たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

果たして女装少年が演奏した場合ばれないものなのかどうか「僕が女装して弾いてみたらバレそうな件」

女装少年アンソロジーや、「わぁい!」あたりのストックが溜まってきて、男の娘単行本が続々出てきそうな昨今皆様いかがお過ごしでしょうか。
ぼくはとてもニヤニヤしながら正座待機です。

かわいくて面白い、オススメもしやすいと思ったのはこれ。タイトル長い。略して「僕バレ」でしょうか。
主人公の少年秋人(あきと)は学校では冴えない、目立たない、空気人間な少年。
臆病でなんでもネガティブに考えてしまう極弱のメンタルの持ち主。
しかし、家に帰るとフライングVを片手に、超絶テクニックで演奏し、それをネットにアップロードして「弾いてみた」で賞賛を浴びる演者に早変わり。
ただし、女装して。
男性、秋人ではなく、少女「アリス」として、女の子として自分の動画をアップロードし、話題を呼んでいるのです。
 
ニコニコのティッシュ姫とか思い出しますね。
あれは男か?女か?と議論まで起こり、マスクをした状態での顔出しでもぱっと見わからない綺麗さが人気でした。しかもベースがネタレベルではない上手さ。
おそらくそのへんが元になっているマンガだと思います。文字が流れるのとかまんまニコニコですしね。
一応ギャグ漫画なんですが、この心理の変化、意外とうまく描かれている。
 
まず秋人がなぜ女装をしたか。別にそういう性癖じゃないんですよ。
彼は人一倍、誰かに認められたいという認知欲求が高いキャラ。しかし一切認知は普段されません。
けれどもネットの上では、まったく知らない第三者に認知されることができます。
となるとおそらく「ダサくて、しょぼくて、誰にも相手にされない自分」からの脱却として、女装をしているんでしょう。
現時点ではそのケはまだないんです。
 
女装をするきっかけはいろいろあります。そのへんは、ふみふみこぼくらのへんたい」で描かれているので、これはまた別の機会に書きたいのですが、今回はさておき。
女装で興奮してしまうから。女の子になりたいから。男の子が好きだから。女装は都合がいいから。誰かの命令で女装させられている、女の子の服がかわいくて憧れるから、などなど。
ちなみに個人的には、自ら望んで女装するのが「男の娘」、理由があってとか無理やりさせられているのは「女装少年」だと思っています。
じゃあ秋人はなにか。
男の娘でも女装少年でも現時点ではないです。
敢えて言えば変身願望なんです。
(このあと、女装に目覚めるわけですが)
 
ぶっちゃけ、着ぐるみだろうと、コスプレだろうと、よかったわけですよ。変われれば。
「秋人」じゃない何かになれれば、よかったんです。
その証拠に、彼が通う学校の生徒たちは「アリス」の「弾いてみた」は知られているけれども、それが自分で、女装しているということを言えず隠し通しています。
これはちょっと……面白いタイプの女装だなあ。
ようするに、「男の秋人」が認められたら、女装しなくていい、ってことなんでしょう?
 
ここに、滝山奈月というクラスメイトの少女……美少女が登場します(秋人目線)。
明るくて元気でハキハキしていてパワフルで、かわいい。すごくかわいい。
「秋人」は彼女に認知すらされていないけれども、彼女は「アリス」にあこがれてギターを始めています。
このギャップを埋めることができず秋人は悶々とするのですが、強引すぎる滝山によって、秋人の女装は一気に見破られてしまいます。
そして、彼は女装した「アリス」として、滝山のいる女子だけのバンドに加入することになるのです……。
 
ねえ、そんなに女装ってばれないものなの?
マンガだから、というのはもちろんなんですが、ちょっとこれトリックがある気がします。
アリスがいろいろな人に「うまくてかわいい」と言われていたのは、演奏動画だからです。
静止画、写真じゃないんですよ。
で、正直演奏の動画だと、学生で体ができていない場合、ばれない可能性は高いとおもいます。
 
まず、演奏動画だというのがポイント。
みんなが見るのはやはり、ギターの演奏なんですよ。これだけで注意が分散することはまちがいなし。
次に演奏しながら彼(アリス)が踊っているのもポイント。
男性的か女性的かというのは、体つきや衣装もそうですが、仕草によるところがとにかく大きい。
アリスは相当に女子力高い動きをするらしいので、ほんのちょっと顔に男性的な部分が見えても、恐らくばれないでしょう。
女装少年アイドルのネタなんかはいろいろなところで使われますが、案外バレないんじゃないかと思います。
衣装はできるだけかわいらしいもの、派手めのものだと、さらにバレづらいでしょう。アリスはそこをちゃんとおさえているのがニクイ。よくわかっておる。
 
残りの問題は声ですよね。
放浪息子」では変声期の問題が出たりしていましたが、少年で変声期きていなかったらわからないものだと思います。
加えて「女の子の声をだす」発声練習も今ありますので、その気になればかなり調節ができる。
 
最後は顔ですが……こればっかりはその子じゃないとわからない。
ただ、ある程度そのへんを誤魔化しても「男が演じる最高に可愛い女の子」は、女の子を飛び越えることがある、というのはでかい。
だからこそ女形文化があるわけですし、男の娘文化が流行るわけですし。
「男なのにこんなにかわいく変われてるのよ? すごいじゃない!」
滝山さんの言葉はいいね。
 
前半は秋人=アリスの一人称、後半はアリスが暴走しはじめて滝山さんの一人称になるのも面白い。
女装ネタとしてバレるかどうかギリギリな展開で、でも音楽物としてもしっかり展開してほしいところです。
ところで秋人がアリスのかつらをかぶらないままで女装したシーンも結構有りだと思うんだがどうか?