たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

ぼくらのブルースは、いつだって哀しくてちょっとだけ楽しくて「ちゃりこちんぷい」

僕らは馴染めないからブルースを弾くんだ『ちゃりこちんぷい』(エキサイトレビュー) - エキサイトニュース
 
エキサイトニュース書かせていただきました。

いやあ、ぼくもブルース詳しいわけじゃないんですが、このマンガいいですよ。
表紙でわかるように、持っているのがメタルのリゾネーターギターなんです。

<リゾネーターギターとは>
エレキギターが出る前に、ギターの音をでかくするために円形のアルミニウム共鳴板を貼ったアコースティックギター
ドブロ社製が多いので「ドブロ」と呼ばれることも。


これは同人誌「ROCKei-ON」にリチャード・クレイジーマンさんが描いてくれた唯のリゾネーターギター絵。
指につけているのはスライドバーです。弦の上を滑らせたりビブラートさせたりします。
これだけで気持ちよくなっちゃうんですが、そもそもブルースって何よ、ってところをまずおさえておきたいわけです。
・・・でもぼくはよくわからないので、こういう時はウィキペディアさんに聞きましょう!
ブルース - Wikipedia
はい! 難しい!
まあでも「ブルースについて正しく教えてください」と言っても多分答えなんて無いのが正解。もちろん音楽ジャンル的には「ブルース」は存在するんですが、もっと感覚的な部分でいうと「憂鬱=Blueな気持ちを歌った曲」が一番的確でしょう。
例えば作中にも出てくる「Death letter」。

今朝早く手紙が届いた
なんて書いてあった?
「急げ急げあのコが死んだ」
大勢が立っていたよ、埋葬所のまわりに
下ろされた棺に気づいた
あのコを愛していたと

Son House。
もうやりきれないことこの上なしの歌詞ですね。(訳は原作の坂井音太先生)
どうにもならない、やりきれない、どうしようもない、どうこうできない。
そんな諦念の中に「まあそんなもんさな」といってタハハと笑う。それが「ブルース」。
 
高校生達は人の死のようなデカイ絶望には直面しませんが、彼らなりの憂鬱はあります。
対人恐怖症で話せない。一年年上で距離を置かれている。クラスのバカ達と馴染みたくない。
ああ、憂鬱だなあ。
表紙のヒロインまれちゃんも、可愛い顔して憂鬱を心にがっぽり抱えたコです。
「あれ、ばくげっきかな……。もしばくげっきが爆弾落としたら、きっと学校もめちゃめちゃになって、みんな死んじゃう。ひゅー。ぼかーん。……落ちないかな。」
理由は? と聞くのは野暮です。そういう気分なんです、それが憂鬱ってものでしょう。
しかし彼女は放課後笑います。
ブルースがあるからです。

月曜日の気分は荒れもよう
でも火曜だって同じくらいひどいわ
水曜はもっと悪くて
木曜も負けないくらい哀しいの
金曜にはワシが飛んで
土曜には遊びまくる
そんでね日曜は教会に行って
跪いてお祈りするの
ねえ 神さまお願い ゆるしてね
いいじゃん神さま ゆるしてってばさ

これはT-Bone Walkerのですが、作中のはEarl Hines,Billy Eckstine and Bob Crowder。
「Lord have mercy on me!!」(神さま許してね)
これを声に出し、憂鬱を共にする仲間で音を合わせ、歌う。
だからと言って何かが解決するわけじゃないし状況が変わるわけでもない。そんなのは彼女たちもわかっています。
でもね、一緒にこれを歌えることが「なんとかなるさ」と憂鬱をぶっ飛ばす。
それがブルース。
 
このマンガは高校生の、攻撃的というほどでもない、けれども哀しくなったりやりきれなくなったりする思いを吹っ飛ばすブルースを詰め込んでいます。
基本的に放課後のブルースタイムをメインにかいているのでのんびりした作品に見えますが、その根にあるのは上に書いたまれちゃんの想像のような、ガツンとくる憂鬱です。
音楽でつながる楽しさ、ではなくて、憂鬱を昇華するブルース、のマンガです。

Mojoブードゥー教の呪術。
儚い思いを叶えたいんだよ!と歌うこの曲も、結局ちっともうまくいかない。
うまくいかないからブルースで歌うしかないじゃん。

呪いをかけても あんたにはちっとも効かない
呪いをかけても あんたには効かなそう
あんたをムチャクチャにしたいんだけど
どうすればいいのか分かんないの

 
男臭さはない、割りと明るく楽しい雰囲気あふれるマンガですが、だからこそその裏にある彼女たちの憂鬱がポロッと出た時の衝撃がでかいです。
でも、だからこそ音楽をやる。
いいんじゃないかな。そういうの大好き。
玉置勉強先生の画力もあって、画面から音が聞こえてきそうないい音楽マンガです。
そして興味がわいたらブルースの名曲を聴き漁るのも一興。
続きが気になると言うよりも、次に彼女たちが何を歌うのかが楽しみなマンガです。

太鼓だめですかー。そうかー残念。
リゾネーターギターの音は生で聞いた事無いのでぜひ体験してみたいですね。