たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

10年後の8月また出会えると信じて 「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」一話で胸が痛い

痛いとかじゃないなあ。
爆死するかと思った。
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。| アニメ公式サイト
花の名前を僕達はまだ知らない。 フジテレビOnDemand
二つ目のリンク先で無料視聴できます。第一話。
見られます。
見ることが出来ます。
見てくださいお願いします。
 
以下、ネタバレあり感想です。
なんかもう書かずにいられない。
最初は「王道アニメだろう」とか「お涙頂戴だろう」とか必死に自分を言いくるめていた部分があったのに。
そのダムをがっつり決壊させて押し寄せてきたので、殴り書きます。
 
 
 
 
 
 
 

●10年後の8月 また会えると信じて●

すっかりキャラ萌えアニメだと思ってたともさ。
「あなるちゃん」とかふざけてるなあと思いましたともさ。
なんだよ。
それらも計算尽くで、こうくるのですか!
 
まずもう、いきなり最後ですよラストですよEDですよ。
ほんとやられた。これ泣くなとか無理だろ?

EDはZONEの「secret base〜君がくれたもの〜」のアレンジバージョン。
なんですが。
この曲が発売されたのは2001年8月です。
今年は2011年です。
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(以下「あの花」)」が1クールだとしたら、7月か8月に終わるでしょう。

君と夏の終わり 将来の夢
大きな希望 忘れない
10年後の8月 また会えるのを信じて
(「secret base〜君がくれたもの〜」歌詞より)

10年後の8月にまた会えると信じたんだよ2001年にさ、この子達はさ。
でも、みんなは今、バラバラに過ごしている。
そして、ヒロインのめんまは死んでしまった。
会えなかった。
 
もうなんかさ。
この歌ありきで作ったんでしょうって言いたいくらい卑怯だよこれ。
だって「秘密の基地の中」だもん。
だって「10年後の8月に会えない」んだもん。
いや、別の意味で会えたけどさ。

君が最後まで心から
「ありがとう」叫んでたこと 知ってたよ
涙をこらえて 笑顔でさようなら
せつないよね 最高の思い出を…
(「secret base〜君がくれたもの〜」歌詞より)

もうラストまで見えてるんですよ、この歌詞の通りならさ。
でもそうなってほしいんだよ、頼むからなってくれよ。
お願いだから!
 
 
秘密基地ってキーワードはもうぼくの泣きツボ押しまくりなんです。
おジャ魔女どれみどっかーん」もそうですし「エウレカセブン」もそうです。
秘密基地ってね、子どものね、無限大の宇宙なんですよ。
なんでもできるって。何もかも可能だって。僕たちは無敵だって。
信じてすごせる完全無欠の天国なんですよ秘密基地って。

「あの日見た〜」のあの日は、やはり10年前、小学校に入ったか入らないかの頃。おそらく今は高校1年っぽいので6〜7歳でしょうか。10年前だから。
一番まえにいるのがじんたん。みんなのリーダー。みんなの秘密基地の。
みんなで冒険したんだよ。みんなで「超平和バスターズ」を結成してさ。
ぼくらはなんでもできるって。
 
なんだい。
できなかったじゃないか。
無敵だと思っていたのに、みんなと入ればできると思ったのに。なんにもできなかった。なんにも。なんにもだ!

そして、めんまの悲しそうな笑顔だけが全員の心にでかいひっかき傷を残して、10年経つんだ。
 

●あぁ、夏休みもあと少しで終わっちゃうから●

主人公の青年じんたんの解説は公式にはこうあります。

昔は幼なじみ6人の中心的存在だったが、
高校に入ってから軽い引きこもり中。

あんまり軽くないよ。
いやまあ、外に出られるだけ軽いのかもしれないけれども……。

学校には行かず、「死ね、死ね、死ね、死ね」と呪詛のように部屋の中で言葉を吐き散らす。
 
じんたんの描写を見ていくと彼のルサンチマン発言の数々に痛みを覚えます。
列挙してみましょう。

・お前らの劣勢の遺伝子を流すな、盛りのついた淫獣らが!
・ほんと女は低能だよな
・あの腐れビッチに頼んだって…


「ほんと女は低能だよな」の発言なんて滅茶苦茶ですよね。
強烈なまでの女性蔑視。
後半になると分かってきますが、子どもの頃にめんまに対して言った言動が心の中で未だに引っかかっていて、そこから逃げよう、避けようとしつつも罪悪感で強烈に求め欲している。
女性蔑視発言の数々は彼が本当にそう思っているのではなく、彼が自分の劣等感を隠すから出てくるものに他なりませんでした。
学校に関しても同じです。

