たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

ぼくは本田未央の恋人にはなってはいけない

大作さんたちと、「デレマス3話すごかったよねー」からの「本田未央と恋愛関係になれる気がしない」というラジオをやっていました。
「できねえの当たり前だろ!」
はい、そうです。
そこを真剣に想像するのが大人の楽しみです。
 
以下、気持ち悪い話しかしません。
 

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とにかく本田未央というキャラクターに面した時、ぼくは「プロデューサー」というか、一人のゲームプレイヤーにすらなれない。
物語の外側にいることもできないし、物語の主要人物として彼女の横にいるドリームもできない。
「シンデレラガールズ」というおもちゃ箱を見て、思ってきたこと - たまごまごごはん
 
まずそもそも、「本田未央」は、「対象」じゃない。
本田未央があまりにも自分の「鏡」すぎて、見ていたいけど見ると悲しくてでも見たい、心かき乱しまくるのです。
 

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ゲームとアニメごっちゃにして話します。
本田未央って、こちらに対しての距離の詰め方がものすごく強い。
それはしまむらさんやしぶりんに対してもそう。
悪く言えば、土足で踏み込むタイプ。よく言えば、こちらの心の扉を開いてくれるタイプ。
彼女は「笑顔」を作る達人なので、天才ですよ。よく連れてきた武内P。
今までのゲーム内のセリフを見ると、距離をおかず、かといって美希のようにラブラブでもなく、友人としてガッと踏み込んでくる。
 

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だから、踏み込まれた瞬間どうすればいいかわかんなくなっちゃうのよ。
親しく話かけられた時にどう対処するかが、問われているような気がしてしかたないのです。。
(これはどのキャラとのからみにおいても言えますが、今回は「自分と」という前提で話します)
 
彼女は高校生。
話し方は、友人口調。基本「○○プロデューサー」っていうのに、たまに「○○くん」っていう。
 
ぼくは、彼女に踏み込まれた瞬間を想像すると、高校生のクラスメイトになる以外のイメージがわかない。
しかも対等じゃない、ぼくがへりくだってしまう。
 

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筋肉少女帯の「蜘蛛の糸」と同じイメージばかりが頭に浮かぶ

友だちはいないから ノートに猫の絵をかく
友だちはいないから やせた子猫の絵をかく
 
背中ごしに笑うあの娘 あなただけはとても好きだよ
くだらない人達のの中で 君はどうして明るく笑うの
(「蜘蛛の糸」より)

2章ではこじらせすぎて、「あの娘」を殺してしまうのですが。
ささやかな恋心がねじくれる感覚は、ぼくの高校時代とシンクロしてキツい曲。
これと同じ感覚を本田未央は与えてきます。「あの娘」です。
 

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何度も書いています。また書くよ。
 
クラスメイトの本田未央
ぼくは友だちがおらず、一人で机につっぷして寝たふりをしているか、本を読んだふりをしながら落書きをしています。
みんな死ねばいいのに。くだらないドラマの話ばっかいして。ぼくは文学を読んでいるぞ。
でも何もできない。本当は自分がいちばんくだらないヤツなのもわかっている。
世界が終わらないなら殺してくれ、でも死ぬのは怖い。
はやく時間がすぎてくれ。このクラスじゃないところに連れて行ってくれ。
 
そんなぼくに、さっきまでクラスのみんなと、魔貫光殺砲撮影したりダンソンを踊っていた本田未央が近づいてきてくれる。
なんて話しかけられたかわからない。
「ノートかして」だったか「明日の時間割見せて」か「消しゴム落としたよ」か。
わかんないんだけど、話しかけられたことにびっくりしてキョドって「うん」と小さい声で反応しちゃう。
で、彼女はぼくに笑顔で「さんきゅ!」とかいう。
 
たった一言で、彼女に恋に落ちてしまう。
いや恋なのか?とかめんどくさいこと考える。でも目は、クラスで人気者の本田未央の姿をいつも追っている。
たまに偶然目があってしまうと慌ててそらす。向こうは手を振っている。
たまに他愛のないことで話しかけてくる。他のクラスメイトに対してと同じように。
ぼくは、「うん」しか言えない。
 
