たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「あの花」めんまが選んだ、大きな大きな決意


じんたん♪ じんたん♪
て、手書きとな……このフリル……動かすのめんどくさいだろうに……。後半の荒ぶりっぷりが。
最後がよいので是非見てくださいよ。
 
さて、それはさておき。
8話見ました。
話ごとの感想まだ書けないっていうか、8話見て「なんて感想言えばいいんだよ!」とゆきあつばりに叫びたくなる今日この頃です。
ゆきあつさんと魂がシンクロしすぎてまともに見られん。
けれど、一点だけ、友人と話していて「ハッ」となったところがあるので、書きます。
以下、ネタバレ有りのため収納。
 
 
 
 
 
 

めんまの物理干渉●

8話はものっすごい情報量の回なんですが、中でも最も目を引いたのはめんまが筆談で自分の存在を明かす行動に出たことでしょう。その前の無言電話(きっとしゃべっていたんだと思いますが)もそうです。

今日は大きくなったみんなと
秘密基地であそびました。
ケンカはしちゃだめです。
超平和バスターズ
いっつも仲良しです。


筆跡鑑定をしたのはゆきあつ。
めんまのコスプレをするほどに思いを募らせてこじらせていた彼です、めんまの字を一番憶えている、というのはなんとも笑えない皮肉な話です。
めんまはこの文章で、今ここにいるよ、というのを書いて見せるているんですよ。
「筆談」というとちょっと違うかもしれません。書いているところを見せたわけではなく、書いたものを見せています。
ここで疑問が生じてくるわけですよ。
 
・なぜ今までこの方法を取らなかったのか。
・なぜ目の前で筆記して見せないのか。
 
第一話からこれをやっていたら、話は全然違うものになっていたでしょう。
しかし、ここではじめてやるんですよね。この行動。
 
「あの花」は人間関係を中心に描いた物語ですが、同時にミステリー要素の強い作品だと思います。
たくさん散りばめられた、行動・アイテム・感情表現から、最終的に「めんまのお願い」はなんだったのかを考えるという仕組み。
真相に近づいたかと思ったら人間関係がこじれて離れてしまう。しかしこじれたように見えて実は真相に近づいてきている。
非常にテクニカルな作りだと思いますが、だからこそこの「めんまの物理干渉」はポイントになると思います。
 
そもそもめんまは自分の存在をアピールして、「みんなに願いを叶えてもらう」はずでした。
確かに今までもぽっぽやあなるにだきついたりしていましたが、それ以上のことはしていません。
書き残すという手段を知っていて、なぜしなかったのか?
 

フランダースの犬

みんなの信頼を得られず、一体どうすればいいのかも分からなくなり、やぶれかぶれになったじんたん。
何が一番引っかかるかって、願いがかなったらめんまはいなくなるということです。

じんたんとしては、当然めんまがそばにいるのはうれしいわけですよ。
正確には「うれしい」とも言い切れない部分はありますが、逆に言えば「うれしくないわけがない」んです。
だって、会えないと思っていたのにまた会えたし、謝るチャンスができたわけですから。
しかし「うれしい」ということは「別れの辛さ」の反動もでかくなります。
 
じんたんはここで「フランダースの犬」の話をします。
うーん、ここは言葉で説明するとなんか胡散臭くなってしまうんですが……アニメで見るとすげーシーンなんですよ!
じんたんはとりあえず泣いている言い訳として、「泣きの定番」としてフランダースの犬の話を持ち出しただけなんです。
けれども、パニック状態になってこみ上げてきてしまい、嗚咽するんですよ。
極限の疲労困憊の状態、あなるとのわだかまり、めんまと別れなければいけないというストレス。
色々なものがあいまって、爆発してしまうんです。

それを聞いて、めんまは必死にじんたんを励まします。

「パトラッシュはね、きっとしあわせだったと思うんだ。
 だって、ネロにいっぱいいっぱいやさしくしてもらったでしょ、お友達だったでしょ、だから、ね」

じんたんは多分この時、ほぼ無意識でうなずいていたと思います。
しかしめんまの方が気づいているんですよね。
めんまの願い」がかなったとき、お別れしなければいけないということを。
 

