たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

アニメ版に向けて。「カゲプロ大好きなんだ」って大きな声で言いたかった

「メカクシティアクターズ」で、「カゲプロ」アニメ化される。
……長かった!
いや、全然長くない、むしろ2011年スタートだと考えると、早すぎるくらいなんです。
でもねー。
ぼくは「カゲプロ」が好きなおっさんなんですが、周りの同世代ではほとんど会話にならなかった。全然知らない世界だ、ってなった。しかたない。
若い子たちと会話できたらいいとも思いつつ、若い子の年齢が離れすぎている。
 
アニメが。
アニメさえはじまれば、「カゲプロ」の話が、みんなでできる!!
 
……って思ってるんだけどどうなんだろう?
 

●「カゲプロ」と聞いて連想すること●

「カゲプロ(カゲロウプロジェクト)は若者文化」ってのは間違ってはいないとは、思うんだ。
ニコニコ動画の一連の、じん(自然の敵P)の作った楽曲群。
それぞれ100万再生から300万以上再生。
 
小・中・高生で聞いている人が多い。
スマホどころじゃない。でかいのは、3DSで見られること。
3DSで見ると、ちょうニコニコ見やすいのよ。便利よ。
 
でも、大人だって見てるでしょう?見てる人ゼロなわけ無いでしょう?
例えば「初音ミクの『みっくみく』」は見たこと無くてもなんとなーくわかってる感はある。
ラノベ系アニメも見たことないし興味が無くても、なんとなくはわかる。
でも「カゲプロ」は「全くさっぱりわからない」。この層が大人でとても多い。
……まあ、データをとったわけじゃないんですが。Twitterの反応を見ているとそんな感じ。
 
ひとつは「本当に全くさっぱりわからない」層。名前だけは聞いたことある層。
名前だけ聞いたことがあるってだけで、十二分にすごいんですが。
そもそも、「カゲプロ」がとてもわかりづらい。
なんせ、やってることが新しいから。詳しくは次で。
 
次に「カゲプロってなんか揉め事多くてちょっと近づきづらい」っていう層。
そうなのよー。ネット見てるとどうしても、喧嘩が多い……ように見える。煽り、煽られ。
個人的な感覚では、サイレントマジョリティな大多数は普通に作品を楽しんでいるんだけど、一部でもめているのが目立ち過ぎちゃっている。
ただ「よくわからないけど揉めてるところに入りたくない」ってのは、わかる。わかるよ。
 
そして「好きなんだけど言えない」層。
いると思うんだ。これは学生層も同じ。
これがなー! 「好きっていったら巻き込まれそうで言えない」みたいなツイートを見た時切なくなりました。
ぼくも、好きだーって言えない空気の時あるし、媚びてるんでしょうみたいに言われる恐怖感もある。
ほんとつらい。どんな作品でも揉め事自体はあるんだけど、表に出過ぎちゃってる。
そして、好きなんだけど、うまく人とつながれない。話しても通じない。結局一人で楽しむしかない。
これが「エヴァ」とか「まどか」とか「ハルヒ」だとなんか通じるんだけど、「カゲプロ」って通じない。
 
だから、だからさ。
アニメ化したらね? わかりづらいとか正体不明っていう声も減り、もうちょっとのびのび、「カゲプロ面白いねえ」って言える気がするんだ。
 

●「カゲプロ」の面白いところって●

ぼくが「カゲプロ」で一番おもしろいと思っているのは、メディアミックスでルートをわけて、展開しているところ。
例えばギャルゲー・エロゲーって何度もキャラごとのルートをたどって、それらはパラレルで、最終的にトゥルーエンドにいくわけじゃあないですか。
keyとかまさに。
 
「カゲプロ」に至っては、楽曲ルートはもう終わっていて、しかもバッドエンドです。
それだけなわけないよね!? ってのを小説、マンガでやっています。
 
完全に知らん、って人向けにちょろっと簡単に。
まず「カゲロウプロジェクト」って作品はないです。これ多くの人が最初にひっかかる部分。
東方Project」っていうゲームがないのと同じ。
 
まずは、「カゲロウデイズ」「チルドレンレコード」などのようなニコニコPVとCDの楽曲群ルートが一つ。


それぞれの曲が単発で出来がよい。聞くと割りとすぐ覚えます。奪っちゃうよー、奪っちゃうよー。
ただし、楽曲発表順=ストーリー順ではない。ここが難しい。多様な解釈があります。
それが、面白いんだよなー。特に軸になる「カゲロウデイズ」は刺激的な歌詞と、考えるほどに複雑な内容とあいまって、他の曲のことを思考しないと何が起きているかわからない。
ようするに8月14日から15日をループしている、ってのはまずわかります。
 
