たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

アニメ「戦国コレクション」の元ネタを探って、もうちょっと楽しんでみよう

個人的に今一番楽しんでいるアニメは「戦国コレクション」だったりします。
徳川家康がアイドル、上杉謙信と直江兼続が百合百合!? アニメ「戦国コレクション」がそれどころじゃない(エキサイトレビュー) - エキサイトニュース
まーなんつーか、ダークホースもいいところですよ。最初は「ソシャゲのアニメねえ」くらいの気持ちでしたし。一応元ゲームもちょいちょいやってるんですが、キャラはデザインとちょっとした設定以外あんまり特徴もなく、カードはカードの扱いだったのでこれどうすんのと。
ところがアニメになって、恐ろしいほど化けましたね。
っていうか別物。
ゲームにいた男キャラ全カットで、戦国っぽさはまず壊滅。女体化バージョンだけで統一されましたが、それでも戦国武将女体化はありふれている、そんなんだけじゃ満足できない。
最初は「萌えアニメ」なのかなーと思っていたら、楽しみ方が根本的に違うことを理解したのが4話目。
ああ、これは素材抽出して、好きなもん・描きたいもん詰め込みまくってるアニメだ!
好きなもん、それは映画
オムニバス形式で、毎回作風が変わる統一感のなさ。
脚本家さんごとにバラバラ好き勝手やってる面白さ。
どえらいアニメになってしまった……!
 
映画パロディ、じゃないんですよ。もう映画が基本的に血肉になってる。ためらいもなく思いっきり映画のオマージュであることを前面に押し出している。
だけどそこに笑いを求めていなくて、あくまでも物語を作るための土台。
その上で物語の面白みを作っている。いやあ丁寧なもんです。
 
え、設定?
えーと……うん、あんまり考えなくていいよ!
戦国武将(女)が現代社会にやってきて馴染んでいる、というおおまかな設定はありますが、それだけおさえておけば話は全部バラバラなのであんまり気にしないでいいです。
メインヒロインはおだのぶながちゃんなんですが、ほとんど出てこない狂言回しなので、「モブながちゃん」と呼ばれることも多々あります。
それどころかお金を自力で稼いでいないで生活しているので「ひモブながちゃん」とまで。出てこない回も多いですし、かすりもしないことも。そのくらいフリーダム。
 
普通にあんまり何も考えず見ていてもニヤニヤ楽しめるので問題ないレベルのクオリティなんですが、楽しみ方がわかるとさらにおもしろくなる作品だと思います。
そもそもこのアニメ見てゲームやろうって人いるんだろうかって考えちゃうんですが。どっちかというとアニメ見てツタヤ行きたくなるアニメとでもいいますか。
極論ですが、全話見なくてもいい、興味がある回だけでも見てみてほしいなーと感じるんだ。
あ、好きな武将で選んだらだめです全然関係ないから。好きな映画や脚本家で選ぶといいです。
こんなに脚本家気になるアニメになるなんて。だよなあ。脚本家のクセそのまんま採用しちゃってる凄みが。
 
そんなわけで、自分なりに把握している範囲内の映画オマージュの数々を紹介してみます。
 

●前半戦●

COLLECTION-1「Sweet Little Devil」
 
脚本:雑破業。主人公は織田信長
第一回ということでパッと見あまり映画ネタに見えない部分多いですが、恐らく元ネタはローマの休日

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内容は言わずと知れた、オードリー・ヘプバーンの名作中の名作。
ベスパのバイクが決め手です。落書きは真実の口でしょうか。ポスターは間違い無いですね。
まあ、この回はそんなに映画色濃くないです。
どちらかと言うと『輪るピングドラム』を作ったブレインズ・ベースの独特な画面構成が特徴的。
真横からの視点で遠くから眺めるようなキャラの配置、背景に漂う記号(主に家紋)、くっきりした色とくすんだ色の組み合わせを和紙調の加工に乗せた不思議な感触を前面に押し出しています。
 
