たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「百合姫」と「つぼみ」、百合漫画の二大巨頭、がんばれ!(エール!)

 

「つぼみ」9巻読んだー!
キーワードはラップ。吉富昭仁先生は奇才じゃのう。
にしても東山翔先生参戦とか!
芳文社はどこからどうやって、こんなツボな作家さんを引っ張ってきているんだろう。
 

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で、「百合姫」のリニューアルバージョンも買ってきました。

ガラっとかわったなあ! イメージが全然違います。
 
百合姫」は「百合姉妹」時代から見ても本当にフロンティアスピリッツを持ちつつ迷走と困難を歩んできている雑誌だなーと感じている今日この頃。
最初期は本当に「百合ってなんぞ」の頃、「マリみて」のイメージに引っ張られていた頃なので、何らかの形でぶっちぎって開拓しなければいつまでたっても曖昧なまま、そんな状態でした。今思うと、「マリみては百合じゃない」という見方もできるようになりましたしね。多様な視点を許容できるようになった土壌を作ったのがこの雑誌だったと思います。とはいえ本当に最初期は苦しんで迷走していました。逆袋とじ(エロありなのでこのページ嫌な人はとじてね!)とか革新的すぎてもう。
 
百合姫はチョット前までは、デザインもごちゃごちゃしすぎてしまっていて何の雑誌かわからなくなっていました。ここで再度デザインを根底からひっくり返したのは英断だと思います。
今回はBL・少女漫画よりになりすぎた「百合姫」と、萌え寄り特化だった「百合姫S」の再結合。コラムも多めになっていて、最初期の「百合姉妹」に近いイメージです。
とはいえ勘違いの多かった(「百合」とはなにかわかっていなかった(追記・雑誌編集部内での「百合」の解釈が曖昧だった、ということです))最初期よりもはるかに安定しているので、期待したいところ。
百合コラムがある=フロンティアスピリッツは健在。固定ファンに安定供給する百合作品、ではなく、新しい裾野を広げるための努力が見られる一冊になっています。
 
特に来月から始まる「百合男子」がおもしろすぎなんですが。
百合に萌えた男は、自分が不要になってしまうという話……なにそのぼくら。
女性向け狙いでありつつ、「少女漫画が好きな男性層」に浸透させていこうとしている趣が作品群から感じられます。
 
加えて、小説への比重も強く、森田季節先生の作品など非常に良いです。表紙も小説ですしね。
そうなんよ、百合作品を文字で綴ることで見えるものを、漫画とセットにすると視野が広がるんですよ。百合という料理を落ち着いて嗜む感覚に近い。ここが百合姫独自のセンスだと思います。
作家陣は今までの「百合姫」と「百合姫S」の実力派がずらり。質の高さは保証済みです。ただし、その「嗜む感じ」はある程度「百合文化」に触れた人でないとちょっとハードルは高いです。そのハードルをコラムでいかにして取り除くかに挑んでいるようです。
 
それにしても「内容に満足頂けなかった方に返金キャンペーン」には度肝を抜かれました。
個人的に今回は満足いきまくりなんですが、まさに背水の陣。百合姫は本気だ。
 

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一方「つぼみ」はとにかくどんどん新しい作家さん引っ張ってきていますね。
軸となっているのが吉富昭仁先生のギャグとエロとセンチメンタルのまじった「しまいずむ」なので、割と「百合っぽければなんでもOK!」という香りが強いのも特徴です。
またひっぱてきている作家さんが、大朋めがね先生、関谷あさみ先生、宮内由香先生、玄鉄絢先生、杉浦次郎先生、東山翔先生、ナヲコ先生と、エロマンガ経験者が圧倒的に多いのは面白い。
だから、「百合姫」と持っている空気そのものが決定的に違うんですよ。どっちがいい悪いじゃなくて。
特に性に対しての意識を強く出している感はあります。同時に「百合をそこまで知らない作家さんに描いてもらっている」という新鮮感もありますが、これがうまく化学反応起こしているからすごい。関谷先生のとかどの作品も、今までの百合と全然違う新しい百合作品なんだもんなあ。
 
