たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

どのページでもヒトコマ見たら分かるフリーダムワールド「スーパーエレガント」が本気でエレガント。

スーパーエレガント (電撃コミックス EX 156-1)

大川ぶくぶ先生の「スーパーエレガント」を一言で説明するのは非常に簡単で難しいです。
ただ、ヒトコマで説明できます。

 
いいよね、アリVS猪木。
もうこの絵柄見て「あああっ!」ってなった人も多いと思います。
そうです、東方マンガとかで有名な、フミンバインさん。
一度見たら忘れられないこの固まったような笑顔のシュールなタッチ。
ナチュラルに狂ったシチュエーション。
セリフのツッコミいない感。
ゲラゲラ笑うってより思いだしてじわじわくる感じ。
それが大川ぶくぶ先生の味です。
初めて見た人でも「1コマ目から抱きまくらカバーの撮影ってどういうこと・・・」とわけがわからないと思いますが、実際わけがわからないです。
 
この「スーパーエレガント」は、スーパーフリーダムなマンガです。
いやあ・・・連載中の事情なのか、気分の問題なのかわかりませんが、4コマだったのに途中から急に1Pマンガになったり、その後また4コマに戻ったり、タイトル手書きになったりならなかったり。
WAO、自由。
 
で、作品の内容は「エレガント女学園という洗練された淑女を排出する学校に通う、華元天香(上コマの非常識人)、高橋芽衣(常識人)、文井こころちゃん(しゃべらなくてかわいい)の物語」なんですが、割とそういうのどうでもよくなってます途中から。
ヨッシ、いつもどおり!
ハイテンションアッパー系かというとそうでもないです。
ダウナーハイテンション系というか、独自のリズムなので読んでいてトランス状態になります。

終始こんな感じ。
どういうシーンかを説明するだけナンセンスです。
 
全編がナンセンスなわけじゃなくて、一応ネタらしいネタもあるし、ツッコミも用意されています。
しかしそれをも越えて、独自のリズムで行動する彼女たちそのものが面白い。
キャラやストーリーが面白いというよりも、もう作家の個性自体が面白いんです。センス勝負なところあります。
なので、すげーハマる人はどこまでもハマりますし、全然分からない人はそのままでいいと思います。
 
この作家さんの独特の描き方として、1コマ目がオチ状態というものがあります。

ツッコミ不在だとヒトコマヒトコマがオチ状態ですね。
なぜ全裸パーティーが開催されているか、なんで天香たちがそこに来ちゃったのか、一切説明なし。しかもこのページが終わったら、次のページからはまったく別の話が展開されています。
あと吹き出しの文章が特殊なんですよ。
「わかりました、あと警察呼びました」
普通だったらコマ2つに分けるとか、ふきだし2つに分けたりするんですが、ひとつの噴出しに2つ以上の文章いれて会話がハイスピードで進むんですこの作者の作品。
同時に、しゃべらない子は全くしゃべらず、サイレントに進んで行ったりします。

わかりやすいコマ。
右はひとつのコマで2つ以上のことが一度に起きていますし、左はこころちゃんがしゃべらないで怒っているスローな時間になっています。
 
表情も最低限の情報しか出していない。むしろ表情をあえて変えず、そこから何が起きているかわからないコマも多いです。
それが功を奏して、ネタがとんちんかんな方向に全速力で飛んでいきます。

いやいや。
いやいやいや。
どう捉えたらいいんだこれ。もちろんエコに目覚めたのは1コマ目です。
大川ぶくぶマンガは、時間とか空間とかの概念も捨てています。移動するとか、時間が経過するとか思い切りぶん投げています。
全くもって、思ったものをそのままたたきつけてくる。
 
とはいえ、それだけだと「面白い」のかどうか読者が判別しづらい高度すぎるマンガになっちゃうんですが、ちゃんとネタとして計算されている部分が見て取れるから、似た様なナンセンスマンガの中でもオススメしやすいです。

意味のわからない展開でどこから突っ込めばいいのか分からないし、なぜこんなことを思いついたのかがそもそも分からないんですが、ジワジワ来るんですよ。
メメタァ」て! ジョジョか! カエルか!
 
集中線が多用されているのも特徴。基本ローテンションなんですが、集中線によって強制的にハイテンション化しているのがユニーク。
だからこそ、面白いんだなあ。この力技じゃない手法で自然に違う世界が見えている感。
 
基本的に天香がフリーダムなことで話が展開します。
いや、展開してないです。4コマ・1ページごとにばっさり終わってつながらないです。

天香と他のキャラの関係はこういう感じ。
一応常識的なキャラ(芽衣ちゃん、悪魔のじゃあくちゃんなど)もいるので、ツッコミにはなっています。
なっているんですがツッコミがコマごとになるので追いつかない、最終的に放置しっぱなしプレイ。
最初は困惑するんですが、次第に中毒になってくるんだなあこれが。
無表情なのがいいですよ。天香とかまばたきしなさそうですもん。
 
すげー独自な絵を描かれる作家さんですが、普通に絵はうまいです。

時々出てくるリアル等身もかわいいけど、やっぱり左コマのテンションこそフミンバインイズム。
 
大川ぶくぶ先生やちょぼらうにょぽみ先生のような、マネのしようがないタイプのナンセンスなんだけどちょっとセンスと知恵でひねりがあるギャグマンガが増えていること自体が個人的には楽しくてなりません。
一巻表記ないんですが、これ続いているんでしょうか。二巻出るとしても相当後になりそうですが・・・。
ちなみに一番好きなマンガは131ページの「この中におもらしした女の子がいます」です。
こういうのもアリなのか・・・。