COLLECTION-2「Peaceful Empress」
 
脚本:待田堂子。主人公は徳川家康。アイドルを目指す少女役です。
第一話がぽわぽわした話だったのに対し、いきなり第二話で不穏でリアルな悩みあふれる物語に。
脚本家の名前で分かるように、非常にアイマスっぽい内容。家康がアイドルになる話で、このあとも街中に家康の姿が映し出されることになるスタートの回。なんですが、明るくない。
最後まで見ると分かるのですが、恐らく元ネタはスタア誕生
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憧れの大スターに出会って女優を目指すヒロイン、その大スターが逆に落ちぶれていく様子を描いた作品で、何度もリメイクされています。
この回も家康がデビューして売れていくにつれて、彼女が憧れていたロザリーの人気が落ちていく様子を生々しく描いています。
この時点で自分も「あれ?」とはなったものの、そこまで映画っぽさを意識してなかったのですが、比較してみると一気に味が出てきます。
待田堂子脚本回は、このあとも明るいだけじゃなくてしんみりした味のある話が非常に多いのが特徴。
 
>COLLECTION-3「Pure Angel」

脚本:雑破業。主人公は直江兼続上杉謙信。謙信はモデル稼業に勤しんでいます。
ここでついに雑破業イズム爆発。百合っ百合な回になりました。キマシ!
小物や背景の数々にたくさんヒントの隠されている回で、おそらく元ネタはベルリン・天使の詩
兼続に羽が生えている設定を生かして、恋をすることでこの時代に残って戦国世界に戻らない、という物語に。元の映画は恋をすることで天使として死ぬという愛を描いた作品。
兼続が見ている世界に色がなくなる様子と、色を取り戻す流れも映画のオマージュ。うまく料理して二人の恋愛物語になっています。
この時点で、1話明るく楽しい、2話重く切ない、3話ゆったり優しい、と物語バラバラ。
ある意味、映画の記号や演出技法を自由に使うことを、そして戦国武将であることを全く切り離して物語を作るのを方向付けた話です。
言うまでもなく、雑破業脚本はこのあと百合百合です。
 
COLLECTION-4「One-eyed Dragon」
  
脚本:新井輝。主人公は伊達政宗。逃亡犯です。
もーね! この回でぼくは完全にやられました。
なんで『女囚さそり』なんだよ! 梶芽衣子とか誰得なんですか! 
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俺得ですね。うわー。
アニメ見る若い層向けであることすら捨ててしまった。すげえ。ここでぼくはがっつりハマりました。
これはもう推測じゃなくて、701号とかさそりマークとか出ているのでほぼ間違いないでしょう。
なにが大笑いしたかって、閻魔おとしのシーン。ひたすら掘って、そのあと埋めるのを囚人が繰り返す刑罰。元は掘っているところに上から土をぶっかけるシーンなんですが、まんま「閻魔おとし」って言ってますしね。
いや、笑うところじゃないんですが、知ってたら笑うよこれ。
ガラスで他の女囚が襲ってくるのもおんなじ。まさか梶芽衣子伊達政宗にカバーされることになるとは思ってなかったことでしょうに。
洋画が多い戦コレの中でも、和風の軋みと哀愁とブルースが漂うヤクザ臭い一話。まさか21世紀に入ってこれを見ることになるとは。
新井輝脚本はVシネマ風のにおい漂う作品や、色々な映画のリミックスで描いた作品が多め。いやー面白い。
 