・どうせあんなアホ高もう行く気なんてねえし
・おれなんてどうだっていいって
・オレが着るはずだった高校の制服……

どうにもならないほどの自虐とコンプレックス。
高校受験の失敗で「底辺の高校」に行く事になった彼は、自分の通う(通ってないけど)学校を「アホ高」と呼び、10年前の友人達が行ったエリート校の制服の紋章を正視出来ません。
 
あの頃の……10年前の友人ははるか違うところに行ってしまった。
「俺」もいけるって思ってたけど、今いるのはどうだ。何もかもだいなしにして動かずに「みんな変わったんだ」と諦念だけを吐き出すゴミ吐きマシーン。
彼は分かっています。
みんなに呪詛を送ると同時に、それが自分がダメである証であることを。
自分が一番変わってしまっていることを。
 
認めたくない。
だから文句を言い続ける。何もかもをバカにし続ける。
総てが跳ね返ってきて、さらに自分を傷つける。
 

●悲しくって寂しくって●

彼のひきこもり描写が非常に秀逸すぎて「やめて、頼むから勘弁して」となる自分がいます。
ぼくはこんなことない、彼とは違う、と必死に否定したくなる気持ちがあふれた瞬間、人間への恐怖心を持っていた瞬間の気持ちが倍になって跳ね返ってきます。
じんたんが他の人に感じているように。
 
家を出るだけで、誰か人がいるだけで自意識過剰になって出られない。
まさに引きこもりの心理そのままが浮き彫りになります。
そんなリアル描かないで!と思うんですが、画面から目をそらせません。そらしたら負けなんじゃないかって感じている段階でもう負けてるんですが。・・・勝ち負けなんてないけどさ、演出に負けましたよ完敗ですよ。
 
個人的にはこっちのほうがキたかなあ。
同じ中学校のやつらとすれ違ったとき、向こうは気にもかけず、自分は顔を伏せて小さく歩くこのシーン。
劣等感・コンプレックス・ルサンチマン・自虐・緊張・トラウマ・ストレス・過呼吸・対人恐怖。
人間が怖い。人が怖い。
そしてすべてが「自意識過剰」だと気づいて、さらに凹みます。
 
彼が人を怖がるのは理由があります。
めんまを失った10年前。めんまが死んだ10年前。
それに対して自分が傷つけてしまって二度と取り返しが付かない事態になったことに、責任を感じているからです。
もちろんじんたんは何も悪くない。あれは事故だ。
でも「ごめんね」を永遠に言えなくなってしまったトラウマは心を激しく傷つけて、彼の自信を奪い去るには十二分じゃないですか。

このカットとか秀逸ですよ。
エリート高に行った二人は彼にとってはとても大きいんです。自分はゴミ虫のように「どうでもいい存在」だと思っているからこんなにも小さい。
じんたんの心の光景なんです。みんなはどんどん前に進んで自分のやりたいことを見つけているじゃないか。
でも俺はなんだ?
こんなにも小さくて情けなくて何も出来なくて、10年前のことを引きずって、償えなくて。

今目の前に、めんまの幻覚がいる。
しかしそれすらも助けられない。手を伸ばして救おうとしたのに、届かない。
「俺」じゃだめなんだ。
 
めんまの存在は「幽霊」なのか「じんたんの強烈な思いが生んだ幻覚」なのか、現時点では明らかになっていません。
まあ、「幽霊」っていうとすごく陳腐に感じてしまうからあえて避けている感じがします。その細かな演出がうまいんですよ。うますぎるんですよ。うますぎてキリキリするんですよ。
今回の第一話はじんたん視点で進んでいるので、めんまのトラウマに関して引きずっているのはじんたんだけのように見えますが、細かく見ていくと他のメンツも全員引きずっているんです。
 
特にあなるちゃんは強烈に引きずってそうですね。
このへんは今後明らかになっていくとは思います。そもそもあなるちゃんがじんたんに対して特別な感情をいだいている匂いもしますし。

 
最初にも書きましたが、もし「secret base」がベースならこの10年後の8月を最高のものにするため、めんまを救うためにじんたんは奔走するでしょう。

必死に走る若者に心動かされないわけにいかないじゃないか。
 
でも分からないんですよ。
そもそもじんたんにしか見えない幻覚のような存在にどう対処するのか?
じんたんとあなるちゃんはまだ距離が近いので、近づきやすいかもしれません。
しかしお互い話すだけで傷つけあうようになったエリート校の二人は?
最後に出てきたぽっぽは?
そもそも「みんなじゃなきゃかなえられないお願い」ってなんだ?
 

