たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

アイドルって一体何なんだろう。「アイドルマスター」25話


∩(>ヮ<)q<セーブしよー!
愛ちゃんはかわいいよね。突撃豆タンク。
 
さて、すごい久しぶり(と言ってもニコニコでは放送終わったばっかりですが)にアイマスの感想です。
最終回が終わって、余韻に浸る間もなく冬コミ→仕事ラッシュのコンボで悶々としていました。
最終回結論から言えば「すごくよかった」なんです。
でも「すごく」とか「よかった」って曖昧な表現じゃないですか。
なにがすごいの? なにがよいの?
それがわからない!
分からないまま悶々と過ごしていたんですが、以前紹介した「キャラメルfebri」の記事や、多くの人の意見を見てだんだん分かって来ました。
この作品のすごいところは簡単にまとめるとこれ。
主題を描くために、あらゆるものを散りばめ、最後にきちんと集約していること。
その集約されたのが最終回と、その前の24話。
じゃあ主題って何よ?
ひとつは「擬似家族」
もうひとつは「アイドルとは何か」
 

●見えてるよ。●

 
これは13話のワンシーンです。

本当だったんだー。昔、お父さんに連れてってもらったコンサートでね、私一番後ろの席に座ってたんだ。そしたらね、ステージ上のアイドルが、一番後ろの人もちゃんと見えてるからねー、って。本当に見えるんだねー。私今日は一番後ろの人も、一番前の人と同じくらい楽しめるライブにしたいな。

春香は13話のライブ前に、そう言いました。
しかし、この時はそれどころじゃない、伊織たちが台風で遅れるという事態が生じてしまい、そこまで気を回しきれませんでした。
ところが最終回のライブで彼女は言います。
 

後ろの人も、ちゃーんと見えてるからねー!
三階の人も、ちゃーんと見えてるからねー!

色々な事件がこの間にありました。961プロのこと、千早のこと、挫折、Pの怪我、そして再出発。
だけど春香は、変わってなかったんです。
子供の時に「一番後ろの人もちゃんと見えてるからねー」と言ったその言葉、そのままここで言うんです。
 
23・4話で「変わること」と「変わらなくていいこと」を全員が確認しました。
賛否両論あると思うのですが、「変わらなくていいこと」はあると思います。
それは幼い頃の夢だったり、大切にしている大好きなことだったり、家族だったり。
今、765プロは「家族」になりました。
客観的に見たらこのライブを後に765プロはバラバラになって、個々に仕事に励めばいいんじゃないの?と思えるんですが、そうじゃない。家族はどんなに離れていても家族。帰る場所。だから彼女たちは、もしかしたら個々の仕事に励むかもしれないけど絶対765プロの仲間の元に帰宅する。
そして、春香にとっては観客も家族です。
幼い時に見た光景を、今度はステージから見ている。765プロを応援してくれる人達がいる。
ここに、帰ってくるよ。
決意のような、確認のような「ちゃーんと見えてるからねー!」なんです。
 
もちろん本物の家族ではありません。本物の家族は別にあります。
けれども、自分を確認するもう一つの場所として、765プロとファンのいるこの「場」こそが家庭です。
ちょっと面白いのがここです。

なんてことのないシーンなんですが、プロデューサーが全員の名前を呼ぶシーンで、なぜかやよいだけが笑顔になるんですよ。
他のキャラは動かないのに。
これは邪推なんですが、やよいは家族を非常に大切にする子です。家族に対する思い入れが極端に強い子、とも言えるでしょう。千早とはまた別の意味で。
そんな彼女が、わざわざここで特別に笑顔になるというのが何もないわけない。
彼女は、語彙が多い子ではないです。直感的で、表情や態度で表現する子。ならばなおのこと。
やよいにとってこの765プロは、この瞬間家族だと再認識できたんじゃないかと思うんです。
千早なんかははっきりと口で言ってますものね、「家族」だと。