COLLECTION-5「Sword Maiden」
  
脚本:金澤慎太郎。主人公は塚原卜伝。剣術の先生です。
ぼくのイチオシです。戦コレってどんなアニメ?って聞かれたらまずこれ見せます。
元ネタは十中八九『ボーリング・フォー・コロンバイン』
マイケル・ムーアによる銃社会のドキュメンタリーを、戦国武将の帯刀の危険性に置き換えたドキュメンタリーとして作り変えたとんでもない回。
なにが凄まじいって、マイケル・ムーアの日本語吹き替えをやっている江原正士を、そのまんま声優に起用していること。
それ、パロディやオマージュじゃなくて……本物じゃないですかね……。
内容も、アポ無し突撃カメラの手振れ描写まできっちりされていて、ドキュメンタリー風の演出が満載。なんなんだこのアニメ。
ドキュメンタリーなので、江原正士演じるマイク・モースの解説がユニーク。そこからまさかのでっち上げ報道批判を描写するというとんでもない流れに。
この尖った脚本を書いた金澤慎太郎はこのあとさらに凄まじい脚本を書き続けることに。とにかく「なんだこれ?!」となったらたいてい金澤脚本。
しかし女体化したかわいい戦国武将がわんさか出てくるのに、この回で本物の信長などの武将の絵が出てきて「どっちなんだよ!」と突っ込みたくなります。ここを境界線に、「どっちでもいいよ」というのが明示されることに。
潔い。
 
COLLECTION-6「Knowledge Master」
 
脚本:関根聡子。主人公は平賀源内。もうここで武士ですらなくなった。売れない発明家です。
この回は今までのようなバラッバラな演出の個性はなくて、比較的安定した内容のちょっといいはなし。関根脚本は映画ネタを使ったあったかい話が多いので安心して見られます。
元ネタはバック・トゥ・ザ・フューチャー
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じゃないかなー?とおもいますが、そんなにバック・トゥ・ザ・フューチャー色は強くないです。まあギミックとか、少年と博士の関係とかから恐らく間違い無いとは思うのですが…。
タイムスリップパラドックスもの。4、5と濃い話が続いたので一旦優しい話でほっとできる回です。が、そのあとの7、8話がまたすごいことに。
 
COLLECTION-7「Refined Bard」
 
脚本:待田堂子。主人公は松尾芭蕉。さすらい人です。
画面演出では1・2を争うレベルの高い回。物語の完成度も尋常じゃない。芭蕉のセリフがすべて5・7・5で統一されているのもすごい。
くすんだ統一感のある、焼け付いたフィルムのような色合いはおそらくバグダッド・カフェ
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うらぶれたカフェと、そこに集まる人々。不機嫌な女主人と、主人公の旅行者との交流。この構図を松尾芭蕉の俳句に当てはめながら(ぶっちゃけ季語入ってないから俳句じゃないけど!)丁寧に描いていきます。
とにかく画面の作りがとんでもなく異質な上に、女主人の心の描写が丁寧。これも完全単発で見られるいい回です。
 
COLLECTION-8 「Regent Girl」
  
脚本:金澤慎太郎。主人公は豊臣秀吉。居候中。
このアニメ、最狂を誇る珍妙な回です。何度見ても意味がわかるようなわかんないような。
本当に金澤脚本は……! 大好きです。
元ネタは色々あるのですが、『アリス』。ヤン・シュワンクマイエル版。基本穴に落ちて知らない世界に行くという「不思議の国のアリス」なんですが、ところどころの不穏さが似ているため。
でもそこまでヤン・シュワンクマイエル的な技法は使ってなくて、どちらかと言うと画面の作り方はデヴィット・リンチ的です。
特にズームで魚眼レンズ風に顔が広がるような撮影の仕方はデヴィット・リンチおなじみ。主役の秀吉と信長はキャッキャと明るいのに、出てくるキャラが不条理なことばかりつぶやいては消えて行くので、見ていて心が変になる回です。全然暗い内容じゃないのにね。
作中に出てくる人形劇はデヴィット・リンチの「Rabbits」という説も。

【戦国コレクション】秀吉ちゃん回 元ネタ映画を考察 今回はカオスすぎw|どこ速
公式の解答がないので、いろーんな説が出ていてめちゃくちゃ面白いです。米と人身御供のエピソードや、食材と命のあり方の話をさらっと交えているのが、金澤脚本らしいというか。
禅問答的なのにエンタテインメントな、困った回です。
 
