たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

スラップスティックアリスの狂ったお茶会は血まみれです。

XNEWS::Alice: Madness Returnsが7月21日に発売
きたあああ!!!
アリスマニアのたまごまごです。

「アリス・イン・ナイトメア」はPC版でやっていて大好きだったので、「Alice: Madness Returns(邦題不明)」が移植されるかどうか不安だったのですが、これ以上無い雰囲気を伴ってきちんと日本版も出してくれる様子。

それにしても、なぜこうもアリスとグロテスクの相性はよいのか。
原作はそんなにグロテスクじゃな……十分スラップスティックでしたね。
無邪気と邪気は裏表。アリスをテーマにしたグロテスク作品は多いですが、スラップスティックアリスの金字塔のひとつのような作品だと思います。
まあ、洋ゲーなので前作はめっちゃくちゃプレイしていて酔った記憶がありますが、それも雰囲気みたいなもんなので。今回はどうなるかなー。楽しみです。
 

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ちょいと適当にアリス話。
まあ、ルイス・キャロルの望んでいない亜流グロテスクアリスの話です。
 
グロテスクとアリスを結びつけたくなるのは、ゴス的嗜好からの流れが強いのかなとも思いますが、実はもっと根源的な部分、子どもが虫の頭引きちぎる感覚に近いのかな?と思ったりします。
色々なグロテスクアリスがあるわけですが、少なくともこの「アリス・イン・ナイトメア」系列のアリスは、グロ世界に包丁持って戦ってぶった斬ります。
シクシク悲しむ声よりも、ゲラゲラ高笑いするほうが似合うんですよね。「首をはねておしまい!」のハートの女王の印象や、マッドハッターの狂気がそのへんにブーストかけやすい要因になっている気がします。
どっちかというとこの気狂い感は洋風のノリ。ホーンテッドマンション的な、ギャーギャーうるさい躁の状態です。
考えてみたら子供の頃のハイテンション状態って、躁状態に近いものがあった気がします。自分は少女ではありませんが、少年時代やはり狂ったように何したか分からないテンションで遊んでいた記憶があります。
 
それを大人がつくるからグロテスクにはなるけれど、包丁振り回して血まみれになっているアリス、なんだか楽しそうにすら見えますよ。
 

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ホラー寄りにすると「歪みの国のアリス」あたりが有名でしょうか。日本のアプリゲームですね。これも話聞いてからやってみました。よくできています。
チェシャがいいキャラなんだ。
女神転生」や「ライドウ」で出てくるアリスは、死んだ少女が寂しさから彷徨って人を殺す、見た目と裏腹の凶悪なキャラになっています。黒おじさん(ネビロス)と赤おじさん(ベリアル)というオプションもまたいいんですよねえ。
アリス(女神転生)とは (アリスとは) - ニコニコ大百科
ライドウで、アリスとモー・ショボーをめっちゃ強くして連れて回るのはデフォでした。
大勢の何かに囲まれた、一人きりの少女というのはアリスのイメージの根幹の一つです。
 
最近だとマメ山田が演じている「アリスが落ちた穴の中」でしょうか。

アリスが落ちた穴の中 - Dark Märchen Show!!
ウチのサイト見ている人なら、どういうの取り上げるかだいたい分かると思うので心配はしてないですが、一応怖い物苦手な人は注意。
耽美っぽい世界観の中に現れるアリスの姿は、見たら一生忘れないことまちがいなし。正直最初びっくりした。
わざとびっくりさせようとしているでしょうから、びっくりした、でいいんですよね多分。
このへんになってくると「アリス」を見せたいわけじゃなくて、描きたいものを描くための手段として「アリス」を用いている感じが出てきます。
ヤン・シュワンクマイエルの「アリス」もそうですね。ヤン・シュワンクマイエルが自分の世界を構築していく過程で、アニメーションの題材としてアリスが適していた、というノリのようなものを感じます。もちろんとてもアリスを愛して作ったんでしょうけれども、そこにあるのは「アリス」という土台の上に建築された全く別の世界。
 

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「アリス」が本来の意味を失って、他の作家が自分を表現するツールとして使うようになってからずいぶん立っているとは思います。これほどまでに二次創作されている作品も珍しい気がします。グリムやアンデルセンやオズあたりも二次創作作品がたくさんありますが、アリスは頭ひとつ飛び出しているような。まあ数えたこと無いのでわかりませんが。

ディズニーのアリスや、角川つばさ文庫版アリスのようにライトサイドのアリスも当然たくさん増えています。
なんといっても「女の子」の究極系を投影しやすいキャラですしね、アリス。
同時に「女の子」のダークサイドを投影しやすいキャラでもあります、アリス。
少女の孤独感、不安、恐怖、残酷さ、それを露骨に出しても許されるキャラに仕上がりはじめました。
彼女の周りで誰かが死んでも、全然おかしくないんだもの。
 
「アリス」という言葉を聞いて、キャロルやテニエルの描いたイメージを再現するか、明るいイメージを抱くか、心の闇を思い出すか。耽美な夢を描くか、はたまたエロティックな妄想にひたるか。
ジャヴァウォッキーみたいなモンスターも出てくる作品ですが、一番のモンスターは「アリス」だろうなと思うのです。
「世界に唯一の少女アリス」の前にあっては、誰もが皆クレイジーな住人にならざるをえないのかしら?
 
たくさんのアリス達〜「アリス」という語が広げた、いくつかの視点〜 - たまごまごごはん