ノートに、自分の苗字と「未央」をくっつけてみる。
すごいどきどきする。
慌ててそれを消す。小学生か。ばかかおれは。
筆圧が強すぎて、けしてもノートに跡は残ったまま。
 
ある日、本田未央に彼氏ができたという話でクラスが盛り上がる。
意外にもそれが、ショックではないぼくがいる。
「彼女にはお似合いの、いい男だな」
「ぼくには嫉妬する資格もない」
 
ぼくがもし本田未央をつきあったらどうなるんだろう。
考えた瞬間に、ムリだと悟る。
全くそのイメージが想像できない、妄想できない。
ぼくなんかとつきあってはいけない。
 
そうか、彼氏できたんだ、幸せそうだな。
彼女の笑顔を、チラチラを横目で見る。
突然、吐き気がしてくる。
 
その晩、何を思ったのか頭が真っ白になって、「彼女で抜こう」と試みる。
本田未央のくるぶし……。
本田未央のうなじ……。
本田未央のふともも……。
本田未央の手……。
本田未央の、笑顔。
知らないうちにぼくは、ボロボロと、ボロボロと涙を流していた。
抜けなかった。
 
卒業式の日。
本田未央はクラスのみんなとカラオケにいくそうだ。
ぼくは行かない。そんなくだらない会に行く意味が無い。
うそだ。
くだらないのは、ぼくだ。行きたいんだ。本田未央を見る最後のチャンスなんだ。
でも、誘われないし、混ざってもいいなんて口が裂けても言えない。
 
ぼくは卒業証書入れをなんとなくぶらぶらさせながら、机の中に入っていたノートを片付ける。
そこには、以前書いた自分の苗字に「未央」の文字をあわせた跡が残ったままだった。
高校3年間、本田未央に出会えたから、生きていられたんだな。
好きだったんだ。
もう二度と会わないかもしれない、本田未央さん。
 

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どうあがいても、こういう方向にしかならないのです。
「ぼくの本田未央像」じゃないのよ。本田未央に対しての『ぼく』像」なんです。
 

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アニメの本田未央も、かなりゲームに忠実な、元気で、かつ誰に対しても友人感覚になる、踏み込み型のキャラでした。
ぶっちゃけ、ゲームやってない人だったら、二話だけみたら「うざいキャラだなー」って思うかも。仕方ない。
1話に出てこないのも、渋谷凛島村卯月の心の機微を描くためには、本田未央の存在があまりにも強すぎるから。
本田未央が出ると、周りの子が逆に「本田未央に対してどういう立ち位置なのか」が確定してしまう。
どう考えてもしまむらさんとか、振り回されるし(振り回されてたし)。
 

ところが、アニメ第3話で本田未央ががっつりと落ち込みます。
先ほどのラジオで話していたのは「こういう経験がなくて頭が真っ白になってしまったのではないか」ということと、「彼女は人前でも落ち込んだ顔ができるんだ」ということ。
特に後者。
彼女がへこむことがあるのはゲームでも暗示されていました。
けれど、虚勢をはるんじゃないか?と不安だったのです。
ここで虚勢はったら、危ないんだよ。
 
先輩後輩、年齢差がガッツリ出ている、珍しいアイドルアニメです。
ライバルとかイルことは多くても、先輩の存在が同期以上に大きいのって、ちょっと稀。
3話は、現場に行ったらもう全員先輩。特にアイドルよりもスタッフのみんなが先輩。
先輩アイドルの美嘉にすら踏み込んだ本田未央が、踏み込めなくなってる。 
 

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本田未央のすごさは「ものすごい身近な存在」感があるのに、「通じ合えないような遠い距離」感もあること。
近くて遠い。なんてもんじゃない。そばにいる光を見られますかって話。
 
そんな彼女が、弱みを見せた。
友人は「自分がもしクラスメイトだったら、同じ位置なら、彼女と一緒に成長できるんじゃないか?」という活路を見つけていました。
わかる。「だめな俺に話しかけてくれる未央」から、「頑張っている本田未央と共に頑張ろうと前を目指せる俺」にかわる。
「鏡」から「対象」に変わった瞬間。
 

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ぼくはというと、……一層こじれたんですね。
もし、クラスで彼女が一人、落ち込んでいたら。
きっとぼくは声をかけられない。自分の荷物を取って、慌てて逃げていく。
そんな自分に傷ついて落ち込む。
最低だって。
でも自信がないから、「ぼくが声をかけたらかえってよくないだろう」とすら考えると思う。
声をかけようという考えすらわかないかもしれない。
 