COLLECTION-9「Ambitious Princess-I」
COLLECTION-10「Ambitious Princess-II」
  
脚本:新井輝。主人公は北条早雲。同じく居候中。
わかりやすい元ネタは火山高
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とはいえ、9話でちょっとそういうパロディ演出があるだけで、他数多くの学園バトル映画やマンガの要素を多分に混ぜ込んだ回。8話が狂っていたので普通に見えちゃうのですが、ちゃんと面白いです。
色々混ぜあわせて一つのテーマ、今回で言えば「学園バトル物」としてつくり上げるのが新井輝脚本の面白いところ。探せば探すほどいろんなネタが出てきます。
映画色は薄いので、逆に見やすい回でもあります。よい意味で王道ストーリー。
この振り幅のでかさがすごいよね……。
 
COLLECTION-11「Brutal Maiden」
 
脚本:金澤慎太郎。主人公は松永久秀。ギャンブラー、ってか詐欺師。
振り戻すかの如く、がっちがちの映画風味の強い回。これは十中八九『スティング』詐欺師が撃たれて死んだふり、警官はニセモノで片棒を担いでいる、というギミックあたりはおそらく。
これに『ハスラー』『オーシャンズ11』あたりをうまいこと混ぜて、画面もカジノのくすんだ光で表現した回になっています。
なにがいいって、戦コレって妙に現代社会の人間の心の荒みや、小さな幸せを描くとこなんですよ。
絵的には萌えは萌えなんだけど、やろうとしているのはギャンブルやドラッグのような人生のかすみや、老人や貧乏人の喜びを、映画をネタにしながら拾って描いています。
映画パロディだと思ったら、戦国武将と現代人の交流で生まれる人間模様を見ていたでござる。
この回は特に武将の珍妙エピソードも盛り込まれていて、謀反者として名高い松永久秀を詐欺師にしたことで歴史パロとしても楽しめます。
 
COLLECTION-12「Dancing Blossom
 
脚本:新井輝。主人公は前田慶次。コンビニ店員にして、サタデーナイトはライダー。
この回は最初からずばっと「サタデーナイトライダー」という単語で解答済み。『サタデーナイトフィーバー』『ナイトライダー。あとは『処刑ライダー』あたりでしょうか。新井脚本なのでミックスです。バイクを馬の松風にして、会話するあたりは『ナイトライダー』ですね。懐かしいなあ。
傾奇者の前田慶次と、バイクにまつわるネタを使って、暴走族物をギャグにした回。
この回で、一話の青年、九話の先生が登場して絡み合っていくのがちょっと面白い。武将同士からまないのに人間キャラはつながっていくんですよ。11話でも二話の社長出てますしね。
 
COLLECTION-13「Silver Hornet」
  
脚本:雑破業。主人公は杉谷善住坊。暗殺者。
これも解答は最初に出ているカットのようにジャッカルの日
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つっても、弾丸外すシーンだけしか合ってないけども! 元ネタと言っていいのかどうなのか。
内容は底抜けに明るくて、雑破業脚本なだけにゆりんゆりんでございますキマシ!
明るく楽しくゲラゲラニヤニヤできるめちゃくちゃいい回なんですが、実はネカフェ難民ホームレスの女子高生の、前向きな生き方を描いた、かなり現代社会風刺みたいな回。いや、風刺ってよりエール?肯定的なんですよね。
ダンボール生活を謳歌し、二人の少女が夜の公園で水浴びするシーンは、エロを超えてなんだか美しい。あー雑破業脚本の美学の頂点がこういうところなんだろうなー。いやみのないエロです。
モデルの上杉謙信や、アイドルの徳川家康が活躍しているのがネットや広告を通じて描かれるのも印象的。そして秀吉の米でお金をもらっているひモブながちゃん。武将の間でも直につながっているのがちょっとずつ描かれます。
 