この擬似家族に父親や母親はいません。
まー、あずささんがおねえちゃん、やよいや亜美真美が妹みたいなところはあるかもしれませんが。
じゃあプロデューサーは?
ゲームやっていた人やアニメ見ている人ならわかると思いますが、この作品ハーレムものではないわけじゃないですか。プロデューサーがモテモテになるわけじゃないし、かといってプロデューサーがみんなのリーダーになるわけでもない。
彼がやっているのは、ちょっと背中を押すこと。千早にしろ、春香にしろ、美希にしろ、みんな全員、何かしらもう答えになるものはわかっていて、その踏ん切りがまだ若いからつかない。そこで「大丈夫だよ」と背中をぽんと押すのがプロデューサーの役割でした。
いなければいけない存在ではあるけれども、24話のようにいない中で彼女たち自身が歩かないといけない。
かなり特別な立ち位置です。けれどもギブアンドテイクで損得があるからできている関係ではないわけですよ。家族って。信頼している、一緒にいたい、それだけです。
プロデューサーは彼女たちにとって欠かせない存在。大切な助言者。
であると同時に、この段階に来て「ただ、いて欲しい」家族になっているのは、25話まで積み重ねてきた結果です。
 

●アイドルってなんだろう?●


春香が美希に「アイドルってなんだろうねって話したことあったよね」と言うシーン。
これもかつてだったら考えられないシーンですね。いやまあ春香さんは割りとあまり考えずにすぐ話す方なので、こういう話題自体は何度も出てきてはいたんですが、美希を一人の、信頼のおける相談相手として話すようになったのは、ミュージカルの舞台で本気でぶつかりあった仲だから。
美希も最初そう切り出されて、ちょっと驚いて「う、うん」というんです。これでまた、二人の関係が深まるのが面白い。
 

今は自信をもって、こうだって言えるよ。私、やっぱりみんなと同じステージに立つ時が一番楽しい!
ファンのみんながいて、765プロのみんながいる!
私は、この瞬間が一番アイドルなんだって思うんだ。

春香にとっての「アイドル」。
それは誰かのためにどうこうするんではなく、自分の中で、みんなと最高のものを創り上げながら楽しいことを見つけ、共有していくこと。
これが答えかどうかというと、難しい部分はあります。でも「春香にとってのアイドル」はこれでいいんです。

「美希も、それでいいんじゃないかなって思う!」
キラキラしていたいと努力する美希の中の「アイドル」はもちろん別です。
しかしそれはそれでいいんです。春香が見つけられたことが一番重要だからです。
 
アイドルってなんだろう?
これはアイマスが一話から最終話まで追ってきたテーマの一つでした。
その答えの一つが春香のこのセリフではあるんですが、個々全員に何らかの答えがあるのがこの作品。
 
伊織なんかは、直接的に大きなエピソードはないけれども、重要な部分でちょくちょく出てくるので分かりやすいですね。
自分のためみたいなわがままを言っているようで、ある意味もっともサービス精神に富んでいる子だと思います。
これはカメラがぐるーっと回って全員を撮影するシーンなんですが(この動きは異常なので必見!)、伊織がそのカメラに向かってピースしている、これって「アイドル」ですよね。少しでも喜ばせたいし、自分も輝きたいんです。

ファンはキラキラ輝いている彼女たちが見たい。
彼女たちが本気で、真剣になっているのを見て、そこからエネルギーをもらいたい。
 
13話で春香はこう言いました。

今は、お客さんにどう見られるかより、自分たちが何を届けたいか考えることにしない?
私達ずっと大勢のお客さんの前で歌うことを目標にやってきて、やっと今日その夢が実現できてるんだよ?
ちょっとくらい不恰好でも、自分たちができることを会場の隅から隅まで届けようよ!
あれだけみんなで練習したんだもん、きっと、届くよ!

