たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「まなびストレート」の主役キャラがぷにぷになわけを考える。

●まいったな…人がアニメに落ちる瞬間を見てしまった…●

今まで適当にしか見てなかった(というかジン差し替え版のMADしか見てなかった)「まなびストレート」が、こんなに深いアニメだったとは!たまごまごです。北海道ではまだ4話です。
そう、この感覚は、「おジャ魔女どれみは子供アニメだから…」「かみちゅ!萌えアニメだから…」という偏見でスルーしかけていたときに「はっ!」と気づいた感情によく似ているかもしれないです。こんな良質なアニメがあったことに驚いています。もう今期ベストテンに入りました、自分の中で。
 

●人の数だけ、視点がある。●

知らない人のためにものすごく大雑把に説明すると、生徒会アニメです。まなび、という超ポジティブな生徒会長を、みかんという割とおっちょこちょいの子の視点から見て、みんなで何かしていこうとするアニメ。
生徒会もののマンガやアニメ、っていっぱいあると思うのですが、視点をどこにすえるのってすっごい難しいと思うんです。理想論が出やすいとか、リアルすぎると地味とか、おおげさにすると子供っぽくなるとか。
しかし、大人視点、子供視点をあいまいな正義感で塗りつぶすことなく、きちんと両方の視点で描こうとしているんですよね。顧問の先生と学園長がいい人だというのもあるけど、決して生徒に迎合しているわけではないし、先生側からみても「問題児たち」という意識もしっかりあるし。
また、外側の冷静な視点(3話で他の学校の生徒の客観的意見で、まなびの暴走に歯止めをかけたり)をぶつけ、ファンタジー女子校生空間ながらも、妙にリアルで生々しい「学生の本音」を目の前につきつけ、戸惑わせたりしています。「遊びにきたわけじゃないんだし」「実りのあることをするべきでは?」。そんなん言われたらへこむわー。と思ったら超ポジティブなまなびちゃんもへこみました。「どれみ」などでもそうですが、ポジティブな子がへこんで、それを見せないようにする時、すごく「ドキッ」としますね。
4話では「理想ではない押し付けの委員長」というリアルの恐ろしさもきっちり描かれています。
委員長は「ウザイ」。委員長経験者でこのトラウマのある人は多いのではないでしょうか。…ああっ!(何かが脳内でよみがえった様子)

絶対スルーしたほうが、ストーリーを作る上では楽な部分を、あえてぶつけてきた「まなび」。すごいよ、すごすぎるよ。4話の芽生ちゃんのエピソードは、できれば子供たちにぜひ見て欲しい傑作。
 

●「萌え」っぽいかぶりみので、どえらいことをしでかすモンスター●

一見「萌え」の皮をかぶりながら、裏で鋭い思想や人間観を描いたこういうモンスター作品はほかにも「こどものじかん」や「よつばと!」などいっぱいありますが、アニメ「まなびストレート」もまた、そこに描かれている深淵さが、ハートにきました。
まなびストレートのOPから色々妄想を語る(流星、夜を切り裂いて 〜FLY HIGH〜)
演出やアイテムや色彩設定や動きがとにかくいちいちこっているので、ディープにディープに掘り進んで深読みすることもできる広さがあります。OPは本当にびっくりしたなあ。生徒会なのに落書きな上に、ハードな画面作り。ジェットセットまなびフューチャー。実験的表現手法も効果的にもりだくさん。「すっげーぞー、3Dが4Dで16回転だ!」というセリフがあるのですが、それはまんま「まなびストレート」のことなんじゃないかと思いました。
髪の毛の色のグラデもすごい斬新でした。また、一つ一つの行動が、そのキャラの心情を描くと同時に、まわりからのそのキャラへの視点をも描きこんでいるんですよね。ときどきおおげさになる演出も、そのような地盤がしっかりしているから非常に、「胸にたまった何かを浄化」してくれるかのように流しきってくれるのでもう…爽快!
実質、今の時点ではまだあまり他の人に、彼女たち生徒会が「認められてはいない」んですよね。ふと見方をかえると陰鬱になりそうな部分を、かわいらしさで覆ってはいるけれども、決して目をそむけずに描いているのが衝撃でした。うやむやにスムーズにいったりしないんだもの。
こういう「マンガっぽいんだけどリアルな部分がある」作品に、めっぽう弱いです。
 

●もちろん「萌え」るけど…あれ?●

とはいえ、もちろん萌えポイントもしっかりおさえているあたり、にくい。

どうみても小学生。
各地で話題になっていますが、このアニメ、もうなんていうか、動きがぷにぷにぷにぷにしてて、「ロリ」じゃなくて「ぷに」なんですよ。
「どんなぷに世界ですか!」といわれると、まったくもってそのとおりなのですが、ちょっとそこで他の生徒を見てみると。

