たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

お金=価値に形を与えたもの、だろ?少年少女よ。「市場クロガネは稼ぎたい」

どーしても「お金」って話になると、躊躇しちゃうんですよね。
人に「いくら貰ったの?」って聞きづらいですし、「どのくらい稼いだ」というのは多くても少なくてもいうと人間関係ギクシャクしそうな気がしますし。
 
でも、「お金」ってそもそも「価値」を形にしたものなわけです。
このくらい働いた、だから「お金」はこのくらい。
これだけ知恵をしぼった、だから「お金」はこのくらい。
自分の才能を貸した、だから「お金」はこのくらい。
中間代償としての「お金」はむしろ、パラメーター。悪いものでもなんでもありません、いっぱい稼いだらそれは才能だ、と。
まあもちろん、汚いお金ってのは実際にあるとは思いますけども……極端に「お金」の話を嫌厭するのもちょっと違う。
 
『市場クロガネは稼ぎたい』はそれをダイレクトにだした作品でした。
私立学円園学園は、生徒数30万人の島まるごと学校施設の巨大校。最大の特徴は稼いだ金額が評価となるということ。
かなり荒唐無稽な設定ですが、あらゆる手段でお金を稼ごうとすることで意欲がわく、というのはなかなかユニークな観点。
体力や運動で稼ぐ生徒もいれば、知力で稼ぐ生徒も、株で稼ぐ生徒もいます。
そこに、人を見抜く究極の左目を持った御曹司の少年、市場クロガネが入学します。彼は稼ぐ力を持つ美しさを信じ、見通せる人間。
この学園で自分を試す!人を見抜く目で、稼いでみせる!
早速その手腕を発揮して大成功するのですが、とある理由で彼は一気に一億もの借金をするはめに。どん底転落!
 
このへんのやり取りは、結構アバウトなところもある作品です。
ツッコミどころ自体は多いんですよ。そんな稼ぐ人間が不注意でいいのか?みたいな。
けれど、それはいいんです。あくまでも彼が一度どん底まで落ちて、そこから稼いでいく物語のギミックですから。
一話で転落した彼は、一気に二話からすぐに建て直しをはじめます。
 
彼の能力は「見抜く力」。
でもそれってお金になるのか?
なるよ。人材派遣だ。
マイナスからスタートした彼は、それこそ全力で歩を進めます。
 
お金を稼ぐ、ということをかなり細かく分析して、それが能力・才能・努力であることをがっちり描こうとしています。
だからこそ、彼がもつ能力は「見抜く力」で、すごい演奏がうまいとか料理が上手いとか足が速いとかではないんでしょう。
だって仲介する力って、いまいちピンとこないですもの、やったことある人じゃないと。
ある意味、経済の根っこの根っこをわかりやすく書いた作品でもあります。
たとえば出資の仕組み。出資をしたらそれを元手にもうけて、出資者に配当金を渡す。WINWIN。
そのためには維持するシステム構築をしないといけないので簡単ではないわけですが、これこそが稼ぐ力。
 
「学円園に来る以前皆さんはどのような生徒でしたか?様々な評価を受けてきたことでしょう。『勉強ができた、スポーツが得意だった』『芸術に秀でていた、皆勤賞を取る優等生だった』『天才と呼ばれた』『犯罪者顔負けの不良だった』『誰もが認める大富豪だった』『衣食住すら事欠くほど貧しかった』。しかし学円園での評価基準はただひとつ。『いくら稼いだか』です」
 
生徒会長の挨拶。
一癖も二癖もありそうなキャラがどんどん出てきそうなセリフです。いいねいいね。
もちろん、学園内には規則があるので「どんなことをしてもいい」わけではないようです。このへん今後描かれると面白いですね。やはり盗み等の悪事でもうける人もいるわけですし。
経済の基本の一端を見ながら、お金による価値の評価を垣間見ることができる面白い作品です。
 
それになんといっても女の子がかわいい。
個人的にはヤンキー少女の藤沢モトコがツボですね。ヤンキーっ子来てるよ来てる!
料理に秀でた地味少女鳴子ハナ、カタブツ生真面目巨乳の朝政生徒会長。いい、実にいい。
でも恋愛に発展しそうなにおいは全然ないですね。それもまたよし。
今は基本の稼ぎ方の部分ですが、これがどんどん稼げるようになって出資や株までいったらどうなるのかな。ちょっと見モノです。
まずは稼いだことを、堂々と誇ろう。それは自分の価値の一つだ。そんな世界。