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「ドリフターズ」の信長って萌えキャラよね。

織田信長、ジャンヌ・ダルク、ハンニバル……ぼくの考えた最強の偉人たちで国盗り合戦!『ドリフターズ』(エキサイトレビュー) - エキサイトニュース
 
エキサイトニュース書かせていただきました。
ドリフターズ 1巻 (ヤングキングコミックス) ドリフターズ 2巻 (ヤングキングコミックス)

いやー。ドリフターズ面白い。
読んだことない人には「キン肉マンっぽいよ!」っていう無茶な紹介の仕方をしていますが、知っている人からみたら「あの人物を自分流に解釈したらこんなにも面白い」の組み合わせの妙ですよね。
格闘ゲーム好きな人には「ワールドヒーローズみたいなマンガだよ!」って説明してます。
ラスプーチンがひげもじゃじゃなかったのは驚いたよ! まさかの美形だよ! 愛の伝道師じゃないよ!
にしても、廃棄物・エンズはキリスト教絡みなのかなーと漠然と思っていたのですが(アナスタシア、ジャンヌ・ダルク、ジルドレ、ラスプーチン土方歳三がそれだと説明できないんですよね。あんまり関係ないのかな?
それとも黒王様がミスリードなのかな・・・いやでもあの手の穴は・・・でもなー、ひっくり返しても面白いし、そのままでも面白いんだけど、エミール・ガレの杖なのが気になります。
 
で、それはまだ推測の世界なので置いといて。
ヒラコー世界の男たちは萌える、って話ですよ。
特に信長。
 

●信長をどう捉えるか●

日本人が好きな歴史上の人物の話題になると、坂本龍馬織田信長がよく上るようです。
以前テレビで見た時は一位信長、二位龍馬でした。
不景気だったり不安定だったりすると、信長みたいな人物像にすげー惹かれるのはわかります。かっこいいもんなあ、エンジンみたいな人だもんなあ。
まあ史実はいっぱいあっても、実際どういう人間だったのかの細かい部分は勝手に想像するのが楽しいわけで。
なんせ「第六天魔王」という呼び名かっこよすぎる。絵で残っているのはちょんまげですが、「戦国BASARA」みたいな豪快な魔王的なイメージがやっぱり強くなっちゃいます。多分信長が歩くと草木が枯れるとかそんな。
そんなわけないんだけどさ。
 
で、ドリフターズの信長はまさかの眼帯キャラ。
伊達政宗じゃなくて信長が眼帯とは!
しかも右だったり左だったりします。
(基本右、12話とか左)
実際に見えているのかいないのかさっぱりわかりませんが、傾奇者な信長に何を言っても仕方ない感じもします。
 
一応本能寺の変のシーンではちょんまげちょび髭スタイル、絵で見た信長スタイルですが、本編では眼帯+長髪+ワイルドひげというオリジナルスタイル。
まあ島津豊久の衣装のオリジナルなかっこ良さっぷりに比べれば、まだ日本人的な分ド派手ってわけじゃないんですが、ロンゲ50歳男児の凄みですよ。
 

●眼帯の男●

ちょっと眼帯のギミックについて適当なことを書きます。
豊久と与一は敵と真正面から戦って笑うやつらです。30と19だもんねー、若いよねー。
まさに2巻195ページですよ。
「これが怖いのよ、この時代のニッポンのブシは、同じ笑みで感謝と死が同居してるから!!」
人を殺してきた目をしています。
豊久なんかは正義漢で、ものすごいド真っ直ぐではあるんですが、人を殺すことに関しては罪悪感とかがありません。キラーマシーンです。
善か悪かがわからんのが平野耕太作品の面白いところですが、がっつり言い切ります「この世に正と邪があるならば、これは正ぞ」
首取り鬼とでもいいましょうか、さすが二の太刀いらずの一撃必殺。ここというタイミングで斬り込んで策も何も無しに首を取る。
彼の目はギンギランに開いて敵を見て突っ込んでいくんですが、うまいなあと思うのは豊久の視界めっちゃ狭そうなんですよね。
眼力で人を殺せそうなくらいなんですが、とーにかく倒す相手しか見てない。一巻表紙の目玉が特にそれを物語っています。周囲を見て戦うってより、ガシガシ相手の懐に突っ込んでいく。1巻83ページの「よう小僧ども」のコマなんか、彼が見ているの小僧じゃなくて斬り捨てる相手、さらにいえば切り捨てる相手の首ですもんね。すげえ目だ。

前しか見てない豊久の迫力ときたら。
ホークアイ与一はその点もうちょっと視界広め。でも平野耕太絵らしく、何かを見据える時は片目描画になります。これは他の遠距離系キャラも同じ。
それどころか、ジャンヌやジルドレのようなキャラも相手を睨みつける時は片目描写。片目で相手を睨みつけるケレン味、かっこいいんですよ。

