たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

サイエンス・カフェ「初音ミクNight〜科学を超えた歌姫〜」で話されていたことメモ。

サイエンス・カフェ「初音ミクNight〜科学を超えた歌姫〜」(ピアプロ開発者ブログ)

行ってきました。
札幌でミクを生んだ、クリプトンの伊藤博之さんがミクの話を、シナリオなし、がちで会場の質問に答えるというなかなか面白いイベントでした。

会場はこんな感じ。びっちびち。
会場は若い男性多めだけど女性もかなり多かったです。質問用紙で自由に質問する形式でしたが、観客が描いたミクのイラストもちらほら。
 
レポといっても、イベントの雰囲気自体はトーク中心でなにかするわけではないので、ここでは伊藤氏が話されていた内容をがしがし書いていこうと思います。
箇条書きー。
 

                                                                                                                    • -

  
・クリプトンは確かにキャラで大きく売れたが、キャラ商売で何かしようとすることは考えてなく、これからも音でやっていくつもり。
 
・ミクが人間と同じように好きな人ランクに入っていた。ミクが人間のように扱われていることがうれしい。
 
・今後、KAITO以外の男声ボーカロイドを出す可能性は考えている。
 
ヤマハボーカロイドのLOEN、LOLA。クリプトンからはMEIKO。クリプトンがなぜ目をつけたのかというと、人間の声をつかいたいと言うニーズがダンスミュージックなどで非常に高かったことから。いろいろやってきて、それを現場で感じていた。
 
MEIKOとリンレンの曲披露。MEIKOは「ふるさと」。
 ボーかロイド2のほうが、録音した音の再現性が高いとのこと。
 
・機械くささの不完全さは、ユーザーにもゆだねられる所。まだまだ改良の余地があるとは思っている。
 
・ミクを使うことを「調教」とネットではよく呼んでいるが、最初は正直「なんてことを言うんだ!」と言う抵抗はあったが、最近は慣れた*1
 
・楽器なので、感情はない。これに感情を入れていくには人間が力技でなんとかするしかない。
 
・ミクはしゃべりは苦手。
 
・音を機械で鳴らすには、1・演算によって作る、2・サンプリングしてつなぐの二種類がメイン。
 初期の合成音は演算が多かった。現在はメモリをけちらなくてすむ時代なので、サンプリングした方がはるかに効率がいい。
 
・録音について。音は全て同じコンディションでとらないといけない。声優さんが何時間も録音すると、声が疲れてきてぶれてしまう。疲れたときの音がぶれないようにするのが録音時大変。
 
・声のつなぎのため、50×50音+αの録音が必要*2
 
・科学技術を商品として売るためのマーケティングは、技術者側としては、機能を競い合うのがメインだった。さらに高い機能、いろいろな多機能性など。
 しかしDTMの世界では、複雑化すると新規の人が入れない。
 なので、DTMを長年やっている本家の人からしたらニッチな商品、邪道な商品かもしれないが、歌を歌うだけと言うシンプルな機能がうけたのかもしれない。
 
・ミクに関してはパッケージのわかりやすさがよかった。ぱっと見て何のソフトかわかるようにしたかった。
 
・科学技術が常に新しい楽器を作った。金管もピアノも、科学技術とスパイラルな関係で育っている。ミクもその一環。
 
・語り継がれる定番になるか、実感はない。新しいものは常にめざしている。
 
・コンピューター技術が進むと、ゲームと音楽がかならず作られる。ミクはその延長にあるのだろう。
 
・話声を応用していきたいが、しゃべるのはあまりにも難しい。ギターでしゃべるイントネーションができないのと同じ。いずれは実現させたい。
 
・ミクを作ること自体が表現ではない。ミクは思いをつむぐ、人をつなぐソフトになっている。ボーカロイドは人が使うことで、世界に絵、音、動画として発進するための、代弁になっている。クリエイターをクリエイトする、クリエイターをサポートする側でありたい。
 
・オタク向けだと思われがちな部分はあるかもしれない。ただ、そちら方向だけに特化して、色をつけることは、創造の幅を狭める。もちろんムーブメントは手を加えて変えるものではないが、さらに表現の幅を広げるため一般化はしたい

ボーカロイドは人間より欠陥がある。あくまでもソフト。それを太字何万と言うユーザーが世界観を作りあげ、共用をさせているかもしれない。
 
ボーカロイド等の作品でも、埋もれているよい作品はたくさんある。それは世に出るべきだが、出すシステムが難しい。ピアプロやニコニコだけでなく、もっと様々な方向で作品が流通するシステムを考えたい。
 
・「札幌でのイベントを増やしてほしい」との声に、いろいろ悩みながら「考えて見ます」。
 
・基本的に技術者なので、キャラビジネスは最初まったくわからなかった。現状把握は、今でもまだできておらず、いっぱいいっぱいですとのこと*3
 
・「伊藤さんはミクのどこが好きですか?」との質問に、初音ミクの声が好き。やわらかさ、かわいらしさは出せたと思っている。」とのこと。
 
・ミクは100パーセント札幌で作った。テクノミュージックは北の方が盛んで、人材は多い。ずっと札幌でやるつもり。昔営業ができなかった頃、すぐにインターネットを利用し、開発していった。だからこそこのまま続けたい。
 
・現在は無料のサンプリング歌唱ソフトも増えている。競争によってよりよいものを作りたい。
 
・最後に。「科学は悪いイメージを最近持たせがちだけど、科学は幸せや夢のためにある。そうであってほしいと願っている。」
 

帰りにこれかってきました。
ミクのフィギュアはかなりかわいらしい出来になってます。あとファンブックは、まさにボーカロイド好きのための特集号になっていて、なかなか濃いです。DVDには音楽と、ペーパークラフトデータ(!)も。このお値段ならお得なんじゃないかしら。ちなみにDTM的な知識については書かれていませんので注意。
あと、パンツは白でした。残念です。

*1:なんかそんな正直な発言がちょっと、いい。

*2:あい、あう、あえ、で録りわけているわけですか。す、すごいな!

*3:音楽・科学技術が思いもしない方向に転んでいき、しかもそれが市場を作っていく様に圧倒されている様子がうかがえました。そりゃそうだよね、まさかロードローラーなんて出るとは思わんわな。