たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「げんしけん」二代目のダイナモ、吉武ってほんっとに魅力的な子だよね。

The Appearing and Disappearing Wave of Generational Change in Genshiken II Volume 1/Genshiken Volume 10 « OGIUE MANIAX
 
「げんしけん二代目の壱 10巻」で見え隠れする、「楽しい」の世代交代の波の記事を英訳してもらいました。
ありがとうございます! 身に余る僥倖。
 
さて、げんしけん10巻(二代目一巻目)を読んだ時の最初の感覚は、やはり斑目と矢島っちの「オタクの楽しみ方」への距離感だったんです、上の記事のとおりですね。
好きでいいのかな、どこまで自分を開いていいのかな、歳を経ると情熱のあり方も変わるのかな、などなど。初期げんしけんが「オタク文化に接すること」そのものからスタートしているとしたら、現在は卒業した社会人オタクの斑目達と、大学1年生の矢島や吉武や波戸がいるという非常に年齢幅がある状態。
あなどるなかれ、5年違ったらこのころだったらだいぶ違うぜ。
 
で、今回ちょっと気になっているのは吉武です。

10巻より。
新入生は3人ともキャラが滅法濃いんですが、自らを腐女子と公言し、平気でブヒると言い、楽しいことにはがっついて行ったところげんしけんにたどりついた、というハイパー暴走超特急な彼女。
見ての通り、なんともオタクらしい性質を、隠すこと無く丸出しにしている彼女は本当に見ていて楽しいんだなー。
で、吉武が大好きな友人と「彼女はいったいどういう立ち位置なんだろう?」という話をしていたので、備忘録的に書き留めておきます。
 

●みんなの接着剤、吉武●

先月の表紙が素晴らしくいいんですよね。

これ!
波戸、矢島というアクの強いメンツをつなぎとめているのが実は吉武だ、というのを端的に描いた図。これはグッときましたよ。
今のげんしけんはどうしても目立ちすぎる外国人オタクスーや男の娘波戸がいるため濃度が異常に濃く、吉武も相当に濃いキャラながらもその中においてはむしろ平均値に近いくらいです。
矢島はさらに地味ではあるんですが、彼女のコンプレックスや苛立ちは痛いほど表現されているので、逆に感情移入しやすくて目立ちます。ファッションへの気の使わなさもまた、逆に目立ってます。
 
吉武は、おしゃれです。
「ものすごく」とは言いません。でも「そこそこにおしゃれ」と言っていいと思います。カジュアルながらも自分の体型やスタイルにあった服をある程度数持っているようで、出てくる度に服装が違います。
メガネもおしゃれですよ、赤の下ぶちメガネ。矢島っちや斑目が「見えりゃいいや」メガネなのと大違い。
おしゃれなんだけど、かといって最先端ではない、というすごい絶妙なバランスの服装なんですよね。微妙な幼さがまた魅力的。森ガールともちょっと違う感じ。なんていうんでしょうねこういうの。なんかちょっとオタクっぽさは残っていて……でもおしゃれで……あー、このへんファッションに詳しい人に任せるっス。
(追記・友人と協議した結果、デイリーカジュアル系じゃないかと。今週のおすすめ | tiptopブログこういうの。)
もっとも彼女のファッションスタイル(「吉武スタイル」と名付ける!)分かって着ているのかわかりませんが、自分がいわゆる「ロリ顔キャラ」になっているのは認識しているようです。
めちゃくちゃ服装に凝るか(大野さんや波戸くんなど、服装が人格の一部な子たち)、まったく無頓着か(荻上ですら割と無頓着な事が多い)の両極端が多かったげんしけんにおいては、この平均値っぷりはちょっと貴重。
 
じゃあ性格も日本人平均値なのか?というと、ちょっぴりはみ出しています。
まず彼女の「空気の読めなさ」は超一流です。
しかしそれは、「空気を読めていないフリをして一番空気を読んで明るくしている」キャラなんじゃないか、という仮説。
ややこしいですね。具体的に言うと、「けいおん!」の純ちゃんや「ハートキャッチプリキュア」のえりかに近いです。
全力で「楽しい」を維持することで、みんなのつながりをつなぎとめるキャラ、それが吉武だと思うんです。
 

●吉武の最近は、楽しいことばっか!●

先月号と並べるとつながる今月号の表紙もいいですねえ。
今月のアフタヌーンでは、同人誌即売会で「げんしけんメンバー全員でコスプレをする」というのが描かれていました。

ほむほむ大野、マミさんアンジェラ(notげんしけん)、さやか矢島っちに、杏子吉武、キュゥべえスー。
まどかは多分波戸くんがやる予定だったんでしょう。荻上は先月号で、風邪でリタイア。クッチーは売り子です。
部全員でこうやって合わせのコスプレするの自体レアですが、そもそも即売会で大野さんが権限発動しないとできないですしね。
で、見て欲しいのはここなんですよ。