この言葉、「キャラ☆メル Febri」のインタビューでも、中村繪里子さんと今井麻美さんが言っていた言葉にかぶさってきます。

中村「努力することと愛されることのバランスが取れてる状態かなって。努力してても、認めてもらわないと駄目だし、なんの努力をしなくても愛されることってあると思うんですよ。赤ちゃんとか。でも、何かを伝えていくには努力なくして語れないと思うので、それが両方備わっていることかなと。人というか、そういう状態、それを目指す心のことかなって」

今井「集いの場かなって思います。そのアイドルがその場にいるから、周りに人が集まってくる、その場所を明確にしてくれるのがアイドルなんじゃないかって。それはファンもそうだし、支えてくれるスタッフもそうだし。この子の笑顔が好きだとか、容姿が好きだとか、歌が好きだとか、いろんな入り方があると思うんですが、そこに入ってきて感情を差し出してくれるから、アイドルとして成立するとは思うんですが、その場を生み出すのがアイドルだと思うので、なるとかならないとかではなくて、現象なのかなって」

努力をして、認められる心の状態。
人が感情を伝え合っていく「場」。
答えは異なっていますが、この二人の答えはアニメ版アイマスにおける「アイドル」の存在に大きな影響を与えています。
  
なぜ、彼女たちはファンに愛されたのか。こんなに笑顔でいられるのか。
多くのファンが、弱小プロダクションで無垢な彼女たちにこうしてついて来ているのか。

今井「人間が感動するっていうのは、その空気が伝わるか伝わらないかだと思っているんですが、自分が感動するときっていうのはそこから発する何かしらのエネルギーを感じているから何だと思うんです。そのエネルギーを私たちもアニメを通して一話から詰め込んだつもりでいるし、それを受け取った人がいてくれるから、アニメがすごく良かったって言ってくれる人がこんなにたくさんいるんだろうなって思っていて」

もしこの二人の言葉を借りるなら。
アニメ版アイマスは、そのままこの作品が好きな人にとっての「アイドル」だったことになります。
 

●この憧れはもっと、いつまでまでまでも●

夢と憧れの体現者になった765プロのメンツを浮き彫りにする重要キャラが、この子。

りっちゃんです。
律子はかつてアイドルで、今はその道を捨てて、プロデューサーとして活躍しています。
これは彼女が選んだ道。なんの後悔も持っていません。
18話でプチピーマンさんが、アイドルであった彼女の引退を嘆かずに、彼女が選んだ道を応援し、彼女が夢を託した竜宮小町を応援するようになったのは、何度見ても泣きそうになります。
ぶっちゃけ、ぼくがこのアイマスを本当に傑作だと思った理由の一つは、プチピーマンさんの存在だったりします。彼がいるから、この作品は成立しているってくらい。極めて大きな「ファン」の視点をになったキャラでした。
プチピーマンさんや、りっちゃんが765プロの子達に夢を託すのは、やはり彼女の中に「アイドル」像があるからです。
 
最初アニメはじまった時、不満だったんですよ。
りっちゃんアイドルじゃないのかと。1準拠じゃなくて2準拠なのかと。
なんかそれって寂しいなと思っていたのは、全部吹っ飛ばされました。そうか、律子は律子なりに考えて、アイドルとは何かを模索した上でここにいるんだ。
春香や他の子達はまた違うんですよね。春香が言っていたように「みんなで楽しいって思えること」をエネルギーに変えて送り出したい。
ならば。

りっちゃんも家族の一員で、仲間でいてくれないと!
もちろんこれは律子が望んだ状態ではありませんが、765プロのみんなが望んだ一つの「アイドル」という場なんです。
印象的なのはこのカット。

終わった後に、みんなはすごい笑顔でファンに手を振っているのに、一人感極まりすぎて呆然としているんです、りっちゃん。
ここで泣いてしまった律子のプロデューサーさん、多いんじゃないでしょうか。
プチピーマンさんもきっと、喜んでいるはずだよ。
765プロのみんなが求めている「アイドル」という場。
律子の思い描いている「アイドル」の姿。
それはちょっと違うかもしれないけれども、最終的にはひとつの頂点に達した時、同じになるんだよって。
これこそが、アニメ版アイマスの描きたかったことなんじゃないかと、ぼくは思うんです。
 

