たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

C88、このシンデレラガールズ同人誌が面白い

c88お疲れ様でした。
 
うちのサークルでだした女子制服カレンダー

買ってくださった方に、心から感謝+まだ見てない人は是非読んでね! 
実在の制服めっちゃのせたよ!
2015年関東版、最新だよ!
『女子制服カレンダー きせつのなかのアイドルさん』
メロンブックス委託
コミックZIN委託
とらのあな委託
なにとぞー。
 

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というわけで、その他ぼくが買った中から、これは!と感じたものを紹介していきます。
シリアスもの多め。
 

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ヨガ道場さん『本田さんはアイドル』
この本に出会えて本当によかった。この本に会えたから、C88に行ってよかった。
 
6、7話。本田未央のクラスメイトの話です。
といっても「まじかよ本田!」という、未央を囲んだ元気グループじゃない。
教室の隅で、明るくて元気なみんなの人気者・未央を見ながらも、輪に加われない少年の物語。
 
絶対いるんだよ、物語の外側に、幸せになれないやつがさ!
未央のクラスメイトのみんなは、仲良く未央のライブを見に行った。
でも「俺」は、誰にも誘われなかった。それでもこっそり、見に行った。
がんばれ、がんばれ本田未央! 心の中でそう願う、冴えない少年。
しかし、そんな祈りは届くわけもなく、未央はこころに大きなキズを負う。
 
あまり得意じゃないバスケで、シュートが決まった「俺」。
肩を叩いて「ナイシュッ♪」と言ってくれた未央。
だから自分も、落ち込んだ未央を励ませると思った。思ったのに……。
 
『「本田さん」は「アイドル」』というタイトル。
あくまでも、クラスで「俺」に話しかけてくれる「本田さん」であって、仲良しな「本田」じゃない。
彼女は友達や恋人ではない。本田さんは「アイドル」で、すぐとなりにいても全然手が届かない。
 
未央に対して「学校の友人のようだ」と感じているのはぼくだけじゃないようで。
ぼくは本田未央の恋人にはなってはいけない・たまごまごごはん
本田未央というキャラの恐ろしいところは、「未央を見ることで自分がどういう立ち位置なのか思い知らされること」
鏡です。
 
ラストシーン。
エンディングは、グッドでもバッドでもない。
ただ時がすぎ、人間関係も続き、「俺」の知らないところで未央は元気になる。事実がそこにあるだけ。
「俺」ってなんだろう、と考える間もなく、話は終わる。
未央は、笑いながら手を振ってくれる。
やっぱり「本田さん」は「アイドル」。
 
みんながみんな同じ感想を持つ作品じゃないと思います。そこがいいのよ!
ぼくはもう「俺」に完全にシンクロしていたので、何度も何度も何度も読んで、拷問を受ける気持ちで、それでも読んでいました。
「まじかよ本田」視点の人は見え方ころっと変わるでしょうし、未央視点の人はこの「俺」をどう捉えるかが全然違うはず。
 
「アイドル」という言葉は、時に残酷だというのを静かに描いた作品。
あまり文字で感情は書き込みすぎない。大事なシーンでは未央の表情が微細に描かれることで、「俺」の感情まで表現している漫画力のある作品。
「ナイシュッ♪」の未央の顔、二回目読むとめっちゃ刺さるぜグサグサに。
アニメ版6,7話見ていること前提。未央好きな人のみならず「アイドル」って言葉に興味ある人は、なんとかして読んで欲しい。ホント読んで欲しい。
 

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柑橘金貨さん『南条光夏休み合同誌 たいようの娘!』
ナイスコンセプト!! このタイトルでパン!と膝を打ちました。
その手があったか!
 
南条光の夏休みを、絵日記マンガ形式で描いていく合同誌。
7月18日から、8月31日までを、毎日それぞれの作家に預け、漫画+絵日記にしていく、という気が遠くなるような内容。
これ考えた人もすごいし、描いた人もすごいし、まとめた人もすごいよ!
総ページ数236。分厚い。
 
色々な作者が、少しずつ変化していく夏の日の中の南条光を描いていく。
一人で描かないからこその面白さを最大限に活かしていて、もうシャッポを脱ぐしかない。
 
というのも、「南条光」というキャラ、パブリック・イメージだと「特撮好き」「ヒーロー願望」で固まりがち。もちろん元のゲームのテキストがそうだからなんですが。
でも、二次創作ってそこを壊すものでしょ。
 
特撮ヒーロー好きとして、夏の一日いっぱいをすごすのも、いい。
でも全く違う遊びだって、彼女はしているはず。
花火もすれば、さんぽもする。戦争について考えることもあれば、お祭りにだっていく。
そこにいるのは、「ヒーロー好き」なだけの南条光ではなく、「一人の女の子」としての南条光。
 
