっても男の心が付いていかない。
・女の子になったことに羞恥心を覚える。
・知人の少年が女の子になった主人公にときめく。

最初から女の子っぽい性格だった「かしまし」のはずむくんなんかは、近いですがこういうのとしては特殊かもですね。
もっとストレートに「俺は男だ!」って言って欲しいんですよ、女の子の体で。
 
で、この「めぐみるく」で一番いいなあーと思ったのはこのシーンです。

もう周りの人たちに制服着せられたりフリッフリの衣装にさせられたり、髪の毛に普通つけないようなうさちゃんつけたりともういじられ放題。そりゃ……うん、わかる、わかるよ。
だけどですね、下着は男性物のボクサーパンツなんですよ。
最後の最後の部分で拒絶してる!
これこれ! この「俺は男だ!」感を女の子状態で出しているのがいいんだ!
 

お母さんにいじられまくっているシーン。この赤面がいいですよね。
これはもちろん、「俺男なのになんでこんなことに!」という赤面です。
で、ここまでされておいて「ブラはつけない」「下着は男物」という抵抗がいいんですよ。
自分がこんな状況におかれたら間違いなくニヤニヤしながら女性物の下着をつけるでしょうが、漫画で見る分にはちょいと抵抗して欲しい。
男女の性のボーダーが曖昧な状態だからこそ、妙に普段より「性」を意識する。これこそTSの醍醐味!
 

●シナシナシナ……●

で、抵抗し続けてしまくって、「俺は男だ!」主張を繰り返し続けるのが楽しいところではあるんですが、そこから時間や環境の流れで変化していくところがいいんですよー。
例えばこんなシーン。

TS物といえばランジェリー選びのシーン! もう必須事項みたいですね。
そう、男性にとって最大の壁は女装(まあ体が女なのでもう女装じゃないけど)じゃなくて下着。上にも書いたように、最後の抵抗部分でもあります。砦?
なにげに「男の子だからおっぱいを隠さないサービス」カットにもなっているという仕組みなんですが。このコマでも乳首浮いてますし。
しかし、意図的に女性になったのならランジェリーはむしろ着けたいでしょうけれども、反意図的になった場合ここで抵抗するのはとても良く分かります。心は男だ!というのを形で分かりやすく見せるのってやっぱり衣装。そしてランジェリー。
なんでしょう、男の子としては「ランジェリー」という響き自体がこう、照れくさいのです。
 
しかし、このあとラッキースケベタイム……っつうか女の子同士でワイワイやってるだけなんですが、それがあまりにも刺激的でこんな状態になってしまうんだからもうもう。

男の子の困惑を女の子スタイルで表現すると、女の子よりも「絵に描いたような女の子」になるの法則に則っています。適当に決めた法則ですが。
左のコマで「ギャップ萌え」と言っていますが、そう、そこなんですよ!
男っぽい女の子(というか中身男の女の子)が、ふと見せた変化ってのはなかなか強烈。実際同じことを男の子がやっても対して変わらないのですが、外部から見たら強烈な変化なのをしかと押さえておられる。
うむ、すばらしい。
 
この作品、「女の子は特別」という感性で描かれている作品だと思います。
女の子キャラはみんなかわいらしい衣装です。キラキラしています。リボンとかひらひらです。
特別じゃないとだめなんです。だって、少年が変わるのは「特別」なものなんですから。
 

●俺の親友がこんなに可愛いわけがない●

で、上にもあげた三つ目の項目、「・知人の少年が女の子になった主人公にときめく。」に関してもこの作品抜かりがありません。
とにかく主人公は男の子の気持ちでいるので、自分が女の子の姿である意識が全然ないんです。だけれども、親友からしてみたらやっぱり見た目「女の子」であることには変わりなくて、意識しないわけにはいきません。

生殺し状態!
このシチュエーション、頬に当たる太ももと肩にのるおしりと後頭部の……思春期の少年にはハードコア!
現時点では特にこの親友の少年と主人公の間に恋愛関係は無いんですが(どうかな?)、今後お互いが意識し始めたら正式カップルにもなれるわけですよ。
性転換もので、性転換した元男の子現女の子って、友達からしたら本当に美味しすぎるんですよね。
最初は「恋愛とかないない!」と思うかもですが、お互いの気持をよくわかっていて、しかも男の気持ちが理解できて、思春期特有の女性への壁を感じずに接することが出来る。
そりゃもう、据え膳過ぎですよ。しかも相手は無防備ときたもんだ。

このコマ見たとき最初は「ねーよ!」とか思いましたが、考えてみたら自分が女の子になったら、それがたとえいやだったとしてもおっぱいがあるならば「見て見て!おっぱいさわってみる?」とか友人に言いそう。
主人公側は男だという意識があるので、下着でも気にしませんし、まさか友人が自分に欲情するなんて思ってないから冗談の範疇。
とはいえそうはいかない。友人側、マジ生殺し。ちょう生殺し。いっそ殺すか活かすかどっちかにして状態。
ここらへんのラブコメ感がTSものの面白さだなあーと感じます。
 

●選択肢●

で、この作品の面白いところは「キスすれば男女スイッチングできる」ということなんです。
らんまより便利ですね。あっちはお風呂入るか水浴びるかで強制的に性転換しちゃいますが、キスなんて意図的にしないとそうそうできませんし。
しかもですよ。

Hをしたらその時の性に固定される。
ちょう便利じゃね!?
つまり、好きなときに切り替えができて、好きなときに最終的な性を選べる。
これ理想中の理想じゃあないですか。
まあ、それが出来ない純情少年だからこそ物語は面白いんですが、ここまで自由に選べるというのはユニークです。
性の選択といえば「シムーン」を思い出しますが、重たくなく、すかーっとライト。
これうらやましいなあ……と思った時点で負けですかそうですか。
 
性の選択をテーマにした作品だと、エロマンガですが幾夜大黒堂先生の「境目のない世界」があります。これは時間をかけて変化していくのが面白い。
ほんとのこといえば、性の境界線なんてなくてもいいんですよね。中性だっていいじゃないと。だけれどもTSは性を選択する、性が変わる、ということで逆に「性とはなにか」を激しく強調します。
この作品はエロコメタッチでその部分をしっかり理解して描いているのが面白いです。男の子モードでヒロインの子とエッチすれば万事OKなのですが、最後の最後で親友とくっつくルート分岐も出てきているのでこりゃわからんぞと……。
 
TS物を読むと股間のみならず体全体がぞわぞわするんですが、今回も楽しませていただきました。
個人的には親友の男の子と主人公女の子バージョンでのワイワイが見ていて心地いいんですが、さてどちらに転ぶことやら。
 

日下先生のこの前の作品が男の娘物なんだから、いやあ、描きたいものをがっちり描いてくれているなあとニヤニヤです。