たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「ねえ、あなた私が報われない子だから好きなの?」

片想いヒロインへの愛と片想いヒロインが大好きなことへの罪悪感 - さよならストレンジャー・ザン・パラダイス
 
さっきこの記事を読んでいて、うわーってなりました。
そうよそうなのよ。好きなキャラが、一途で一生懸命で、だけどきっと報われない、というのが分かっていると、そこが愛しいんですが……それってすごく残酷なことなんだよなーと。
「不憫萌え」という言葉でまとめると簡単なんですが、萌えともっと違う感情なんですよねえ。
それは恋でもあるんだけど、じゃあぼくはその一途に思っている女の子と付き合いたいかというと、付き合いたいけど、なんかちょっと微妙に違う。
自分もずーっと抱えていたジレンマだったので、ちょっとよもやまに書いてみます。
 

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まず、最近新刊のでた「かんなぎ」。

やっぱり面白い。すごいシリアスな展開になっているんだけど、振り上げた拳でなぐりかかったらノレンだったみたいなスカしかたが上手い。面白い。しりげや。
武梨先生お大事にしてください。
 
さて、ぼくは「かんなぎ」のつぐみがもう滅茶苦茶天元突破究極臨界大好きなんですよ。
ショートカット、太眉と見た目も好きですし、幼馴染で色々世話焼きなんだけど実は仁が好きで、というのも素晴らしい。そして意外となんでもできそうであんまりできないのにお姉さんぶって仁に振る舞うという背伸びっぷりもかわいい、かわいい! かわいい!!
6巻が出た時は「はにわルックで残念」という人が多かったですが、ちゃう。
はにわルックでこそのつぐみであろう。
ああたまりません大好きです。
 
つぐみは今回の巻では、大騒動になっているナギと仁のことを最初知らなくて、いつもの日常を送っているわけですよ。
ただ、ちょい微妙なのは「仁がナギのことを好いている」のをぼんやりと感じている、というところ。

学校で仁のことを考えてやきもきするつぐみ。
彼女はね、あくまでも自分を「仁の世話をするお姉さん的な立場」に無理やり据えているわけですよ。なんかもうこのシーンだけで愛しくて仕方なくなります。
想像の中では「駆け落ちしたんじゃないか」とか考えてキャーっとなるあたりも(嫉妬するわけではないというのも)つぐみらしい。
 
そう、つぐみはモヤっとしたりやきもきしたりはするんだけど、嫉妬はあまりしません。
自分の気持がはっきりしていないからです。まあぶっちゃけ外部から見たら「そりゃあんた、仁のことどう考えても好きでしょう、ラブでしょう」なんですが、そういうのがよくわかっていない。
だからこそ「私は仁のお世話をする幼馴染だから!」で貫き通しますが、本人の中で仁が特別な存在になっているのはぼんやりとは分かっている。
これで、実ればいいんですよ、実れば。
でもね……もう実りようがない。仁はナギが好きだってわかっちゃったんだもん。
 
7巻のつぐみの顔が、ものすごく微妙な表情で描かれるんです。
一つは、事件に巻き込まれることで、ナギが本当に神様だったとわかっちゃったから。
もう一つは、こういうことだよ。

これ以上でも以下でもないです。仁はもうナギのことで頭がいっぱいだし。
この抱きついたのも反射的なものなんですが、左のコマのようにつぐみにしてみたらすごい大きなことなんです。
なんですが、つぐみもこの極端な状況わかってるしパニック気味だから、ナギの話しかできない。
心理状態としては正しいし、まあそうするしかないよね、なんですが……これでおしまい。
 
あんまりにもつぐみの感情は救われません。仁もつぐみは「大事な幼馴染」のまま。
つぐみも「これが恋だ」と気づかないまま、大事件に翻弄されてよくわからなくなってしまう。
まあ、仕方ないよね。
仕方ないよ。
つぐみだってナギ大好きだもの。助けたいもの。
とはいえさ。

幼い時、つぐみと仁が神様を呼んだのを思い出すシーン。
「神様(ナギ)に会っていた」ことに衝撃を受ける、という演出なんですが、同時に切ない彼女の気持ちが積もり積もったシーンにも見えます。
見える……見えるのは自分だけかもしれない!(冷静になった
 
ぶっちゃけつぐみが好きすぎて、かんなぎは読んでいてもつぐみに必要以上に情を込めちゃうんですよう。
もしかしたら何にもない、ただ「ナギを救おうとする仁を見守っている」「実は神様だったナギに驚いている」だけかもしれないけれども、だけれども。

こういう、はっきりしないで流されたつぐみの表情がすごく多くて。
今はナギが神様でいなくなってしまった、という大事件があるからほんと何にも言えないのはわかります。
けれども、いざナギが戻ってきて、仁と本当の恋人になったとき、つぐみが自分の気持ちに気づいたら(いや気づいてる気がするけど)……というのが怒涛のように攻めこんできます。
 