本田未央に対しての『ぼく』像」が、よくない方向にねじれてしまいました。
 

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ここまではぼくの気持ち悪い考えなので、一笑に付してもらいたいところです。
しかし、案外本田未央のそういう「周りを動かす」ところを、武内Pは見抜いている気がします。
というのも、3人がどう落ち込もうとも、武内Pは直接彼女たちにアドバイスをしない。
自分たちだけでまず考えさせ、本当にダメなのを見ぬいた時、先輩の日野茜小日向美穂(ここがすごい人選だよね!!!)に託す。
 

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島村卯月は車体。
渋谷凛がハンドルとブレーキ。
本田未央はエンジン。
 
武内Pは彼女らの素質を見抜いて「あえて言わない」手段を取り続けている。
渋谷凛に対しては「自分で意義を見つけてください」という意味でしょう。
島村卯月に対しては「どんどん吸収していってください」という意味でしょう。
そして本田未央に対しては「あなたは前に進めるから、周りに頼りなさい」という意味だと思う。
実際、彼女が動けたのは、「自分で決意した」渋谷凛が肩を叩いてくれたから。
3話前半で渋谷凛がアイドルについて頭で悩んでいた背中を、「前に勝手に進めていた」本田未央が叩いたように。
本田未央を支えるのは、プロデューサーでも先輩でもなく、仲間であるほうがいい。
 
偶然かもしれません。ゲーム内の「NO MAKE」というおまけドラマでは、島村卯月渋谷凛が話しているのに、本田未央だけ武内Pと会話をしません。
 

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舞台のポップアップについては言いたいことが多すぎるので今はあんまり言わないけど!
このポーズにどんだけ感情が詰まっているか。
意外にもかわいいポーズで飛び出した、最初に考えて動くタイプの渋谷凛
幼い時アイドルの真似をしていたのが身についているかのように右腕をあげる島村卯月
そして何もかもがスポーンと抜けて、本来の明るさを取り戻したor一歩前に飛び出した、本田未央の弾け方。
 
「お前の立ち位置どこにあるの? 俯瞰?」
いや、ちがう。物語を見る視聴者になれない。
この映像の中でサイリウムを振る観客にもなれない。
プロデューサーにもなれない。
スタッフにもなれない。
 
多分ぼくは、クラスで「ライブ出るんだー!」って言ったのを(こっそりと耳を澄ませて)聞いて、ライブビューイングで彼女が飛び出すシーンをPCの前で見る、クラスメイト。
 

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もうだめだ。
「衣装をかけて勝負にゃ!」と言っていたみくにゃんが、一方的に「じゃんけんぽん!」と言われて飲まれてしまったように、ぼくは本田未央にペースを飲まれっぱなし。
これって恋愛的なものかと思ったけど、恋愛対象ですらない。
こちらの立場がかき回されてしまう経験って、人間ではなくキャラクターに対してはほとんど無かったので、大変困惑し続けています。
 

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ラジオ内では「エヴァのアスカの時と同じ」と勢いで言ってしまって、その後何しゃべったかわからなくなりました。
比較対象としてアスカを出してはいけなかった……。
真逆そうにに見えると思います。そうなんです。
でも「こっちの自我に関わる」という点では同じなのです。
 
アスカは拒絶をしてくれる。
拒絶されることで、自分がどういう存在なのか、他人と自分がいかに違うか、形が分かる。
本田未央は踏み込んでくる。
踏み込まれることで、自分の相対的な立ち位置が振り回され、今の、かつての、これからの自分の形が、突きつけられる。
 

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おっさんになって、キャラに心かき乱されるとか。無いと思ったのに。
WORKING!!」の山田とか、「中二病」の凸守とか、「けいおん!」のりっちゃんとか、「みつどもえ」の宮なんとかさんとか、好きなキャラはいっぱいいたのに。
なんで。
なんで「好き」じゃなくて「困る」んだぼくは。
どうして本田未央を見ると焦るんだぼくは。
 

彼女がいるだけで、辛くなる。
彼女がいるだけで、生きていこうって思う。
 
 
 
 
おわり。