たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

同人誌を「買う時」の金額計算ってする?

コミケ戦士のみなさま、年末お疲れ様でした。
売る側も買う側もえらいことになっていたと思います。
はて、同人誌を買いなれている人・売りなれている人にしてみたら、「この本いくらくらい?」という問いをした場合大体見当がつくでしょう。これは500円、これは1000円…。ショップだとうんぬんかんぬん。
そう。ぼくにも、「こんなペラペラで500円!高い!」と思っていた時期がありました。「なら単行本買った方が?」とか思っていた時期がありましたとも。
 

●いくらつかいましたか。●

WEB拍手より、面白すぎるネタを一つ。

自分もコミケで使った金額は計算したくありませんねえ。毎回毎回買いすぎてしまって後悔してます。
たまごまごさんは後悔はしてないですか?たまごまごさんはしなさそう。

き、金額、ですか。
ええ、全く分かりません。ただこれだけは言えます。財布がすごい勢いで薄くなりました。
 
「後悔はしてないですか?」と言うのは極めて面白い質問だなあと思いました。だって「結構使いましたか?」なら「はい」ですし、「満足しましたか?」なら「はい」です。しかし「後悔してないですか?」だと「はい」と言い切れないですし、「いいえ」とも言い切れない。なんと絶妙な。
いくらオタクとはいえ、金額を問われるとやはり眼が泳ぎます。その金額で別のものを買ったら、とか考え始めたらキリがありません。
だがしかし。それを上回るこの幸福感たるや。明らかにお金で買えない何かを手に入れた気分で満たされています。まあ実際はお金で買ってるんですけどね。
多分、一冊厳選して500円ですませていても、100冊以上買っていた(5万から10万?)としても、同じことを言ったと思います。
「ああ、買えてよかった!」
ようするに金額的には痛くても、それを上回る何かが脳みそに流れ込んできているのでしょう。自分の場合ですが。
 

●同人誌の魔力●

同人誌はお世辞にもコストパフォーマンスがよいとは言えません。オタじゃない人から見たら、異質な文化であることは間違いないでしょう。生まれて初めて同人誌見て「安い」と言う人がいたら、きっとその人は将来同人作家になるとしか思えません。
加えて、「手に入りずらい」+「買ったら一歩何かを越える」、というハードルの高さのコンボ。確かに知らないで一生をすごす人の方が多そうな世界ではあります。
 
生まれて一番最初に買った同人誌は、忘れもしません、タカハシマコ先生のエヴァンゲリオン・アスカ本。エロなしでした。エロ同人誌は欲しかったのだけれども、最初の一歩としてはハードルが高くて。買ったのはアニメイト、って時点で察してください。
確かに最初の感想は「薄い!」でした。
しかしですよ。生まれてはじめての同人誌です。しかもタカハシマコ先生をはじめて知ったのもこの同人誌だったので、おそらく絵で選んだんでしょう。買う踏ん切りがつくまで何日迷ったことか。値段を何度見直したことか。それでもほしい!という魔力があったんです。
本当に思い出の作品なので、今でも大事に大事に保管してあります。人から見た価値とかは全然わかりませんが、自分の中では特別な一冊です。値段のつけようがないです。
だって、この一冊のおかげで、その後堰を切ったかのように同人誌買い始めたんだもん。
 

●なんで会場で買うの?●

同人ショップで買う、ネット通販で買う。ああ便利な時代になりました。どうしてもイベントに行けない地方民としては、ものすごい勢いで同人誌が手に入るハードルが下がったといえます。
しかし、それでもあえて、会場で買う人の多いこと。自分も含めて、「それショップに並ぶじゃん」と言いつつ並んで買ってしまいます。
なぜに?値段的にちょっと違うくらいの差は確かにあるけど、そんなのはささいな問題。
 
1、作家に会いたい。
自分が大好きな絵を描く人はどんな人?そりゃ気になります。お話なんてしてもらっちゃったら、鼻血出ます。サインやスケッチブックに絵描いてもらったら、もう向こうの世界です。
やっぱり会いたいですよ。そんな漫画家さん達(同人作家もプロもこの場は同じ)や作家さん達に出会えるわけです。それを考えるだけでも、ファンとしては500円は安い、って人もいるかもしれません。
 
