たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「この絵ってオタクっぽいよね?」と言われちゃう線引きって?

はてなようせい同人誌 「ベ○ッセ始まったなwww」 「日本の将来は安泰ダナ!」(アキバBlog)
はえー!はてなようせいの浸透率はえー!
ちなみに「はてなようせい」とは、チャレンジ1年生のDMにはいっていたと言うアニメーションのこと。
すごいなあ、今はアニメを無料配布しているのかあ、チャレンジ。
詳しくはこちら。
はいてない? チャレンジ1年生の「はてなようせい」(なつみかん。)

ニコニコ動画(RC)‐(高画質)チャレンジ1年生DVDで萌えキャラ発見 ショートver 


うむうむ、かわいいのう。萌えるのう。
 
はて、そんなこんなでネットで一気に話題になったこの「はてなようせい」。
何が話題になったかというと、ようするにこれが「いかにもオタアニメっぽい」というところなのは間違いないと思います。正直自分も「オタク英才教育!」とか思いました。
しかしこれを見ても当然そうは思わない人もいるわけです。
あれ?なんで自分は「これってオタ絵」と感じたんだろう?
 

●自分の中の境界線●

当然「ここからがオタク文化っぽい絵」という線引きは存在しません。
あえて強引に言えば、「それの対象年齢がどこに設定されているか」「どんな層が好むように出来ているか」の二点だとは思います。
たとえば代表選手として「もえたん」をあげておきます。「いかにもオタク向けな萌え絵」をうまく逆手にとって利用した好例だと思います。
もえたん[新装版]
名前のせいもありますが、まさかこれを本気で「受験用にぴったりな参考書」だと最初から考えて買う人はそうそういないでしょう。いたら…いやこれ結構使えるんだよなあ。
いずれにしてもアニメ・マンガファンの好む平均値を計算しつくしたイラストレーションといえます。
しかしこれを小学生以下の子が手に取る確率は0かというと、ちょっと微妙になってきます。まあほとんどとらないとは思います…といいたいところですが、イラストレーターのPOP先生が同じノリで絵本を出しているのでやっぱり微妙。
おやゆびひめ (POP WONDERLAND)
最初は「POP絵で世界名作とか、まじで!」と思ったものですが、いったん出てみるとそんなに違和感ないから不思議。
しかし両者には徹底的な違いが本編にあります。「もえたん」は性的なネタが満載です。パンチラとか。しかしPOP先生版絵本にはパンチラ等は一切ありません。
 

●性の記号●


他のキャラは女の子男の子ともに、過敏に反応される要素は皆無に近いんですよねえ。
その中で妙に浮いている彼女。「はてなようせい」を少し解体してみようと思います。

ぱっと見てひっかかるところを列挙してみます。
 
1、髪の毛の色
まあ言うまでもなく。子供向けアニメかオタ文化層アニメでは一般的な色ですので、反応してしまうんだなあ。
 
2、髪の毛のタッチ
萌え文化圏の絵にとって重要なのはアホ毛です。まあ見事なまでにそのアホ毛が両サイドに出ている。敏感な人はここに、オタクレーダーが反応しているのではないでしょうか。無意識のうちに。
 
3、八重歯
これは子供向けアニメではちょっと使い古されたタイプの表現ですが、オタク文化圏では萌え記号として健在。やっぱり女の子のチャームポイントとしては、かわいいですものね。ほらほら、「らき☆すた」のみさおをこれで連想した人は自分だけじゃないはず。
 
4、目の大きさ
「萌え絵」と感じられる一番大きなポイントがここ。
と言っても、目が大きい=萌えを意識した絵、とは限りません。少女漫画絵ではもっと大きな瞳もあるからです。
しかしこの「はてなようせい」の瞳、極めて「萌え」を意識したような何かを感じます。
それはおそらく、他の萌え方向のアニメの瞳の描き方と酷似しているのが原因でしょう。この絵が萌え絵なんじゃなくて、この瞳のせいでこの絵を見ると他の今まで見たアニメを思い出すわけです。
 
5、仕草にこもった女の子らしさ
これがくせものなんじゃないかと自分は思っています。なんだか妙にしなをつくっているんですよ。
腰をくいっと曲げたり。首をかしげみたり。「女の子らしさ」と呼ばれて切り抜かれた記号をうまいことあわせてきているんです。こんなに幼い少女で、かつ単調なラインで描かれた子供向けの絵なのに、ちょっとした体の曲がり具合に、見ているこちら側は「萌え文化」のなかで一般化してきた性の形を発見してしまったんじゃないかな、と思いました。
 

●自分の経験と見る対象●

服装とかアイテムは子供向けアニメっぽいです。他のキャラも子供向けアニメっぽいです。
その中でひたすら浮いている「はてなようせい」。
じゃあこれを子供が見たらどう?といわれると、ぜんぜん気にもしないんじゃないかと思いました。
しかし、これを見てぴくりと反応するアニメファンは圧倒的に多かった様子。ネットを普段たしなんでいる人も、アニメネタに遭遇する率が高いから見慣れているでしょう。
そんな「オタク文化のアニメ的記号」に慣れた自分がこの「はてなようせい」を見たときに、実際はそうは作られていなかったはずなのかもしれないものに「作為的な萌え*1を感じるのは、もしかしたら今まで見た「萌え」の経験がそれぞれのパーツに当てはまってしまったせいなんです。きっと。
 
「萌え絵」の捕らえ方は人それぞれ。ほめ言葉でもあれば、けなし言葉のようになることもありますので、非常に使いずらい言葉です。しかし、その絵を見て一瞬でも心が動いたならそれはその絵の力。
そして、ぼくらは「はてなようせい」を見て、笑ったり萌えたりしました。その時点でこの絵にこもっているなんらかのテクニックにやられたわけです。
くやしい!でもうれしい。
だからみんなで「はてなようせい」の絵を描いたり、メッセのアイコンにしたらいいと思うよ!
 
はて、4コママンガを見ていると萌え系のベクトルの絵とそうでない絵のベクトルがわりとはっきり見えるんですが、これはなぜ?といわれると本当に複雑怪奇。
きらら系は描かれている内容や女の子比率なども含めて、「女の子をいかに描くか」がテーマになっているためうまく萌えの記号が利用されているのではっきりわかるんですが、女の子がいっぱい出てきてもいわゆる「萌え絵」じゃない4コマもたくさんあります。
作者の絵柄のクセや、最大公約数的な女の子記号にひっかかっていないことなんかが関係するのでしょうか。
このへん、「自分独自の、好みの萌えの切り取りラインを探す」のか、「萌えという共通言語を基盤としている」かの差が出てきそうです。 

*1:色々なものに萌えを自分で見つけるのではなく、「あ、これは萌え文化だ」と相手側から感じさせられる最大公約数的なモノのこと