●願いが叶えば●

じんたんは分かっていたか、というと。
とうの昔に分かっていました。

そのちょっと前のシーンで、あなるが、これまたやぶれかぶれになって、自分の過去の恋心を吐露して爆発してしまいます。

「もしさ、ほんとにじんたんのとこ、めんまいるんだったらさ!
お願いかなえたら、めんまいなくなっちゃうんじゃないの!?
めんまはいなくなっちゃてもいいんだ? 好きなのに!」


もうあなるの泣き声聞いてるだけで頭おかしくなりそうだよ。
あなるがこう言ったのは、自分を責めているからです。自傷に近い。
言っちゃ駄目だって分かっているのに、言って自分を傷つけて苦しんでる。
じんたんにそんなコト言いたいわけないんですよ。だから今まで言わなかったけど、ここで彼女は一旦全部爆発させることになります。
あなるの詳しい話はまた別の機会に……。
 
じゃあじんたんはあなるの言っていたことを理解していたか、というと。
多分理解していたと思います。
だから、どうすればいいか行き詰っていたんです。
 
6話で、「ママにめんまのこと忘れてほしいのに」とめんまが泣き叫ぶシーンがあります。ボッシュート
めんまは本当にそう思っていたかというと、当然そんなことはなく。
ただ、めんまのお母さん、イレーヌが心を病んでいるというのが今回明らかになることで、なぜめんまが「忘れて欲しい」と願っているかが判明します。
めんまは「自分がいるからみんなに迷惑をかけてしまっている」「自分のことをみんなが忘れたらみんなこんなに苦しまなくて済むのに」と考えています。

だけど、それを聞いてじんたんは、ある意味はじめてめんまを本気で叱るんですよね。
本気すぎて鼻血出るくらいに。

「お前はいつもそうやって人のことばっか気にして。
 もっと自分のことかんがえろよ!
 イライラすんだよ、そういう態度! 自分が傷ついてんのにヘラヘラ笑ってさ、泣くときは人のことばっかで」

君も、そうだけどね。じんたん。そこがいいところよ。
この時じんたんは既に気づいていたんだと思います。
めんまの願いを叶えたら、めんまはいなくなる」
「だけどめんまは願いが叶えられるのを望んでいる」
問題はそこからどうするかです。
 

●止まった時間を動かす勇気●


5話で、ぽっぽが「成仏したほうがいい」「姿を見せてくれよ」と言い出したとき、めんまは泣き出します。

めんまだって、みんなとおしゃべりしたいよ。
 でも、わかんないんだもん。
 お願いのこととか、成仏とか、そういうの、わかんないよ」

めんまのお願いをみんなで叶えて」とは言ったものの、めんまの心は「みんなと会いたい」「みんなでまた仲良くしたい」でした。
みんなに自分の姿が見えて、そのままみんなと過ごせたらどんなにいいだろう!
でも無理です。
願い事を叶えてしまったら、成仏とかしないといけない、つまりもう永遠にみんなにもじんたんにも会えなくなるかもしれない。
 
ここからは推測です。
めんまは正直、願いを叶えてしまうのがいやだったんじゃないかと
じんたんが最初の頃、それが半ば分かって停滞していたように、めんまもまた「みんなと別れたくない」という思いがあったんじゃないかなと。
ところが自分がここに残り、じんたんを経由してみんなの記憶を刺激することでトラウマを蘇らせる様子を見て「忘れて欲しい」と言い出すわけです。
まさに、6話でじんたんが言っていた「ヘラヘラ笑ってさ」です。

8話より。ヘラヘラ。
みんなに「ごめんね」って言える彼女だからこそ、みんなに愛されているのもまた確かです。
「みんなが傷つくから忘れて欲しい」けれども「みんなに忘れて欲しくはない」のが本心。
それは実は他のみんなも同様で、特にゆきあつがそうですが「過去に縛られない」フリをすることで逆に「過去に縛られている」状態になっています。

5話より。ゆきあつは言います。
「俺達は、取り残されちまってるんだ」
みんなが一歩踏み出せない状態。全員が閉塞感ある世界から脱出できない状態になっています。
 
実はその停滞した世界から一歩でも動こうとした最初に人間は、一番停滞していたじんたんでした。

彼は8話でその「いなくならないで欲しい」という思いが爆発して泣き出しますが、それ以上に「ここままではいけない」「めんまの願いを叶えなければいけない」と言う思いにかられ、動き出します。
できれば依存して、泣きじゃくって、めんまに「ずっといてくれ」って思っているかもしれませんが、ぽっぽやあなるが言ったことも受け入れながら、彼なりに選んだ選択がこれです。
動かなければ、だめなんだと。
当然、それが別れを意味していると分かっていても。
 
