たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「ゾンビ少女」の魅力を考える前に。

面白い質問があったので、ちょっと自分なりに答えてみます。

ゾンビ少女の魅力を語って欲しいです。

いいですよねゾンビ少女。大好きです。
今は「永い後日談のネクロニカ」でキャラ作って遊んでます。
理想の少女ゾンビをつくって破壊しあう。TRPG「永い後日談のネクロニカ」制作者インタビュー(エキサイトレビュー) - エキサイトニュース

永い後日談のネクロニカ
神谷涼
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オモシログロいです。
ゲームとしてプレイしたら相当面白いと思うんですが、そうじゃなくても絵見ているだけでわくわくしますよ、色々秀逸すぎます。
気になる方はほんと手を出す価値ありの一冊です。
 
さて、「ゾンビ少女」というのもひとつのジャンルになってきた、このこと自体が面白いですよ。
そもそもそんな「ゾンビ少女」なんてニッチジャンルもいいところなわけで、むしろ「ゾンビ少女が出た」ってだけでマンガのネタになるくらいのレベル。ツンデレが出た、と質が違います。
が。
ゾンビ少女ネタ、間違いなくじわじわ増え始めて来ているというのが興味深い。
まあ、増えたってったって数めっちゃ少ないです、数えるほどですが、でも数えられるほど増えたんですよなあ。
 

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魅力を考える前に、ゾンビ少女についてちょっと押さえておかないといけない部分が幾つかあります。
というか「ゾンビ」についての扱いです。
ゾンビ好きな人は多いと思うんですが(いや、少なくとも海外ではめっちゃ多いのですよ、年鑑出るほどに)、定義ノ部分がバラバラ。
まあ、定義なんてしなくても魅力的で楽しければそれが一番のゾンビだと自分は思っているのですが、目安として3つに分けてみます。
 
1・「死んでいる」という設定以外は普通の女の子と何ら変わらない自立意思を持つタイプ。
これ多いと思います。
生きているか死んでいるかはささいなことではない。魂のありかにどうしてこだわるんだい?
ようは、「ゾンビ」ってのはキャラの持っている属性の一つという扱い。
まあ軽いとはいえ、死んでるってのはでかいですが、でかいけど普通に生活できるレベル。
少し前に別冊マガジンで「ゾンビ少女グラビア」をやっていましたが、みんな明るく楽しそうなノリの「死んでいる」属性の少女でした。押見修造先生のイラストは別種でした。それもまたイイ。
ゾンビというかキョンシーですが、「ヴァンパイア」のレイレイなんかはこのタイプでしょうか(一応「離猛魂」って技もありますが)。
意識のあるゾンビのいいところは、物語的に哀しみを湛えられるところだと思います。あるいは開き直ってヒャッハーするのもまた一興。死なないですからね。
あとは腐敗の問題さえクリアしたら、生きている人間と何ら変わらないので非常に動かしやすいし、グロネタにもつかえる(バラバラに出来る)。非常に便利な属性の一つなので、このタイプなら、ロボット娘程度には受け入れられやすいと思います。
道満晴明先生の「ゾンビーナ・ゾンビーナ」なんかは体は崩れるし脳みそもこぼれるけどイキイキしていて非常にかわいいです。まあ、死んでから理性を失っているのか、元々脳天気なのかはわかりませんが……。
 
2・操られているタイプか暴走しているタイプ
操られているのは、ネクロマンサーや道士によって無理やり起こされて、自我無しに動く傀儡型。
キョンシーは基本的にこのタイプです。最近はマンガだと「ネクログ」が秀逸。
やっぱり道士は女の子じゃないとね!「ネクログ」二巻
完全に操られているので放置しておくと死体状態。たまに暴走もする。
一方「アイアムアヒーロー」や「ステーシー」なんかは暴走オンリータイプ。ゾンビ映画で最も多いタイプ。
まあ、「アイアムアヒーロー」は少女のみならず全人類レベルなのですが。

ステーシーズ―少女再殺全談 (角川文庫)
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「ステーシー」は少女ゾンビの魅力を語りあう場合絶対欠かせないでしょうね。
死んでいるかどうかというと、死んでいるのとはちょっと違う、感染や突然変異に近いです。だから伝染る。
ゾンビゲームなんかだとこの感染や突然変異もゾンビ扱いになります。
この場合の「ゾンビ」は生きているか死んでいるかではなくて、理性・意識を持っているか持っていないか。「デッドライジング」や「レフト4デッド」もそうです。残念ながらレーティングの問題で、ゲームに少女ゾンビってあんまでないんですよね。
生に対しての執着が曖昧で、暴走っていうか、元々の意識がそんなないんなら、ゾンビ同士で暮らしてたら平和なんじゃないの?って感じるくらいの、全く別世界に行ってしまったゾンビ達。個人的にはこれが好きです。
アニメ化間近の「さんかれあ」とか、僕が愛してやまない「りびんぐでっど」はこれと1の中間。
通常時は理性を持って普通に暮らしているけれども、次第に理性を失う・タイミングによって理性を失う。特にゾンビの場合、最大の欲求「食」に関しての理性です。
少し生前の記憶が残っている、なんてのも魅力的ですね。
または、知人がゾンビになってしまった悲劇、とか。
山下クロヲ先生の少女ゾンビエロマンガは素晴らしかったです(「かたいマシュマロ」収録)