わりと普通。
まなびたちのいる聖桜が、成長を止める薬でも飲ませているのではないかといわんばかり。そこがかわいいんですけれども、どうにも幼すぎです。
しかしこの作品、「内容はリアル」だけど「演出は派手」なんですよね。だからただの「ぷに」ではないな、と踏んで考えてみました。
 
まず、まなび達の行動「まっすぐゴー!」は、大人から聞いたら「恥ずかしい」言葉です。んで、作中でもそれは「恥ずかしい言葉」としてきちんと受け止められています。実際、理想や夢のつまった彼女達は、間違いなく子供っぽいんですよね。
「愚直の美」とは言うけれど、それだけじゃどうにもならない部分もあるんだよ。その視点を捨てていないから、キャラ達は悩み、迷います。何も考えていないようなキャラ達に見えますが、相当悩んでいて、徹夜が多いんですよね。でもそれでも「愚直」でありたいじゃないか。それじゃあどうする?

とにかく夕暮れ、夜、夜明けと、暗い時間帯が多いアニメ。OPからして薄暗いのでびっくりします。このへんは先に紹介したリンクで非常に興味深く書かれているので必見。

視点は大人からも子供からも描かれていますが、基本はやはり生徒会周辺の5人。どの子もまだ自分達が、成長しなければいけないことを十分理解しています。

特に、同じ年くらいのははずの、愛光学園の生徒会長、角沢多佳子との間には10歳くらい年はなれてるんじゃないの、といわんばかりの描かれ方の違い。
 
角沢さんは、5人どの目から見ても「大人っぽくて自分達とは異質の存在」なんですよね。それにくらべて、自分達はとても子供っぽい。「まっすぐゴー」は恥ずかしいけど、まっすぐ行くことが自分達の生き方なのも知っていて、とりあえずそうするしかない、と「自分達の小ささ」を理解しているんだと思うんですよ。特に、最小のみかん。5人の中でも特段に自分が小さいことを感じています。
暗い画面は、まだ前の見えない証。幼稚園のような生徒会室は、自分達の幼さを知りつつ「とにかく自分のできる力でやるんだ」というカタチなのかなって。
その中で小さい自分は、不安の表れ。なんじゃないかなと思いました。きっと超客観的に描いたら同じ頭身なんでしょうが、主人公たちにしてみたら自分たちはこう見えているから、これがある意味真実なのかなと思いました。そういう演出が許されるような空間を作ったことが、またこのアニメの面白さなんですよね。
 

最初は二人でこんな、夢の中へモード。まわりの3人もさすがにあきれていましたが、

こうなる。このシーンすっっっっごい好き。
自分達の、時々からまわりする生徒会活動が、必ずしもパーフェクトじゃないのはみんなわかってはいるんですよね。だけど、それでも、みんなが集まって何かを必死にやるのが楽しくて、それは経験している自分達にしかわからない。だからやるんだ、間違ってなんかいない、そう胸をはって信じているかのようです。
だから、彼女達の見た目は小さければ小さいほど、その必死さと「まっすぐさ」に心打たれるんですヨ。「愚直の美」でいいじゃない。見えない自由がほしくて見えない銃を撃ちまくればいい。
  
今後もこのアニメは、スムーズに物事がすすむ回はないんだろうなあと思いました。そこで、困難に突き当たりながらそれを解決していくという「爽快感」も生まれると思いますが、それ以上に「思ったとおりの結論ばかりではない結論を迎える」こともあるかと思います。それでもきっとまっすぐまっすぐ進むんだろうな、と。
まっすぐすぎるのが「正解」ではありませんが、それをやさしく見守るこれまた問題児な下嶋先生の存在が大きいんですよね。彼はきっとただひたすら見守っていくのかな、と思い始めると、大人の視点は下嶋視点に変化しながら、ハラハラしつつ5人を見守ることに。うん、それでいい。
 
いやあ、ものっそい楽しみなアニメが増えました。あ、いや、ロリ方向じゃなくて、内容ですよ内容。
ん?5話はすごい脚が見所?…ぶっ(鼻血
 
〜関連リンク〜
がくえんゆーとぴあ まなびストレート オフィシャルサイト
まなびストレートを観る時のアングル(青ひげノート)ぬるヲタが斬るより)
「まなびストレート」のキャラを他のアニメキャラと比較してみよう(ぬるヲタが斬る)
まなびストレートにハマった人は他のufotable作品も見ようぜ(全てが台無し―雑記帳―)
まっすぐゴーのポーズ