展開としてはもちろんナギが戻ってきて、仁とラブラブになってほしいとおもう反面、「おい、お前つぐみのことどうするんだよ!」全力で叫びたい思いもめちゃくちゃに強いです。
それを傍から見守るつぐみとかつらすぎるじゃないですか!!!!!!
でもつぐみいい子だから二人の幸せ祝っちゃうのかな。
かな……。
 

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そんなつぐみが大好きなぼくです。
だったら「つぐみと付き合いたいの?」と言われたら……付き合いたいけど(本音)……そうじゃないんだよ!
仁に特別な感情を寄せているつぐみが好きなんだよ!
なのでぼくの彼女になってはいけません、いけないのです。なってほしいけどだめなんです。
 
そこで出てくるジレンマが、先程の記事にあった「片想いヒロイン」へのとてつもない恋慕と、罪悪感の話でわかったんです。
ぼくは「青葉つぐみ」という少女を愛してたまらないんだけれども、それは「片想いをしているから」なのか、彼女が好きなのか、よくわかってない。
もしつぐみが片想いじゃない少女だったら、本当に好きになったんだろうか?
まあそもそもマンガを作る時点でキャラクターの関係性ありきなわけなので、そんなことはありえないんですが、彼女を一人の人間としてみた場合「片想いしてるから好き」ってのはなかなかに失礼。
 
もっと言ってしまえば、ぼくの場合は「片想いの子で」「幼馴染で」「ちょっと背伸び気味で」「ショートカットで」「太眉の」女の子が好き、という属性ブロックの組み合わせで好きなんじゃないか?という疑問も浮かんできます。
もっともそれでもいいんです。で、それは「好き」じゃなくて「萌え」でしょうね。
似た様な感覚で、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の田村麻奈実がすごく好きです。
はいはい。片想いで、幼馴染で、ちょっと背伸び気味で、ショートカットで、眼鏡な。
 
彼女らはとても優しい子達ですが、もし現実にその子がいたら、こういうでしょう。
「あなたは、私が片想い不憫キャラだから、好きなの?」
 

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すごく正直な話、「はい」としか言えません。
彼女たちが大好きなのは本音も本音です。でも恋が成就しないんだろうなあというのを最初から勘付いて好きになっているのは事実です。その子のこと応援しつつも、その子の恋愛が成就したら相当びびります。
ああごめんなさい、すいませんもうしわけありません。ぼくはずっとフローラじゃなくてビアンカ派です。フローラを選んだ時のビアンカがのー。
 
我ながら、好きなキャラに対して理由を探していくと、パーツを切り取って行くような暴力性を感じて悩みます。
そうやって愛されるために生まれたキャラだから、それでいいんです。
でも、幼馴染はともかく「片想いなところがいい」っつうのはなんか文字にするとひどいもんですね。
好きになったキャラがたまたま「片想い」の子だったのか、「片想い」の子が好きだからその子が好きなのか。
卵が先か鶏が先か。
多分答えは「で、どう愛しているの?」に行き着く気がするので、今はつぐみを心から愛そうと思います。
 

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究極的に言うと「『WORKING!!』の山田葵のことや『恋愛ラボ』のエノのこと愛していたのに青葉つぐみのこと愛するってずるくね!?」って言われる気がしますが、そこはこう、なんだ、うん。
ごめん。みんな好きで選べない。
 

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余談になりますが、「片想い」キャラへの強い思いがわいたのは、間違いなく「らんま1/2」のせいです。
しかもシャンプーじゃなくて良牙です。
うっちゃんもどうしようもなく好きなキャラの一人なんですが、心に来たのは良牙なんだよなあ。
どうあがいても彼ってあかねへの恋慕は絶対実らないじゃないですか。実ったらだめじゃないですか。
それがわかっていながら、しかも告白すらできないあのシャイっぷり。そして乱馬とあかねが近づくほどにニヤニヤさせられつつも悲しい気持ちになるしかない良牙の立ち位置は、なんか色々シンクロして応援してならなかったのです。実らないってわかってるのに。
彼にはその後、まさかの「救い(ブタずもうね)」が出たので、ほっとしたものです。
それがよかったかどうかは人によって受け取り方変わると思いますが、「関係は時間とともに変わるのだ」というのを叩きつけられた衝撃は、ありました。ビューティフルドリーマーじゃないんです。
 
え?ムース? ムースの鷹爪拳強いよね。
なんだろう、彼はシャンプーとうまくいくはず、っていう変な確信があったからなのか、そこまで惹かれませんでした。好きですが良牙やうっちゃんほどでは。
 

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「暴力性」なんていいましたが、上のらんまの話のように、好きになる入り口は最終的にはどっちでもよいんじゃないかな、という思いもあります。
属性から入ってもよし、キャラそのものを物語で見て愛するもよし。
あとで思い出した時に、「このキャラ大好きだったな、今も好きだな」って思えることが一番大事だと、思いたいのです。