終始小さくしか映らない吉武(メインが大野さんのアンジェラのため)なんですが、ずーっとコスプレ中笑ってるんですよね。
汗は多分暑いから。
なるほど、この子本当に楽しいんだね。
 
矢島は容姿にコンプレックス持っていますからコスプレはしたくはなかったでしょう。

しかし、するんですね。これちょっと驚いたんですよ。
だって、本当に嫌なら拒絶するでしょう。「晒されんの覚悟でOKした」と言っているくらいで、実際この「まどかコス」はネット中で話題になっています。しかも一番露出の高いさやかをコスプレするハメになった矢島さん。
・・・矢島っちってこういうとこかわいいよね。
置いといて。
荻上や咲ちゃんなんかはもうコスプレに関しては、大野さんが押して押して拒絶して、その上で押して着させたわけなんですが、矢島っち意外とすんなり着てます。
あれ?
多分「コスプレ」というもののボーダーラインが相当この世代だと低いのかな、とまず感じました。
特殊なことじゃなくて、割と遊びの一環の一つとして認知しているのかなと。
でも、それでも矢島っちはきっと嫌がるでしょう、コスプレ。
そこで吉武ですよ。
「それは私のキャラ的に困るゼ! カプカプ」
吉武がずーーーーーっと、矢島のそばにいるんですよね。これ、ここに彼女の良さが滲んでいる気がするんです。
 
恐らく大野さんだけじゃなく、吉武も矢島にコスプレするよう勧めたんだと踏んでます。
特に理由がないので類推でしかないんですが、いくら仲の良い二人とは言え、ずーっと一緒にいるってのは、ねえ。なかなかのもんですよ。
しかもちゃんとカップリングを意識している。杏さや。
 
もうちょい見てみましょう。

波戸は斑目の心配(?)をして今回売り子側に離脱するんですが、矢島は当然「あいつだけ逃げやがって」的な気持ちがコンプレックスからあるんですが、吉武はそんな矢島をなだめるんですよ。
一つはカップリング的にコスプレでさやかがいないと困ると。
もう一つは波戸ちゃんはこれでもいいかなって思わないスかと、波戸のことを考えての言動なんですよね。
 
なるほど。整理してみます。
・吉武はみんなでコスプレするのが心の底から楽しい。ポッキーの準備はナイスである。まさか59話の扉絵が伏線だったとは!
・吉武は矢島が嫌がっているのを分かって、ちゃんとフォローの位置に入っている。放置していない。
・吉武は波戸の複雑な感情をちゃんと理解して、エールをおくっている。もちろん斑目にも。
 
吉武すげえですよ。
彼女、みんなのフォローに回りながら、ちゃんと自分で楽しんでいるんですよね。
だらしなかったり、コンプレックス抱えていたり、トラウマ持っていたり、逃避していたりしていた今までの面々とはちょっと違う。
ちゃんとみんなの気持ちを考えつつ、最高の時間を貪欲に楽しんでいるのが強く感じられます。
 
この時、吉武に対してぼくがいだいていたのは「この子どこかで破綻してしまうんじゃないか」「かつてなにか問題を抱えていたんじゃないか」という思いでした。
しかし「明るく振る舞い、気を使っているのは何か心に傷を負ったから」という考え自体が、ひょっとしたら古臭いのかな?と思ってしまったわけですよ。

吉武好きの友人に「どこが好きなの」と聞いたとき、「好きなことを楽しんでいる吉武が好き」と言っていました。
あー、わかる、すっごいわかる。ようは「オタクかどうか」ってあんま関係ないんだ。
もし吉武の趣味が映画だったら、映画マニアになっていたでしょう。サッカー好きだったらサッカーやってたでしょう。
たまたま好きなモノがアニメやマンガやBLだった。だからオタクを楽しんでいる。
きっと、どれを選んでも彼女は同じ笑顔をみせていたんだろうなと。
 
脳天気に楽しんでいるわけじゃありません。
・・・いや、語弊あるかしら? 脳天気ではあるんですが、何も考えずに楽しんでいるわけではないです。
どう楽しむか、楽しんでいいかどうか、人に迷惑をかけていないかどうかを考えた上で、出来る範囲で最高に楽しもう、と意識的に動いているんですよね。

10巻入部のシーン。最初にBL趣味はOKかどうかをきちんと確認しています。
「NGならやめるっス」ってのが地味に興味深い。つまり彼女は、明確に好きなモノがあって、それを存分に楽しめる場所を求めてきた。
逃避とか依存じゃなくて、能動的なんですよ。
別の友人は「NGなら(BLの会話は)やめるっス」という意味じゃないか、と言っていて。そうだとしたらこれもすごいなと。
恐らく「BLはNG」だったら別の方法で、最高に楽しめるものを求めたでしょう。これってすごい行動力ですよ。
だからこそ。

