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蘇秀梅かわいいよ道士かわいいよ蘇秀梅「ネクログ」三巻

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エロティックチャイナゾンビファンタジー「ネクログ」三巻のピン表紙が、まさかの菅(チェン)
えっ!?
 
ネクログ(1) (アフタヌーンKC) ネクログ(2) (アフタヌーンKC)
今までだってピンだったのは、救いたい大好きだったお姉さんキョンシー白杏(パイシン)という、ヒロイン格だけだったのに、まさかここにきて主人公たちのライバルに当たる菅がピン表紙。
しかし中身を読むとわかります、なぜ彼女(彼女?)が表紙なのか。なぜ彼女が執拗に主人公たちを追い続け邪魔ばかりするのか。
むしろ二巻では菅は本当にうざったいくらいのキャラでしたが、三巻でひっくり返りましたね。一気に超魅力的なキャラになりました。

これはもうー。
もうー!
まあ中身は女の子かどうかは微妙なんですが(女の子の形をとっているだけ)、それでもこのシーンのために菅というキャラがつくられたんじゃないか!?って思うくらいなんだ。これを見てから表紙や、今までの菅の様子を見ているとニヤニヤしてしまいます。
かわいいよね。
 
で、申し訳ないのですが菅の話はここまで。
ここから先ぼくはですね、蘇秀梅(スーシウメイ)の話しかしません!
まず、蘇とは何者か?!

具体的に言うとかわいくて、おでこがチャームポイントな見習い道士でかわいくて、人見知りな性格でこのコマのように必ずどもるクセがあってかわいくて、敵討ちのために凛として戦い続ける哀しい運命に抗いながら自分の信念を貫こうとするかわいい子です。
物語的には非常に重い、人間の命の在り処に対してこだわるべきなのか、それとも生きているのであれば死を受け入れるべきなのか、というテーマを物語る重要なキャラなんです。
ですが、ひと通り流し読みしてもうこの子のかわいさに手も足も出ないんですよ!
出ないんですよ!
 
熊倉隆敏先生という作家さんの強烈な個性の一つが、物語本筋そのものに直接関係ないところに練りこまれたフェティッシュだと思うんです。
上のコマでもわかりますよね。わかって。
蘇自体は露出度の高いキャラじゃないんですが、彼女の一挙一動の細かな動き、手首や足首のか細さ(でも鍛えられているふくらはぎ!)、そしてヌード以上にエロティックなおでこ。
このこだわりはちょっと尋常じゃないですよ。表紙の菅の脚もたまりません。菅もあんま露出度自体は高くないんですが、ロリコン心くすぐりまくりな幼い動きがエロいんだよー。
逆に露出度の高い白杏はそんなにエロくないです。これもわざとだと思います。死んでいるから魂が宿っていないんですよ。アクションシーンでは猛獣と化しますし、普段も感情が存在しないので、エロいのにエロさをあえて感じさせない。
菅や胡はその点、感情をもって動いているのでかわいらしさががっちり描かれています。まあかわいいとはいっても仮の姿ではあるんですが、……あれですよ、ホンモノじゃないからこそ少女らしいんですふたりとも。演じているがゆえの、というか。
 
白杏がキョンシー(死体)、菅と胡が仮の姿であるとして、そうなってくると蘇はメインキャラでは唯一の生身の人間女性なわけです。
白杏は完璧な動きをこなします。ロボット同然、操り人形だからです。
菅と胡もまた、はっきりとした行動原理を持って動いています。それがなんなのかは読んでもまだ解答が明確じゃないのが面白いしこの作品の深みなんですが、なにせバトルシーンでの完璧っぷり、隙のなさは人をはるかに超越しています。
でもね、蘇は人間であるがゆえに、色々不完全なんですよ。
人間は元来不完全ですが、そこに拍車をかけて不完全であることを明確化しているから蘇はかわいいんだー。
親しみやすい、というほうがいいのかも。
 
主人公にあたる宋(ソン)も人間の男性。割りと感情で動く、根性型のキャラです。
白杏を人間に戻すために反魂の法を追う人生を送っていますが、1・2巻では結構……かなり人道から外れた行為にも手を染めています。
それがいうなれば人の命に接触する「覚悟」。