 

●後半戦●

2クール目になると、映画そのものの色の強いパロディではなくて、映画の表現方法をテクニックとして交えながら調理しはじめます。
 
COLLECTION-14「Novel Deciders」
 
脚本:待田堂子。主人公は近藤勇土方歳三沖田総司。学園生活謳歌中。
もうなんつーか、2クール目の最初の話なのにただ3人だべっているだけ、というほんっとどうでもいい話。なんだこの振り幅!
ここから戦国・江戸しばりからも解放されて、新選組が登場。最初だけ『マリア様がみてる』で、ちょっと進んだ途端やっぱり猫が好き

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というのも、何回か表示される「Kahvila Soomi」という文字、映画『カモメ食堂』のロケ地です。
その主役が、『やっぱり猫が好き』に出ているというつながり。こ、細かい、ネタ細かい。
細かいんだけど、この回ほんっとなにもしてません。
「オススメ!」って回じゃないんですが、こういう回をやっちゃうっていうのんきさも戦コレのフリーダムさが出ているので、通して見る場合は欠かせない回。
 
COLLECTION-15「Annihilate Princess」
 
脚本:新井輝。主人公は最上義光。はい、伊達政宗つながり。学生です。でも叔母です。ロリ叔母…!?
今回の新井脚本は、「ホラー映画」がテーマ。『サイコ』『ヘルハウス』『悪魔の棲む家などのホラー映画から、楳図かずおのようなホラーマンガまでごった混ぜ。
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この回を真剣に捉えるべきなのか(ホラーマニアの村田さんの謎とか)、適当に流すべきなのかがわからない!
戦コレは真剣に見る方が面白い回と、適当に流すのが楽しい回とがバラバラなので、恐らくこれは適当に流すべきか…。ホラーな雰囲気を楽しみながら、ついに出始めた武将同士の絡みを見るのが面白い回。
 
COLLECTION-16「Blade Adept」
 
脚本:金澤慎太郎。登場キャラは足利義輝柳生石舟斎、のぶながちゃん。5話にも卜伝つながりで出てきています。
いやはや、激辛ケーキのロシアンルーレットというすごいアホな話なんですが、元ネタは『スルース』
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旧作の方だそうです。2007年に「スルース」で再映画化。

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これに、ロシアンルーレットをやるディア・ハンターを合わせた感じでしょうか。
今の女子会は怖いね。足利義輝柳生石舟斎の熱い絆をバカな形で描いた回でした。なんでこういう調理方法での映像化になるのかは全くわからないですが、それが戦コレ。
とにかく脚本家が楽しそうにのびのびやってる。それが戦コレ。
 
COLLECTION-17「Sunshine Ruler」
 
脚本:関根聡子。主人公は劉備。家政婦をしています。国超えたよ。
呪いでブタになってしまう、というもうどうしてこうなった!?な展開。ほっちゃんにブタの声をやらせるなんて!いいね!
元ネタは正統派ファンタジーレディホーク。呪いで鷹と狼になります。が、なんでブタか?
レディホーク」→「レディポーク」
く、くだらない……けどこれがあってる気がする! 戦コレだし。映画とかぶっているのはその呪いの変身の部分だけです。
関根脚本回なので、あんまり毒はなくやさしくほんわりしています。
なんといっても見所は、かわいい劉備ちゃんよりもおばあさんの方だと思います。こういう孤独を感じている人達が、武将たちと出会うことで幸せを見つける回がすげー多いんですよね。
ちなみにブタがバウムクーヘンを食べるのはこれが元ネタ。
バームクーヘンを食べる豚肉【滋賀県近江産蔵尾ポークブログ】
ネタが細かいよ…。
 