ヒラコーおなじみ、片目アクション。実にスタイリッシュ。
 
だからこそ豊久の、ランランと開いた両目は異常な迫力を持っています。凄む時は片目描写になるんですが、決めの部分では両目。見下すとか見上げるとかじゃなくて、射ぬくような両目。
敵だけじゃなく、エルフ族に対しての両目の開きっぷりもすごい。斜に構えて片目かくれている与一と違い、豊久は裏表なさすぎで義を信じまくっているので、やっぱり両目。ギラギラしてます。

目がここまで語るキャラなかなかいません。
 
片目と両目の使い分けが印象的な平野耕太作品。
その中で眼帯をしているって結構異例だと思うんですよ、信長。
さっきも書いたように、右か左かにこだわりはあまりない様子。つまり「眼帯していることが大事」。
ギランギランに前しか見ていない豊久の逆で、片目でものすごい幅の視界を持っているのが信長。ニヤニヤした目もいいんですが、彼の視線は一歩引いたところから周囲をぐるりと見渡しています。
2巻208ページなんかが顕著。敵をがっちり見ている豊久や与一と違い、信長は敵そのものを見ていない。
じゃあなにを見ているかって言うと・・・あれですよ、国盗りするにはどうすればいいかっていう未来を見てる。
 
今信長は両目で敵をガチで見る必要がない。
極端な話、敵を見る必要がない。
ヒラコー流のケレン味が片目によって表現されるというのなら、最初から片目にしてしまっているのが信長。まさに傾奇者。
眼帯の下で彼が見ているもののほうが、豊久の見ている敵の首よりよっぽどこわいってなもんです。
そういう意味では、老いぼれた、しかし驚異的存在であるハンニバルも片目なのが面白いところです。
 

●斬り込まない信長●

多分ここがドリフターズ版信長の魅力だと思うんですが、信長は完全に後ろに回って策を練る側なんですよね。
奇術を使う超人ばっかりではなく、普通の人間である彼の奇策が戦記モノとしてこのマンガを盛り上げているってすごいですよ。廃棄物たちは力にまかせたゴリ押しですが、信長は頭脳を使って相手を堕としますもんね。
何度読んでも2巻の、死体を硝石にして火薬を作るシーンは強烈。見た目的には地味なシーンですが、信長の思考がいかに桁を外れているか感じさせられる名シーンです。
ジャンヌみたいに火を操ったりはできないけれども、信長の百戦錬磨から生まれる奇策の方がよっぽどなもんだよ。
 
ここからは萌えポイント。
信長、徹底的に豊久を立てます。
もちろんそれは信長が後ろに回って手を引くのを楽しんでいるというのもあるんですが、1巻にあるように息子の信忠に姿を重ねているから。

「ははは、バカ息子じゃ!! バカたれ、バカたれ。さっさと逃げれば良かろうに!!」
この時の信長の顔・・・ああ、お父さんの顔だ。
同じ顔を2巻120ページ以降でみせてくれます。
エルフの女達をなぶりものにした人間族をたたっきる義の豊久。彼のド真っ直ぐっぷりを見て、「手を真っ黒に染めるのは俺でいい」と豊久を殴って気絶させるシーン、ここ最高にいいですよ。
 
豊久に悪口言ったりしてますが、もう豊久かわいくてしかたないようにしか見えないよ、信長!
本当に前しか見てなくて、若気の至り(といっても30ですが)の猪突猛進豊久を息子のように立て、彼のメンツを保とうとして汚いことは徹底して自分がやっちゃうあたり、なんというか自分でも贔屓目な感じがしますが、もう親ばか的にかわいい。

もう愛だよねえ。愛ですよ。
豊久が信長を殴ったあとの「ケンカではなか」「うむ違う」のやり取りとかキュンキュンきますね。
 

「殺す!さもなくば死ね!」という豊久と全く違う信長。
刹那的ではあるんだけど、もっとロングスパンで国盗りを楽しんでいる信長。「さもなくば死ぬ」って気はなさそうです。むしろどうやって生き延びてやろうか画策してます。だってさっきの硝石だって、二年はかかるって言ってたもんね、二年は生きるんだよね。
この瞬間を生きる豊久と、長い目で見ている信長の関係、それをニヤっと見つめる、ある意味ホントは最長老の与一という関係が堪らないんだなー。
うまいバランスの三人組だと思います。今後ドリフターズは増えるはずですが、どんなヤツが来てもこの三人の核はもう絶対変わらないな、という確信すら感じます。
いやはや。信長大好き、男惚れ。

好きなセリフは「なにこれすごい、これくれ、ちょっとローマ滅ぼしてくる」です。