●希望乗せて微笑みを、届けに行くのでしょう●


アイマスの「みんなで」という感覚は、非常に繊細なバランスの上に成り立っています。
先ほどの中村先生の言葉を借りれば、努力しても認められないこともあれば、そうじゃなくても愛されることがある。
人によっては彼女たちの輪は「甘え」に見えるかもしれませんし、否定はしません。
けれども彼女たちは今笑顔で微笑み、手をつないで、そしてみんなに受け入れられ感動のエネルギーを分かち合った。
ならば彼女たちは「アイドル」といっていい。
伊織や美希のように「みんなの前で輝きたい」「みんなを喜ばせたい」という子もいれば、「喜びを、楽しさを全力で伝えたい」という子もいます。
その顕著たるキャラが千早だと思います。
 
これは想像のシーンではありますが、こんなに笑顔で歌う彼女が見られるなんて!
彼女が20話で苦を乗り越えた時にも強烈にいい笑顔を見せてもらいましたが、それを遥かに上回る笑顔!
私は歌が好き。私は歌いたい。
そんな純粋な思いが噴出し、こんな顔を見せられたら……こっちまでグッと来るじゃないか。

彼女に何があったかは視聴者のこちらはわかりますが、観客のファンは知らないわけです。
でも彼女が乗り越えて、そして心の底から幸せを感じて歌っているというのは伝わっています。
もうそれで十二分なんです。希望を乗せて微笑みが届いたんです。
キラキラと輝くのに必要なのは、本人達が幸せを、感動を持っていること。

感動している人、喜びを感じている人から出るものは、最高の喜びと感動を伝えるだけのエネルギーを持っている。
それが「なに」なのかはわからなくても、見ていて引き込まれるもの。
このキラキラ光るものは、ファンのサイリウムの再現でもあります。
彼女たちは個々に活動していても、みんなで集まって、律子も含めて、みんなで「アイドル」。
「アイドル」はみんなの希望を運んでくる、笑顔を届けに来る、感動を注いでくれる。
 
視聴者の代弁者はこの人でした。
 
ほんと……この作品はずるいよ!
こっちがずっと泣かないようにガマンしてるのに、ここで小鳥さん泣いたら爆発するじゃん!
20話のときのPの「やった!」と同じだよ!
ああもう!
すばらしいカットだよ。
小鳥さんの中にも「アイドル」というものがあり、彼女はアイドルそのものになる道を選ばず、サポートに回る人生を送っています。そこにはなんの不満も後悔もありません。
彼女が泣いた。なぜか。みんなの苦労を知っているからでもあるし、自分が見ていたひとつの「アイドル」の形を目にしたからでもある。
でももっとそんなもんじゃない。
今彼女たちのライブから、強烈な、抑えきれないくらいに強烈なエネルギーが噴き出しているんです。
それを目の当たりにして、小鳥さんは激しく感情を揺さぶられた。
ぼくもね。同じ。同じだよ。
 
言うのが遅くなってしまいましたが。
感動のエネルギーを、ありがとう。
本当に素晴らしい作品でした。序盤のんびりした話でゆったり楽しめるのかなーと思っていたら、怒涛のように後半全てが結集し、一つになっていくのを見て背筋がゾクゾクしました。
とんでもない作品に出会えました。
一人のアイマスファンとして、こんな素晴らしいアニメ化に立ち会えて幸せです。
アーケードでプレイしてからもう長い時間立ちますが、その間に好きであるがゆえにいろんな複雑な感情もいだきました。
けれどもアニメでこうして一つの道を見ることができて、アイマスに出会えてよかったと心から言います。
 

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で。

ニコ生では「二期やりたいですよねー」なんて話してたりしましたが、どうなんでしょうね。
あったら楽しみではありますが、例えば上のカットのようにもしそこに恋愛感情が絡んだりしたら、ゲームのエンディングをなぞった場合もう色々と複雑なことになってしまうわけで!
いや、まあ今はウン、あまり考えず余韻に浸り続けようと思います。

千早がこんな顔できるようになったんだもの。
いいよね。それでいい。
楽しかったよ! アイドル達!
 
でもまあ、CDなりマンガなりゲームなりアニメなり、今後に期待をこめつつ。

セーブしたよー!>∩(>ヮ<)q
アリーナ楽しみです!!!
 

  
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