仲間ができて、彼女のこの最高の笑顔がある、と思うとなんだか、吉武が愛しくなります。
「好きなことを楽しんでいる吉武」。なるほど、ぼくも彼女のこと大好きです。
好きなものをきちんと楽しめる、好きだって言えるって、本当に魅力的です。
 

●吉武と矢島●

矢島視点で描かれている事が多い本作なので、吉武の感情はあまり描かれていません。
だからこそ矢島っちがすげー可愛く見えてくるんですが、もう少し吉武の方を見てみます。
 
矢島も色々と心にドロドロしたものを湛えた子です。
けれども、斑目やくがぴーや大野さん、極端な例なら荻上が持っていた物と全然違うんですよね。オタクであることの劣等感も持っていません。BL好きなのも公言していますし。
はっきりと形として文字で表現できない、すんごい曖昧なコンプレックスです。人としてとか、女性としてとか。
かと言ってそれが嫌悪になるわけでもない。
現在、げんしけんにいることを彼女楽しんでいます。いや、楽しめるようになりました。
 
ここ、吉武の存在すごいでかいと思うんですよ。
多分吉武がいなくても、矢島はげんしけんに通ったでしょう。荻上のマンガの手伝いもしたでしょう。それなりに楽しんだでしょう。
しかし、矢島っちが青春できている(青春だよね?!)のは、吉武の猛烈なエンジンに誘導されている部分あります。

まー、吉武もたいがい暴走列車ですが、こいつらホント仲いいですよね。
趣味が合うとはいえ、本当に楽しそうなんだもん!
見ていてこっちが幸せになりますよ。

そういう流れとは別のことを示唆するシーンなんですが、あえてここでは二人の中の良さを取り上げているコマとして見ます。
吉武は文字通りのスキンシップの多い子です。スーほどじゃないのでそこまで目立ちませんが、特に矢島に対してはものっすごいべたべたします。
吉武、矢島のことめっちゃ友人として大好きなわけですよ。これも「吉武の中の楽しい」の一つ。
矢島も吉武のことを好いています。「でも、まいっか友達できたわけだし腐女子の」と実際に回想しています。この「友達」は吉武のことで間違いないでしょう。一応は波戸も数には入ってますが、やっぱり「男」という意識がありますし。
 
吉武の「楽しい」はものすごい数ある様子ですが、今のところ矢島と一緒にいることで得ている、というのは大きなポイントだと思います。

波戸くんはやっぱり、友達ではあるけどここまでスキンシップをとっているのは矢島のみ。先輩たちはまた別ですし。
このへんが、彼女の「空気の読め具合」と「楽しいことの追求」両方のバランスを取れている絶妙さだと思うんです。
彼女は別に矢島に対して「かまってあげなきゃ」みたいな感情一切ありません。本当に矢島といて楽しいんです。
「場を盛り上げなきゃ」という自負も特にありません。けれども「自分が楽しいほうがうれしいから」場を盛り上げます。
 
ああ。
吉武は、改めて、びっくりするほど「好きなことを楽しんでいる」んだなと痛感。
鬱屈とかありません。いや、もしかしたら今後あるかもしれませんが、現段階ではないです。
「ポジティブなオタク」の象徴例なんじゃないか、と言っている友人がいて、あーなるほどなと。
「何かがあったからオタクになった」「何かがあったから友人になった」そうじゃない。
「オタクが楽しいからオタクを楽しんでいる」「友達のことがただ単純に好き」。
そして、そんな吉武を見ているのが、楽しい。
 
見た目的にはぼくは吉武ドストライクもいいところなんです。超かわいいでしょう?
でもほんとのこというとぼくは吉武になりたいんだろうなーと思ったりします。
こんなにもポジティブに、楽しいことは楽しい、好きなことは好きと言えたらどんなに幸せだろう?
現時点では吉武は完全な脇役です。メイン回はありませんし、彼女が考えている言葉も出てきません。
それは思ったことをそのまま口に、行動に出しているからでもあるでしょう。
いい意味で最高に純粋な子なんだろうなと。
ただ、問題があるとしたら「これから」かもしれません。

平気で未成年飲酒をしてしまう吉武。
この純粋すぎるがゆえの幼さが何か問題を起こす可能性は、否めません。
否めませんが・・・今のところだれも傷つけず、それどころかみんなを元気づける活性剤になっている吉武。
このまま名脇役として全員の元気の底上げになってくれたらいいなあ、なんて思ったりするんです。
 

それにしても今月の斑目のヒロインっぷりはやばいですね。
どこまでかわいいんだあいつは・・・!
斑目たん、負け犬じゃないよ、勝ち犬だよ!