たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

眠れない夜、お金払ってでも話したくなるのはなんなんだろうね「オヤスミ・フクロウ」

 
人見知りの女の子が、夜はライブチャットで稼いでる、という話。
……なんて聞いたらさー、「エロいね、エロいのだね!」って思っちゃうじゃないですか!
うん、ぼくはライブチャットってのをそもそもよくわかってなかった。
ライブチャット=エロ、ではないのね。
 
ヒロインの女性、吉岡聡子は20歳の図書館司書で、極度の男性恐怖症。話すことはできないし、ちょっと触れただけでも逃げ出したり突き放したりしてしまうほど。
そんな彼女が夜にやっているのが、ライブチャットのお仕事。
WEBカメラの前に座って姿を見せながら、マイクでおしゃべりの相手になる仕事です。
相手の男性は文字でも音声だけでもカメラを使ってもOK。2ショットチャットですね。
 
で、こっからがぼくのよく知らない世界。
2ショットチャットってエロいのばっかりだと思っていたら、彼女のやっているのは「ノンアダ」と言われるエッチなお願い(おっぱい見せてとかパンツ脱いでとか)禁止のライブチャットなんですよ。いうなればインターネットキャバクラ。
これが1ポイント100円で、1分話せる。1時間で6千円。・・・高いな!
えっ、普通のキャバクラとか行けばいいんじゃないの? しかもエロなしでしょう? と思うんですがそこが違うところ。
 
なぜ男性達はアダルトに行かず、ノンアダにお金を払ってやってきて話をしたいのか。
なぜ男性恐怖症の彼女がわざわざこの仕事をやっているのか。
お金は何の対価として支払われているのか。
このあたりを非常に丁寧に描いているので、これがめちゃくちゃ面白い。
まーぶっちゃけていえば、エロい展開を期待して買ったので、そういう意味ではそこまでエロくはなくて期待とは違ったのですが、逆に思いもしない所で楽しませてもらいました。
 
うまいなあと思ったのが、最初の方で男たちの欲望が渦巻いているのを出してしまっている所。
最初から「ライブチャットのちょっといい話」だったら、そこまでぼくはグッと来なかったと思います。
違うんですよ。
いうなればなんでしょう、ぼくが最初に持っていた感覚と同じというか。
ライブチャットってエロいんでしょ?」っていう男たちがわんさか出てくるんですよ最初の時点で。
チャットガールをやっている時の聡子の名前は「ナオ」です。
ナオがログインするとメールが届いているんですが、中には「ナオちゃんのおっぱいにザーメンいっぱいぶっかけたいな♪」とかみたいなのがわんさかあるんですよ。
送る側のテンションもわからんではないですよ? でも受け取る側視点だと「うへー」ですよねえ。知らない人からそんなメールもらって興奮するわけないっつうの!話したいって思わないっつうの! ・・・でも送っちゃう人がいるってのはわからんでもないんだよなあ、男って本当にねえ。中には自分のオナニーを会話もせずにカメラに写して見せる人も。
 
どこまでがライブチャットの現場の現実かは知らないですが、「いい人の集まる場所」ではない、ってのは最初に明示しているんです。
むしろ問題が起きそうな場である可能性が高い。嫌なことも多い。
その上で! その上でナオが、聡子がチャットガールをやっているというのが面白いんですよ。
彼女はもちろんそういうセクハラ行為を嫌悪しています。男性が好きでやっているわけじゃないのです。
 
現実世界でも、オンラインでも、男性の嫌悪してしまう部分を、聡子の視点を通じてがっちり描いています。
それでも彼女はチャットガールとしてPCの前に座ると、全く違う自分になります。
変な人も多いけど、逆に・・・そう、お金を払ってまでして女性と、エロなしで話がしたい男性がいる部分が描かれていくんです。
もちろん「女の子と話がしたい」という欲望は前提として存在します。そういう仕事の話ですしね。
けれどもエロ行為がしたいんじゃない。女の子と話すことで癒されたい男たちの様子が少しずつ垣間見えてきます。
 
彼女はお金のためとか、そういう男性を救いたいから、とかそんな目的でチャットガールをやってるわけでもないんです。
これは実際によんでもらったほうがいいと思うので書きませんが、男性嫌いでちゃんとした仕事持ちの子がわざわざ夜にこの仕事をするのには当然理由があるわけです。
本人も最初何故かよくわからないでいるんですが、途中から出てくる「アダルト」の方のチャットガールのるぃという女性と邂逅することで事態がガラっと変わります。価値観そのものが変わります。
るぃはナンバーワンアダルトチャットガールで、自分の体を、性を見せて売り物にします。数多くの男たちがそれに群がります。値段はノンアダの倍。一時間1万2千円也。すごい世界です。
しかし性を見せ者に、丸裸になっているるぃ側だって、この仕事をしているのにはワケがあるわけで。
同じ近い世界だけど、求めているものが全然違う二人の居場所。でも最終的に人間男女ともに求めているのは「コミュニケーション」。
 
実際に触れることのない世界で、お金を通じながら時間を買う、性を買う、売る。
この不思議なやりとりの中で、間接的だからこそ見えてくるコミュニケーションの本質が浮かび上がるマンガ。
タイトルがいいんですよ。「オヤスミ」かあ。寝る前に女の子とただ話して、安らかに寝られればそれは本当に幸せだろうなあ。
 
にしてもこのマンガ。
おっぱいの描き方めっちゃいいですね。

ヒロインのナオがねー、太眉なのが最高なんですよ。ぶっちゃけそれで買いました。
ただ、普段メガネをかけているんですもの・・・ライブチャットでもメガネをかけてほしいな!というのはぼくの願望でした。それが見たかったらナオのチャットにお金を払えって話ですね、はい。