友人関係も、普段はレイナサマと凸凹仲良しコンビなイメージあります。でも、人間関係ってそんなもんじゃない。もっといろんなキャラクターと出会って、会話して、一日を過ごしているはず。
ミリオンライブのキャラクターも交え、南条光の夏休みは明るく彩られていきます。
 
これだけバラバラな人が、独自の色を出しながら描いているのに、最後にはすべて「南条光の想い出」になっている構成は見事。
特に8月26・27日のまとめ方はうまかったなー。
 
どえらい難しい作りの本です。だからこそめちゃくちゃいろんな角度から楽しめます。
南条光というキャラが、どんなものでも受け入れられる純粋な娘だからこその本なのかも。
たいよう、だね。
 

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大作さん『指名手配のモンタージュ』
仮説なんですが。
「だりなつ好き」って、本当は女の子としての「木村夏樹」が好きなんじゃないかと思ってる。
 
大作さんは「SF」と言っていたこのマンガ。SFです。いわゆる平行世界の話。
ゲームの中「木村夏樹」と、アニメで描かれている「木村夏樹」は、見ている世界が全然違う。「多田李衣菜」も同じ。
特にゲームでは2人がとても親しく、ゲーム内で特別イベントが組まれたほど。なのにアニメでははじめて出会った程度。
 
このすれ違いのもやもやを、タイトルの通りTHE BLUE HEARTSの「僕の右手」の歌詞と、カット割りを活かした、どちらの記憶かわからないフラッシュバックで表現。
大作さんのマンガは、アクセルを踏んでからのドライブ感がはやい。一瞬でトップギアに入る。
あまり多弁ではないこのマンガは、なつきちがギターで「僕の右手」を弾いた瞬間、平行世界がものすごい勢いで混じり合います。
読者側は考える間もないのね。だって2人の記憶の交錯なんだもの、こっちがどうこう言う暇ないよ。
 
そして、ゆっくりとスピードを落とし、まだ終わりたくない、まだ続いて欲しい……というところで静かにスイッチが落ちる。
フェードアウトせず、カチッと切り替わる手法を取っているのが、もうずるい。
切り替わっちゃうから、こっちが「分からない」状態で、もやもやする。
それ以上に、木村夏樹多田李衣菜のもやもやは、でかいだろう。
 
多分アニメでは今後、木村夏樹多田李衣菜の物語が描かれていくと思います。
けれど、それはゲームの中で再三再四見てきた2人とは、やっぱり違う。
キャラにとっては違ったほうがいいし、両方共いい物語。間違いない。
間違いないんだけど、なんだか苦しい。寂しい。
 
「指名手配のモンタージュ 街中に配るよ」という歌詞がどちらにとってのものなのか、何を意味しているのか。
多分、このまんがって、ひとつの鎮魂歌であり、ひとつの誕生を祝う歌、なんだと思う。
 

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22w/藤原とうふさん『ねこはひとりで死ぬ』
こちらも、アニメ版とゲーム版のギャップから、少女たちのあり方を考えた作品。
世界観のズレが、成長の可能性を考えさせてくれます。タイトルかっこいいわ。
 
軸になっているのは、前川みく多田李衣菜の「アスタリスク」の2人。
自分の個性を伝えるにはどうすればいいのか。
必ずしも「みんななかよく」が答じゃない。
 
ニュージェネ三人のうち、凛は「トライアドプリムス」に参入。未央はソロでデビュー。
これを見てみくが言います。
「そろそろ考え時かもしれないにゃあ。解散」
いつもの解散芸と違う、本気の解散の話。
 
解散芸を持った2人って、今は見ていて楽しいけど、それって「個性」か?と言われると、うーん。
表現としてうまいなと思ったのは、「ロックと猫をかけあわせたら、三味線ができちゃった」という流れ。
それな! ロックでも猫でもなく、三味線お笑いになった。それでいいのか!?
 
多田李衣菜には、木村夏樹というあこがれの存在ができます。
ここで、寂しいとかに軸が揺れない前川みく
彼女はやっぱり多田李衣菜のことが好きなんだけど、けれど全く依存していない。
一人で歩こうとする前川みくの姿が、とてもすがすがしい。
 
……と見せかけた、島村卯月マンガですよねこれ!?
ニュージェネの凛・未央が自分の道に進み、一人シンデレラプロジェクトの部屋で、何をするでもなく、感情のない笑顔で佇んでいるのよ。
前川みくが頑張っているだけに、これは辛い。
彼女の存在がギャグじゃないのは「いいですよね! 憧れって。私の憧れは「アイドル」だからなあ」というセリフからわかります。
アイドルになって、その次のステップが見つからず、何もすることがなくなってしまったからっぽな島村卯月の姿が、猛烈にキツイ作品。みくマンガなのに島村卯月で苦しくなる作品。
まあ、よく仕込んだものです。しまむらさんの笑顔って、時折コワイんだよね。
 