加えて、「これって百合なの?」というのも盛りこんで、とにかく間口が広いのも特徴。カサハラテツロー先生のなんかは「女の子がいっぱいいるよ!」というテンションなので、百合とかあまり深く考えてない人でも楽しめます。これは「女の子たくさん漫画」に慣れしたんだ層には非常に入りやすい。
表紙の作家さんも、百合作品作家じゃない人をあえて起用しているのも面白いです。色々な人の色々な角度の「百合ってどんなのだと思う?」という問への解答を見せてくれているんですよ。
 
百合姫」が百合の高みを目指して上に登っているとしたら、横にがっつり幅を広げているのが「つぼみ」という感じ。
 

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「つぼみ」と「百合姫」は今のところ百合雑誌・アンソロの二大巨頭。
いい具合に分化しているので、お互いが競り合いながら百合作品の裾野を広げてほしいし、高みを目指して欲しいなあーと思っています。
 
「百合読んだこと無いけどどっちからがいい?」と聞かれたら、間口の広い「つぼみ」からかなー、と今は思っています。あるいは「つぼみ」から出ている各種単行本。

そして慣れてきたら百合姫関係にもチャレンジ、という流れがいいんじゃないかなーと思います。
百合姫コミックスは数が今えらい多いのですが、とりあえず乙ひより先生やタカハシマコ先生、かずまこを先生、倉田嘘先生で安定かしら。

 
「百合」山は頂上の見えない登山ですが、どこから入っても楽しめるので気楽に「あ、ちょっといいな」と思ったら足を踏み入れてみるのもいいかも。
 
追記・WEB拍手より。

2010年の百合界ビックニュースといえば、やっぱり「百合姫」と「つぼみ」のW隔月刊化で異論はないと思いますが、新書館からの「ひらり、」創刊も忘れてはいけないと思います。
たまごまごさんが書かれているとおり、「百合姫」と「つぼみ」が、それぞれ百合を深化・拡張させようと奮闘しているとしたら、「ひらり、」は友情と恋愛のグレーゾーンという百合的に一番微妙で美味しい部分にあえて踏みとどまっている感じで、先行2誌ときっちり住み分けされているのもいいですよね。
セラムンマリみてに続くけいおんブームが、百合にとってプラスになるのかは、まだ未知数ですし、あまり過度の期待は禁物だと思いますが、百合専門誌にはそれぞれのカラーを出しつつ、百合の維持と発展のために今後とも頑張っていただきたいものです。 by おーらんどー

百合姫」「つぼみ」ときて「ひらり」はどうでしょう?
個人的には前述2誌とはまた違う切り口、違う作家陣でかなり有望な百合アンソロだと見てます。
どちらかというと少女漫画寄りかな? ベテランの桑田乃梨子センセもいますし。
最近は作品を描かれていなかったささだあすかセンセもいますし。
昨日出た最新号には「このこここのこ」の藤こよみセンセの作品など素晴らしかったですよ(^^)b by j

ピュア百合アンソロジー ひらり、 Vol.3
袴田 めら 藤こよみ TONO 橋本みつる スカーレット・ベリ子 未幡 藤沢誠 石堂くるみ 大沢あまね 栗城偲 夏乃あゆみ ふかさくえみ 藤生 犬丸 仙石寛子 桑田乃梨子 ささだあすか 前田とも
新書館
そうでした! ひらりがありました。
まさにおっしゃられているとおり、原点回帰している安定した恋愛と友情の狭間のような作品群が多いので、先鋭的な作品とはチョット違って安定感を求めることが出来る良作なアンソロだと思います。
現在まだ3冊ですが、これで住み分けというか、少女達の箱庭を楽しみたい人にはこれ!といえる場所が出来ていて、これから期待したいところです。