たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

『世紀末オカルト学院』のオカルトのおもちゃ箱っぷりが楽しすぎてたまらないんだが!


やばいです。
世紀末オカルト学院」面白すぎです。
マークしてなかったので完全にダークホースだったなー。ここまで面白いとは思わなかった。
まあぶっちゃけ「とりあえず見てよ!」と言いたい作品なんですが、いかんせん「オカルト」と付くと興味の出る出ないの度合いががらっと変わると思うので、「ここが面白い!」という、この作品の特徴をプッシュしてみたいと思います。
 

●1、オカルトのおもちゃ箱●

この作品を見た感想として一番でかいのは「ものすごい勢いでオカルトというおもちゃ箱にたたきこまれた!」というものでした。
もうね、作る側が割り切ってるんですよ。
オカルトはうさんくさいですよと。
そして同時にこうも言っているんですよ。
オカルトって面白いよね!と。
そう、オカルトはうさんくさくて、面白い!
自分はオカルト好きなんですが、OPでもうめためたにやられましたね。

たとえばこれ。
ウロボロスですね。
ウロボロス - Wikipedia
なぜウロボロスを通ってくるの?といわれたら「理由なんて無い」が正解だと思います。そう、この作品に出てくるオカルトアイテムのおそらく8割は意味が無いと思います。
徹底しておもちゃなんですよ。好奇心と想像力の遊技場なんです。



分かる人ならわかるものがばんばんでてきます。
二枚目の画像で走っているのは、ゼナー・カード、通称ESPカードと呼ばれるもので、超感覚的知覚実験に使うものです。
ゼナー・カード - Wikipedia
また、その後ろを飛んでいる黒い影はモスマン女神転生でおなじみ。
モスマン - Wikipedia
左下の頭はオルメカ文明の人頭ですね。
オルメカ - Wikipedia
三枚目の真ん中は、パレンケ遺跡の翡翠の仮面。
パレンケ遺跡
その他にも、歌の題名が「フライング・ヒューマノイド - Wikipedia」なあたりもにくいですね。
フライングヒューマノイド - Google 検索
画像を見たら「あー!」と思うはず。
他にも、フリーメイソン、水晶の髑髏、ミイラ、ストーンヘンジ、モアイ像、第三の目、などなど、ありとあらゆるオカルトアイテムがもーてんこ盛り。鼻血ブーしそうです。ムー。
 
また、キーになっているUFOがウンモ星人なあたり、分かる人が見たらもうお腹抱えて笑うレベルのうさんくささ。最初からインチキ確定ですか!

ウンモ星人

有名な「王」の字の入ったUFOの写真も、大勢の人がそれを目撃したというわりにその人達が写っていないこと、写真の撮影者が不明でわからないこと、さらにはアメリカのUFO研究団体GSWのコンピュータ分析によりUFOを吊っている糸が発見され、インチキであることが明らかになっている。

そうそう、これこれ、このノリなんだよ作品全体が! うさんくさい!
 


この二つは澁澤龍彦の「東西不思議物語」に収録されているもののパロディ。

東西不思議物語 (河出文庫 121A)
澁澤 龍彦
河出書房新社
売り上げランキング: 90964

これはルネ・マグリットの「共同発明」ですね。かなり有名なのでネット上ではよく使われる絵です。もうオカルト関係ないですね。
調べてみたらオカルト関係ありました。
アラビア西海岸で捕まった「奇怪な人魚」
ノストラダムスの大予言にあった「奇怪な人魚」の写真として話題になったそうです。はい、インチキ写真です。だがそこがいい。

学長のいた部屋。アイアンメイデンや三角木馬など拷問器具の数々。はい、心霊とかまーったく関係ないです。
ですが、うん、オカルトっぽいよね!
加えて、学園そのものや、作品に流れているオカルトの思想の元ネタはルドルフ・シュタイナーが元ネタではないかという説も。
ルドルフ・シュタイナー - Wikipedia
こちらもムーでおなじみ。
ルドルフ・シュタイナーネタと様々なオカルトネタをうまくミックスさせて造られているとしたら、この作品なんとも見事なもんです。
 
こうして見ても分かるように共通性・整合性は一切ないです。
ある一定の地域の一定の宗教をモチーフに……ではありません。
オカルトという語そのものを楽しんでいます。
 
作中でもマヤが述べていますが「オカルト」とは心霊現象のこととイコールではありません。オカルトというのは元来は「マイノリティ」をさす言葉でした。
オカルト - Wikipedia