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肉ネームさん小日向美穂が戦国ドラマの姫になる話』
なっつかしいー。ゲーム内コラボで小日向美穂が戦国姫衣装になったアレです。
最近はじめた人だと分かんないネタかもしれません。でもマンガはそこは知らなくても全く問題なし。
 
小日向美穂ってキャラは、とても捉え方の難しい存在だと思ってます。
例えば、緒方智絵里と一見似ている。おとなしくて、優しくて、気が弱くて。
でも全然違う。意外と頑固で、意外と向上心が強くて、意外と前向きで。
そして何より、どんなに緊張しても絶対やりぬこうといつも努力し、常に感謝の気持ちを忘れないのが、小日向美穂
 
肉ネームさんのとらえた小日向美穂像は、もっと深いもの。
ここは実際読んでみてほしいのです。ある意味パブリック・イメージの「小日向美穂像」を大切にしながら、作者の中にある「小日向美穂はここまでできる」という味付けがされている。
 
あるシーンで小日向美穂が、泣いてしまいます。
演技とか、仕事とかじゃないんです。全く別のことなんです。
それこそが小日向美穂だし、だからこそ彼女はメインヒロインに抜擢された。って思える。
「アイドル」というのがもし、光り輝く存在であると同時に、みんなに笑顔を与える存在という意味ならば。
肉ネームさんの描く小日向美穂は、まごうかたなき「アイドル」です。
 

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哀れなウサギさん『ReMake』
マンガでしかできないネタ、やってくれたよ……。
ちょっと表紙からは想像できない内容ですよこれ。
 
といってもそこは、言ったらネタバレになるので、言えないんですが。
基本的には、佐久間まゆの話です。
ところが、序盤から「プロデューサーがまゆを避けている(ヘタしたら嫌っている)」ところからスタート。
確かにまゆは攻めすぎなところあるけれど、あまりの避けっぷりに、読んでいてこっちが滅入るほど。
そこでまゆの心がボッキリ折れてしまい、何をしてももうダメなんじゃないかと悲嘆に暮れます。
 
ある意味これもSF?的な作品。あるいはメタ的というか。
そもそもぼくらが見ている「佐久間まゆ」ってなんなんだろう。
少なくとも、ぼくが見ている「佐久間まゆ」と、あなたが見ている「佐久間まゆ」は、違う。
そして、この作品が描く「佐久間まゆ」も、違う。
 
二回読むと、色々見えてくると思います。
ある意味、「二次創作とはなんなのか」という大きな問いまで引っ掛けてくるマンガ。
 

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キュートビリビリ/安部愛コさん『魚が花に嗤う夜』
ほんとこの作家さんは、「女であることの不安」を描くのが毎回うまい。
多分ぼくが逆立ちしても、絶対出てこない、「女性」の思考がゴリゴリに塗りこまれている。
 
主役になっているのは、新田美波
この子もゲームとアニメで、もう真っ逆さまなんじゃないのってくらい変わりましたね!
だって、ゲームで初めて新田美波を見たファンのつけたアダ名、歩くセックスでしたからね。
それがいまや、ラブライカで純白ですよ。
 
この作者は、両方が「新田美波」の側面であるとして描いています。
序盤から新田美波がゴムなしセックスの最中。
彼女自身がこの行為を、恋愛でも性欲でもなく、承認欲求だとわかっているのが、ものすごく辛い。
 
承認欲求に苦しんで性に転んだ子って、結局は他のところでも承認欲求で悩まされるわけですよ。
彼女が嫉妬してしまうのは、城ヶ崎美嘉。カリスマアイドル。みんなに頼られる存在。
自分はプロジェクトのリーダー。頑張っているし、美嘉は助けてくれる。
それが悔しい。負けた気になる。
 
この承認欲求への依存がどこから来たのか、という過去話がぎょっとする。
かつて高校時代……ああっここは、ここは読んで!
ただ、ほんのちょっとしたことで相対的に他人からの評価はかわり、承認欲求は満たされる。
たとえそれが、歪んだ行動でも。
 
そのかわり、歪んだ足場の上の承認欲求は、越された時に失われるのも早い。
抜け出すヒントを与えてくれたのは、アーニャ。
これもまた、視点をちょっと変えだけのこと。その「ちょっと」が大きい。
 
この作者さんのマンガは、割りとキャラクターがきつい出来事に出会い、きつい行動をすることが多いので、読んでいて重たいのは事実。
それって、キャラクターに血が通って、一人の人間になっているってことなんだよね。
 

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他にもたくさんたくさんシンデレラガールズ本・ミリオンライブ本ありました。
買ってる暇はありませんでした!(売り子だったし!
委託を漁りまくろうと思います。
少なくとも、こういう本に出会えて、ぼくは幸せでした。
 
 
 
 
 
 
終わり。