たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

バカな子ほどかわいい?「ヒャッコ」から見る、おバカキャラの魅力

今のマンガ・アニメの世界に欠かせないのが、オバカキャラ。
あんまりかしこくない、という意味ではなくて、もうちょっと狭義に「暴走おばかキャラ」とした方がいいでしょうか。熱血キャラほど意思はない、ゆるゆるキャラほど癒されない。まさにアホの蒸気機関車
物語を一気に盛り上げつつ愛されるだけの資質をそなえたキャラといえますが、その分使い勝手もあまりよくなく、時には話を破綻させることもあるので、バランスの難しいキャラかもしれません。だからこそ!それがいかされるときにはすっごく愛らしいんですよねえ。
そのへんのキャラバランスと、おバカ加減っぷりが見事な作品として、カトウハルアキ先生の「ヒャッコ」を紹介してみたいと思います。
 

●4人というバランスのよさ●

基本的にこのマンガ、ズレたキャラの集う暴走女子高生マンガです。

左上…まじめでキレやすいお嬢様。唯一のツッコミ。
左下…おっとりのんびりな女の子。いじられやすい。
右上…無口で価値観のずれた怪力少女。
右下…反射的に行動する暴走超特急少女。

暴走っ子がめちゃくちゃして、おっとりっ子があわてて、お嬢様がキレて突っ込み、無口っ子がとんちんかんなことをする。
バランスいいですねえ。
女の子4人、というシチュエーションは非常にバランスよく安心して楽しめると思います。たとえば「苺ましまろ」「らき☆すた」「かしましハウス」など。そういう意味ではやっぱり「若草物語」の4人姉妹は永遠の憧れです。
3人だともうちょっと親しさが増します*1。5人だともうちょっと関係が複雑になり、中心人物を囲む形になります*2
すべてが類型になるわけじゃないですが、4人はこの図に象徴されるように、2対2になるので見た目にもバランスとれていていいんですよね。そしてツッコミが一人でまとめることができる最適な人数でもあるんですよ。
にしてもこの「ヒャッコ」という作品の特徴として、4人の輪だけではなくて、そこに多くのキャラが出入りしつつバランスを保っているのが見事なんです。
ヘタにいじるとごちゃごちゃになったり、クローズドな輪になったりしがちですが、この作品は人数が多いのにスーっと読みやすい。
それは、暴走少女虎子がかっちりと引っ張っているからだと思います。
  

脊髄反射で動く女の子●

この虎子さん、何も考えてなさそうで、実際何も考えず行動するのが、またかわいらしいんだな。

この作家さんのマンガの描き方、ちょっと変わっていて、かなりラフに崩した感じの絵柄で全体を統一しています。それがキャラ達の躍動感やかわいらしさになって生き生きしているのがステキです。
中でもやっぱり格段に生き生きしているのが虎子さん。突然野球やったりテニスやったりと、何も考えてないのがびしびし描かれています。気を使っているわけでもなんでもないです。本当に何も考えていません。

だからこそ他のキャラと時間の流れと言うか、テンポが全く異なり、非常に目だってかわいらしい感じがあふれています。すっごい目立ちます。
目立つというのは、キャラの魅力じゃないかなあと思うのです。一人だけ上着を脱いで黒いYシャツのままなのも、躍動感あふれる少女をさらにスタイリッシュにしており、非常に効果的。
黒は女をひきたてますな。
 
実際この子、ほんとオバカだけど、すごいセクシーなんですよ。そこそこ、そこがポイント。

かわいい!
オバカキャラですごいかわいさも飛びぬけているキャラ、っていうのはちょっとレアな気がします。もちろんオバカ補正がかかっているからなおそのギャップがかわいいのですが、このカトウハルアキ先生の絵柄で描く虎子が非常にむちむちしているのでなおのこと。
もちろん、他の3人+αもとてもかわいらしく描かれている作品なのですが、虎子のかわいさはかなり意図的に描かれていると思います。そして、「オバカな子って…いいな!」とうならせてしまう、元気な魅力たっぷりなのです。
 

●おバカっ子たち列伝●

小見出しほどおおげさなことは今回は書かないですが、とりあえず他の作品ででてくる、オバカさんキャラをちょっとあげてみます。

まずは「苺ましまろ」の美羽。おばかの代表選手。
といっても彼女のギャグは相当計算されている、という見方もできます。実際にはかなり賢い子でしょうネ多分。ただ、あまりにもおバカなことばかりしているので、そのバカさがかわいいキャラという定着はしていると思います。

おバカといえば欠かせない、「あずまんが大王」のトモちゃん。
彼女は本当に何も考えていないタイプの暴走トレーラー。何かを轢いても気づかないという感じ。
また、それがもんのすごい迷惑きわまりないこと、突っ込みとしてよみちゃんが常にいるということが、新鮮だったり、色々な妄想かきたてるキャラでもありました。え、妄想しませんでしたか?しますよね。もうちょっと迷惑度をさげてオバカ度をあげると、「ぱにぽに」の姫子や「B型H系」の三郷になるかもしれません。それぞれ暴走度のベクトルが違うのが魅力。

男の子キャラもオバカだとかわいいのです。「共鳴せよ!私立轟高校図書委員会」より。バカな子ほどかわいいとはよく言ったものです。「桜蘭高校ホスト部」の環なんかも、おバカさが愛らしいですよね。
 
最初にも書きましたが、マンガの中でのオバカキャラは一気に話を展開させてくれると同時に、時には暴走しすぎてごっちゃにもなりやすい諸刃の剣かもしれません。だからこそまわりのメンツとのバランスや突っ込みキャラの存在で、その愛らしさがひきたつキャラ性でもあると思います。
あ、もちろんオバカキャラは非常にかわいらしいんですが、それをお世話するキャラが好き、という人も多そう。このへんやっぱり、日本人の中に眠る昔からのボケ・ツッコミの楽しみ方も重なるのか、あるいはマンガ独自の「暴走」の描き方なのか。
色々なとらえ方はあると思いますが、「だからバカだよね!」と言ってあげるのが最高のほめ言葉な気がするのです。
 
ヒャッコ 1巻 Flex Comix 夕日ロマンス(Flex Comix) 共鳴せよ!私立轟高校図書委員会 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
「夕日ロマンス」は変態姉の暴走っぷりが面白い作品。「姉」「妹」といわれてピン!と来たら、ものすごい勢いで読んで欲しい作品です。
ヒャッコ」のほうは、Yahoo!コミックで無料で連載されているので、興味があったら是非。
D.キッサン先生の「共鳴せよ!私立轟高校図書委員会」は、みんな価値観が微妙にブれている感じが楽しい4コマ。オタク知識があると楽しさ倍率さらにドン。なくてもキャラがイイのでドン。

*1:かみちゅ!」「もうすこしがんばりましょう」など

*2:セーラームーン」「プリキュア5」など