2、作家を応援したい。
きっとこれがメインなんじゃないかなあ。
「これからも頑張ってください!」というありきたりな会話が、実はすごい楽しかったりします。ネットで出会った人に、憧れの作家さんに、いつも買いに行っているあの人に。他に何を言えばいいかわからないけれど、とにかく何か言いたい!
自分は同人作家じゃないので分からないですが、やはり一声かけられるのは至上の喜びだという人は多いと思います。
加えて、お金も「その作家さんが好きだから買う」という人もいるはず。その人にお金を払い、いい作品を輩出してほしいと願うのは、普通の本を買って売り上げに貢献したい気持ちよりもはるかにダイレクトですものね。
 
3、青田買い。
会場にはハンターの目をした購入者がいます。大手サークルに並ばず、しかしステキな作品を見抜く眼光の鋭さを持った人たちです。そう、彼らはよく訓練されたソルジャーなのだ。
慣れている人にしてみると、ものすごい数のサークルからお気に入りの作品を見つけることもできる、らしい。無名だけど明らかに力のある作家さんのことを見抜く力もある、らしい。私の知らない世界ですが。
ジャンル買いをする人や、小規模サークルめぐりをする人に多いのが、これから育つ作家さん探しかもしれません。決してそれをどうこうするわけじゃないんですが、面白い物を見逃すのはもったいないじゃあないですか。だから、一刻も早く、一つでも多くすばらしい作品に出会うには、雑誌よりも単行本よりも、同人誌。そんな楽しみ方もあります。
 
4、ここでしか手に入らないから。
まあ、一番もっともな理由。
依託や通販やっていない人はたくさんいます。だから脚をそこに伸ばして買いに行く。お金を払う。至極当然…ですよね、多分。
その点で言うと、一般創作や評論のジャンルの面白さは異常だと思います。すげー楽しいですよ。本当にみんな、好きで作っているんだ!っていう空気がたまりません。
 
5、空気に呑まれて。
これがお金をものすごい奪っていくんだもんなあ。
みんながものすごい勢いで同人誌を買う空気が、脳天を開いていきます。うあー、ここで出会ったから買わなきゃ!あの人だかりはなんだろう?!うおお、電脳○イル本がこんなに!買い!買い!全部買い!
気がつけば両手の紙袋はどっさり。

げんしけん」より、超名シーン。本当にこの描写に「うわー」となった人は多いのではないでしょうか。好きなジャンルとはいえ、普段は財布のひもが堅いところを、ものすごい勢いでゆるめる雰囲気があるのは確かです。
加えて。「ああ、こんなに(エロい)作品が目の前にこんなにたくさん!」という純粋な欲求がわくことは否定できません。ようこそここへ、遊ぼうよパラダイス。
それが快感になるようになったら、次のステップへレッツダイブ。

 
6、お金を使う快楽
末期。いわゆる買い物依存症です。自分とか。
でもわからんでもないのですよ。
お祭りのよさを「普段はお金を使わないけれど、ここでなら湯水のように使うのが楽しいんだ」と言っているおじさんがいましたが、まさにそれのオタク版。ありますあります。スカーっと減るお金!ずしっとくる本の重み!
でも病的であるのも、わからんでもないので、自粛します。このへんは心理的に詳しい人におまかせ。
 
いずれにしても、金額的に「きついなあ」と思ったらむりはしないし、買わない。
でもそれを超えるほど楽しいものがあるのは、経験して買っている方なら誰もが認めるところだと思います。決して理解できないムダではなく、その人にとって楽しさを感じる瞬間が色々あるものなのです。
 

●ところで、ダウンロード販売やCG集は同人誌を超えるの?●

最後に、おまけのように書いてまとめとします。
ネットのダウンロード販売や、CD−ROMのデータ販売は、同人誌のページ数よりもはるかに効率よく手に入れることができます。日本全国で手に入るのが強み。
んじゃ、CG集はイラスト集を圧巻するの?と言われると、もうはるか前から答は「NO」のようです。これがまた面白いところですよね。多分1000円でたくさんCGの入ったCD−ROMより、半分の枚数で1000円のカラー本の方を自分は買います。
どのくらいの人がそうなのかわからないですが、多くの人は紙が好きです。やっぱりマンガや小説は、寝転がって気楽に読みたいし、つんでボリュームを楽しみたいのです。
だからおそらく、同人誌は今後ずーっと続くんだろうなあ、と考えたら楽しくなってきました。
 
さあて、自分もプリキュア5とマリみて電脳コイルの同人誌(含む、エッチなの)に囲まれて寝ます。
この圧迫感がいいよね!とか言い出したら病気ですか。そうですか。
 
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コミックスを「買う」段階の意識レベル。
オタクにとって「足りないのは覚悟」か?
ぶっちゃけマンガやアニメや同人誌が見たいからハタライテルヨ。