たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

2つのライカと少女の物語。「らいか・デイズ」「ニナライカ」

●I love フィルム式カメラ●

写真を撮るっつうのはなかなかエクスタシーを感じる行為です。
突然何を言うんだと思われるかもしれませんが、あのシャッターを切るときの「カシャリ」という音、その音で今目の前にある瞬間を切り取ったのだと思うと、どうですか、ゾクゾクしませんか。
そんなわけで、自分はフィルムカメラ愛好家です。もっとも基本貧乏なので、セット売りのあまり高くない一眼レフカメラしか持っておらず、たまにしか引っ張り出してきませんが。なんせねえ…デジカメと違って、フィルム代に現像代と、お金がかかって仕方のない趣味なので仕方ないです。
しかし自分の住んでいる北海道はちょっと車を走らせると、絶好の撮影スポットや、残しておきたい人々の姿がいっぱいあるから、カメラは友達です。いや、むしろカメラが師匠で私が弟子、って感じです。
下手の横好きなんですが、夕方の夕張の線路を橋の上からシャッター切る瞬間とか、ちびるかと思いますね。鼻血ブーブーです。デジカメでもいいけど、あのアナログなフィルムの感覚と、現像にだすワクワク感がたまらないんスよ。
そんな素人カメラ好きにとって、永遠の憧れともいえるカメラがあります。それが、ライカ。
 

●ライカという魔法の箱●

ライカカメラAG
夢のカメラ・ライカM3
カメラ好きならまず知っていると思われる、このライカと呼ばれるカメラ。ドイツのLeitz社が作ったカメラを全部「ライカ」と呼ぶので、今ではデジカメや巨大な一眼レフなんかもあります。が、自分みたいな普通の人がライカと聞くと、M型・バルナック型のレンジファインダーカメラをピンと思い浮かべるハズ。

「ニナライカ」より。思い浮かべるって言えば、やっぱりこんなやつですよね。
このタイプのライカの魅力といえば、20世紀前半にあってトップレベルのクオリティを誇ったレンズ、独特の持ちやすさ、シンプルで奥深いフォルム、独特の操作感と高級な質感…と色々あります。
しかしですよ。ぶっちゃけ最大の魅力は。
「ライカだから」
これに限ると思います。いやいや、マジで。
実際、今のカメラ技術は押しなべて進歩しまくっているので、あえて古い型のカメラ買う必要はないし、いくらレンズがすばらしいからといっても写真撮るだけならやっぱりもう上を行っている機種はたくさんあるわけです。
しかしアンティークカメラが好きな人はそんなのは気にしないでしょう。昔に人々がその工芸品を使って時間を切り取っていたという事実や、やりこめばやりこむほど味の出る独自の操作性が、おいでおいでと手を振るわけです。
自分も「写ればいいから、ライカがほしい」という思いがあります。病気ですね。中には「写らなくてもいいからライカがほしい」と言う人もものすごく多いと思います。
他のカメラももちろんそのような魅力がありまくるのですが、やはり自分のような素人からプロまで魅了する「ライカ」は、特別な魔法の箱なのです。
 

●そして少女はライカを下げて。「ニナライカ」●

そんな輝かんばかりのアイテムを首から提げた姿が絵になる年齢といえば、妙齢のおじさま達か、少女です。
なんで少女?と思われるかもしれませんが、無機物の特別なアイテムと、不思議な一瞬を放つ少女性は相性が格段によいのですよ!
実際、マンガや小説でカメラに魅了される少年少女はよく描かれるモチーフじゃないかなと思います。

川崎ぶら原作・秋重学マンガの「ニナライカ」という作品は、まさに「ライカを持った少女」を描くために描かれたマンガです。
ストーリーも面白いのですが、それよりも、「ライカを持った少女」を描くことに魂がこもっているのですから、やはりそこをこちらも全力で感じようじゃないか。
 
ヒロインの仁奈という女の子は、自由奔放にライカを持って走り回る、写真少女です。
もちろんこのライカⅢfは安いカメラではないですし、使いやすいカメラでもないでしょう。
参考・中古ライカ価格(状態などで大きく変化するので、あくまでも参考程度に。)
彼女がどういうテクを身に着けてどう撮っているのかまでは分からないですが、軽快にその知識と技術を生かして、ライカで時間と空間を切り取って回るのです。
美しいじゃないか。


写真を撮るためなら、なんだってします。
その瞬間を焼き付けるためだったら、屋根にだって登るし、危険な夜の町もフラッシュ片手に飛び回ります。
ただそこにあるのは、「撮りたい」という極めて純粋な欲求なのです。
それがまた、ライカという機械と、少女の純真な瞳によく似合うんですよ。

お手軽に撮れるカメラもいいけど、色々手を加えて操作して、全力で撮る。そんな一連の行為そのものが、魔法の箱に時間を閉じ込める作業のようにすら見えます。
現実的には、かなり無駄な作業と思われるかもしれませんが、この行動そのものが楽しいし、それが写真に混めた魂の味になっていくんではないかと思います。
うん、ほんとはこの辺、よくわからないですけどね。でもカメラってそのへん結構正直に出る気がします。
 