それに対して、蘇は猛烈に反対するんですよかわいい。
仇討ちはすっごい気持ちがわかる。殺したいくらい憎いやつがいて、そいつに刃を向けられる瞬間がきた。
でも出来ない。
これって「完璧」じゃないわけですよ。そもそも完璧であればどうするのが一番効率的なのかを分析します。胡がそういう性格です。しかし蘇のとる行動は効率的じゃなく感情的です。
感情的だ、というのは非常にバランスの悪いことだというのがこの作品では語られてもいます。
他にも色々なキャラが出てきますが、大抵の人を超えたもの達は大体、何か目的があったらそのためになんでもするんですよ。だから恐ろしいんですが。
宋はギリギリ踏み落ちている状態です。胡の行動についていっているのも、蘇らせたいという根性だけではなくちょっと理解ができはじめているから。
蘇はギリギリ踏みとどまっている状態です。だからこうやって涙ながらに訴えます。
これが彼女の最大の強さであり、弱さ。
 
実質蘇は強いんです。

他のキャラに比べたらそうでもないとしても、人間ではかなり強い部類に入ると思います。
これを、感情を殺してできたら、の話ですけれども。
まあそううまくいかないよね。できないですよ、人の道を逸脱して強さを求めることが。
これが彼女の、魅力ですよ。
 
宋は最初読者側でしたが、今はフラフラとうろたえながら道を踏み外しはじめています。
それに対して蘇が限りなく読者の感情に近い側にいます。
気付かないうちに宋に対して恋心をいだいてしまい、それに気づいていないというのも彼女らしい不完全さ。かわいい。
このシーンもめっちゃかわいいんだー。

菅は宋・胡側からしたら本当に迷惑で気まぐれなヤツにしかみえない(というか読者にも2巻ではそうとしか見えない)のですが、ちゃんと彼女の本質をわかっているんです。一番上の画像の部分、見抜いているんです。
「そう……感じます」と、明言はせずともフィーリングで言っているのがいいんだ。それそれ!その「なんとなくそうおもう」のってすごく人間くさいかわいい!
そこに加えて「む」の表情よ!
頑固でもあるんですが、迷いながら自分の信念を必死に探している、裏表のないのがいいんです。
怒ったら露骨に怒る。
嬉しいと感じたらそのまま嬉しがる。
悲しかったら泣く。
表情は基本「困った顔」ですが、そのベースから外れない中で非常に表情豊か。なんか色々矛盾してそうですが、困り顔表情のまま表情コロコロ変わるんです。微妙な差で。これはよんでほしいです。
 
ここまで見て来てわかると思いますが、蘇の最大の特徴はずっと赤面していることなんです。
これなー! あざといよなー! かわいい!
赤面する女の子が嫌いな男子なんていません!
これも実はギミックが面白くて、照れているからばっかりじゃないんですよね。
緊張するから赤面する。
怒るから赤面する。
困るから赤面する。
単に頬が赤いだけじゃなく、呼応する出来事が彼女の周りに必ず起きている。それに対しての赤面なんです。
結果的に赤面がアイデンティティになるというキャラにしあがり、彼女のぎこちない仕草との組み合わせでとんでもなくかわいいキャラになってしまいました。
熊倉先生はこういうのは「もっけ」の頃から本当に鬼才ですわ。
こういうと語弊あるかもしれないけど、菅といい蘇といい「かわいい」を描くために周囲のシチュエーションを統一化しているようにすら思えるシーンたくさんあります。
 
ぼくのオススメのシーンはここです。

うーん……ナイス尻!
「負ける」「やられる」という点でも他の女性(の形をした)キャラがそもそもやられないので、被虐は彼女が一手に背負っています。
結果、最も露出度が低くて、最もエロティックなキャラになりました。
 
エロいエロいと言いすぎな気がしますが、そもそもエロいっていうのは「生きている」ことの証。
人間として生を持っている彼女にそのほのかなエロが見え隠れするのはある意味当然なのかもしれません。
余談ですが、赤面しまくっている彼女、実は二段赤面をします。
この上さらに赤面するとか、かわいすぎだとおもいます。
おわり。
 
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