COLLECTION-18「Four Leaves」
  
脚本:待田堂子。主人公は大谷吉継で、今までと違って缶詰工場で働いて幸せになれていない薄幸な少女として登場。
個人的オススメ回の一つ。他の回のように笑えるシーンがないだけじゃなく、音楽がない・背景が油彩風というとんでもない回です。
戦国コレクション18話は: ぱぶろのぶろぐ
油彩でゴシゴシこすってますね。
すごい実験作みたいに見えますが、これ物語を作る上で必須な内容なのは見れば分かるはず。この脚本を生かして描くには、この演出が必要なんですよ。
物語も異色で、あまりネタばらしはしないでおきますが、吉継の感じた幸せの感覚を視聴者も考えさせられる強烈な内容になっています。
元ネタは、タイプライターで手紙のやりとりをするメアリー&マックス
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7話や17話のように、孤独な老人が武将に出会うことで幸せを見つける回はわかるのですが、武将側も孤独な人間であるという物語になりました。すげーなあ。
追記・脚本の待田さんが『ダンサーインザダーク』が元ネタだと明記していたそうで。情報に感謝!
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●オススメと、戦コレのテーマと●

オススメ回は2話(家康)、4話(正宗)、5話(卜伝)、7話(芭蕉)、8話(秀吉)、13話(善住坊)、18話(吉継)。
もー、切ない話とどうでもいい話との、頭をつかう話と使わない話との振り幅がでかいのなんの!
最初にも書きましたが、全部を見るべきだというアニメでは今のところないです。好きな回だけ、映画ネタや演出技法目当てに見るのがいいのではないかと。
もっともラストまでいって、この滅茶苦茶なバランスの話を全部まとめたらビビりますが……。
 
とにかく脚本家さんたちが本気で楽しそうなんですよ。
「映画のパロディいれたら面白くなるだろう」じゃないんです。
映画のオマージュを入れることで確かにまとまりは出るし、当然面白さは引き立つけれども、それで笑いをとって終了じゃない。映画を愛して楽しみ、ネタにしながら描きたいものを個々に目いっぱいに脚本家さんたちがえがいているから面白いんですよ。
映画ネタわからなくても面白いのはそこです。わかったり、探したりしたら更に面白いけれども。
 
じゃあ何を描こうとしているか。
恐らく、人間の幸せだと思います。
一応(あんまり出て来ませんが)戦国世界に武将たちが戻りたい、という大きな柱はあるものの、戻ることを幸せだと思っているのが今のところのぶながちゃんしかいないんですよ。
武将たちはそれぞれどうやって生きていくのが最善なのかを、ギャグありシリアスありで探します。幸せの大きさはものすごくでかいこともあるし、ものすごく小さいこともあります。
武将に関わる人間達も、子供から老人まで思い思いに幸せを探します。武将に触れることで幸せを見つける人もいれば、そうではない人もいます。みんな迷い、戸惑い、手を伸ばしては引っ込めます。
オチもネタでおわることもあれば、バッドエンドになることも。それが特に示唆的なのが2話と18話。待田脚本回ですね。自分が幸せととるか不幸せととるかは人それぞれです。
ただ、異質な存在である「武将」がこの世界にいることで、人と人が触れ合うことの喜びや哀しみは、確実に生まれる。この軸から離れることなく、あとは様々な映画をリスペクトしながら、本当に変幻自在に物語を紡ぎます。
オムニバスだからできるとはいえ、ここまで脚本家さんの味が前面に出ているのが何よりも楽しいし嬉しい。
残り少し。今までの回も繰り返し繰り返し見てます。キャラもかわいいですし、自分なりの楽しみ方が見つかると一気に面白くなる作品だと思います。
多分元ネタになりそうなものもまだまだたくさんありそうですし。歴史ネタも。
あ、ゲームネタはないんじゃないかな…。
「こういうアニメの作り方もありなのかー」という楽しみ方でもいい。おもろいなー。
 

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個人的に4巻の表紙が好きすぎて困る。なんだこれ。
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