8話は、めんまがそのじんたんの思いを受け入れ、決意した回なんじゃないかと思うのです。

めんまもうっすらと「別れたくない」「でもみんなを傷つけてしまう」「自分のやらないといけないことはなんなのか分からない」という狭間でものすごい傷だらけになっています。
しかし、ネロがパトラッシュをとても大切にして、それをパトラッシュが喜んだように。
めんまは引きこもりだったじんたんが、今は必死に動いていることに喜びを覚えています。
「みんな」がまた一つになっていくのを、強く望んでいます。
じんたんがそのきっかけになっていることも。
そして、じんたんが「みんな」や「めんま」のために傷ついていることも。
じんたん、かっけーんすよ。
 
今までも物理干渉や筆談によって、他のメンバーに自分の存在をアピールすることはできたでしょう。
けれどもそうじゃないんですよね。「めんまを探せ」の時もそうでしたが、やっぱりみんなでいたかったんじゃないかなと。
みんなといるには、見えないままの方がいい。下手にみんなが思い出してツライ思いをしてもアレですし、トントン拍子に願いがかなって成仏して、はいさようならってのも「わかんない」。
仲良しに戻ってほしいけど、そうするためには皆が辛い思い出を振り返らないといけない。それが自分のせいだからって思ってるから「ごめんね」って言う。
ね、ゆきあつ。
めんまが俺たちを許すことなんであるわけがないんだ!」って言ったけど、君の好きだっためんまは、みんなのことばっかり考えて、それが幸せだと思っている子だよ。
 
筆記による存在アピールは思いついてもあえてやらなかった、あるいは無意識のうちに回避していたんじゃないかと思うんです。
めんまのことだから、本当に気づいていなかった可能性もありますが、それも含めての回避。
だけど、じんたんが自分に怒鳴り、じんたんが自分のために働き、じんたんが自分のために泣いてくれるのを見て、そしてじんたんのお母さんが笑顔で死んでいったのを思い出して、「きちんと伝えよう」と決意したんじゃないかと。
そもそも、「あの日」と同じように、ゆきあつとつるこにも電話で伝えている、というのがミソです。
 
じんたんが「めんま、どうして……」と言ったのも、成仏する、永遠の別れをみんなのために決めた彼女に対しての動揺だと思います。
ほんと、じんたんもめんまも不器用よね。「自分のこと」じゃなくて、「他人のことばっかり考えて」。
そのまま筆談をしなかったのも、ポルターガイスト的に動いているのを見せて驚かせたくなかったから。
ホラーの住人になりたいんじゃなく、みんなの仲間のままでいたかったのですから、不必要に恐怖を増やす必要はないです。
 
自分の存在証明をすること、それは成仏して、みんなとお別れをすること。
 
ある意味においては「もっとはやくやればよかった」かもしれません。あるいは「やらないまま終わった」ほうがよかったかもしれません。
でも、自分はめんまが意を決した」ことにこそ意義がある、と感じました。
脱することが出来ず呪縛されていた面々と、脱することを恐れていたじんたんとめんま。ここからが転換点です。
これで、少なくともじんたん・ぽっぽ・めんまの決意は固まった、と思います。
他の子はまだ、わかりません。
 

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まだまだ謎は多く残されています。
そもそもめんまのお願いとはなんなのか。
なぜあの日、めんまはじんたん抜きで集まろうという話しになったのか。
じんたんはめんまの弟になんと言ったのか。
お母さんは解放されるのか。
このへんは多分、おいおい語られるでしょう……残り話数、わずか。
あとは脱出できずにいるあなるとゆきあつ、まだ心を開いていないつるこがどうこのめんまの決意を受け止めるか、でしょうか。
 
でもね。
信じられるんだよね。
絶対、この話、きちんとハッピーエンドになるだろうということ。
そのハッピーエンドがなんなのかは分かりませんが、全員が決意し、トンネルで止まってしまった時間をもう一度動かし始めたら、それは非常にハッピーなことだと思うんだな。