たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

部屋とYシャツと読書感想文と「こくごの時間」とわたし

小中高と、読書感想文がめちゃくちゃ大好きでした。
というか「得意」でした。
 

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国語教員を経験した今でも「なんで読書感想文やるのか」は、ようわかりません。
ぶっちゃけあれって「普段本読まないから、読めよお前ら」って意味なんだと思う。
 
だってさー。
「夏休み期間中に好きな本一冊見つけて感想まとめて書け」って、ムリじゃね?
そんなに最高の出会い無いよ?
もし夏休み前に借りた本が最高につまんなかったら「面白くありませんでした」ってことを延々と書けばいいんだろうか。
それならぶっちゃけ、普通の作文を書いたほうがよっぽど実になる。
 

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けどぼくは好きだった。
違う、得意だった。
 
先生に媚びるのが上手かったのだ。
「これをこう書いたら、先生はだいたい好むだろう」という画策を立てるのが楽しかったのだ。
実際、中学校3年間ずっと賞をとっていたし(感想文で賞の良し悪し決めるってよくわかんないよね)、小学校の時は市の文集にも載った。気がする。いや載った(手元にない)。
 
戦争ものは鉄板。
でもそれはだいたい答えが「よくないことだと思います」になるのでおもろくない。
むしろ子供だったから「死んじゃえ」とか不謹慎に思ってたし。
 
そこで、感動モノや戦争モノは避ける。
あえて「これで感想文書かないだろう」ってのを選ぶ。
正確に言うと、本の虫だったので、夏休みよりはるか前に読んでいた記憶ストックからピックアップ。
よさげな弾を取り出す。
 
まずあらすじをおさえる。
次に「自分の経験」をまじえる。ここ大事。
結論はいい子ぶりすぎないように。でもオリジナリティを出しつつ。
ちょっとしたパズルでした。
 

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当時は「してやったり」みたいな顔してました。
 
でもいざ大人になってみると、そんな中学生の画策がバレないわけないんだよね。
いかにも作ったような文章なんて、一発で見たらわかるじゃん。
バカじゃないの。
 
じゃあなんであの感想文は、賞を取ったんだろう?
 

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ぼくは読書感想文が「得意」だったんじゃない。
大好きだったんだ。
 
本が大好きだったんだ。
「大好き」が感想文にあふれていれば、自然に作文が生まれる。
そんなアタリマエのことに、大人になってから気づきました。
小手先の技術は、まあ使ってたと思う。
先生方はきっと見抜いてたんだろうなと思うと、ちょっと恥ずかしい。
 
ぼくの中にあった「本のストック」。
好きだから覚えていたのだ。
 

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こくごの時間 (A.L.C.DXもっと!)
そんなことを、雁須磨子「こくごの時間」を読みながら思い出しました。
国語の教科書に載っている「走れメロス」「くまのこウーフ」「山月記」などを題材に、現実の出来事と重ねあわせていくマンガ。
みんなが習ったことある小説や詩が題材なので、懐かしい記憶をたどりながら、大人の感性と照らしあわせて楽しめます。
 
今読むと面白い……じゃない。今読んでも面白いんですよね。国語の教科書。
ぼくが好きなのは「オツベルと象」。
宮沢賢治は小学生の頃から好きだったので既に読んでいたけど、学校で習えるっていう幸せったらなかったなー。
大人になってから読むと、また違うんだよね「オツベルと象」。
 

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もう今先生の仕事をするつもりはないけど、もし読書感想文を書かせなければいけない立場になったら、なんて言おう。
読書感想文がいくらでも書ける書き方 - Yahoo!知恵袋
読んでみて、ふーん、だいたいあってる。いかにもな、テクニカルな技を使っている。昔のぼくみたいだ。
でも「「あらすじ」は書かないこと!」は、今となっては違うかなーって思う。
だって、感想書くよりあらすじ書くほうが難しいもん。
 
「その本を読んで、自分がどう変わったかを書く」
「※嘘でもいいから、書く。何度も言いますが、悪い嘘ではないんですから」
ここは、せやな、って思う。
いい嘘をつけるやつは、言霊でグイグイ伸びる。
 
読書感想文4つの鉄則|読書感想文の書き方|作文クラブ
こっちは割りとまっすぐな読書感想文の書き方。
「読書感想文を提出する前に、一度おうちの人に読んでもらうとよいでしょう。」
ここいいですね。人に見せる前提を作ると書き方が引き締まる。
 
……なんで自分の感想を人に見せないといけなかったんだろう?
やっぱりわからない。
 
まー、結局書かせるんだろうなって思う。
運悪くいい本に出会えなかったら、かわいそうだけど仕方ない。
むしろどこがつまらなかったかじっくり書いてほしい。賞は取れないけどめっちゃ褒めるよ。
でも、出会えたにしろ、出会えなかったにしろ、「本を読んだ」といううっすらした経験があるだけで、人生って結構かわる。
たとえつまんない本でも、大人になってから「案外よいもんだな」ってなることは本当に多い。
それよりなにより、「自分で本を選んだ」って経験だけで全く変わるもんだ。
 

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今の子はKindleで本読むんですかね。
 
 
 
終わり。