たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

女子高校生の日常ってほど日常じゃない「スーパーハッピーウルトラアフタースクール」

SHUAS (電撃コミックス EX 159-1)

タイトル超長いんですよ。
「スーパーハッピーウルトラアフタースクール」
長い!
これ、略すとわかります。
「SHUAS」
週アス。なるほど!
 
2011年09月30日に唐突に終了し、一冊にまとめられました。
全一巻。週一で4本(2P分)52話+「おとどけ!まなみさん」なので、ほんと出してくれてありがとうな本です。
最初に言っておくと、元々はカラー連載だったのでモノクロになったのだけは残念。でも本が出るだけでも嬉しいくらいなので個人的に感謝感謝。
 
で、タイトルの通りのグダグダな放課後を描いた作品です。
ただし、あんまりゆるくはないです。
テンションがものっそい高いというか、テキパキしているんです。8P形式ではなくて2P形式だからテンポがいいんでしょうね。
加えて、キャラの個性と描き分けがものすごいはっきりしています。アクが強くて強くて。
女子高生達の、部活にならない部活ライフというよくある題材を、見事に新聞4コマ的に昇華した作品。どこから読んでも楽しめます。
キャラ解説を特に読まなくてもなんとなくで理解できる、ってのはうまい。
 
じゃあ萌えないかというと、十二分に萌えられます。
むしろ「萌えさせよう」としていたはずがそうでもなくなった、という部分に読者が萌えを見いだせる作品。
これはいい「萌え素材」でございますよ。
 

●キャラクターが説明しづらいマンガです。●

このマンガは一応体裁は「9人集まらない(集める気がない)女子野球部で、女の子たちがダラダラ放課後を過ごすマンガ」です。
でもそれはほんとあくまでも体裁。「野球」自体の要素はほぼ皆無で、むしろ男子野球部が話しに絡んでくる程度です。

基本的にこんなヌケたノリ。
 
全員がボケなんですよ。
ツッコミが不在です。
漫画家志望(担当さんまでついてる)で暴走気味の高梨清香、スポーツ万能だけどあがり症の岩清水倫子、面倒くさがり屋の極北大友智子、天然行き当たりばったりっ子藤原はいりが一年生。
部長は謎のお嬢様四ノ宮、副部長はしっかりものの肝っ玉母さん黒田が三年生。
二年生は?
あ、そういうのどうでもいいです。
 
基本的に設定にあまり意味がなく、あくまでもキャラのパーツに徹しているんです。
たとえば高梨清香ことさや。

部長とさやのやり取りです。
見た目もかわいいキャラですが、どんなキャラなのか説明するとなるとこれがなかなか難しい。
それもそのはず、彼女はこの作品でも特に「キャラのパーツ」が積み重なってカオスになっているからです。
まずベースは萌え系キャラ。デザインからしてリボンがあるあたり、最初の狙いはそこです。というかそうだった、と某所ではっきり書かれています。
その上に、オタク属性が乗っかります。
よくできているなあと思うのは、この2コマのように、腐女子とオタク女子をちゃんと分けているんですよね。彼女は乙女系の方が好きなんです。
次に漫画家志望。そもそも野球部に漫画家志望がいるのが出オチネタなんですが、なにげに努力家キャラでもあります、他の子より。
まだまだ続きます。彼女はとにかく口が軽い。さやちゃんニュース状態です。
そしてノリがよくて目立ちたがり屋。多少うざいくらいですが、まあそれが他の子達とバランスとれていい具合に。
加えて誰とでも仲良くなれる社交性の持ち主。

見ての通り、暴走超特急はいりとも意気投合。相乗効果でなんでもやっちゃいます。
この二人の組み合わせが一番仲良しなんですが(プ○○○アの映画も一緒に見に行きます)、他のキャラとも、先輩とも、男子野球部ともすんなり仲良くなります。悪く言えば図々しい、よく言えば人見知りしない。はいりのが「子どもっぽい」と表現できるなら、さやのは「マイペースで雑」。
ところがその割にキャラの中での女子力の高さはピカイチ。他の子があまり女の子女の子していないせいでの相対評価ですが、メイク道具一式持ってきたり恋話が好きだったりと目立ちます。もっとも、乙女チック度ではガンちゃんのほうが上ですが。
さらにメタルが好きというのがまたツボです。そのうえプログレでイエスを聞いているというコアっぷり。いやまあプログレの中でイエスは「普通」かもしれないけど女子高生はそもそもプログレを聞かないんじゃないかというあたりのズレがよい。
んでんでバカ。

バカです。
 
さやは特に取り立ててキャラのパーツの集合具合が尋常じゃなく多いキャラですが、他のキャラもとにかくパーツの集合体になっています。
こういう人生を送ったらかこうなった、じゃなくて「こういうキャラを描きたい」の蓄積なんです。
だからこそ一人ひとりのキャラが濃いのなんの。ボケのあらゆるバリエーションを楽しめます。
キャラの素材で成り立っているマンガなので、一環する物語はありません。成長とかもほとんどないです。一部以外(しかもメインキャラではない)。
そこがいいんだなー。
 

●萌えます●

基本的には女子高校生の日常なんですが、男子野球部のアホさも加えられているのでネタの幅はかなりオープン。
萌えはちょっとなあ、という人でも気軽に楽しめる全年齢対象な4コマだと思います。
 
一方、じゃあ萌えないかというとしっかり萌えられます。
ここはうまーくばらまいてくれましたね。
またさやで恐縮ですが。

これはさやのニーソに萌えるんじゃなくて、部長がさりげなく覗こうとしているところに萌えるシーンです。
 
女子高校生で、見た目かわいいんですが、中身が男子高校生的なんですよ。
結構意図的に計算されているようで、彼女たちは椅子の上で足組んだり股開いたり平気でします。女子同士だから、ってのもあるんですが、基本的にみんな雑なんですよ行動パターンが。
変に女の子女の子した仕草より、女の子が雑な仕草とった方が萌えたりしません? 
ぼくはしますよ! 全部女らんまのせいです。
これをうまーくはめこんでいる。そこに一滴女の子的な記号を入れられるともうね。
かわいいよね。
 
個人的に一番好きなのはさなえちゃん先生。
脳みそまで筋肉なバカ先生です。
ダメな女教師キャラってどうしてこうも魅力的なんでしょうなあ。

まさかの展開。
ほんと手に負えないほどのバカなんですが、この先生が後半あんな展開になるなんて!
ああもう、かわいい、かわいすぎるよ。バカだけど。いやバカだから!
 
ファミリー向け4コマ誌も物語性が強くなっていたり、萌え4コマ誌もキャラのかわいさ特化になっていることが多いので、久しぶりに新聞4コマ的な「このキャラはこうで、4コマで完結!」というさっぱりした元来のスタイルを見て逆に新鮮でした。
とはいえ、萌え4コマ的なかわいさ、物語4コマ的なキャラの心情変化もうまーいことかじってるんです。
終わり方もすっごい適当。というか少し前のファミリー向け4コマってこういう唐突に終了ってのの方が多かったかもですね。まとめる気はさらさらない様子で、それもまたいい。
ただ続きは読みたいなあ、ここまで濃いキャラの集合体なので、もっと読みたい! そこは無念!
 
で、なんかやたらオーケンのネタ的な展開多いなあと思ったらストレートに出てきました。

これかー!

これですね。
校長もオーケンの髪型ですし、いやあ俺得。
 

ほんと、続きやってくれないかなー。
馬鹿は走ってHIGHになる(作者サイト)