●最高の思い出を●

 
OPでカラーとモノクロ、めんまのいる世界と居ない世界、そして立ち位置が反転しているのが興味深いです。
深読みできちゃいますね。どこかで見える瞬間がくるのか。何かが変わらないといけないのか。
いやまあ……まだ今は何を言っても戯言にしかならないので今は話を待ちましょう。
 
10年の歳月。
大人からしたらたいしたことのない年月です。
でも学生時代にしてみるとそれは天と地の差。
おそらくこの作品がずっしりくるのは高校生から20代だろうなーと思っていました。自分も頭おかしいんじゃないかって何度も第一話見まくりましたよ。失った過去への自虐と困惑と、何とかしたいとあがく姿は、泣くとかそういうの飛び越えた次元で強烈に心揺さぶるんですよね。
ネットでの反応を見ていると「本当に勘弁してくれ」「頼むからやめてくれ」という声をあげながら「だけど見たい早く見たい」「頼むから見てくれ」という声が飛び交っています。
好き好き大好きっ - おい、やめろ。マジでやめろ。
新アニメ 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 の内容おかしいいでしょ!! なんなのこのアニメ!? やめろおおおおおおおお:【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´)
Twitter / 漣: これためしにめんまの声だけ削除したverを見てみたいな。きっとすっごい嫌な間が続くアニメになってると思う。けれどそれが物語の中の日常なんだ。
こういう反応・・・いやまあ自分も同じか・・・正直めちゃくちゃなんですが、そういう心の奥底をズドンと突くんですよね。
冷静に判断するまでにすっごい時間がかかる。
とにかく人間の感情の痛い部分をつついてくる作品です。嫌がらせではなく、カタルシスを出すよという匂いをさせながら。
引きこもり経験ない人でもかなり揺さぶられるものあるんじゃないかと思います。「挫折」という経験をした人なら。まあ、挫折のない人なんてあんまりいないですが。じんたんと同じではなくても、他の子たちそれぞれと何かしらかぶる部分が出てくるんだからホント困る。エリート校組や、あなるちゃんに共感する人もいるでしょう。非常に上質な、そしてトゲだらけのジュブナイルに仕上がっています。
そう、仕上がっちゃってるんです。最終回なんじゃないかと思ったよほんとにさ!
 
改めて冷静になってから見ると、色々細かい部分で凝ってるんですよね。

たとえば「あなるちゃん」というふざけたあだ名、最初はブヒらせるためのネタかと思いきや、実は子どもの頃わけもわからずつけたけど、あとになってそれが恥ずかしいものだと知って躊躇するという仕組み。ちゃんと計算されていて仰天しました。

じんたんの後ろにある看板も、普通なら笑ってすますネタなんですが、どうにもこうにも笑えないじゃんこんなシーンで出されたらさ!

めんまに文句をいうときに視線が合わせられないとかもうね。
生々しいにもほどがあるよ。
埼玉新聞もそうとうしっかり描きこまれていますし、なんとなく帽子や眼鏡をかけて「普段と違う自分」を作って外出する人間が苦手な演出といい、まあうまいのなんの。
全体の色、動き、めんまの妙に浮いたキャラデザ、過去と現在の描線の色の違い、日常生活の細かな動き。非常にアニメーションとして「日常」を描く点で超優秀な作品になっています。演出面だけでも是非見てほしいんです。

君と夏の終わり ずっと離して 夕日を見てから星を眺め
君の頬を 流れた涙はずっと忘れない。
君が最後まで 大きく手を振ってくれたこと きっと忘れない
だからこうして 夢のなかで ずっと永遠に
 
君と夏の終わり 将来の夢
大きな希望 忘れない
10年後の8月 また会えるのを信じて
(「secret base〜君がくれたもの〜」歌詞より)


ねえ。
信じていい?
信じていいんだよね?
信じさせてよ。
 

ほんと「あなるちゃんwww」とか思っていたのにえらい穴に落ちた感じです。
今後バッドエンドになろうがグッドエンドになろうが、喧嘩しようが嫉妬しようが自虐しようが殴り合おうが決裂しようが走りだそうが逃げ出そうが、絶対見てやる。
春の新アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』1話で終わりで良いくらい感動作になりそうだ・・・|やらおん!

801 名前:名無しでいいとも![sage] 投稿日:2011/04/15(金) 01:59:15.41 id:Ba9viWYE
狭い・・・

狭すぎる・・・世界が
出会いも友達も、超地元しかみてねーぞこのガキ

そう、そうなんだよ。田舎で世界狭いんですよ。
そここそが、ジュブナイルの酸っぱくて苦い味なんだと思うんです。

510 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2011/04/15(金) 03:42:21.89 id:boNLfoit0
前スレより
先行上映で配られた各キャラの花の種と花言葉

じんたん 金魚草 「清純な心」
ぽっぽ ペチュニア 「あなたと一緒なら心が和らぐ」
ゆきあつ チャービル 「正直・誠実」
めんま わすれな草 「私を忘れないで」
あなる コスモス 「乙女の真心」
つるこ アスター 「信ずる心」

 
あともうひとつ。
「secret base〜君がくれたもの〜」は恋人への歌じゃなくて、友達との歌でした。
タイトルは「僕はまだ」ではなく「僕達はまだ」です。