●ニナの見ている世界、切り取った世界●


とはいっても、もちろんお手軽にカメラを構えられる、という楽しさもしっかり描かれています。別に芸術性が云々とか、このカメラじゃないとダメで云々とか、そういう難しい話じゃないんですよ。
少女がカメラを持っている。
そしてそれがライカ。
その自然さが魅力なんです。

ライカを持っている少女も美しいし、そのファインダーから覗いた光景もまた美しいのです。
しかし、物語が進むにつれて、仁奈も一つの壁に当たります。
写真を撮る楽しさってなんだろう?それは考えて悩んで「楽しむ」って言葉にしなければいけないものなんだろうか?
もちろんよい写真を撮るには、それは必要なことかもしれませんが、「よい写真」ってなに?
彼女のライカは、世界を写しつつ、徐々に自分の心をも写し始めます。
写真を楽しむこと。それには答えがあるのかないのか。それは言葉ではなく、仁奈の写真として最後に表現されます。

表紙に描かれている彼女の澄み切った瞳は、もしかしたらライカのレンズと同じように、常に世界を見つめているのかもしれませんネ。
 

●ライカの名を持つ少女。「らいか・デイズ」●

もう一人、ライカに絡んだ少女を挙げておきます。
むんこ先生の傑作4コマ「らいか・デイズ」の春菜来華です。
まあ、実際のところ「ライカ」と関係あるかというと、…それは読んでのお楽しみってことでネタバレ回避。
 
さて、なんにでも興味を示す純朴な彼女も、ついに自分の名と同じ名前のカメラの存在に気づきます。そう、ライカ。
もちろん一般家庭にライカなんてあるわけないのですが、父親が買って放置していた古いカメラを持ち出し、撮影散歩のミニ旅行へ。

押せば写るというカメラではなく、結構めんどくさいカメラのようです。が、やはりそこがいい。
使い捨てカメラやケータイのカメラでもいいのですが、なんか色々いじくって写真撮るのって、ワクワクするじゃないですか。そのワクワク感がらいかの心をつかんだようです。
カメラマン、ってやっぱり、少女にとって憧れの職業の一つなんです。だから、ごっこ遊びでもいい。そこから見えてくる新しい世界はたくさんある。それがカメラ。

普段見ていた世界も、カメラを持つと急に視野が広まるんですよ。それが最高に楽しい!カメラの醍醐味です。
気軽にさっとポケットから出して撮る写真もいいけど、「よし、今日は写真を撮るぞ」と心に言い聞かせて出かけたときの景色の見え方は、格段に変わるものです。
らいか・デイズ」は全般的にそういう、普段の何気ない光景の移り変わりが面白い作品ですが、このカメラの回のらいかの視点の変化は、短いながらもとても魅力的でした。
 
ところで、ファインダーを覗くもう一つの利点として、視野が狭まるという点があります。
視野を広げに撮影にいくのに視野を狭めるとはいかに?という感じですが、実際ファインダーに目をつけてのぞきこむと、その写真に写る構図しか目に入ってきません。だから、意外と「今カメラ構えています」という気持ちが強まって、大胆に行動できると思うのです。
その大胆さこそが、今見ている世界をさらに魅力的にする行動の一つ。
らいかも、それにどっぷりとはまっていく様がかわいらしい。

一気に広がった世界。一気に自分のものになっていった世界。
そして彼女がカメラを構えつつ見た、最高の光景は・・・。
むんこ作品の4コマの小さな枠の中に流れている、多くの人が感じるあたたかさは、もしかしたら写真が切り取る時間の愛しさと同じなのかもしれませんネ。
 

●ああ、憧れのライカよ。●

こうして少女達がいきいきとカメラをかまえて写真をとりにいく姿を見ていると、こちらも今すぐカメラを構えて飛び出したくなりますな!
よしよし、自分も昔よりはお金もちょっとがんばれば溜まりそうだし、いっそ夢の、憧れの、星のごとくきらめくライカを買っちゃおうかな!

・・・そして現実。
アンティークカメラ使いへの道は遠い。
 
参考
ライカを買おう
■私のライカ■
仁奈の使っているのはこれです。
M型ライカ・レンズの専門店GRAND WING
ライカ、デジタル版M型ライカ「M8」
「価格は577,500円。」高ーー!
 
 
ピンクのは河出書房から出ているもので現在絶版。1、2巻のはキュンコミックのもので、おそらく中身は同じかなと思います。秋重先生作品ならではのダイナミックな構図と、イキイキとした少女の魅力が存分に詰まった傑作です。ほんと、中古で、写ればいい程度でいいのでライカほしい!でもネットで買うのはあまりにもリスキーなので、やっぱり手にして買うほうがいいですよね。
らいか・デイズ 6 (まんがタイムコミックス)
晴れたらライカ、雨ならデジカメ 旅、ときどきライカ (エイ文庫) M型ライカとレンズの図鑑 (エイムック (1340))
とりあえずお金ないので、このへんの本買って読んでニヤニヤしていたりします。憧れだものなあー。ライカー。