次に小説『カゲロウデイズ』ルートが一つ。
カゲロウデイズ -in a daze- (KCG文庫)
じん(自然の敵P)
エンターブレイン
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小説版は、楽曲群をじん(自然の敵P)が自分で分かりやすいように並べ替え(小説内ザッピングはあります)、キャラのつながり、メカクシ団とはなにかなどを明確化しました。
 
「カゲプロ」は、目に特殊な能力を持った少年少女の物語。
楽曲群は個々のエピソードを切り取った、パーツになっています。
それを小説でまとめ、「こうなるのかー!」と楽しめる。
並行しながら作られた楽曲と小説の比較が本当に面白い。だって楽曲知ってたら「いつ○○が出てくるの!?」ってなるわけですよ。出てこないかもしれないしね。
 
マンガ『カゲロウデイズ』ルートが一つ。これさー。これさー!!!!! 
読んだ人ならぼくの気持ちわかる!? わかるよね!!!!
コミカライズかと思ったら、全然ちがうのな!! 1から3巻途中まで同じだったのにさ!
特に4巻。今までほとんど小説版と同じルートだったのに、突然内容が分岐。その後様々なエピソードが形を変えていき、全く別の話になりはじめています。
これは本当に読んでいて驚いたなー。まさにゲームのルート分岐ですよ。いや、二周目の世界かも、あるいは何十周もした世界かもしれない。
 
あ、そうです。ループものです。いやどうかな???
現時点ではっきりとした答えがないので、ここはなんとも言えないけど……多分楽曲ルートが「アウターサイエンス」を経て「ああなった」ってことは、小説・マンガ・アニメは別ルートのはず。
いやまだわからん……。
 
このルート分岐をメディアミックスでやっちゃうって、正直ちょっとすごいよ?
じん(自然の敵P)が、原作・脚本(アニメ版ではまさにこれ)だけじゃなくて、音楽制作であり、ビジュアルもネットを通じて知り合ったしづ、わんにゃんぷーと組んで、監督・プロモーションまでやってるってことだもの。
 
メディアミックスの面白さが「機動警察パトレイバー」時代からあったとしても、ルート分岐の考え方を盛り込んだ、それが大成功している、ってのは、興味がわきますよそりゃ。
しかも話は面白いし(後述)、ビジュアルもかっこいい。
小説版5巻の折込イラスト見た!?かっこいいよなー。
いや、大人になって、かっこいいものには沢山触れたよぼくも。
でも中高生の時に触れる「これかっけえ!」の入り口がカゲプロだったら、幸せすぎだろう。
 
そしてアニメ版。
……小説版も全然終わってないんだけど、どうなるんだろうね……?
楽曲版か、全くの別ルートか。脚本もじん(自然の敵P)なのね。多才すぎるわ。

ただ、シャフトが作るんだもの、最高にかっこいい映像になる期待は高まるよ。
つかシンタローの部屋広すぎだろ!!! 全くシャフト空間だぜ!
 
じん(自然の敵P)もインタビューで言ってる通り、どこから見てもいけます。
分かりやすいのはこの本。小説2巻の時点までなのですが、とにかくキャラの関係性が分かりやすい。楽曲もまとまっている。入門書としては最適です。
 
とはいえ、多分アニメから入るのが手っ取り早いはず。
だから! ぼくは! 待ち遠しいんだよ!
アニメから入ったファンと「おもしろいね〜」って言える日がくるのが!
 

●ぼくが「カゲプロ」に惹かれたわけ●

物語的な部分の話をちょっとだけ。
 
ぼくがカゲプロにどっぷりハマった理由は、能力者の物語でありながら、これが能力バトルではなく、むしろ「能力を持ったがゆえに苦労することになった」者達の居場所としてメカクシ団がある、というところ。
もうねえ。歳をとったけれども、少年時代を思い出して、メカクシ団に入りたくて仕方ないんだよ。
暗黒の高校時代を思い出すと、もう憧れの場所なんだよ、メカクシ団。
ほんと、狭い世界の107号室。あそこがどれだけ魅力的か。
 
けいおん!」の軽音部部室は、親目線だから壁になって彼女らの成長を見ていたかった。
涼宮ハルヒの憂鬱」のSOS団は、SF映画を椅子に座ってみているかのようだった。だから入る入らないじゃなくて、考えることのほうが多かった。
でもメカクシ団は、受け入れてくれるかのような感覚が、安心感がすさまじい。
 
