たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

忘れっぽいのが長く続く秘訣。いつまでも少年のままで「スピッツジャンボリーツアーとげまる2011」ライブレポ

札幌のスピッツライブ行ってきました。
ぼくがはじめてスピッツを聞いてハマったのが「君が思い出になる前に」だから、1993年。実に17年前ですね。
ですが、今まで一度もライブ行ったことありませんでした。
筋少スピッツ、たまあたりは、少年時代から好きで好きで、好きすぎて逆にライブに行くのが怖いという状態でして。たまは結局ライブ見ないうちに解散しちゃったね…勿体無いことをしました。
最近the pillowsのライブに思い切って行ったところ(これも長い間好きすぎて行けなかったバンドの一つ)、なんとかなると分かったので早速飛び込んできました。
が。
やはりここまで溜め込んできた、僕の中の「スピッツ壁」はすごかった。
登場して演奏し始めた瞬間、涙ブワー。
はええよ!
なんかもうね、音楽で自分の心を支えてくれた人たちが、目の前でその歌をうたう、ってだけでやられるんですよ。まあこれはライブ全般に言えますが、多感な少年時代をそれで乗り切ったとなるとちょっと格別なのです。
 
スピッツが今年デビューして20年目。
20年ですよ20年。結成してからは24年。
MCで「まだ産まれてなかったでしょ?」なんて草野マサムネさんが言ってましたが、実際そういうファン層も多いと思います。
でもやはり、見回したところ周囲のファンはだいたい30代前後が多め。あと高校〜大学生多め。
あと……え、あれ、女性率異常じゃね?
9割以上女性でした。
 
会場に入ったとき、もうーーー、場違い感ハンパなかったわけですよ。
割と男臭いモッシュとかあるオールスタンディングのライブに行くことが多かったので、指定席のライブは「けいおん!!」ライブ以来。しかも質のベクトルが違う。
あかん、これは女子力を高めないと死んでしまう!
 
でも良く考えてみたら、ちゃうよ。違うよ。
スピッツの曲、草野マサムネの歌詞は、ほとんどが少年時代に抱えていたモヤモヤをそのままま大人になっても持ち続けているようなものばかりです。
しかも作り物っぽさよりも、本気っぽさが強め。
30、40と年をとっても、いつまでも少年の悩みと喜びとリビドーを持っているのをストレート直球でぶつけてくるじゃないか。
なら、何も恥じることはない!
……とはいえやっぱり女性ファンが死ぬほど多いので、「あ、すいません、通してもらえますでしょうか」と引け腰になってました。なんか今日の僕はしゃべりが丸かったです。
 
まあ、演奏が始まってしまえば会場中に溢れかえるのは、「少年の思い」ですよ。
前述したthe pillowsのライブの時もそうだったんですよね。まああっちは男性ファン率高かったんですが、やはり少年的な、男の子的な直球な歌詞はぐっさぐさきます。外に向かって広がっていくというよりも、内に向かっての輪に取り込むという方が近いでしょうか。
スピッツの歌詞は分かりづらいものが多いのですが、まさにフィーリングで「あ、これ、俺!」ってのがあるんですよね。多分女性だとしても、草野マサムネ少年とは違う視点から「あ、これは私だ!」ってのが。ほんと、読んで理解できる歌詞ほとんどないくらい難解なのにね。
 
20周年ということで、今回はアルバム「とげまる」の曲と古い曲を半々にやりました。
一応セットリスト。違ったらすいません。

01,ビギナー
02,スパイダー
03,恋する凡人
04,ロビンソン
05,幻のドラゴン
06,メモリーズ・カスタム
07,TRABANT
08,鳥になって
09,胸に咲いた黄色い花
10,ヒバリのこころ
11,ガーベラ
12,新月
13,ジュテーム?
14,シロクマ
15,えにし
16,どんどどん
17,探検隊
18,けもの道
19,トンガリ95
20,8823
21,君は太陽
 
アンコール
01,あじさい通り
02,青い車
03,チェリー

いきなり二曲目に「スパイダー」だよ。やられるわ!

