たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

虫マンガ「ベクター・ケースファイル」が現実のものとなった日。

今日のネタは、めっちゃ耳がかゆくなります。注意。
 

●耳の中の怪音●

耳の奥で変な音がし、痒くて眠れない男性…耳の中に約100匹のダニが生息、卵を産んでいた(痛いニュース)
とまらない耳鳴り、実はダニが住んでいた。(がらくたGallery〜海外仰天・面白ニュース〜)
あああ、か、かゆいかゆい!ネコの耳の中の動画(グロ注意!)を見たらさらにかゆくなります。ご飯中見たら絶対だめ。トラウマ級の気持ち悪さです。
言いましたからネ!
 
耳の中にダニ、なんていわれたら「汚すぎだろういくらなんでも」と思われるかもしれませんが、これがなかなかどうして。犬やネコにおいては日本でもごくごく一般的に見られる病気だったりします。全く珍しくないんだこれが。そして、人間の体ににもダニは付いていることは割りとある話。
 
さて、くしくも今月のチャンピオンREDベクターケースファイル 稲穂の昆虫記」がまるっきり同じ病気についてマンガ化していました。偶然とはいえ面白すぎなタイミングです。
このマンガ非常に面白いので、今回の話を関連させながら紹介してみます。
 

●虫マンガです。●

このシリーズ、「サイカチ 真夏の昆虫格闘記」を描いていた原作・藤見泰高、漫画・カミムラ晋作のコンビ。
とにかく虫のウンチクと面白さ、そして虫愛に満ちた作品です。サイカチにも出てきた虫オタクの女子高生、榎稲穂が、「ベクターケースファイル」の主人公です。

稲穂は、虫を心から愛していると同時に、その恐怖も知っています。「ベクターケースファイル」では、その虫の脅威を、愛情込めながら解決し、解説していきます。これがまた面白い。ちょっとした知識モノとしても、ちょいホラー風娯楽マンガとしても読みやすいんですよ。
そして、お色気もふんだんに盛り込んであり、かつ読みきりなので非常にオススメなのです。
(ただし、虫嫌いにはちとキツイ)
 

●怪談風のストーリー仕立て●


得体の知れない恐怖と、それを解明していく虫愛がこの作品の面白さの一つです。
今回は「学校の怖い話」。
とある歌のうまい少女が嫉妬を買い、同級生の報復を受けたために聴覚を失ってしまい、それを苦に自殺してしまう、という怪談から物語ははじまります。
まあ、冗談半分ではじめた話なんですよ。怪談なんてみんなそんなもんです。
しかし、ある日異変が生じます。

バンドのギタリスト八重子の耳が、異音を感じはじめます。
いくらやっても、大音量でギターを弾いていても聞こえる異音。頭によぎるのは、当然、冗談交じりにきいた怪談のことばかりです。

目に見えないものって、すごく怖いんですよ。
恐怖を描く場合、見えるから怖い作品もありますが、やはり見えないから不安にかられるのは大きいですよね。このベクターケースファイルのシリーズ、虫が出てくるというのは分かってはいるんです。なんせ作者がこのコンビですから。
しかし、じわじわと何か得体のしれないものが近づいてくる不気味さを、毎回きっちり、ちょっとずつ染み出すように描くので面白いんだこれが。
先月はアイドルの子が謎のかゆみに内股を襲われ、その動画をネットで公開されてストーキングされるという恐怖を描いていました。やはりじわじわと迫り寄るんですが、その描写が丁寧でうまい。
 

●得体がしれない物に対して、人が感じる杞憂と妄想●

はて、恐怖を一度感じてしまうと、余計なことを考えてしまうのが人間のサガ。

実際にはこんなシーンは起きていないし、そこまで怖い話は聞いていないのですが。常に耳から聞こえる異音は不安をかきたてるには十分すぎるのです。
そして、不安は尾ひれがついて、胸びれも背びれもついて膨れ上がります。

冗談だと思っていた「呪い」の話も、なんだか真実に思えてくるから不思議。耳からこれまた得体のしれない液体が漏れ出し、「脳がとけた!」と驚愕。しまいには体全体が蝕まれていくような恐怖に襲われます。呪い殺されてしまう!
なんだか滑稽に見えますが、実際常に耳の中でガサゴソと音がして、それが日増しに大きくなってきたりするわけです、不安にならないわけがないんですヨ。

同じ現象でも、科学に基づいた事実を知ろうとする人間には違って見えてきます。
幽霊の、正体見たり、枯れ尾花。
 
とはいっても、枯れ尾花もちょっと怖いんですよネ。ただ、対策が練られるだけきちんと見ることができる、ということです。
 

●正体見たり。●


得体の知れない呪いで自殺すら試みた八重子に、その正体を明かします。
これが、一番最初の記事に出ていた、耳の中のダニの話なのです。

とは言っても。確かに呪いよりはるかにいいんですけれども。でも単発で出されるとこのネタ十二分に怖いんですよ。最初の記事のように。これだけで恐怖満載です。
 
しかし、この作品のいいところは、虫をただの恐怖の対象としていないところ。確かにダニは問題があって、消毒しなければいけないものですが、呪いの話と比較することによって「ああ、よかった」と済ませています。このへんの手法が見事。
虫を単純に「いらないもの」として、侵食するモンスターのように描く作品は結構あると思いますが、他の「呪い」や「人間そのもの」の恐怖と比べて「虫だから仕方ないね」とやさしい視点で見ているのが非常にいいんです。虫への愛情が伝わってくるじゃないですか。
 
今回はまあ、ダニということで根絶しましたが、今まで出てきた虫たちは殺すことをほとんどせず、「だからと言って嫌わないであげてほしい」というスタンスで描かれていました。時には逃がしてあげたり、フォローする側になったりと。
この稲穂というキャラが虫を愛でている表現が全体を覆っているのもあるのですが、それ以上に作者達の虫への、自然への愛と畏敬を感じます。逆転の手法を用いることで。
 
確かにこの作品、虫嫌いの人にはしんどいですが、そうでない人ならばテンポのいい恐怖演出と、それを解明する爽快感と共に、虫のこともちょっと調べてみようかな、という気持ちにさせられる良作なのです。毎回入っている稲穂のウンチクも、明日人に話したくなるものばかり。面白いヨ。
  

●たとえ虫が嫌いでも楽しめます●

虫好きじゃなくても、この作品、かなり萌えます。

さりげなくソフト百合!(ここだけ)。
八重子のヌードも今回見られます。さあチャンピオンREDを買いに行こう。
女の子達の描写がかわいいし、さりげなくサービスシーン満載。絵もとてもうまいので、別に虫に興味なくても存分に楽しめますヨ。
6月20日に単行本も発売されるそうで、今から楽しみです。
 

チャンピオン RED (レッド) 2007年 07月号 [雑誌] サイカチ 1―真夏の昆虫格闘記 (少年チャンピオン・コミックス)
〜関連リンク〜
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動物系の医療のお話。ペット飼っている人なら、必見。気持ち悪いですが気をつけないと大変そう。
ダニ-見えない相手にご用心-
こちらは人間の話。先ほどのマンガのダニは直接は出ていませんが、見ているだけでかゆくなる。けどこれもまた事実。参考にゼヒ。
ベクターケースファイル 稲穂の昆虫記 レビュー(ぶつ切りスペアリブ)