たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「ウマ娘」2期13話でテイオーとマックイーンが見せてくれた、美しすぎる夢のはなし

ウマ娘プリティーダービー」2期最終回13話を遅ればせながら見終わった。

全部の物語が終わって大団円、未来の新人の希望も映し、その後の本当に最後の最後。

トウカイテイオーメジロマックイーンの2人だけになった馬場。とても短いシーン。

多くの人を「泣いた」と言わしめるパワーは、これなんだと感激した。

ウマ娘」のテーマのひとつが、夢を叶えて形にして見せることなんだろうな。

それはキャラだけじゃなくて、スタッフのも、ファンのも。

誰かが夢を叶えた瞬間の感動って、つられちゃうじゃん。幸せになるじゃん。

 

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ぼくは最初あんまり興味を持っていなかったので、「ウマ娘」の話題を追い始めたのは本当に最近。アプリも後追い組。

そもそも競馬を全く知らなかったし、興味も一生ないと思っていたから。

だから見始めたのは、多くのファンが「泣いて仕方ない」みたいな声を上げ始めたのを見たあと。そんなに泣くことってあるのか?と。

というのも目利きのオタクたちって基本的にお涙頂戴ありきで作られたものには評価が厳しいからだ。

となれば、ここまで感動の声がガチあがりしているなら、多分これは本物なんじゃないか?と。

 

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本物だった。本物を越えた超現実みたいな作品だった。

一応女の子たちが出てきて頑張るスポ根もの、という枠組みの作品ではある。ただ、擬人化(って表現がこの作品の場合正しいのかな?)の元になっている史実の名馬たちの物語を拾い上げながら、うまく物語に昇華している。

たくさんの競馬ファンがかつて名勝負の際に涙したシーンを、もう一度しっかりと、誰かを中傷することなく、英雄の物語として組み上げている。

現実にあった出来事を、演義としてより伝わるように作り上げてくれた。

「おれたちはこの試合のここに感動したんだ、それを是非伝えたいんだ」みたいな作り手の熱量がすさまじかった。それを更にウマ娘たちの「本能」ともいわれている止められない情熱にひっかけて盛り上げているのだから、感動熱はさらに増幅する。

そんな莫大なスタッフとか競馬ファンとか競馬関係者とかウマ娘たちとかの感情をダイレクトに全力ぶつけられたら、観客側としては嬉しいとか悲しいとかを飛び越えて、感情が問答無用で揺れてしまう。

 

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感情の動きに対して、作り手が何一つ恥じらわなかったのが、よかった。

実際のところ細かいディティールとかに関してはそこまで緻密なものではない。このへんは「ガルパン」で「カーボンだから大丈夫」と言い切ったことで戦車の撃ち合いが出来たのと同じで、ウマ娘は異常なスピードだし道路に専用レーンがあるしすさまじい量食べることもあるしで、「そういうもの」という前置きとしての飲み込みは必須。

完全に割り切ったことで、造り手の競馬への愛がとめどなく、所構わずぶちこまれた。

史実の馬たちのエピソードがこれでもかと盛り込まれている。トウカイテイオー有馬記念での奇跡の復活とかのような大イベントはもちろん、マチカネタンホイザが蜘蛛を食べちゃった、みたいな細かいネタもスルッと入ってる。

 

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大好きで仕方ない物がある人が作る、丁寧な「大好き」の表現は、人の心を動かす、とずっと思っている。感動を産む重要な原動力の一つだと思う。

ウマ娘」は色々コメディも盛り込みつつ、この軸を絶対にブレさせなかったし、むしろやりすぎなくらい。

だから感動する前段階の、「この作品を作っている人は信じていい」という心の扉を簡単に開いてくれた。まるで作品全体が、馬が大好きな人が、いかに馬が素晴らしいかをこちらに寄り添って、わかるように丁寧に噛み砕いて、お話してくれているかのようだった。

おもしろエピソードが多すぎるゴールドシップを筆頭に、大食いのオグリキャップや、逃げまくりのメジロパーマーダイタクヘリオス、逆噴射のツインターボなど、登場する度にネットで史実を調べた。ああ本当に好きなんだなあ、と。

