たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

大学生活で、お酒を飲むのもいいもんだ。「もやしもん」の酔っ払い癒し空間。

業魔殿書庫・オタク漫画紹介第一回で「もやしもん」がテーマということなので、ちょっと参加してみようと思います。
「オタクが題材のマンガをみんなでレビューしていこう」という面白い企画なんですが、その一発目が「もやしもん」ってのがイイですね。いきなり「オタク=アニメ・マンガ」という部分から脱却。
まず点数性だそうなので、自分なりに採点してみます。

・面白さ … 漫画としての面白さ。総合評価。
・オタク度 … オタクの生態が上手く表現できているか。
・パロディ … パロディネタの豊富さ。どれだけニヤリとできるか。
・共感 … 「こんなオタクライフを送りたい!」や「あるある!」など、どちらかというと”負”の方向以外でどれだけ共感・憧れを覚えるか。
・痛さ … オタクならではの痛さなど、どちらかというと”負”の方向で共感を感じるか。
・萌え … 俺はこの漫画のこのキャラに萌えるんだ!
・燃え … 熱い展開にどれだけ燃えられるか。

面:5 オタ:3 パロ:3 共:5 痛:1 萌:5 燃:3

第一感想としては、及川さんがかわいすぎるので萌が5。
まあそれはおいておくとして、ちょっと感想を書いてみます。
 

●なにはなくとも酒ですよ。●

もやしもん」という作品は「菌類が見える」という設定をごくさらりと描きながら、非常に読みやすくまとめた作品だと思います。
なんせ、ものすごい情報量の菌類の知識を、「話の長い教授のセリフなので聞き流す」というキャラの行動により、読まなくてもストーリーがわかるという裏技が使用されています。
だから、逆にぎっちり読みたい人は、読んで雑学を増やせばいい!というマニアックな作りが心くすぐるんだよなあ!
そして、それがギュギューっと凝縮されて、食べ物へ…酒へ向かっていくのがなんとも大学らしい。
 
はて、自分はあまり酒を飲みません。
なんというか、記憶が曖昧になって本当に楽しいのを味わえないのがイヤなんですよ。すっごく弱いので。元々テンション激高い人間で、今すぐ「もってけ!セーラー服」でも「サウスポー」でも振りつきでカラオケで踊れるくらいなので、お酒入れなくてもイイってのもあります。あと、酒に酔った人のおかしな挙動を見るのがスキで…フヒヒ。
しかし、この「もやしもん」という作品、見ていると無性にお酒が飲みたくなります。お酒を飲まないっていうか、そんなに味が好きじゃない自分がそう思わされるんだから相当なものです。人生で二回目です。
一回目は、筋肉少女帯の内田が「美味しんぼ」を読んで、日本酒って芸術なんだよな、って語ってたのを聞いたとき。
出てくるキャラクター達が無類の酒好きぞろいというのもあるのですが、その発酵の過程を丁寧に描いていることや、酒への本当の「育てる」愛情を描いているのが影響受けるんですよネ。
そう、酒は生き物。
ただ、唾液酒は勘弁願いたい。いやまあ、確かに昔あったんだろうけどさ、猿酒とか。
 
大学生活といえば、酒。そんな大学時代を自分も送りました。
いやあ、自分飲まなかったから冷静に見てたんだけど、あれはひどかった。サークル棟に日本酒ぶちまけながら歩くもんだから、廊下も階段もべちゃべちゃ。酒臭いの何の。
しかし、それってあんまり「いやな思い出」じゃないんだよなあ。とジワジワ思い出しました。
改めて、あの空間に戻るのもいい…と思ったけど、体力持たないな多分。だから「もやしもん」で元気を補給だ!
あのドタバタと酒でさわぐあたり、「究極超人あ〜る」の光画部の延長線上のような、気持ちよさ満載です。「グダグダ」という言葉がふさわしい空間ですが、ここには確実に癒しもあります。とっても色々臭う癒しですが。
あ、お酒は二十歳になってからね!
 

●主役は多分、デブとヒゲ●

さて、この物語、基本的には菌が見える沢木くんというチビイケメンと、お嬢様で酒癖のわるい長谷川が主役扱いなのですが、それ以上に主役としか思えないキャラが自分の中にはいます。

それが、川浜拓馬(デブ)と美里薫(ヒゲ)。
いやあもう、実質的には全然主役でもなんでもないんですが、個人的にはこの作品で一番比重のでかいキャラだと思います。
密造酒を作っては失敗、部屋の中はかびだらけ、何をやってもださくて汚くて最低な感じがプンプンするやつらです。見た目のとおりというか。
そして、エロスな気持ちも決して忘れておらず、大金かせいで媚薬をゲットしようとする本能のまま動く塊でもあります。もう、ありとあらゆる面でダメ。
 
しかし、彼らは憎めないんですよ。むしろ愛らしいといってもいい。
デブの心から虫を愛して熱く語るあの顔。ヒゲが真剣に酒について考えているときの真剣な目。そう、これこそ愛すべきものを見つけたオタクの瞳。
基本コメディ役な彼らですが、沢木に対する仲間意識や、時々見せる真剣さは正直熱いです。まあ、見た目がアレなので決してカッコヨクはないんだけれども、そこがかえって共感できます。というわけで共感度にプラス加点。
どんなジャンルでも、偏愛するとやはり生活や思想に偏りは出るし、価値基準もヒドいことになっていくのが、マンガのキャラとしては面白いところですが、やっぱりそここそがとてつもなく愛しいところ。
笑いながらも、このデブ+ヒゲ、そしてチビ沢木のトリオのぐだぐだっぷりが心地よく、読みやすさを誘導してくれます。
 

●大学時代は一瞬しかないから。●

大学が舞台のマンガってありそうでそんなにないと思うのですが*1、「もやしもん」はそのツボをうまいこと突いてるんですよねえ。

この言葉が、すごく心にしみる。
そうそう。別にボンボンお嬢様大学を見たいわけじゃないです。男女やりまくりオンラインな大学生活じゃなくていいのです。
ダサいけど、楽しい大学生活は確実にここにある。それがうれしいんですよね。
出来事的にはかなりトんでいる部分が多いものの、大学生の心理の根っこはかわらないのが心地よい。一緒にどぶろく造ったりエイの発酵したの食って吐いたりしたいですよ。「大学生だからやってみよう」の精神が息づいているのは大事ダヨ。
菌類のかわいさや面白さも人気の一つでしょうが、個人的にはここが一番魅力的な部分だと思ってなりません。
 
大学舞台マンガのまったりはもっと読みたいなあ!と思うのですが、とりあえずしばらくは「もやしもん」で満足できそうです。
 
はて、菌の話全く触れませんでしたが、明日の豆知識としても使えるマンガです。しかも割りと実用的な部分もありつつ。
そしてそれを完全にスルーしても読みやすい、まさに老若男女問わないステキ作品。かわいい菌類に萌えるもよし、ぐうたらどたばた大学生活にひたるもよし。
にしても。ネタバレ避けるために詳しく書けませんが、蛍は反則だよなあ…。
 
もやしもん(1) (イブニングKC) もやしもん(2) (イブニングKC) もやしもん(3) (イブニングKC)
もやしもん(4) (イブニングKC) もやしもん(5) (イブニングKC)

*1:げんしけん」「ああ女神さまっ」「四年生」などアフタヌーン激強。