たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「萌え」と「毒」のバランスを「みつどもえ」から考える。

●「『萌え』って純粋な気持ちだよね」とか言えないくらいフェティッシュだからもうどうしようもない●

「このマンガ萌えるよ」といわれると自分はあまのじゃくさんなので「読むもんかチクショーハリウッド主義め!」とか言いながら絶対買わないふりをしつつ、ふりかえりざまにチラチラ見ながら結局買わないのです。そして失敗するのです。
しかし今回は「なかなか手に入らなかった」というエッセンスもあり、餓えたケダモノのように追い求めていました。

※これはコラです。
 
はてこのマンガ、初期と比べて現在大化けし、勢いに乗ったマンガの一つだと思いますが、その「萌え」のフェティッシュっぷりは異常ですよね。現在連載分は1巻よりさらにフェチ化しています。

自分が二番目に好きなキャラがこの「ふたば」なんです。なんせスパッツですから。そしておっぱいが大好きでちょっとHでアホの子ですから。これで「萌え」ないわけにはいきません。言い換えるとちょっと性的にドキドキさせられるってことだい。
加えて、今流行の「アホ毛」を取り入れたことは評価が高いのではないかと思われます。いや、正確に言うとちょんまげなんだけど、ピルピル動くことで「アホ毛癒し効果」と同様の働きをしています。ちなみに「アホ毛〜」というのは…長くなるので割愛。
一番のお気に入りは、

上に乗っているCV宮村優子っぽい「みつば」、ではなくて、その下にいる吉岡さん。
見てこのごんぶとまゆげ!茶髪に黒まゆげですよ。どこまでフェティッシュのつぼをおさえているんですか。しかもごんぶとまゆげは困った角度がダイレクトによいというのを理解しつくして描かれています。これからのみつどもえは吉岡さんの時代がきますよ。
 
さて、他の兄弟の「みつば」「ひとは」も「萌えポイント」の濃縮みたいなキャラで、3つそろってすべていい、という感じで見事に完成しています。
が、このマンガが「萌え」だけなら、ここまで注目株にはならないだろうなあと思いました。自分が惹かれたのも、吉岡さんのごんぶとまゆげのせいもあるけれど、そこに含まれる「毒」がいいバランスを取っているからです。
いや、あまのじゃくなんです。でもあふれかえる「萌え」の時代の荒波を飛び出したこの作品が、今後の作品のカギの一つなのではないかという仮説を立てて、ちょっと考えて見ます。
 

●マンガの「萌えキャラ」はその特徴ゆえに、作中キャラには好かれるわけではない。●

「萌え」って言葉の幅は広いものですが、パーツや属性として見た場合、ぶっちゃけ「見ていてかわいいけど一緒にいたくない」んじゃないかなと思ったりします。
たとえば「ツンデレ」はマンガの中で凶悪なまでの破壊力を持つわけですが、実際にそばにいてしかも「ツン」状態しか見ていなかったら友人としてどうですか。滅入るヨ。極端な「ドジッ子」ははたから見ているとかわいいですが、一緒に仕事するはめになったらもう、大変だヨ。
というわけで「みつどもえ」において「萌え」をネガティブに書き換えるとこうなります。

サド気味でツンデレな「みつば」→協調性がなくわがままでイヤミな子。
ピュアでマッスルな「ふたば」→バカでやることなすことが迷惑でうるさい。
不思議ちゃんでクールな「ひとは」→話しかけずらいし暗くて怖い子。

おおおお、書いていて心が痛くなりました。が、続けます。
みなみけ」では個性の強すぎる3姉妹が出てきますが、彼女達はかなり周囲に愛されています。しかしこっちは違うんだな。

おおおお。なんだか心がシクシク痛むのです。が、続けます。
マンガで見られる「萌え」は往々にして迷惑千万な場合が多いです。最近はちょっとずつクラスの子にも受け入れられているような雰囲気も無きにしも非ずですが、1巻収録分では3人に対するクラスの目は冷淡きわまります。
男子にこう言われるのは、いいんですよ。小学生男子ってすぐ人に流されて、自己主張曖昧だから。
問題は女子の方。

こんなにかわいらしいドリル杉崎やごんぶとまゆげ吉岡さん達ですが、やはり女の子です。グループ化や陰口という生々しい部分はきっちり残っていて、

「みつばマジうざいし」
みつばがいないところでこんなことを。
おおおお、ごめんみつば本当につらい。が、続けます。
三姉妹の中でも特に「みつば」は、陰湿でサディスティックな攻撃をし、自分は人よりもはるかにレベルが高いのだ、というおかしなプライドの持ち主。

笑うべきところですが、このシーンとさっきのシーンだけを取り出すと、ものすごい胃がしくしくとありんこに食い尽くされるような思いにかられてしまいます。小学校でこういうジトジトした女子同士の対立関係に巻き込まれた人は多いのではないでしょうか。
 
