たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

しらんたかし「仔づくりゴッコ」が、ぼくの転校生活の心の穴を埋めてくれたんだ。

求めすぎてぐちょぐちょに濡れてしまう身体!! 君と僕、クラスに馴染めない転校生同士の恋。しらんたかし『仔づくりゴッコ』 - メンズサイゾー SELECT ITEMS
 
メンズサイゾーでエロ漫画記事書かせていただきました。
で。
この本もうね、なんというか僕の中でちと特別なんですよ。
リンク先も読んでいただければ分かると思いますが、もうちょっとだけ色々書いてみます。
以下18禁のため収納。
 
 

仔づくりゴッコ (MUJIN COMICS)
しらん たかし
ティーアイネット (2010-12-10)
この作品表紙をめくったところの裏設定、メインキャラクター二人の設定がとーにかく細かい。
それがすごいクるんです。
 
リンク先にも書きましたが、自分は転校ばかりの子でした。
だからどうしても「ここは知らない街」というのに慣れず、ものすごい歯がゆい子供時代をすごしたんですね。
知らない街で、知らないクラスメイトで、転校生というキャラになってしまっている自分。
子供にとって「転校生」という立場はすっげーでかいんです。
すぐ慣れる子もいますが、自分はもう困って困って仕方なかった方です。
寂しさとかはそこまで感じ無かったんです。読書好きで本ばっかり読んでたので。
しかしある学校で先生が「学校に慣れないのかい?」と言われたとき、あ、ぼく慣れてないの?と変なところに気づいてしまって、次の日から不安に襲われるようになりました。先生の気遣いはありがたいけど、言葉にしちゃったのは今思うと「ありゃー」という感じだったんじゃないかなあ。
それ以来、自分の立ち位置が見つからない日々が続いて、ちょっとずつ友人が出来てなんとか楽しく過ごせました。
今思うと仲良くなるのは短い期間なんでしょうか、この当時は永遠にすら思えましたね。
 

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この漫画、ぼくの心の中にある「永遠にすら思えた歯がゆい時間」を埋めてくれたんです。
もちろんエロ漫画だらえろえろです。でもね、ヒロインの子も同じ転校生で、同じ不安を抱えているというのは夢でしたよ!
エロ漫画なのでそこから慰めあうために身体を重ねていくんですが、まあ子供の頃に身体を重ねることはそうそうないとしても、今思うとそのくらいしてほしいほど不安でしたとも。
大人になってこんなかたちで、受け止めてくれる、キズを舐めあってくれる少女に出あえるなんて思いもしませんでした。
 
しかもね、一話目はキズの舐めあいなんですが、二話目からは本当に好きになるんですよお互いが。
一話と二話の間にも二人は、ちょっと背伸び体験的にえっちを繰り返すんですが、背伸び体験以上でも以下でもない。
大切なのはその後、身体を重ねるうちに相手のことがどんどん好きになっていることです。
少年は少女を守るために、いじめっこに歯向かうんですが、それで濡れて濡れて、生理用ナプキン付けてもあふれるくらいに濡れる少女の気持ちがもうね、むしろこっちが少女になったかのような気分ですよ。
最初は「心を埋めあえる人」を探していたんだけど、気づいたらこの人が好きでたまらなくなっている。
 
女の子側が積極的な作品なんですが、この構図うまいです。
目線は少年視点なんです。しかし少年視点から見た、好きでたまらなくなって、身体も「女」になっている少女を描いている。
気づいたら感情移入するの女の子側の方なんです。
濡れる、ってエロ漫画で描くとすごくシンプルな性的興奮に見えますが、この漫画読んでいると、本当に「好き」を表す他の表現がないんじゃないかってくらいの「濡れる」なんですよね。三話目以降もそうです。
 
加えて少年も少女も、転校生からどんどんクラスに馴染んでいく様も描かれています。
最初は「馴染めなくて寂しいから」だったのが、今度は「クラスの中で特別」に変わっていく。
嫉妬もするし、独占欲もわくし、幼いのを知りつつ背伸びもする。
この少年少女像が愛しくてならない。
 

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ぼくがこうなりたかったか、と言われると、もっと現実的な問題があるのでそうはならないんですが、漫画ですもん、フィクションですもん、「知らない街」を経験していた自分の心のなかの、感情的な部分を埋めてくれましたよ。
これを読んで思い出したのは、田沼雄一郎先生の「SEASON」です。

大名作なので是非読んでいただきたい作品です。エロ漫画としてのエロさも、子供のイノセンスも、現実的な問題も、そしてノスタルジイも詰まったすごい作品。
こちらは少年は転校生ではないのでクラスに友人がたくさんいますが、ちょっと浮世離れした少女との逢瀬を描いた作品です。その少女の持っている秘密は……。
 
「子供同士もの」のエロ漫画がすごい好きなんですが、まあロリコンショタコンだからというのも当然ありますが、やはり自分が失った子供時代を手に入れたいという思いが強いのかもしれません。

中にはLow先生の作品のように、子供たちのイチャラブを眺める楽しさみたいな作品もあります。これも大好きです。
いいなあかわいいなあ、ですね。
 
そして「自分にシンクロさせる」物語も大好きです。
子供時代の痛みを伴いながら。

このへんがやはり「痛みを伴った少年少女」のエロ漫画として心に残っています。
エロに溺れるんじゃなくて、いいのかな、だいじょうぶかな、とビクビクするんです。
そのうち溺れながら、僕らはどこに向かえばいいんだろうと自問自答していく。
エロ漫画の中にある青春模様。いいじゃないか。
がんばれ!というよりも、キャラクターの心情にシンクロ・没頭していくので「がんばらなきゃ」になるんです。
それが明日の活力に、ぼくはなります。
こんなエロ漫画の読み方も、たまにはいいよね。
 
エロじゃないですが、こちらも「性と成長との狭間」を描いた傑作。

二巻の展開には驚きました。
でもそうだよね、そういうことなんだよね、成長して恋をするって。避けて通れないよね。
 

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最初に挙げた「仔づくりごっこ」は途中半端なところで終わっています。
これが続くのかどうかはわかりませんが、エロ漫画で連作になる方が珍しいので、むしろ少年と少女の日々を見られただけでよしとしましょう。続くのであれば是非続いて欲しいです。僕の心をもっと埋めてください。
 

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それにしても宮内由香先生の新刊が楽しみでならないです。
「みずいろ」は収録されないのかな?