オカルトは羅: occulereの過去分詞「occulta」(隠されたもの)を語源とする。

この語はヨーロッパにおいては、論敵にレッテルを貼るために使われてきた歴史を持つ。特に正統派を自認している側から、そうではない側をこの名称で呼ぶことが行われた。ただし、その正統派が誰なのかという点は時とともに変遷する。

まあ、マジョリティがキリスト教だとしたら、神秘主義が必然的にマイノリティになるので……という名残で、現在は心霊現象やUMAやUFO、特殊な事例一般を包括した興味・趣味をオカルト、と呼ぶようになっています。
このごちゃまぜな世界を頭空っぽにして楽しんでくれ!と放り出してくれました。
ストーリー?整合性?うん、多分あると思う。
思うけど、ぶっちゃけそれは二の次だ。
OK! 思う存分楽しませてもらうよ! 俺のオカルトフォルダが火をふくぜ!
 

●2、うさんくささを楽しもう!●

つまり!
オカルトは面白いものと考えていいんだよ!といきなり一話で言っちゃってるわけですよ!
最初見る前は、オカルトをネタにしたホラー物かなーなんて思ってたんですが、違う違う全然違う。
これは「オカルトをパロディにして楽しむ作品」だ。
たとえば第一話で学長が読み上げる精霊召喚の呪文(まあ違うもんが召喚されますが)は映画「オーメン」のネタ。まあ、「サターニ」言うてますしね。

気づけよ。
ちなみに声の矢島正明さんはクイズ「タイムショック」の問題出題の他、矢追純一特番のナレーションをやってます。
 
オカルトは真実とか、心霊現象は本当にあるとか、そんなことこれっぽっちもいいません。なんせ主人公のマヤが「オカルトなんてだいっきらいだー!」と叫びながらもオカルト知識豊富なあたりがにやにやしますよね。どんだけ好きなんだよ!と。
例えばこれ。

コックリさん。
個人的には「コックリさん」は心霊現象を除いたとしても、多感な子供の心理状態に影響を及ぼすのであんまりやってほしいものではないんですが、こういううさんくさい物に興味がわく気持ちは、すげーわかる!
オカルトは子供の出来る冒険なんですよ。
 
オカルトとは、眼に見えないもの、誰も知らないものを楽しむことの出来る、精神遊戯です。
だから「UFOとはなんなのか」がなぜ延々と論議されているかというと、それがいるかいないかというのも重要ではあるんですが、UFOがいるかどうかを考える人間の心理が面白いからに他なりません。
「UFOはいると思えばいる。いないと思えばいない。」
[jungnet 00045] ユングへのUFOインタビュー
ネタ記事ですが面白いです。
ちなみにUFOとは未確認飛行物体のことなので、宇宙船とは限りません。
 
深読みすればこの「世紀末オカルト学院」という作品は、想像力を信じて楽しむことが出来る力を持ってほしい、という思いが込められているのかも知れません。
しれませんが割とそのへんどーでもいいです。

「そんなこといいから、オカルトとかうさんくさいこと楽しもうぜ!」と手を差し伸べてくれている気がします。
あったよなー昔こういう系統の超能力や心霊番組。大好きだったなー。今はめっきり減りましたが。
今の時代に足りないのは、うさんくささを楽しむ心の余裕だと思うんだ。
とか言ってみたりしてね。
 

●3、笑いのテンポ●

一応オカルトネタですので、そこそこに怖いネタも入ってきます。全体に使っている色彩もちょっと暗めで、雰囲気作りは完璧です。
が。
学校の作りもすげーうさんくさいですし、会話のテンションもかけあいもハイスピード。
これはギャグアニメだと認識しました。

ズコー。
シリアス系の場面で最初からこんなに派手に転ぶヒロイン初めて見た。
また、悪霊に取り付かれた少女がボコボコに殴られるシーン。

ここだけ見たら確かにホラー作品なんですが、ここで入っているセリフが「顔はやめて!」という脱力っぷり。ツッコミがいないのでさらに脱力感がすごいです。
あとこいつ。JK。

通称紅の豚。つかJKって何の略なんだか。
こいつの声が子安さんな時点で吹き出しました。
どうしてそうなった?
 
