たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

そして彼女は、好きだという感情に流されるんだ。「柳田君と水野さん」



ばんがいち」に連載されていた長編エロマンガの単行本化で、榎本ハイツ先生の初単行本、なんですが、いやあ驚いた、いきなり売れ行き絶好調らしいじゃあないですか。
とらなんば成年コミック週間売上BEST10 「勘違いしないでよね!あんたなんかただのセフレなんだから!」(オタロードblog)
とりあえず表紙がよすぎますよね。まさにツンデレオブツンデレといった感じ。そして中身はというと、ツンデレオブツンデレです。
この作品、確かにエロマンガなのでエロシーン比率高いのですが、むしろ二人の心の動きの描写が秀逸でそちらのほうにじわじわと心が動かされる秀作なので、紹介しておきたいとおもいます。
 

●まっすぐすぎるマジメ君と、素直になれないへそまがり。●

第一話はエロ展開への突入の必要性もあるため、少々流れが急です。しかし、その中盤から一気に押し出される、超絶まじめ青年、柳田君のキャラクターがかなり光っています。

あなたのことが好きです、大好きなんです、抱きしめたい、触れたい、一緒にいたい!!
ええ、壮絶なまでにウザく、しつこいです。
だけど彼の瞳はものすごく澄んでいて、本当に水野さんが好きで好きで好きでしかたないのが、愛をこめて描かれているからこちらの気持ちもどんどん彼のペースに流されていきます。
本当に変態で、べたべたしてきて、まとわりつくような青年ではありますが。

彼は涙を流しながら、水野さんを好いて好いて好きまくるんです。
かっこわるさなんて気にしない。ののしられてもばかにされても殴られてもいい。水野さんを心のそこから愛して、自分の感情に素直に向き合い、悩むことをせず「好きです!」という言葉を繰り返すのだから、まいっちゃうよ。
1000の美辞麗句よりも、本当に感情をむき出しにした「好き」という素朴な言葉が、どれほどの力を持っているものか。彼はきっと気取れば色々言葉をつむげる人間でしょうが、ただひたすらに愛情表現を繰り返します。
それがもうね、愛しくて。
そんなわけで、ストーリー全体はへそまがりで素直になれない少女、水野さん視点で進んでいきます。だらしなくてバカで、だけどひたすら自分を好いてくれる柳田君に対して、独特な変さを感じつつも、どうにも気持ちが流されていく様の描写が非常にうまいんですよ。読者も、水野さんも、どんどん柳田君の好き好き攻撃にひきずりこまれていきます。
 

●こんな気持ちにさせるなんて許せない!●

一応エロ展開はあるものの、水野さんが柳田君の猛攻でどんどん気持ちが揺り動かされていく様が非常にかわいらしいったらありゃしない。
でもね、これは確かに流されますよ。柳田君のラブが裏表なくまっすぐすぎるんですもの。これだけ愛されたら気持ちも傾きますて。

とはいえ、柳田君のエロさとバカ正直さは筋金入りだし、冷静に考えてもしつこいし、変なところもいっぱいあるのは感じています。
なのに気がつけば、そうやって愛してくれる柳田君が愛しくてたまらなくなってしまっているから、もう許せないんです。そんな自分のことが。
だけどどうすればいいか分からず、ペコペコ謝る柳田君に当たったり、彼氏と認めず「セフレ」と言い張る水野さん。でもね、それでも、えもいわれぬ屈辱的な感覚すら感じながらも、柳田君に身を任せてしまいたくなっちゃう気持ちは分かる、分かるよ。
 
18禁マンガでのエロ描写については個々の好みがどうしても分かれてしまうのは仕方ないと思いますので、手放しにはおすすめできません。
しかしこの作品、何よりもそうしてしまわざるを得ない水野さんの性の感覚を含んだ心理描写がめきめき伝わってくるのがすばらしいんですよ。頭では否定していても、一緒にいるだけで柳田君を欲してしまう彼女の心。それが彼女の切なさではちきれそうな表情に的確に表現されています。
ですので、読まれる際にはぜひとも、おっぱいばっかり見ていないで彼女の表情に注目です。自分は二人のエッチシーンの時の水野さんの表情を見ると、そのとめることの出来ない気持ちとうまく伝えられないはがゆさが訴えかけてくるのを感じて、勝手に涙が出そうになります。もう、どうにもならないんですよ、そうしかできないんですよ、彼女は。
 
そう考えると、「ツンデレ」の一言ではなかなか片付けられずらいかもしれませんね。いや、それこそがツンデレ!なのかな?
心の葛藤と、相手を理解の範疇外で欲してしまう感情。そここそが18禁というジャンルだからこそ表現できる、性を含んだ心の動きなのかもしれません。とめどない欲する感情が、性で表現されていく、そんな純粋な気持ちなのです。
最後に、一番好きなセリフ。
「あんたなんか大嫌い!」「僕は大好きです」
「好きです」「嫌い」「好きです」「嫌い」「嫌いです」「好き!」


 
〜関連リンク〜
ばんがいちHP(+18)
榎本ハイツ「柳田君と水野さん」 ツンデレ娘とセフレの学級委員(アキバBlog)
柳田君と水野さん(前置きはいいから)
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