たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

初音ミクがくれた未来〜ありがとう〜

8月31日は初音ミクの誕生日です。
といってもミクに誕生日設定があるわけじゃないです。
クリプトンから発売されたのが2007年8月31日だったのです。
 
設定は深くは存在しない。そこにあったのは数枚のキャライラストと、歌いだすパソコン。
 

●ハジメテノオト●

うちには発売当初に買った「MEIKO」があります。
「機械が歌う」ということ自体に激しく感銘を受けて、これは未来だ、未来が来たんだ!と興奮しながら楽器屋さんへ駆け込みました。
 
もうそのあとはひどい話で、買って数回起動してからあっという間に挫折。今まで使っていたDTMソフトの感覚でいたら、それすらも凌駕する思い通りにいかない状態にすっかりめげました。そもそも日本語きちんとしゃべれないし。
あー・・・失礼なマスターでした。
 
そして2007年飛び出した初音ミクさん。
MEIKOでの恐怖を思い出して、出た当初は買わずにいました。しかし、ニコニコでの彼女の歌声に一気にノックアウト。というかツインテール最高。ネクタイ最高、ヘッドフォン娘最高。あれ、外見じゃん。バカじゃないの!
 
ネット上での「すごい!自然に聞こえる!」という声と「これが限界か」という声が入り混じったのを、ぼんやりと眺めていました。
気がつけばあっという間にネットの話題は緑の子が占拠。
いやまあ、この子は確かに強烈な魅力をもっているのだけはわかる。わかるんだけど、なぜここまで話題に?というかなんで自分は今、あんなにも挫折したボーカロイドを手に持っているんだろう?
 
あー。
あーいーうー。
かーえーるーのーうーたーがー。
 
やばい、これ面白い。MEIKOでも同じことやって感動したけど、また同じことで感動してる!
自分が触ったパソコンから人間の声が聞こえるよ!思いのままに打ち込んだいい加減に並べた楽譜なのになんか、なんかしゃべってる!
 
なんだか間の抜けた感じの声は「人間に似ている」という言葉で表すにはあまりにももったいない。ロボットっぽいというのはいい加減すぎる。
そうか、これが「ボーカロイド」という音なのだな、と気づいたのはその後、半年以上たってからでした。
 

●ダメなマスター●

日々ニコニコのすごい作品を聞き、○○Pという名前を追いかける日々がはじまりました。
ああ、こんな曲を作りたい。なんか、なんだかもしかしたらできるかもしれない!!そんな憧れのまなざしで、ちょっとずつミクを触ったりしました。
 
だめでした。
ミクが悪いのではありません。自分があきっぽいのでした。
触れば触るほど、そんなに単純じゃない「楽器」であることをまざまざと突きつけられ、なんだかやりきれない気持ちになってPCにインストールだけして起動しない日々がやってきました。
だってニコニコに入ったら毎日すごい新曲があるんだよ!だって聞ききれないくらいたくさんあるんだよ!だってだってだって・・・!!
 
ダメなマスターです。
楽器を買って磨かない人。いや、ペットを飼って育てない人。いやいや、娘が生まれて育てない人・・・。
まあ割り切って「ソフト」としてみればいいのですが、気づいたらそれができなくなっている自分がいました。
何かキャラがあるわけではない初音ミクさんに対して、独特な感情がうまれていることに気づきました。
 

●未来。●

ミクさんの技術についてはもういまさら書くまでもないでしょう。
問題は「ミクさんが出たことでぼくらの心理がどう変わったか」です。
 
「未来」って言葉はすごく曖昧。
実際なにをもって「未来」かってぜんぜんわかりません。
でもね、ミクを見たときに確かに未来を感じたわけですよ。
確かに現在たくさんの技術が一気に進化し、科学の面では信じられないことが平気で行われるような時代です。ロボットの動きの進化を見るだけで、学研で見ていたような未来がもう来ているのも驚異的なわけです。
また、DTMのソフトとして待ち望まれていた「声」を、MEIKOよりはるかに使いやすくしたという点も確かに驚異的ではありました。
 
でもね、ミクの運んできた未来はそんなもんじゃない。
まったく性格付けのない、音と絵の存在が確かに多くの人の「感情」を揺さぶる時代がきたんだなと。
 
思い入れの問題や、数多くの優秀なミク職人によって加速していったことも含めて、ミクは確かに心に未来を運んできました。
なんだか、今後どのような発展があるかを楽しみにしたくなるような、人間ではないものと人間の間の感情のカタチが見えてきたことがうれしくてしかたない。
不思議だね。相手は生物でもAIでもないどころか、もともとは個性もなにもないものなのに。すべてを許容し、受け入れるミクの器はまるで大自然のようです。なんておおげさな!
でもね、感情をこめていないはずのボーカロイドの声から、感情が伝わるってすごいことだと思うんだ。
 
ミクができてから1年。リンとレンがさらに生まれ、MEIKOKAITOにも改めて光があたりました。
あんだけミクのときに反省したのにリンレン買いました。余り動いていません。ほんとだめです。語る資格はないかもしれません。
ですが、たまーに動かし、以前作ったよわよわなファイルを読み込んでは「へたくそだなー」と思い出しながら、ボーカロイドが1年でもたらしてくれたたくさんの感情は、忘れられないものになったと思うばかりです。
自分みたいなダメマスターでもそう思うんだから、ミクで曲を作り続けている人にとってはかけがえのない一年だったのではないかと思います。
ありがとう。
そしてこれからも。
 


一年を振り返る意味でもいい動画。
ステキな曲を作った数多くの作家さん、それを実際に演奏してミクと競演した数多くの演奏者たち、イマジネーションを広げた数多くの絵師さんたち、ミクを動かして未来を広げた3D職人さんたちに、そしてクリプトンと、歌い続けてくれた初音ミクさんに、感謝いっぱいな一年でした。そして星雲賞おめでとうミクさん。
これからも楽しみにしています、心から。
自分もまた動かそう。ちょっとずつでかまわないから。
 

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