これらは普通の「萌え」マンガだと、あまり「描いてはいけない」部分です。へたに出してリアリティを出してしまうと、「萌え」の持つファンタジー力は一気に失われてしまいます。描くなら徹底して「おジャ魔女どれみ」並みの覚悟のいる部分かもしれません。あ、いわゆる「泣きゲー」にはこのへんのリアルとファンタジーを押さえた作品が多いらしいですが、詳しくないので保留。
女子同士の確執やグループ化は、男性から見ても気持ちよくないし、女性は考えもしたくない、という人のほうが多いかもしれません。
しかし、みつばのような「ツン」な子が表面で嫌われてしまう、と言うのはもっともなことなんでしょうネ。
 

「ひとは」もかなり誤解を受けやすいキャラです。誤解かどうかも定かではありませんが。「ハルヒ」の長門や「みなみけ」のちあきのような「クールで淡々としゃべるキャラ」なので、読者的にはおいしいのですが、それはクラスのみんなからの距離を作ることになります。
 
おおおお、目の奥がちりちりとありんこに食われるようにいたいです。が、続けます。
それでもなお、このマンガに出てくる三姉妹は魅力を放っています。そこがミソなんじゃないカナ。
 

●毒があるから、キャラがひき立つのがこれからの「萌え」?●

なぜキャラのいる環境に多くの「毒」があるのに、流れが滞らないのか、がこの作品の絶妙すぎるところ。
まず、ふたばの異様に高いテンションが全体の時間の流れを制御してるんですよね。バカな子ほどかわいいとはいいますがそれは、変に悩んだり停滞したりしないから。鼻水たらしたりおっぱい描いたりするふたばですが、クラスからそんなに嫌われてはいない様子です。男子の千葉氏とはエロ愛好家仲間のようですし。
彼女のペースでストーリーが進むので、やたらハイペースになり、妙な安心感が生まれます。

また、ひとはは「コミュニケーションを取るのが苦手」なだけで、そこまで人嫌いで陰鬱な性格ではない様子。連載初期に比べて「だんだん毒気が抜けてきたなあ」と言うのは、クラスメイトから見て「あ、こいつ接して見ると結構いいやつじゃん」と言うのと同じ視点なんだろうなと思うのです。
 
そして問題の「みつば」ですが。

なぜこうもツンデレな子に心を惹かれてしまうのでしょうか。わかっているのに、くやしい!という感じです。特に筆箱の回のみつばのかわいらしさは異常です。もうなんつーか、見て。
加えて、一番サディスティックな彼女が、一番立場が弱くて、いつも追い込まれる側で、「かわいそう」に見えてしまうのがトリック。「かわいそう」はえてして「この子かわいい」に転じるんですよネ。
 
そんなわけで、見事3姉妹とも「毒」を持ちつつ「萌え」を獲得できたのではないかと思います。
これが単に、あざといまでの(←かなりほめ言葉、まじで)「萌え」記号の塊だったらこうはいかなかったんじゃないかなと思います。ムチャな展開を取りつつも、ちょっと小学生らしい生々しい部分も含んでいるからこそ、微妙なバランスが生まれてそこに「かわいらしさ」が出てくるのではないかと思いました。
確かにフェティッシュなシーンは多いのですが、「ムダにエロい」という風ではなくて、「かわいい」んですヨ。ぽってりむちむちした絵柄のせいもありますが、それぞれのキャラや環境が微量に含んでいる毒がいいスパイスになっているのかもしれません。
今後は「ひとは」が大いなる飛躍をするのではないかなあと思うのですが、チャンピオン掲載分を全部は読めていないのでわかりません。
 

●ただ「萌え」るだけではなく。●

自分も修行不足なので「萌え」がどこから生まれる感情でどういうものなのかは言い切れません。ただ、自分の持っているソレは、「かわいい」の記号の集合体ではなくて、どこかしら辛味のきいたスパイスを含んだものが当てはまるのだと再認識しました。なんかちょっとだけね、攻撃的なものがあるとすごいうれしいんですヨ。
これからの「萌え」には、そういう懐に針を忍ばせて、ものすごい勢いで駆け抜けていくようなパワーがあるといいなー、なんて妄想しながら、吉岡さんのまゆげのことだけ考えて寝ます。
 
つか吉岡さんセリフないし。見た目だけで「萌え」ですか自分のバカチン!
 
〜関連リンク〜
『みつどもえ』ってレベルじゃねーぞ!いくつあるんだよ感想サイトまとめ(どらみそら。)
ほんと多いですネ。みんな大好きなんだなあ。
のりぺぃじ
作者桜井のりお先生のページ。ブログに載っている絵がステキすぎるので全部見ましょう。心底この3人組が好きです。前髪パッツンでドリルでセクシーな杉崎さんはきっとはやる。杉崎x吉岡さんもいいけど、杉崎xみつばに違いないです。みつば誘いうけ。
「みつどもえ」絵がいっぱいのreconstructiveさん
こうしてみると、ひとはがむちゃくちゃかわいいですネ。