シリアスな展開に今後なっていく……思うんですが、オーバードライブ気味に小ネタとギャグを挟んでいるので全くスピードが衰えません。暗くて怖いものを見ているはずなのに、楽しくて仕方ありません。観終わったあと「わー、面白かった!」となります。
これ! この感覚!
子供の頃にオカルト番組やオカルト雑誌を見たあとの「うわ、おもしれえ!」という感覚!!!!
それをアニメという形で再現してくれました。どおりで面白いわけだよ!
 

●4、1999年●

1999年といえば、ノストラダムスの大予言で話題になり、世界を恐怖のどん底におとしいれました。
が、何もありませんでした。
2012年説もあります。
ノストラダムス wiki : ノストラダムスの大事典 - 2012年
これをうまくネタにしたのが今回の「世紀末オカルト学院」。
 
それだけでも十分面白いんですが、問題はここから。
99年といえば10年前です。めちゃくちゃいい具合に懐かしいんですよ。
これも意図的に操作されていて、予告で流れる歌が声優さんの歌うモーニング娘。LOVEマシーン鈴木あみBe Together」というあたり、もうツボを押さえているとしか言いようがありません。どちらも1999年に流行った曲です。
1999年にタイムスリップ出来る曲をチェック!
1999年(平成11年)のヒット曲 - ヒットソング情報局 -
うーわー懐かしい。是非とも小林ゆうさんには椎名林檎の「幸福論(悦楽編)」を歌っていただきたい。
ただ、二話の時点でどちらも「7枚目シングル」というかぶりがあるので、「7の月」に重ねているなら7枚目しばり……かもしれないけどそんなこたーどうでもいい。面白ければいい。
ぼくは日笠陽子さんの「LOVEマシーン」聞けただけで十分です。うほほーい。

モー娘。は、なっちと飯田が好きでした。
限定版のDVD、BDではそれのフルバージョンCDが付くという気合の入りよう。
スタッフ、それがやりたかったんだね!
ありがとう!
 
99年は本当に不思議な年でした。
ノストラダムスの大予言にみんなが怯えつつも、バブル期(下降気味)の不思議なテンションの高さが満ち満ちておりました。
ケータイやパソコンなどが普及し始めつつも、今ほど当たり前ではなく、なんとも言えぬ過渡期も過渡期。これから何か始まるんじゃないか?!という21世紀への期待と、世界は破滅するんじゃないかという終末的ダウナー気質が入り交じった不可思議な時代でした。
1999年 - Wikipedia
ヤマンバギャルとかカリスマ美容師とか、音の響きだけで何もかも懐かしい。あれからたった10年かー。OSの再インストールが日常茶飯事だったあの頃のことは……いや、あんまり思い出したくないなあ。
 
すごい懐かしいわけではない、ちょっとだけ懐かしい。このバランスを保つことで、99年の日本の魅力がものすごい浮き出ているんですよね。ヒロインマヤのファッションがなんといっても99年そのものすぎてすばらしい。

ザ・99年。
なんというかマヤを見ていると、モー娘。の飯田を思い出してならないんですが。
この99年という絶妙な年とオカルトネタ、ローテンションとハイテンションの入れ替わるギャグのバランスが非常にマッチしているのが面白いんだなー。99年バンザイ。
 

●5、マヤ百面相●

そしてこれが最大のポイントだと思いますが……とにかくマヤがかわいい面白い。
かわいい、だけじゃないのがミソ。


確かにやたら太ももが強調されるので(二枚目は『氷の微笑』ネタですね)観終わったあとに「いやー、いい太ももだったね」となるのが一番の感想なんですが、それ以上にとにかくマヤの顔がころっころ変わる。
この表情のかわりっぷりが素晴らしくてたまらないので、ちょっと一話からずらっと抜き出してみます。



うーん、見事な百面相。
このキャラデザだからこそ出来る芸当ですね。彼女のテンションにあわせてころっころ変わる顔を見ているだけでも30分あっという間です。
特に半目になっている顔と、ぎょっとめんたまひんむいている顔には惚れざるを得ません。
また幼い時の顔がいいんだ!

