たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

がんばるぞい。がんばりたくないぞい。

Twitterで大流行「がんばるぞい!」の謎を検証してみるぞい - エキレビ!
書いたぞい。
 

このマンガ買った時は「面白いなー」とは思いました。
そう、面白いのよ、お仕事あるあるを描きながら、ゆるふわ空間に持ち込んで現実を忘れられる上手いバランス。
モブキャラ作成を一つまかされて、それをあえて自分でどうすればいいか考えさせる突っ返し方とかリアル。
それでいて、美少女しかいない職場でみんな趣味満喫しているという幸せさ。
泊まり込みデスマーチも、ぱんつですべてチャラにしている恐ろしい作品。
これが話題にならなくても、十二分に売れたとおもう。
 

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けど、こんなに売れるとは思わねえよ!
担当の人がめざとかったのか、帯に「がんばるぞい」のコマが印刷されて入るようになりました。

表紙も「やるなら今しかねえ」というタイミングですね。うまい。
 
波が来たならつかむしかない、っていうのは作家にも出版社にも、読者にもプラスな思考だと思う。
周囲を見ていると
Twitterで『がんばるぞい』見て本買った」→「結構面白い」→「普及」
なんか一番いい感じで広まっている気がします。
やっぱ本の力がそもそもある。
でなきゃねえ。重版何回もかかんねえですよ。
 

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「ポプテピピック3話はじまりました」/「大川ぶくぶ/bkub」のイラスト [pixiv]
こういうことできるのは、ちょぼ先生かぶくぶ先生だろうな……。
 


 
ここまで含めて一連の流れ。
 
這いよれ!スーパーニャル子ちゃんタイム最終巻 「真尋さん、がんばるぞい!」 - アキバBlog
「がんばるぞい」「がんばれがんばれ」
これもタイミングいいなあ、両方今の流行。
(「がんばれ(はーと)がんばれ(はーと)」とは:伊東ライフの作品で、女の子たちが、男の子が射精する時に応援するセリフ。インパクトある。性的に癒される)
 

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でまあ、最初の記事ですが。
「がんばる」「がんばれ」「がんばるぞ」「がんばろう」って、もー苦手なのね。
 
がんばってるよ! もう精一杯だよ!
いやあなたから見たら全然まだまだでしょう申し訳ない……でもむりなんだよやめてよ!
追い込まないでよ!
 
ってなる。
あれなんだよ、濁点おおすぎんだよ! 威圧感あるじゃん!
……いやちがうな、伊東ライフ的には「がんばれ」って言われて嬉しいものなあ。
ようは
 
・「がんばるぞ」と自分を追い込むのが怖い。
・「がんばろう」と巻き込まれたくない。
 
震災の時期はまさに「がんばろう」だったし、自分も「がんばらなきゃ」だった。
けど「がんばろう」を毎日聞くことで鬱になったものです。今思うとね。
張り切って寄付をしにいくのと、周りがみんなしていて圧力を受けて寄付をするのでは、ちょっと違うんじゃないかなって。
(どっちも結果はいいんだが)
 

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面白い意見がありました。
「がんばるぞい」には日本の抱えている淀みの部分が2つあるのではないか。
 
ひとつは、萌えによる逃避。かわいいは正義、それ以外は正義じゃないという排他感。
もうひとつは「頑張る」「頑張れ」という圧力。勤勉こそ正義という思考。
 
なるほど!これは鋭い。
傾いてしまったものが、無意識のうちに2つ内包されている。
 

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かわいいは正義」というのは、正しいとは思うのです。
 
かわいい、ひいては今世界に広がっている「KAWAII」は、人間関係を円滑にする単語。
とりあえずコミュニケーションの時に「KAWAII」といっておけばOKです。便利ね。誰も傷つけない、みんなが幸せになれる単語です。
『ニンジャスレイヤー』でも「カワイイ」がよく使われていることからもわかります。古事記にもそう書かれている。
 
と同時に、「かわいい」は暴力。
しつこくここで書いてますね。「萌え」とか「かわいい」を何かに押し付けることは、対象をモノとしてみるためかなり暴力的で、かつ周囲に「空気読め」という威圧感を与えてしまう。
 
かわいい女の子の顔が載っているポスターを仮に作って「がんばろう!」みたいにかいていたら。
逃げ場ないよなあー。
 

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『ニンジャスレイヤー』のこのシーンは、実に日本の裏側をよく見ているなあと、まるで鏡を見ているよう。
ここの「ガンバルゾー!」は、もう圧力しかない。禍々しきチャント!
本来の意味と違っているがゆえに、今の「頑張る」の使い方に限りなく近い。
 

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「がんばるぞい!」への反応の一部が、日本人の闇を浮き彫りにしていたりもします。
基本明るく「今日も1日がんばるぞい! いってきまーす」みたいに明るい前向きな言葉で使う場合が9割(診断メーカーは除く)。ネタ挨拶として便利。
 
残り1割は。
たとえば、「今日も1日がんばるぞい」と書いたコメントの下に首吊り画像をおいたり。
鬱になって気力を失っているマンガのキャラをおいたり。
元の画像がコラで淀んでいたり。
 
わかる。
大元の『NEW GAME!』は好きだし、青葉の前向きさも好き。
でも一コマだけ切り出してしまったとき生まれるいびつさが、「がんばる」の言葉に付着してしまって、鬱感情を産む。
 
それだけ「がんばる」って言葉はあまりに重たく、扱いが難しい。
 

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「がんばるぞい!」の画像だけに引っ張られて、本当に力んで頑張りたくない。
NEW GAME!』本編を読んで、青葉たちの力の緩急のつけかたを見て和みたい。
「きらら」系列の作品が持つ「メルヘン」は、明日への活力を受け取るための虚構。
 
あ、ファンタジーとメルヘンは別物です。嶽本野ばら理論で。
どちらも価値がある。「がんばるぞい!」はメルヘンじゃないかな。