ツインターボはキャラとしては、二期10話であまりにも愛しくて泣かせてくれる最高のバカとして登場するんだけど、あれは本当に馬が好きな人ならたまらないだろうなって。めちゃくちゃ最初から走って途中で息切れして惨敗、というのが実際多かった中、93年オールカマーで狂ったような大逃げでぶっちぎる試合は、今も伝説らしい。それをあんな大舞台の美しい見せ方でやるなんて。

これ競馬ファンなら、ツインターボ出た時点で「やってくれるはず」と思ってたんだろうな。そうだったら、それがかなったんだったら、なんてうらやましい楽しみ方ができているんだろう。

 

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当然競走馬は生き物だから、何が起きるかわからない。

だから「もし」が、競馬ではめちゃくちゃ多いと聞く。もし出ていれば、もし休んでいれば、もし晴れていれば。

その「もし」を叶えてくれるから「ウマ娘」は人気があると聞いた。

大きいところだとサイレンススズカ。現実ではものすごいスピードで記録を打ち立てたヒーローだったが、天皇賞(秋)粉砕骨折予後不良安楽死になっている。だから「ウマ娘」一期で彼女が出てきた時、知っているファンはリアルタイムで見ながら不安でならなかっただっただろうな。

でもアニメではサイレンススズカはリハビリを越えて復帰した。怪我が治って生きて走っている「もし」の姿が見られる。

ウマ娘」たちを応援するファンと、競馬ファンと、スタッフが見たかったであろう夢があった。

 

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二期最終回のラスト。

トウカイテイオーメジロマックイーンはふたりきりで、誰もいないターフで、約束の勝負をする。

勝負の結果は描かれない。大事なのは「勝負をした」ということだからだ。

現実では二回目の試合はなかった。

でも作り手側は心の底から「もし」が見たかったんだろう。

実際に学校で勝負したのか、幻想なのか、あるいは天国でのふたりなのか。全くわからないけれども、「ふたりは勝負ができた」というだけで、あまりにも粋だし美しすぎる。

 

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馬が好きな人の夢が詰まった、とても幸福な、笑顔だけの空間を見て、どうしようもなく泣いてしまった。

ぼくは競馬を知らない。トウカイテイオーメジロマックイーンも見たことがない。

けれども競馬が大好きで、生きる馬たちが大好きで、勝負する姿が大好きで、頂点を極めた者たちの美しさが大好きなのは、おそろしいくらい伝わってきた。

 

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ウマ娘」を見ている競馬ファンは、見た感じ優しい人が多い。

競馬を「ウマ娘」から知ってほしい、と言ってくれる人が多く見られる気がする。

にわかどころじゃないので、元からのファンの方にはものすごく恐縮してしまうんだけど、とあるところで見たコメントが嬉しかった。

ウマ娘」は馬のことを愛しているから好きだと。

制作者の丹精込めた愛は、ちゃんと色んな所に伝わり、つながっていた。

それがまたね。泣いちゃうね。

 

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ウマ娘」を見て以来、ずっとネットにある馬の史実を追って読んでいる。面白い。解像度が一気にあがっていろいろなことが理解できて、馬たちの、関わる人達の生き様に圧倒される。

特にナイスネイチャの話は何度も読んでいる。連続で3着という名脇役みたいな立ち位置の馬。本来であれば3位ってすさまじいことなはず。でも1位が「もし」取れていたらな、栄光を受けていればな、って思いながらアプリで遊んでいる。ナイスネイチャに関しては馬場秀輝の話を読むだけでボロボロ泣いてしまう。本当の愛じゃないか。

 

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アニメのライスシャワーの回の描写とかゾクゾクするところがたくさんあるアニメだった。もっとどこかで語りたい気持ちばかり湧く。なるほどこの感動は、人に何らかの形で伝えたくもなる。アニメすごかったんだよ、でもこの出来事は史実に限りなく近いんだよ、と。

ただ、やっぱり映像で馬が見たい、走る姿が見たい。見ていないと知った気にしかなれない。

名馬名勝負映像集みたいなの、どこか出してください。今出したら確実に買います。もっと馬たちの生き様とドラマについて知りたい。