「オカルト学院・幼年編」をお願いします!
まじで。
 
アニメーション的にも面白い表情なんですが、これがマヤの「実はめちゃめちゃ素直でいい子」なのを浮き彫りにしているのが魅力の秘訣。
そうなのです、「オカルトなんて大嫌いだ」と言いつつもオカルトが好きで好きで仕方なくて、想像の世界での遊戯を存分に楽しんでいた彼女の感情が垣間見られるのが素晴らしい。そんないい子抱き締めたくなるじゃないですか。ぶん殴られそうですが。
個人的に好きだったのはこのシーン。

志村後ろ後ろ!なツッコミを入れたくなる展開もいいんですが、この熱弁っぷり、誇張された演技、立っている小指、マヤはそういう子なんですよってのが一発で分かる素晴らしいシーンでした。
マヤのキャラデザ、何がいいんだろう?と思ってみていたんですが。

眉毛なんですよ。
眉毛が太いんですよ彼女。
つまり! この作品はデザインの段階から「マヤの表情がころころ変わるアニメ」というのがしっかり成立しているんだと思うんです。
あと鼻の穴ね。

チンコシルエットで一躍有名になったこのカットですが、個人的にマヤの鼻の穴に注目したい。鼻の穴がきれいな女の子は美人です。
この作品、鼻の穴で感情の分かる珍しい作品です。
美人に鼻の穴を描くということ自体が非常に難しいと思うんですが、鼻の穴は興奮や恐怖を描くときに必須な部位なんですよね。それが見事に描き分けられている。
黒髪ロング、ボディコン(99年はもう下火だったと思うけどどうでもいい)、太い眉毛、きれいな鼻の穴、むっちり太もも、黒髪ロング、ニーソ、腋、ハイパーな暴力っぷり。
素晴らしい、ヒロインオブヒロイン。
僕の中で「踏まれたいヒロイン」としてイサコ様と並ぶ存在に君臨しそうです。
 

●6、あなたの知らない世界●

個人的に「うぉー!」と歓声をあげたのはここですね。

待ってましたー! うさんくさい!(褒め言葉
これこれ、このノリだよ! 90年代のこのノリ!
先程も書きましたが、真実真実と言わず、もっとうさんくささを楽しんでいい時代だと思います。自分もどうしても生々しさを求めてしまう嫌いはありますが、やっぱりうさんくさくて面白いものは、楽しんでいいんだよ。
オカルトは時として危険ではありますが、ワクワクする未知の世界として見る楽しさは大人になっても忘れないでいたい。
まさに、「オカルト」を通じて童心に帰らせてくれる傑作だと確信しました。
 
今後主となるなんらかのストーリーも展開されると思いますが、ぶっちゃけオカルトのおもちゃ箱をどんどんぶちまけて欲しいです。
「ムー」が完全に協力体制に入っているため、自分はめちゃくちゃ期待しております。
昔はオカルト雑誌も色々あったのですよ。「トワイライトゾーン」とか「ウータン」とか「たま」とか「マヤ」とか「クォーク」とか「OMNI」とか。オカルトの定義はすげー曖昧ですが、「不可思議なものを扱う雑誌」という意味ではほんといっぱいありましたが、今は定期刊行されているのは「ムー」一誌のみ。
というわけでムーがんばれまじ頑張れ。
このアニメが売れて、ムーが売れたら、嬉しい!
 

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上でも書きましたが、マヤが歌う「LOVEマシーン」のフルバージョンがCDとしてついてくるというだけでも買う価値ありすぎるナイスBD・DVD化。
それにOPの「フライングヒューマノイド」って題名だけでもしびれていたのに、「世紀末盤」とかなんなの、しびれ殺すの。
とりあえずキバヤシとか好きな人は見るといいと思います。
で、内容については今後深くなるかもしれませんが、正直お酒飲みながら「わはは」と笑いながら見られる貴重な作品なので、このままの楽しい路線で行って欲しいです。
楽しいオカルトで頑張ってくださいほんと。そうだよね、オカルトは頭の中でワクワク冒険できる、想像遊戯なんだよね。うん。

そしていつも変わらぬムーが大好きです。
 
世紀末オカルト学院

伊藤「僕にとっての“オカルト”って、“UFO”や“こっくりさん”みたいな、小さい頃に体験した不思議な出来事や得体の知れない何か――そういう、ちょっと胡散臭くていかがわしい存在の総称なんです(笑)」

そうそうそうそう!(ヘドバンレベルのうなずき
うさんくさいんだよ! いかがわしいんだよ! それが、楽しいんだよ!!
ストーリーの整合性とかよりも、「実は○○は○○なんだよ!」「なんだってー!」と思わせて欲しいんですよ!
この作品、思う存分楽しませてくれそうだっ!
 
追記・オカルト雑誌新創刊されてた!!!

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懐疑的な意見も載せた意欲的な雑誌の様子。オーケンものっているらしい。これは買いか!?