1994年の曲ですが、恐ろしいほどに色あせません。
スピッツの曲は91年の「ヒバリのこころ」から、「これ新曲だよ」って渡しても通用するくらい、スピッツにしかない音作りがされていると思います。
何がスピッツらしさなのかは僕には理解しきれません。短調がない、ってくらいしかわからないです。

映像見ると、若っ!って思いますね。さすがに。
 
本人達も20周年ということで、自分達がオッサン化したことはネタにしていました。
腰をやられたとか、時間の感覚がずれていて最新のギャグが分からないとか、ダジャレとか。
このへんはほんと、オッサン化していると思います。人間特に体に関しては寄る年波には勝てぬ。
しかし、この一言で氷解しました。
忘れっぽいのが長続きする秘訣だよねと。
笑いながら言ってましたが、これ、真実だと思います。
嫌なことをどんどん忘れていこう、前だけ向いて進んでいこう。
ただまあ、駄目なときもあるだろう。そんときゃそのくらいで進んでいこう。

僕らこれから強く生きていこう
行く手を阻む壁がいくつあっても
両手でしっかり君を抱きしめたい
涙がこぼれそうさ
ヒバリのこころ
スピッツ/ヒバリのこころ

マイペースで、メランコリックで、だけど前向き。
 
スピッツの歌の歌詞自体は非常に不思議なもので、落ち込んでいるときに見るとマイナスな内容に見えますし、やる気に溢れている時にはポジティブに読み取れます。
どっちにも読み取れるものばかりなんです。だから、彼らの歌はいわば自分を映す鏡みたいなものです。
ぼくが今回のライブという鏡で見たのは、この20年を通して経験してきたプラスなことマイナスなこと全部含めての、今いる自分の姿でした。
ああ。
スピッツと同じ時期に青春をむかえ、そして彼らと同じように年を取れたのは、幸せなことなんだなあ。
今も楽しいことをやり続け、まだ未来に「続けていこう」という意思を見せてくれる、次が見えるバンドだから、安心感と勇気が湧いてきます。
僕もまた明日歩いて行こう。
 
一番やばかったのは「8823」のときでした。
この8823は、「スピッツでどの曲が好きですか?」と聞かれたら真っ先に答える曲。仕事の追い込みの時にずーっと流しっぱなしにしたりする曲です。

楽しい時も苦しい時も一緒に歩んできた曲ですよ。
特別なんてもんじゃないです。
それが目の前で演奏されているのを見ていたら、もうテンションあがりすぎて。
気づいたらあごまで涙たれるくらい、まさに涙腺が決壊した状態でした。
泣いてるって意識なかったです。ああー、オールスタンディングじゃなくて指定席形式でよかった。
「この曲に救われた」って曲は、自分の人生に幾つかあるのは意識していたのですが、よもやここまでとは思っていませんでした。ぼくの体の一部なんです「8823」。
「8823」のときにボロボロ泣いてひどいことになっているのを見かけた人がいたら、多分それはぼくです。

今は振り向かず8823 クズと呼ばれても笑う
そして君を自由にできるのは、宇宙でただ一人だけ
スピッツ/8823)

最近、友人に言われてこの「宇宙でただ一人だけ」なのは、自分自身なんだ、と思うようになりました。
 
アルバム「とげまる」の曲もよかったのですが、やはり20周年記念的にスピッツの各時期の曲をまんべんなくやってくれたのが一番キた要因だったと思います。

とげまる
とげまる
posted with amazlet at 11.05.17
スピッツ
A-hi Records (2010-10-27)
売り上げランキング: 591
始まる前にTシャツ、ロングタオル、コード巻きつけるとげまる?を買いました。
タオルはあっという間に涙でグシャグシャになったよ。
 

                                                                                                                                          • -

 
いいライブでした、なんて毎回どのライブに行っても言いますが、自分の20年を背負ったライブ体験という意味ではすごい思い出になりました。
そういう意味ではこんどこそ、意を決して筋少のライブも行きたいですが、行ったら失神して倒れるかもしれない。
とりあえず今年はライブ充になろうと思ってチケット買いまくっているので、ライブ通いになると思います。大きな箱から小さな箱まで。
楽しく稼いで楽しく音楽に触れるよ!