チャンピオンの断面図分補給! さと先生のゾンビっ子マンガ「りびんぐでっど」が連載始まったぞー!
とりあえず灰田もなこちゃん、ゾンビかわいい。
 
3・人造人間タイプ。
フランケンシュタインの怪物みたいな、つぎはぎさん。これ割とちょいちょい登場するタイプですね。
なので、「人造人間」と「ゾンビ」はきっちり分ける人も多いと思いますが、ネタとしてゾンビの一環に入れることも。
田倉まひろ先生の「カスタムゾンビちゃん」(「たくらまかん動物園」収録)はその代表でしょうか。
無茶な設定をつけやすいのも魅力。怪力とかです。腐ってないのでなんでもできる。
自分の意思をもっているタイプのまさにゾンビ型と、自分の意思がなく操られているロボット型があるとも思います。
これもお好みしだいですよね。
 
まあ色々並べてみましたが、あくまでもこれは「ゾンビ」の方の魅力。
これに「少女」の魅力が付加されると、それはもうネタとしての破壊力絶大です。
だって、少女って一瞬でしょう?
でもゾンビになったらずっと少女のままだってことでしょう?
それに、なぜ少女はゾンビ化したのか、というのも物語になる。儚さの相乗効果です。
 

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もう一個質問。同じくゾンビ。

ゾンデレブーム来ると思いますか?それとも今まで通りニッチな属性のままでしょうか。周りにはゾンビっ娘について語れる友人がいなくて寂しい思いをしています。

「人外キャラかわいいんじゃない?」という潮流は来てますよね。ごく一部に。
そう、一部なんですよ。
ケンタウロスかわいいとか、単眼かわいいとか、スライムかわいいとか、そういうのが商業誌などで登場することが増えた事自体、色々考えてみる価値のある現象だと思いますが、あくまでもそれが当たり前ではないとは思います。
あ、ちなみにどのへんの雑誌かというと、コミックリュウとかアオハルとかね!
 
で、その流れの一つとして「ゾンビ少女」「ゾンデレ」も「アリ」になりつつありますが、あくまでも一部のニッチネタだと思います。今は。
そんなメインストリームになると思っている人も多くないでしょうし、無理にメインストリームになってほしいと願ってもいないジャンルだと思います。
日朝でプリキュアがゾンビだったりしたらびびります。あ、なにそれ見たい。
 
ゾンビ少女の魅力のひとつって、というかゾンビの魅力のひとつって、やっぱりタブーを覗き見ちゃうところなんですよ。
人の死という重いテーマを吹き飛ばす楽しさ。あるいはワラワラ迫ってくる恐怖を楽しんじゃう感覚。
この、踏んじゃいけないところを踏んづける感が心地よくてゾンビって流行るところ、あると思います。
 
今人外キャラやゾンビ少女が流行っているのは、ネットのおかげもあるだろうなと。
100のうち1流行っている程度のものって表立って目立たないんですが、ネットだとその1が集団になって目立つので、流行っているように見えるんじゃないかなーって。
そこがいいんですよ。
「見ちゃいけないもの見ちゃった仲間」の共有感。
今後、そういうコロニーが、広まりはしないけれども各所にできるだろうなあー。できてほしいなあ。混ざりたいな。
 
あと、ゾンデレがもし流行るとしたら、逃げ道としての使い方だと思います。
あれですよ。吸血鬼と同じ。
とりあえず見た目は普通の女の子だけど、ゾンビにしておけば何やってもいい、っていう便利キャラ。
これは増えていくだろうなと思いますし、増えてほしいです。
 

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結局「じゃあなんでゾンビ少女に惹かれてるの?」と聞かれると、うーん。
はかなさとか面白さもあるんですが。
「ゾンビ」を好きな人の心理と「少女」を好きな人の心理の方に興味がある、といったほうが正しいかもしれません。僕の場合は。
ゾンビ少女定点観測を続けていきたい次第です。
にしても灰田もなこはかわいいですね。