たまごまごごはん

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『銀のニーナ』は、少女によって男性が成長する系マンガの目指すものど真ん中

銀のニーナ : 10 (アクションコミックス)
『銀のニーナ』は連載はじまってから、本当に好きで好きでどうにもならない作品。
っていうか、そもそもぼくは「成人男性と少女」の組み合わせにとことん弱い。
(作者・イトカツは、ゲーム「餓狼MOW」の双葉ほたるのモーション作家で、ほたるのペットの名前がイトカツだよ)
 
東京から田舎に帰ってきた修太郎27歳。彼が預かることになったのは、ヘルシンキに行った姉の娘、ニーナ。
銀髪、碧眼、10歳。日本大好き。アニメヒロイン大好き。
高原で、姪の世話をする生活が始まる。
 
このマンガの世界は、ほんっとに何にも「えぐさ」がない。
ニーナと母親はめちゃくちゃ仲がいいし、修太郎も(東京と違って)キャベツの収穫など仕事ができている。
修太郎の幼馴染・巴はとても面倒見がよく、大人になっても彼とは仲良し、ニーナのこともめちゃくちゃかわいがっている。
ニーナはきちんとのびのびと成長し、学校にも通うようになり、友達もできた。
 
ほんっと幸せ。
高原も美しいし、ニーナと一年無事過ごせたし、修太郎の母親(ニーナのおばあちゃん)とも仲良し。
 
クリーンになればなるほど、「お前ちゃんとやってるの?」という重しが、成人男性にはのしかかってくる。
ニーナは、彼を写す鏡だ。
 
「成人男性と少女」ものは、いくつかの方向性があると思う。
ひとつめは、成人男性が自分を見つめ直すきっかけの物語。(例・おたくの娘さん、29歳独身中堅冒険者の日常)
ふたつめは、少女の成長を、男性を定規にして記録していくスタイル。(例・アルテ、アリスと蔵六
みっつめは、一緒に年を重ね成長する中で、二人に恋愛が生まれるパターン。(例・高杉さん家のお弁当、これは恋のはなし)
きっとまだまだあると思うけど、大きくはこの3つ。
 
で、『銀のニーナ』はひとつめのど真ん中も真ん中。
幼馴染の巴とフラグが立ちまくっているため、ニーナとの恋愛という道はまずない。
というか巴がいるからなおのこと、「お前ちゃんとやってるの?」の共鳴がすごい。
ニーナの前で「ちゃんとした大人」になれているのか、巴の前で「一人の人間」として成長できているのか。
できてない。それでもニーナは慕ってくれるし、巴はケツ蹴ってくれるから、一歩ずつ前に進める。
 
10巻までくると、ニーナもすっかり学校に慣れ、修太郎と離れていても友達ととても仲良く過ごせている。
修太郎もニーナをしっかり育てようという意思が芽生え、仕事への意識も強くなった。
今までどおり、一切心配するような展開はない。
つまり、テーマ(成人男性の成長)にずーっと向き合っている。これはすごい。
 
ただ「女性に対して向き合う男性」としては驚くほど育っていない。
無理しなくていいところだけど、巴が哀れ。
そんな「イライラしまくるけどやっぱり幼馴染の彼が好きでもうアラサーなきっぷのいいお姉ちゃん・巴」が真ヒロインだと思ってます。
ニーナはかわいさが天元突破していて、ヒロインってより妖精に近いんだよー。最近人間度合い増してきたけど、それでもフェアリーだよー。