たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「BLUE DROP〜天使の僕ら〜」は何かに挑戦しているのかもしれない。

電脳コイル」のヤサコ妹のマイブームが、指をさして「ウンチ!」であるならば、自分のマイブームは「おつかれちんちん」です。

おつかれちんちーん。
明日から使おう!どこでだ。
 
そんなわけで、毎月余りにも予想外な展開続きで、何を書いてもネタバレになりそうで「とにかく今月からでいいから読んで」としか言えないすさまじいマンガになりつつあります、チャンピオンRED連載の「BLUE DROP〜天使の僕ら〜」。中身については書きません。想像外の展開を楽しむマンガだから。
はて、この後の時代に当たる短編集の「BLUE DROP」や、マガジンZで連載中の「連人-ツレビト-」と余りにもかけ離れたテンションで突き進んでいくこのマンガ、あまりにも展開のスピードが不可思議すぎて時々「どこまで本気なんだろう?」と分からなくなることもしばしば。なんせ性にかかわる価値観を全部壊そうとしてるんじゃないかと思うくらいに右に左に駆け回る。いきなり最初から足の指なめ+ゲロフェチで始まったくらいです。
 
もちろん、ノリが非常に軽快でエロっぽいシーン満載なので、普通にエロコメとしても十二分に楽しめます。ただ、それで済ますには余りにももったいないのですよ。
まず、「BLUE DROP」で培われてきたSFの風味と少女の特別感が、コメディのなかにしっかり生きています。「アルメ」といわれる女性型宇宙人たちがなぜ人間の女性との交配を執拗に求めるのか、人体を用いた実験で何を求めているのか、人間の男性に対して何を考えているのか、今の時点で答えは全く分かりませんが、ギャグの端々にそれが大きなテーマとして今後の柱になっていくようなそぶりを見せる描き方が多いんですヨ。
ストレートに描くと重いテーマになってしまう「性」。なぜ男と女がいるの?個人と個人の感情の交し合いはどこから生まれるの?そんなテーマを、生死がかかわっているという緊迫した状況にもかかわらず、非常にコミカルに展開しています。
女装少年と女に性転換させれた少年が出てきて、他の少女やアルメたちとぶつかり合うんですが、その割りに本当に悩んでいるのが主人公くらいなのもまた面白い。確かに主人公は翻弄されて大変な思いをしているので仕方ないのですが、他のキャラ達は全然後ろ向きじゃないんですよね。女装少年達がまたポジティブなもんで、女性がアルメにとられたから男同士で楽しめばいいじゃない、という開き直りっぷり。彼らに苦悩を感じないのはコミカルな演出としても面白いのですが、複雑に歪んだこの世界の「性」に適応するたくましさすら感じます。(子供は生まれないのですが。)
 
そんな吉富先生、今月は「萌え」にもメスを入れんとしているようです。もちろん、からっと笑えるネタにして。もちろんそれが「上等!」と一筋縄ではいかないのもまたしかり。とりあえず「萌え」の記号として使われるものがふんだんに取り入れられて、回を追うごとにシュールな構図がどしどし出てきます。これらがその真意を見せたとき、どう描かれていくんだろう?
もしかしたら、吉富先生はこの作品で特殊な個性としての「性」の隅から隅までに対して、ジョークまじりで挑戦していこうとしているのかもしれない。
 
ひと月見ないだけでも展開が予想外すぎて、全く分からなくなると思われるこのマンガ、とにかく1回の情報量とエロギャグ分と伏線が多すぎて、…面白いな!吉富先生の妙にサラっとした絵と空間の捕らえ方がうまくマッチしているんだと思いました。
 
アニメのほうは本当に少女分たっぷりの濃厚なものになりそう。このマンガの何年も前の話になるそうですが、百合味がかなり強そうで非常に楽しみでなりません。「戦闘妖精 雪風」のスタッフかあー。トキメク。
それじゃ明日もがんばりましょう。おつかれちんちん。
 
 

先月だったかの吉富先生のコメントで「ケンゾーのモデルに電話したらゲロについて語られました」と言うのが印象的すぎでした。ゲロかあ…すいませんその段階には達せませんまだ。
 
BLUE DROP―吉富昭仁作品集 (電撃コミックス) RAY THE ANIMATION Vol.1 [DVD]
 
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