たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

関谷あさみ先生の描く少女の愛しさと男性の弱さと。「三箇日」

 

今月のコミックRINに、関谷あさみ先生が8Pのマンガを描いていました。
これがあまりにもステキだったので、関谷あさみ先生という漫画家さんとあわせて紹介します。
 

●関谷先生の描く、二つのテクニック・その1「女の子の引力」●

関谷あさみ先生は幼い少女と年上の男性の年齢差カップルを、愛情たっぷりこめて描くのが非常にうまい漫画家さんです。エロシーンもふんだん。
顔を赤らめ、涙目になりながら心の機微を全身で表現する少女たちの、凶悪なまでにかわいらしいこと。表紙でその少女の柔らかさと儚げさは存分に伝わるのではないかと思います。めちゃめちゃ女の子のお肉が柔らかそうで、かつ骨が華奢で。なんだか心の底から抱きしめたくなる感情がわきあがってあふれてきます。
そこが一つ目の、関谷先生の強烈なテクニック。猛烈に抱きしめたくなる牽引力があるんです。
ああ、君のその二の腕を握り締めたいよ、君のその細い脚にほほを近づけたいよ。
そして、大きな男性と小さな女の子のコントラストが、さらに少女らしさを引き立てます。力づくではしません。
その少女がそこにいるだけで、ちぢに乱れる男たちの心。純粋無垢な結晶のような少女の周りは、さらに純粋無垢な欲望がめぐりめぐる、不思議な空間へと広がっていきます。 
 

●関谷先生の描く、二つのテクニック・その2「かなわない男の子たち」●

そこから二つ目の強烈なテクニックが繰り出されます。
そう、作中の男性は強くその少女たちの存在に心惹かれ、愛情を注いで注いで注ぎ込むんです。もちろん無理やりなことはしませんが、細いその体に触れたい思いは、男性キャラと読者がシンクロするビジョンをたたき出します。男性のみならず女性をもそう感じさせる柔らかさ!
あれあれ、ふと気づくと、目の前の少女を愛して抱きしめてちゅっちゅしたいという、ほとばしる情念に心を突き動かされいたはずが、少女はふとした仕草の中で、自分の目線を飛び越えていきます。二人の空間の甘みもさることながら、ページを追い、性行為を超えた先にある不思議な関係が心を柔らかい爪楊枝のようなものでつんとつついてきます。針ではないのがまたイイんです。
 

●少女は、永遠のお人形じゃありませんから。●

今回掲載された「三箇日」では、わずか8Pの中にそれが見事に凝縮されていました。
正月三箇日に、お参りに行かずに部屋ですごす青年と、壊れそうなほどかわいい少女。そう来たらもう青年の心は少女のトリコなわけですよ。
それが、ほんのわずかなコマで、性行為を含めてぎゅっと濃縮されて詰め込まれているわけです。もうかわいくて触りたくて抱きしめたくて。
しかし夢中になっているのもつかの間。青年からしてみたら「いつまでも続くとしあわせだな、ぼくは」というはずの空間なんです。しかし、最後にきてからの「その一言か!」の大逆転。
ここはもう、ぜひ伝えたいところですが、絶対言えない。このコマはなんとか描かれているそのものを見てほしいです。毎回のことではありますが、少女性の中に眠る女性に頭が一気に覚醒します。
 
そう、関谷先生の描く少女は、果てしなく柔らかな砂糖菓子のような「幻想少女」でありつつ、果てしなく小さなレディで「リアルな女性」です。砂糖菓子にたらした一滴の血液が、鮮やかに染み渡っていくような魅力が詰まっているからたまりません。
そして、それにいつのまにか敬服している男性たち。
描く少女が極めてふわふわかわいらしい。そんな関谷あさみ先生の作風ですが、実はもっとかわいらしいのは男性たちだと思ってなりません。
 
単行本だと「ガールズシャワー」の「green days」や「キミは暴君」、「おとなになるまえに」収録の「冬篭り」「raining」「壁の向こう側」などで、そのような女性の血を引く幻想少女を見ることができますが、今回の8Pの「三箇日」は、それらのテクニックを最大限に生かして描かれています。
少女が大好きな人、自分はロリコンだなあと思う人、少女といる空間が大好きな男性、かわいい女の子が好きな女性は必見だと思います。こんなにほっこりしていてすぐ壊れてしまいそうなほど透き通った、柔らかいガラス細工みたいな少女が持つ、少女感覚をときたら。そしてそれに対する愛情ゆえに、気づけば翻弄される男性たちのかわいらしさときたら。
必ずしも性別が関係するわけではないですが。この少女感覚を含んだあたたかな視線と、気づけば翻弄されていく男性像、男では描けない世界だとつくづく感服します。
関谷先生作品は、単行本の方もマキ&歩シリーズも、きめ細やかな空間が非常に魅力的なのでどこかでまた何か書きたいところです。
あ、女の子の服装もいいのですよー。

今月のコミックRINの充実度は非常によかったです。好きな作家さんが多かったことを踏まえたうえでも、全体的にレベルがぐっとあがっている月でもありましたが、なんせこの作品と、秋葉凪人先生の作品の描く少女像が、すばらしすぎて。