シンタローが引きこもりからメカクシ団に加入ってのもいい。(彼にも色々あるんだけど!)
一見便利に見える目の能力が、悲しみや苦痛、多くのトラウマを生んでいるからこそ、支え合うのもいい。
果たしてメビウスの輪から抜け出せるのか。
でも案外心地良いんだよね、メカクシ団。いやいや突き破るよ。
少年少女、前を向く。揺れる炎天下すら希望論だって。(「チルドレンレコード」)
 
……もう少年少女じゃないぼくは、いわば、実際にリアル年齢で少年少女で「カゲプロ」を楽しんでいる面々からしたら、むしろエネミーかもしれない。
しれないけどさ。僕の中にいる少年が、色々モヤモヤを抱えて苦しんでいた少年の僕が、うずくんだよ見てると。
カゲプロ作品見てる時だけは、完全にぼくは高校生です。
 

●キャラ萌えについてちょっとだけ●

ぼくは、作中に出てくる遙と貴音の二人の教室が大好きでしてねえ……。

この二人の教室はかなり特殊。二人教室。これもいろいろわけありなんですが。
でもおっとりのんびりな遙と、目つきがちょっとわるい三白眼スパッツ少女貴音の関係がもうね!もうね!超かわいいのよ。
この閉じた、閉じまくった幸せな世界が、こうなる。

最初わからなかったなあこれ。どういうことなのか。
ぼくが最初に惹かれたビジュアルが「ヘッドフォンアクター」の貴音だったってのもあり、貴音は特別に好きな存在です。エネも大好きです。
なんだかわからない人にこれを説明するのは大変むずかしいので、アニメ見て!(多分やってくれる)
 
他にもこの作品、キャラのバランスがすっごいいい。
クールビューティーにして家庭的なキド、おちゃらけものでムードメーカーカノ、ひきこもりのシンタロー、彼の電子機器に住む元気いっぱい電脳少女エネ、妹でアイドルで明るいモモ、超絶爽やか好青年セト、ひきこもりどころか動いたら崩れそうなほど華奢でキレイなマリー、生意気なのが愛しいヒビヤ、彼が思いを寄せつつも相手にもしないヒヨリ、何を考えているのかよくわからない美少年コノハ、包容力のあるアヤノなどなど。
男の子が見ても、女の子が見ても魅力的なキャラが均等に揃っている。
しかもカップリングが鬼のようにできる。
ごちそうですよこれは。組み合わせ次第で、ホテルのバイキングですよ。
 
萌えのために作られたキャラじゃないんだけど、萌えるツボはがっちりおさえられている。
原作のちからもありますが、pixivやニコニコ文化との親和性の高さゆえの、ファンのちからも大きく作用して、カゲプロワールドは広がっているのを感じます。
そこを「自由」ととるか、「原点からずれないでほしい」ととるかは、……多分多くの大人がすでに経験してきた道。
 

●ネットの世界で産まれて●

本当にインターネット世代の作品だと思います。いろーんなことひっくるめて。
「人造エネミー」では自信なさげに発表していたじん(自然の敵P)も、この作品のおかげでしづ・わんにゃんぷーと出会い、ストーリー性の高いPVを作るに至った。
3DSスマホで見られる現代だからこそ、若い世代がそれを自由に楽しむことが出来た。アニメもニコニコ同時配信ってのは、本当に英断。そうだよ、深夜に大人が楽しむだけじゃなくて、老若男女で楽しまないと。
揉め事はまあ、あるよね。でも一歩引いて見てると、エヴァンゲリオンの時に激昂したり揉め合ったりしたあの感覚が、今はTwitterなどがあるゆえに、攻撃的な言葉が簡単に出ちゃうようになった。
ぼくもエヴァにドハマりしていた頃、だれかにバカにされたら、Twitterでひどい言葉吐いてたかもしれないと考えると背筋が凍るわ。昔Twitterなくてよかった……。
 
ネットだからお祭り的に広がったともおもう。これからもっと広がると思う。
でも、閉じたメカクシ団の中での物語だからこそ、あんまり広がりすぎてほしくない、という感覚も痛いほどわかる。インディーズバンドのメジャーデビューみたいな感覚。
アニメ版が、うまくつなぐことで、老若男女が楽しめる作品になってほしいってほんとに思う。
面白いものは、面白いんだよ。
貴音かわいく描いてくださいよろしくお願いします。